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シキボウ(3109)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

シキボウとは

シキボウ株式会社は、1892年(明治25年)に創業された大阪市中央区所在の、日本を代表する繊維・素材メーカーである。創業から130年以上の歴史をもち、かつての「十大紡績(十大紡)」の一社として繊維産業を支えてきた老舗である。現在は単なる繊維メーカーにとどまらず、繊維事業を基盤としながら、産業資材、機能材料、不動産・サービスなど複数の事業領域を展開する多角素材企業グループに成長している。2025年時点の資本金は118億2000万円、上場市場は東京証券取引所プライム市場で、代表取締役社長は鈴木睦人。

企業理念として「ものづくり技術・ものづくり文化で新しい価値を創造し、安心・安全・快適な暮らしと環境に優しい社会を目指す」と掲げ、2042年の創業150周年を見据えた長期ビジョン「Mermaid 2042」を策定。技術力と歴史に裏打ちされた安定性と、将来に向けた持続性を両立させようとしている。

事業内容は多岐にわたり、大きく「繊維事業」「産業材事業」「機能材料事業」「不動産・サービス事業」の 4 つの柱で構成されている。

繊維事業では、糸・織物・ニット・寝装品・雑貨などの一般繊維製品の製造および販売を行う。特に衣料用だけでなくリネン・寝装品・ユニフォーム・布素材など多用途に対応し、国内外のグループ生産拠点および関連会社群(日本国内の複数企業に加え、中国、東南アジアなど海外拠点を含む)を通じて供給体制を整備。近年は抗ウイルス、消臭、速乾など機能性繊維にも取り組み、「Made in Shikibo」の技術を生かすことで、従来の単なる布メーカーからの脱皮を図っている。

産業材事業では、製紙業界や段ボール業界、化学・食品・インフラ関連で使われる「製紙用ドライヤーカンバス」「フィルタークロス」「コルゲーターベルト」などの特殊繊維系資材の製造販売を手がける。これらはろ過や乾燥、粉じん除去、熱効率改善などを目的とした工業用途素材であり、同社は国内で高いシェアを持つ。安定した品質と長年の実績で、他社が模倣しにくい技術力・ノウハウを強みとしている。

機能材料事業としては、複合材料(たとえば炭素繊維やガラス繊維を使った FRP/CFRP/GFRP)、化成品(工業用糊剤、食品添加物、増粘安定剤など)、および環境・安全性に配慮した素材開発を行っており、航空機部品、インフラ、食品加工など多様な用途を狙う。このような素材分野への展開は、繊維で培った織布・素材加工技術を応用したものであり、産業の高度化・多様化に対応するための重要な成長軸となっている。

さらに、不動産およびサービス部門も有しており、自社保有地の不動産賃貸、貸ホール、リネンサプライ(ホテル・医療施設向け寝装リネンなど)、物流・倉庫・配送業務、リネンレンタルなど、繊維/資材以外の収益源も確保。これにより、素材部門の景気変動の影響を受けにくい「収益の多角化」「キャッシュフローの安定化」が図られている。グローバル展開についても力を入れており、海外に複数の生産および販売拠点を持つことで、国内市場だけでなく国際市場の需要取り込みを狙う。特に繊維・産業資材の分野で国際展開し、多様な需要に応える体制を整えている。

近年、同社は従来の “繊維一本足打法” からの脱却を図り、繊維技術を素材・機能性材料・工業資材・不動産/サービスという複数の軸に広げる事業ポートフォリオの見直しを進めている。これは業界変化や国内需要の低迷、競争の激化といった構造変化に対応するためであり、技術力と歴史資産を活かしつつ、新しい価値を創造する方向を明示したものと言える。

総じて、シキボウは「130年以上の歴史」と「培われた繊維技術」「ものづくり文化」をベースに、時代の変化に応じて素材の多様化、産業資材への展開、機能材料・化成品領域への拡張、不動産・サービス分野での収益の多角化を進める企業である。伝統と革新、安定と挑戦を両立させながら、社会や産業のニーズに応じた柔軟な事業展開を志向する「素材×多機能企業」であり、単なる繊維メーカーの枠を超えた存在と言える。

シキボウ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(EPS) 一株配当
連23.3 37,893 1,217 1,125 1,568 135.3 50
連24.3 38,681 1,428 1,322 800 69.1 50
連25.3 39,087 1,346 1,047 914 72.8 50
連26.3予 41,500 1,300 1,000 700 55.2 50
連27.3予 44,500 1,500 1,200 800 63.1 50

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 1,112 -682 -579
2024 3,549 -2,703 -509
2025 2,107 -2,765 1,073

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 3.2% 4.7% 1.9%
2024 3.6% 2.3% 0.9%
2025 3.4% 2.5% 1.0% 高値平均17.1倍
安値平均13.5倍
0.37倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

シキボウの業績を数字だけで見ると、売上はおおむね横ばいから微増で386億円、390億円、415億円とゆるやかに伸びている一方、利益は大きく成長しているわけではなく、営業利益は14億円から13億円でほぼ横ばい、純利益は8億円から9億円へ一時改善した後に7億円の予想とむしろ減少方向にあり、収益の勢いはやや鈍い。EPSも72.8円から55.2円へ低下見通しとなっており、利益の伸びで株価を押し上げる形には現状なっていない。

