株価
グリムスとは

株式会社グリムスは東京都品川区東品川に本社を置く持株会社であり、電力料金削減コンサルティングや省エネ機器販売、住宅向け太陽光発電システムと蓄電池、LED照明などエネルギー関連製品の提供に加え、電力の小売までを行う点が特徴で、電力の「削減」「創出」「供給」を一体で扱う独自のビジネスモデルを持つ企業である。東京証券取引所プライム市場に上場しており、脱炭素化や省エネへの社会ニーズの高まりを背景に事業領域を拡大してきた。持株会社としてはグループ戦略の立案や経営管理に注力し、企業理念「すべての人に感動と喜びをのもと、法人向けコスト削減と一般住宅向けスマートエネルギー化の両軸で成長を目指している。
事業の柱は三つで、一つ目のエネルギーコストソリューション事業では主に中小企業を対象に電力料金削減のための見直し提案や契約最適化、LED照明・省エネ設備の導入支援を行い、電力コスト削減をフックに長期的な顧客接点を確保している。二つ目のスマートハウスプロジェクト事業では個人住宅向け太陽光発電システムや蓄電池、オール電化設備などの販売に加え、再生可能エネルギーの開発も手がけており、FIT制度の変化や電力市場価格の変動を捉えた事業設計が求められる領域となっている。三つ目の小売電気事業はグリムスパワーが中心となって一般家庭および企業へ電力供給を行うもので、電力自由化の拡大とともに顧客獲得の余地が広がる一方、仕入価格の変動リスクを抱えるストック型ビジネスでもある。
グリムスグループの連結子会社には、電力コンサルティングを行う株式会社GRコンサルティング、電力販売を担うグリムスパワー、太陽光・蓄電池・再エネ商材を扱うグリムスソーラー、そして電力供給サービスの中核であるグリムスエナジーがあり、東京本社と名古屋・大阪・福岡といった主要都市に拠点を構えて国内広域に展開している。従業員は比較的若い構成で、エネルギー業界としては機動力の高い組織形態といえる。中小製造業などへ省エネ提案をきっかけに電子式開閉器の導入、電力契約の変更、さらには太陽光発電・蓄電池の販売や電力小売へと展開できるため、顧客一社あたりの取引価値を段階的に引き上げられる点が収益モデルの強みである。
一方でリスクもあり、太陽光発電の固定価格買取制度(FIT/FIP)変更や電力市場価格の急騰、燃料価格高騰などは利益を圧迫する可能性がある。また新電力の競争激化、電力小売事業者の淘汰も進む中で、調達コストと販売単価をどうコントロールし安定収益化するかが問われる。さらに、省エネ設備・太陽光の市場が成熟し伸び率が鈍化した場合、次の収益源をどれだけ早く構築できるかが将来の企業価値を左右する。逆に言えば、電力の自家消費モデルの浸透やEV普及に伴う蓄電需要拡大、脱炭素投資の拡大といった潮流が強まれば、グリムスは追い風を受ける立場にある。
総じてグリムスは、電力削減・創電・供給の三方向から顧客価値を提供するエネルギーソリューション企業として、持続的需要が見込まれる市場に身を置いている。環境エネルギーの転換期に位置し、制度変更と市場変動の波に乗れるかどうかが今後の成長速度を決定するだろう。事業が順調に拡張すれば収益性と企業価値の向上が期待できる一方で、競争圧力と市場の不確実性の中でバランスを保ちながら成長戦略を実行できるかが試される。電力市場の変化を読み取り、再エネと省エネの両面で顧客価値を高められるなら、次の成長フェーズに乗る可能性も十分にある企業である。
グリムス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(EPS) | 一株配当(DPS) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 31,392 | 3,600 | 3,687 | 2,465 | 108.2 | 22 |
| 連24.3 | 29,908 | 5,217 | 5,268 | 3,540 | 153.8 | 47 |
| 連25.3 | 33,340 | 6,500 | 6,645 | 4,558 | 197.3 | 79 |
| 連26.3予 | 36,100 | 7,350 | 7,400 | 5,000 | 216.4 | 85 |
| 連27.3予 | 39,000 | 7,800 | 7,850 | 5,300 | 229.4 | 92 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,464 | 80 | 1,162 |
| 2024 | 4,089 | -1,787 | -52 |
| 2025 | 4,648 | 3 | -1,274 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 11.4% | 24.7% | 14.3% | – | – |
| 2024 | 17.4% | 27.4% | 16.3% | – | – |
| 2025 | 19.4% | 28.1% | 17.5% | PER 高値20.3倍 / 安値11.0倍 | PBR 3.18倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
グリムスは財務数値だけで判断すると非常に勢いが強く、売上が299億から333億、そして361億と伸びているだけでなく、それ以上に特徴的なのは利益の伸び幅で、営業利益は52億から65億へ、そして予想ベースで73億まで増える見通しとなっており、経常利益や純利益もほぼ同じ角度で右肩上がりになっている。EPSは153円から197円、そして216円まで増えており、利益成長に合わせる形で配当も47円、79円、85円と着実に増加しているため、利益と株主還元がきれいに連動している印象を受ける。
特に目立つのは営業利益率の改善で、11.4%から17.4%、さらに19.4%という水準は中小エネルギー関連の企業として見ても異例に高く、単に売上が伸びているのではなく、事業の収益構造そのものが強くなっていることを裏付けている。ROEは24.7%から28.1%へ、ROAも14.3%から17.5%へと伸びており、資本効率・総資産効率どちらも高く、企業が持つ資源を素早く利益に変えている。これは成長株の中でも評価が高くなりやすいタイプで、市場がプレミアムを乗せる理由になる。
数字だけを見た場合、この企業は成熟よりも拡大のフェーズにあり、利益創出能力が加速しつつある状態と評価できる。収益率が伸びる企業は株価が多少割高であっても買われ続ける傾向があり、配当も増えるなら長期保有で複利的伸びを狙える余地がある。一方で今回のデータだけではPERとPBRを評価できないため、割安か割高かという投資判断の最終ポイントは不明であり、もしバリュエーションが過度に高ければ成長期待が株価に織り込み済みである可能性も残る。しかし利益率とROE・ROAの伸びを素直に評価するなら、収益性の面では文句がなく、成長企業として魅力が強い。
総合して、数字のみで見ればこの銘柄は買いの強さを持ち、利益が伸び減配の気配もなく、むしろ増配を続けられるだけの体力が見られるため、投資対象として前向きに扱う価値があるように見える。株価水準さえ適正なら、成長と還元の両取りが狙えるタイプであり、短期の値幅ではなく中〜長期で利益と配当を積み重ねる投資戦略と最も噛み合うだろう。
配当目的とかどうなの?
