株価
クリエイトSDホールディングスとは

株式会社クリエイトSDホールディングスは、神奈川県横浜市に本社を置き、関東地方から東海地方へかけてドラッグストアと調剤薬局を中心に展開する企業である。会社の中核を担うのは株式会社クリエイトエス・ディーで、店舗ブランド「クリエイトSD」として、神奈川県を地盤に東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県、静岡県、そして愛知県へと店舗網を広げている。医薬品や化粧品、日用品の販売に加え、食品売り場も強化しており、地域住民にとって日常の買い物の場としても利用される存在になっている。調剤薬局も積極的に併設し、薬剤師による服薬指導や健康相談、在宅医療への対応も進めることで、医療と生活の双方を支える役割を担っている。
同社はニチリウグループに属しており、店内には「くらしモア」ブランド商品が並ぶことが特徴で、価格を抑えながら生活必需品を提供する体制を整えている。またスーパー事業にも進出し、百合ヶ丘産業や八百半フードセンターなどをグループに取り込むことで食品領域をさらに強化してきた。こうした多角化は、ドラッグストア業界における競争が激しさを増すなかでも、生活に根ざした売場として確固たる顧客基盤を築くための戦略といえる。
さらに、介護事業にも早くから取り組み、ウェルライフによる有料老人ホームの運営や、サロンデイによるデイサービス事業を展開している。高齢化社会が進む日本において、買い物と医療、介護のニーズが連続することを捉え、ドラッグストアだけでは終わらないライフサポート企業として存在感を高めている点が大きな特徴である。障害者雇用の拡大にも積極的で、クリエイトビギンが店舗清掃やサポート業務を担いながら社会的役割も果たしている。
売上規模は連結で4500億円規模、従業員数はおよそ五千人を超え、店舗も調剤薬局も引き続き増え続けている。住宅地に近い立地を重視し、地域密着の姿勢を崩さないことで、日々の生活に欠かせない「かかりつけドラッグストア」として信頼を積み上げてきた。毎日低価格を掲げつつ、薬剤師やスタッフとのコミュニケーションを大事にし、人と人との触れ合いを重視する企業文化を持っている。
1980年代に誕生してから、2000年代には急速な店舗展開を進め、上場を経て2009年には持株会社体制に移行した。現在では医療、介護、そして生活基盤の三領域をつなぐ企業グループとして、消費環境の変化や人口動態の変化にも対応できる強い事業構造を形成している。競争が激化するドラッグストア業界のなかにあっても、地域住民の生活を総合的に支える存在として、今後も安定した成長を続けていくことが期待されている。
クリエイトSDホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(EPS) | 一株配当(DPS) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.5 | 338,476 | 18,629 | 19,061 | 12,376 | 195.8 | 44 |
| 連22.5 | 350,744 | 18,176 | 18,665 | 12,595 | 199.2 | 46 |
| 連23.5 | 380,963 | 18,912 | 19,428 | 12,925 | 204.5 | 52 |
| 連24.5 | 422,330 | 20,227 | 20,882 | 13,691 | 215.6 | 64 |
| 連25.5 | 457,093 | 22,625 | 23,414 | 15,685 | 242.8 | 78 |
| 連26.5予 | 491,500 | 24,100 | 24,900 | 16,300 | 252.3 | 90 |
| 連27.5予 | 528,000 | 25,900 | 26,700 | 17,500 | 270.9 | 95 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 18,985 | -20,491 | -3,034 |
| 2024 | 21,034 | -20,207 | -140 |
| 2025 | 23,625 | -20,700 | -3,390 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 4.9% | 11.1% | 6.6% | – | – |
| 2024 | 4.7% | 10.5% | 6.3% | – | – |
| 2025 | 4.9% | 10.9% | 6.6% | PER 高値平均16.9倍 / 安値平均12.5倍 | PBR 1.44倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
クリエイトSDホールディングスの業績を見ると、売上は連24.5期で4,223億、25.5期で4,570億、26.5期予算では4,915億と着実に増加しており、営業利益も202億から226億、予算では241億と伸び続けている。経常利益や純利益も同様に右肩上がりで、純利益は136億から156億へ増え、さらに163億が見込まれていることから、収益規模は安定して拡大していると言える。派手さはないが、利益がしっかり増え、EPSや配当も上向いているため、成長分が株主に還元されている点は評価できる。
利益率に目を向けると営業利益率はおおむね4.7〜4.9%とほぼ横ばいで、劇的な改善は見られないが低下もなく、安定感を持って推移している。小売ドラッグストア業界の一般的な水準と比較しても中央値にあるため、高収益企業とは言い難いが、競争が激しい業態で横ばい維持ができているのはむしろ堅実と言える。資本収益性を見るとROEが10%前後、ROAが6%台とどちらも安定しており、資本や資産を過剰に寝かせている印象はなく、運用効率は許容ラインに収まっている。
バリュエーション面では2025の目安としてPERが安値時12.5倍、高値時16.9倍、PBRが1.4倍であるため、割高と断じるには弱く、大幅割安とも言いにくい位置にある。成長が継続する前提ならPRは許容でき、配当が増え続けている点まで加味すれば、保有する理由を見いだせる株と考えられる。もし利益率がもう一段改善し、営業利益率が5%台に乗ってくるようなら、市場評価が切り上がる余地は十分にあるだろう。
