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オイシックス・ラ・大地(3182)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

オイシックス・ラ・大地とは

オイシックス・ラ・大地で、自然派食品ECの中では突出した規模と知名度を持つ存在だと言える。主力の「Oisix」は有機・無添加・特別栽培を軸にミールキットを家庭へ届ける仕組みで、安全性と利便性を同時に売りにしてきたブランド。一方で「大地を守る会」は古くから自然食品に強い固定ファンを抱える宅配ブランド、「らでぃっしゅぼーや」は選定品質と個別配送が強み。3つの性格の異なるブランドを吸収し一体で運営している点は、ほかの食品ECにはない層の広さにつながっている。

この会社の特徴は「買って終わり」でなく「毎週届く」という継続課金型モデルにある。定期便でミールキットを継続購入してもらえる構造は、単価の積み上がりと解約率(チャーン)の管理が業績に直結し、ここを改善できるほど利益は滑らかに増えていく。また物流は海老名・習志野・厚木など複数拠点を持ち、鮮度維持と配送スピードの両立を目指す体制が確立されている。冷凍・チルド・野菜のそれぞれで保管基準が異なり、ミールキットは構成食材が多いため在庫管理は難易度が高いが、そこを仕組み化している点は優位性といえる。

さらにM&Aでの事業拡張が積極的で、「とくし丸」による移動スーパー事業は買い物弱者へのリーチ、「Purple Carrot」はヴィーガン市場への海外展開、「シダックス子会社化」は給食・調達・厨房運営のノウハウ取り込み。これにより家庭向けECだけでなく、法人食サービス・フードロス再生・卸売・ロジスティクス効率化などにも事業領域が広がった。食品ロス削減を掲げ、規格外品の再活用や乾物化、給食用への転換など、社会課題を収益源に変えていく姿勢も強い。

つまり、オイシックス・ラ・大地は単なる食品通販会社ではなく、食の物流・再生・提供モデルを横断的に進化させる企業になりつつある。安全志向の消費、共働き比率の上昇、即調理需要の増加、配送網の自動化など、追い風の多い領域にいる点も大きい。今後の焦点はミールキットの利益率改善、物流コスト低減、解約率の制御、給食・移動販売とのシナジー定着。このあたりが成功すると、事業の安定性と伸び代がさらに明確になってくるはずだ。

オイシックス・ラ・大地 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(EPS) 配当(円)
23.3 115,176 3,346 2,810 1,807 49.5 0
24.3 148,408 5,125 4,420 4,108 112.4 0
25.3 256,009 6,864 6,561 3,638 103.1 0
26.3予 255,000 7,500 7,300 4,100 118.0 16
27.3予 255,000 7,700 7,500 5,400 155.5 16〜20

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2023 5,306 -12,135 8,265
2024 7,722 -10,815 17,735
2025 3,496 -12,451 -1,551

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(2025実績) PBR(2025実績)
2023 2.9% 7.3% 2.8%
2024 3.4% 14.1% 2.8%
2025 2.6% 11.9% 2.7% 高値37.2倍 / 安値16.2倍 1.67倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

オイシックス・ラ・大地は有機食品・ミールキット宅配の最大手で、売上規模は24期1,484億円から25期2,560億円まで大きく拡大し、26期も2,550億円と高水準を維持している。売上の伸び方は市場の拡大とM&A統合の影響が大きく、事業規模の膨張は非常に速かった。一方で利益を見ると、営業利益は51→68→75億円と伸びているものの、売上成長ほどの強さではなく、営業利益率は3%前後にとどまっている。数字で見る限り、規模は大きいが利益率の改善はまだ道半ばという印象が強い。

ROEは7.3%→14.1%→11.9%と比較的高水準を維持しており資本効率は悪くない。ただしEPSは112円→103円→118円と上下し、利益の確実な積み上げというよりは波のある成長であることも読み取れる。純利益は41→36→41億と横ばいで、規模拡大に伴う物流投資・原価高・新規事業投資が利益を圧迫している側面が推測される。つまり売上は伸び続けても利益が追従しきれない構図で、成長株としてみるなら今後どれだけ利益率を引き上げられるかが最大の焦点になる。

また、この銘柄は過去長く無配だったが、26期より16円配当が予想されており、株主還元姿勢にようやく舵が切られ始めた段階。とはいえ現状の利回りは低く、配当株として魅力が生まれるほどではない。投資スタンスとしてはインカムよりもキャピタル重視、つまり企業の事業成長が数字に結びつくかどうかを見る投資が向くと考えられる。