指標面では、営業利益率は3%台前半で薄利体質が続き、ROEは4.7%、2.3%、2.5%、ROAも1%前後と低水準で、資本効率の高さを狙う投資には向きにくい状態である。ただ、市場評価に目を向けるとPBR0.37倍という数値は企業価値に対して株価が大きく割り引かれている水準で、資産面から見た割安さは確かに存在する。PERは13.5倍から17.1倍と標準的な範囲ではあるが、利益成長の鈍さを考えると、積極的に買われる強気の評価がつく状況とは言い難い。

つまり今のシキボウは成長で株価が伸びるタイプというより、割安バリューとして静かに持つ銘柄という性格が強い。利益の回復や新セグメントの伸びが確認できれば見方は変わるが、現段階では高値を追う積極投資より、株価が低位で放置されている間に拾い、配当を受け取りながら改善を待つスタンスが現実的である。伸びる時は材料次第で評価が変わる可能性はあるが、今の数字だけを見るなら攻めるより守る投資、短期より長期で向き合う方がブレが少ない銘柄である。

配当目的とかどうなの?

予想配当利回り(2026・2027年度)が4.88%という水準は、日本株全体の平均利回りと比較して明確に高めであり、数字だけを見れば配当狙いの投資先として一定の魅力がある。ただし、利回りが高い背景には利益の伸び悩みと株価の評価の低さが影響していると考えられ、成長力を伴った高配当とは少し性質が異なる。利益が右肩上がりの企業であれば将来配当も増えやすいが、現状のシキボウは売上は微増、利益は横ばい〜減益予想という状況で、EPSも低下傾向にあるため、配当が今後確実に維持されるとまでは言い切れない。それでも50円の配当が継続する前提なら4.88%の利回りは投資のリターン源泉として機能し、長期保有者の下支えになる可能性はある。

つまりこの銘柄の配当は「高利回りだが成長余力は限定的」という位置づけになりやすい。値上がり益で稼ぐタイプではなく、株価が大きく動かない前提で配当を受け取るスタイルに向いている。企業側が業績横ばいでも配当を維持する方針を続けるなら、保有期間が長いほど配当収入の総額が効いてくるため、インカム目的では成立しうる銘柄といえる。一方で、減益傾向が本格化した場合は減配リスクもあるため、過度に大量に買い込むより、分散の一部として長期保有するのが現実的な扱いだろう。

まとめると、シキボウの配当は利回りだけなら悪くないが、「高配当成長株」というより「割安で配当を拾いながら静かに寝かせる株」というタイプであり、値上がりではなく安定収入重視の投資に向く。攻めではなく守りのインカム銘柄として割り切るなら選択肢になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在株価は1,023円。シキボウ3109は繊維と産業資材を中心とする企業であり、売上は微増基調だが利益は横ばいまたは減少予想、EPSも低下傾向にあり、成長ドライバーが強くない局面にある。一方でPBR0.37倍という低評価にとどまっているため、企業価値に対して市場が十分な価格を与えていないという見方もできる。この「低評価×安定配当×横ばい業績」という構造が今後の株価方向を左右する軸になり、5年間の値動きは良い場合、中間、悪い場合でまったく別の帯域が想定される。

良い場合は、減益傾向が止まり利益が再び持ち直し、EPSが回復に向かう未来である。営業利益率がわずかでも改善し、機能材・産業資材といった新しい分野の収益貢献が徐々に表れ、さらに長期ビジョン「MERMAID2042」に沿った事業再構成が投資家に評価されれば、PERは現在の水準より上に見直され、1,400〜1,700円程度までの株価上昇が現実的になる。もし市場環境が繊維や機能素材に追い風なら2,000円超えも視野に入るが、その場合でも爆発的な上昇ではなく、ゆっくり評価が切り上がる形が濃厚と考える。

中間の場合は、売上は伸びるが利益は小幅増減で方向感がつかず、EPSも大きくは改善しない。それでも年間配当50円が維持されれば利回りが約5%前後で推移し、インカム収益が保有の理由として十分機能するため、株価は大きく崩れず1,050〜1,250円あたりで横ばいを続ける可能性が高い。成長株としての魅力は薄くても、キャッシュフローの範囲で堅実に配当を出し続ける限りは「下げにくい代わりに上げにくい」という安定的な性質になる。つまり、価格で儲けるというより、保有しながら毎年の配当で回収していく銘柄という位置づけだ。

悪い場合は利益がさらに縮小し、EPSが低下、営業利益率も伸びず、配当維持が疑われる局面である。PERは割安のまま放置されるどころか、投資家が評価を引き下げれば株価は800〜900円レンジに沈む。特に収益が細り続けると「利回りは高いが減配リスクを抱えた銘柄」へと認識が変わり、バリュー株としての魅力が薄れる。もっともPBRがすでにかなり低いため、大暴落というより長期的な停滞が続く形になりやすく、買い手不在のまま値動きが乏しい期間が続く可能性がある。

まとめると、5年後の価格帯は良い場合1,400〜1,700円、中間なら1,050〜1,250円、悪い場合800〜900円前後という三つの道筋に分かれやすい。爆発的な成長を期待する銘柄ではないが、利益回復と市場評価の切り直しがあれば見直される余地は残る。反対に改善がなければ長期間の停滞も覚悟する必要がある。結局のところ、シキボウは値上がり益よりも配当でしっかり回収しながら耐えるインカム型であり、保有の意義は「大きく伸びたらラッキー、横ばいなら配当で回収、悪くても資産価値で急落しにくい」という三面待ち構造にあると言える。

この記事の最終更新日:2025年12月8日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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