グリムスの配当利回りは、予想ベースで連26.3が3.54%、連27.3では3.83%と徐々に水準を引き上げており、3%台後半へ到達しようとしている段階にある。この利回り帯は典型的な高配当株ほどの派手さはないものの、増配が継続していることと、利益・EPSの伸びに比例して配当も伸びているという構造を考えると、単なる利回り数字以上の魅力を含んでいる銘柄だと判断できる。特にグリムスは営業利益率が11%台から19%台へ急伸しており、ROEが24.7%から28.1%、ROAも14.3%から17.5%と、高収益体質が継続的に強まっている状態で、配当が利益の副産物として増えているというのが重要なポイントになる。つまり配当が企業側の苦しい捻出で出ているのではなく、稼ぎが増えているから自然に上がっているという健全な成長型の配当ということだ。
このタイプの企業は利回りだけを見て3%台後半だから買うという単純な評価ではなく、数年持つことで受け取る配当が複利的に育っていくという視点を持つと強い。今の利回り3.5〜3.8%が、もし今後5年で増配が続けば、取得価格ベースで5%超に育つ可能性もあるし、利益成長が続くなら株価そのものが上がり、値上がり益と配当の二重取りが狙える。配当だけを目的とした即効性を求めると少し物足りないが、配当を「育てる」という長期的な視点ならむしろ向いている銘柄と言える。
総合して配当目的での相性は悪くなく、むしろ増配ペースと利益成長が噛み合っている点を考えれば、3%台後半という現在の利回りは、今後の伸びしろも含めると十分に魅力のある水準だと思われる。短期で利回りを抜くより、時間を味方にし、配当が積み上がる保有の仕方がフィットするタイプで、利益と配当の伸び方を見る限りは、保有しながら育てる配当銘柄として評価できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
グリムスは現在株価2,396円で、この水準から5年間の株価を考えると、ポイントになるのは利益成長の持続性と営業利益率の高止まりが維持できるかどうか、そして配当が今後も増えていくかという点が大きい。利益率はすでに高い水準にあり、ROE・ROAも強いことから市場からの評価が高く維持されるなら大きな株価上昇も期待できる一方、高収益は競争や政策変動の影響も受けやすく、調達価格や再エネ市場の変動によって失速する可能性もゼロではない。そこでここからは楽観・中間・悲観の3つの未来を想定してみる。
もし良い未来を辿るなら、利益率が20%前後で維持され、ROEも高水準を保ち続け、再生エネルギー需要と電力最適化需要が拡大しながら売上も伸びていくパターンだ。この場合市場評価は今以上に強まり、PERが20倍台を意識してもおかしくない。株価は段階的に評価され、5年後には3,800〜4,500円近辺まで上昇する可能性があり、配当も積み上がれば取得単価ベース利回りはさらに高くなる。成長株としてのストーリーを市場が認めるなら、5,000円台に乗せる展開すら視野に入る。
中間の未来は、営業利益率が横ばいで推移し、ROEやROAは高水準を保つものの大きな伸びは見せず、売上と利益は現状と同じペースでじっくり増加していく展開である。市場の評価は安定的なまま推移し、PERは12〜15倍程度で落ち着くイメージが現実的だろう。このシナリオでは株価は5年間で2,800〜3,200円に向かい、ゆっくりと時間をかけて上値を伸ばしていく。爆発的ではないが下値も比較的固く、配当も増えることで長く持ってトータルリターンで報われるタイプの値動きになりやすい。
そして悪い未来は、利益率が低下し、電力調達や制度変更の影響で収益の安定感が弱まり、ROEやROAが低下して市場からの評価が縮小するケースである。その場合PERは10倍前後に縮む可能性が高く、株価は逆に伸びず、5年後には1,800〜2,200円へ下げて推移する可能性がある。さらに市場全体のリスクや再エネ関連の政策逆風が重なると、1,500円台を試す場面さえあり得る。ただし黒字と配当が維持される限り、長期では拾われる余地も残るため、総崩れまでは考えづらい。
総合すると、グリムスは現状の高い利益率とROEを維持できるなら上を狙える銘柄であり、失速すれば中間ライン、競争や政策の影響が強ければ下方向へという三方向に分かれる。現時点でのバランスでは中間寄りながら、数字の伸びが続くなら上方向へ振れるポテンシャルを秘めていると考えるのが自然で、配当が育っていく点も長期投資と噛み合う。短期で結果を求める銘柄ではないが、伸び続けるなら報われる未来も十分にあり得る。
この記事の最終更新日:2025年12月8日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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