ミールキット市場全体はまだ成長余地がある一方、競争環境は激化傾向で、物流負担・仕入れ価格・食品廃棄ロスなどコスト要因も多い。海外展開や子会社「とくし丸」などの地域物流事業は潜在性があるが、利益貢献に時間のかかる領域でもあり、短期での収益改善を期待しすぎるとブレやすい銘柄ともいえる。数字だけで評価すれば、「規模は大きく伸びたが、利益がまだ追いついていない企業」というポジションが現状の姿で、強い伸びが利益にも波及し始めるかどうかが今後の投資判断の軸になる。

総合すると、オイシックス・ラ・大地は売上成長が綺麗に伸びる大型EC食品・ミールキット企業で、今は成長フェーズの転換点にある可能性が高い。利益体質の改善が見え始めれば株価の評価が変わる余地は大きく、その意味では将来性を見ながら中期で育てる投資が向く。一方、数字だけで判断した場合、現時点は「利益の安定確保が課題の途中段階」にあり、勢いはあるがリスクも抱えた成長株という認識が最も自然な評価になる。

配当目的とかどうなの?

オイシックス・ラ・大地の配当利回りは26.3期で約1.11%、27.3期で約1.32%とかなり低めで、配当だけを目的に保有する銘柄として考えると魅力は弱い。これまで無配が続いていた企業が配当を出し始めたという点は前向きな変化ではあるものの、現状では配当で利益を取るというより成長の方に軸がある会社といえる。

ミールキット需要の拡大やシダックスの子会社化などで事業規模は拡大しているが、利益率はまだ高くないため、今は配当を厚く出すフェーズに入っているわけではない。むしろ利益の再投資や新規サービス展開に資金を向ける傾向がある。

ただ、配当がゼロから16円、さらに将来は20円まで視野に入ってきている状況を見ると、企業体力が整い始めていることも読み取れる。事業が安定し利益が積み上がるなら、さらに増配される可能性もあるため、将来的な成長と配当両取りを狙う長期保有には向く余地がある。現段階では配当狙い一本で買うには弱いが、成長性を評価しながら長期で持つ中で配当が育っていく流れを期待するなら選択肢にはなる、そういう位置付けの銘柄だといえる。

今後の値動き予想!!(5年間)

オイシックス・ラ・大地の株価1,434円から今後5年を見据えると、未来は大きく3つに分かれる。ミールキット市場はまだ成長余地があり、共働き世帯の増加や時短需要の追い風が強い。宅配食品はライフスタイルに定着し始めており、企業としてはここから利益率をどう高めていくかが勝負の分岐点になる。つまり「伸びる未来」「緩やかに進む未来」「苦しくなる未来」がそれぞれ現実的に存在し、そのどれを辿るかで株価の景色は大きく変わる。

良い未来では、食品ロス削減や産直モデルの強化、PB(プライベートブランド)商品の比率アップ、配送網の効率化といった施策が機能し、売上だけでなく利益率も改善する。物流負担を抑えながら高付加価値商品を増やせれば収益力が上がり、それをきっかけに株価は2,300〜2,800円へ向かって上昇する流れが作られる。新規ユーザーだけでなく既存ユーザーの購入単価や継続率が上がれば、ストック型の強さも見えてくる。

中間の未来では、会員数・売上は伸びていても利益が伸びきらず、コスト増と利益の押し合いが続く。数字の伸びはあるが爆発力が出にくく、株価も1,600〜1,900円のようにゆっくりと動く。事業としては成長しているものの、大きな評価転換にはもう一段利益改善が必要になる。長期で見ればじわじわ育つが、短期的な勢いは限定的。

悪い未来は、競争激化や物流費の高止まりで利益が削られ、顧客獲得コストだけが増えてしまうケースだ。価格訴求型の競合サービスに顧客が流れると収益が鈍化し、株価は900〜1,200円まで下がる可能性もある。宅配に必要な固定費は軽くないため、利益が縮むと回復までに時間がかかる点もリスクとして残る。

つまり、1,434円という現在価格はちょうど分岐点にあって、会社が利益率を上げられるかどうかで未来が変わる。伸びる道もある、不安定な道もある。そのどちらに転ぶかを決めるのは会員数・継続率・PB比率・物流効率といった指標で、そこを追いながら判断すべき銘柄だといえる。

この記事の最終更新日:2025年12月8日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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