総合すればこの銘柄は、爆発的な成長株というよりは安定成長で配当を増やしていくタイプの企業であり、一気に買い向かうより長期視点でじっくり保有し、業績と配当を積み重ねてもらう投資が向いている。数字だけで判断するなら、焦って売る必要はなく、過度な期待で飛びつくよりも、落ち着いて時間とともに利益を積み上げる銘柄として扱うのが妥当だと結論づけられる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りを見ると、クリエイトSDホールディングスは連26.5で2.79%、連27.5では2.94%と、ほぼ3%に届きそうな水準まで近づいている。利回りだけで判断するなら、優待込みで利回りが跳ねる食品・外食銘柄や、4〜5%台を出す典型的な高配当株と比べて飛び抜けた魅力があるとは言い難い。しかし、クリエイトSDホールディングスは売上と利益が連続で伸びており、EPSと配当が揃って増加している点を見ると、単発で終わる配当ではなく、時間とともに積み上がる「成長型の配当銘柄」と捉えることができる。
利益が伸びるほど配当も引き上げられる流れが継続しているため、現時点の利回りだけで評価するよりも、数年持つことで受け取る配当が着実に増えていくタイプと見た方が自然だ。営業利益率は横ばいながら悪化はなく、ROEとROAもそれぞれ10%前後と6%台で落ち着いて推移しており、資本効率が大きく崩れているわけではない。むしろ利益の積み上げと無理のない増配を両立している会社として評価できる。
つまりクリエイトSDホールディングスは「買ってすぐ高利回りで旨味を得る銘柄」ではなく「保有し続けて気づけば配当が育っている銘柄」という性質に近い。PERは12〜16倍、PBRは約1.4倍と極端な割高ではなく、配当利回りが約3%近くある現状は、中長期保有を狙う投資家にとって決して悪い条件ではない。もし相場の調整で利回りが3.2〜3.5%に乗る局面が来るなら、そのタイミングは買い増し・仕込みとしてさらに魅力が増す余地がある。
言い換えれば、短期の高利回りを狙うのではなく、業績拡大と増配に合わせて配当が積み上がる「複利的な成長」を期待する投資スタイルと相性が良い銘柄である。3年後、5年後、現在より高い配当利回りを自分の取得価格ベースで享受できる可能性もあり、その頃に利益率が改善してくれば株価の評価レンジが引き上げられる可能性も残る。気長に保有し、配当と成長を同時に育てたい投資家に向いた銘柄と言えるだろう。
今後の値動き予想!!(5年間)
クリエイトSDホールディングスの現在株価は3,225円。この株価から5年先の姿を考える時、ポイントになるのは業績成長の継続性、調剤併設型ドラッグストアとしての競争力、人口動態と医療制度という追い風、それに対して利益率の頭打ちや価格競争の激化という逆風のどちらが強く働くかになる。ここ数年の決算を見ると売上は年々増加し、利益も伸びているため企業体質は弱くない。一方でドラッグストア業界全体が飽和に近づいてきており、ツルハ・ウエルシア・スギ薬局などの競合と比較されながら利益率がどう変動していくかが将来の株価レンジを決めていく可能性が高い。
良い未来を描くなら、クリエイトSDホールディングスが調剤と日用品販売の両輪で収益性を上げ、営業利益率が4.9%から5%台へ乗り、ROEが12〜13%に達し、市場が「成長速度の再加速」と判断する状態だ。調剤拠点の増加や介護分野での需要拡大、在宅医療との連携が強まり、調剤依存度が高まれば単価と利益率の安定化が進む。そうなればPERは現在の12〜16倍レンジの上限を超えて評価され、18倍〜20倍台に向う可能性もある。5年後には株価4,300〜4,800円、強ければ5,000円台という未来さえ視野に入る。配当も今後増配が続けば、取得単価ベースの利回りは実質4%近くに達することも想像でき、配当育成の複利効果まで狙える未来になっていく。
中間の未来、もっとも現実的なシナリオは、現状の成長ペースと利益率がほぼ変わらず続くパターンである。営業利益率が4.7〜5%弱を行き来し、ROEは10〜11%台を安定的に維持し、配当も増えるが劇的な伸びにはならないようなイメージ。PERは12〜15倍で推移し、株価はコンスタントに少しずつ切り上がる程度で、5年後には3,500〜3,900円あたりの水準に落ち着く。伸びは緩やかだが大きく崩れにくいという銘柄特性がそのまま株価にも表れ、短期で大儲けはしづらいが、配当と値上がりを合わせたトータルリターンを狙う長期目的の投資とは相性が良い。買って忘れる形で保有し、じわじわ利回りと株価が上がっていく銘柄として捉えるとしっくりくる。
悪い未来を見るなら、利益率が鈍化し競合との価格競争が激化、調剤モデルの収益性が落ちて営業利益率が4%台前半へ沈むケースになる。ROEが9%台へ低下すれば市場は評価を引き締め、PERは10〜11倍程度へと収縮していく展開も考えられる。この場合株価は逆に3,225円から伸び悩み、5年後に2,700〜3,000円台まで下落する可能性もある。さらに調剤報酬改定や医療制度の変化で利益が削られると悪化の幅は広がり、2,500円台を見る場面があっても不思議ではない。ただしそれでも黒字・増収体質が崩れなければ、長期では拾われる可能性があり、株価は落ちても一定の底堅さがある。配当が維持される限りは、投げ売りされても下で買う投資家が現れる構造だ。
まとめると、クリエイトSDホールディングスは派手ではなく、5年で株価が跳ねる爆発力よりも、じっくりと利益と配当を積み上げる企業だと見た方が現実に近い。良い未来は上へ跳ね、中間は緩やかに育ち、悪い未来はじわりと沈むが致命傷にはなりにくい。つまり、守りの効いた配当育成型の銘柄で、短期の勝負より中長期で老後資産やコツコツ積立に向いた存在だと言える。今の水準から上も下もあり得るが、数字を見る限り真ん中より少し上を目指せる現実味が残っており、投資対象としては比較的扱いやすい部類だと思われる。
この記事の最終更新日:2025年12月8日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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