株価
ラクト・ジャパンとは

ラクト・ジャパンは、乳製品原料の輸入を軸に成長してきた独立系食品専門商社で、日本の乳原料供給において重要な役割を担っている。日本では乳製品消費量が1960年から約6倍へ増加した一方、生乳の国内生産は伸び悩んでおり、現在は原料の約40%を輸入に依存している。今後も需要に対し国内供給が不足する見通しが強く、同社はその不足を補う輸入供給の中核として存在感を持つ。
事業は乳原料・チーズ事業を中心に、食肉食材、機能性食品原料、アジアでの製造・販売まで拡張してきた。乳製品原料の取扱量は国内トップクラスで、全粉乳・脱脂粉乳・クリーム・バター・ナチュラルチーズなどを世界から輸入し食品メーカーへ供給する。2005年に食肉事業に参入し、豚肉・鶏肉・牛肉、生ハムやサラミ等加工品まで取扱いを広げた。2020年からはホエイプロテインなど機能性食品原料も扱い、健康食品領域にも足場を持つ。
また、欧州・オセアニア・北米といった酪農主要地域に現地法人を置き、国際調達ネットワークを形成。気候変動や需給変化があっても輸入源を分散できるため供給が安定しやすい。アジアでは自社工場(シンガポール・タイ)でチーズ製造を行い、現地企業や日系メーカーへ販売するなど、商流だけでなく製造も含む付加価値ビジネスが進んでいる。
同社の特徴は、総合商社ではなく「乳原料・畜産領域に特化した専門商社」である点で、スタッフは国際市況、関税、商品特性、貿易実務まで深く精通し、専門性を武器に事業を展開してきた。仕入先と食品メーカーの間でバリューチェーンを構築し、品質管理・供給力・情報力を組み合わせて最適な原料を提供できる体制を持つ。
総括すると、ラクト・ジャパンは国内乳製品原料不足を背景に発展し、乳・チーズ→食肉→プロテイン・原料→アジア製造へと領域を広げた輸入型食品専門商社。国際調達ネットワークと専門性を強みとし、今後も輸入依存の高まりと需要拡大が継続する限り、事業環境には追い風が続く可能性がある。
ラクト・ジャパン 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 純利益 (百万円) | EPS | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連20.11 | 110,837 | 2,958 | 2,780 | 2,062 | 209.5 | 30 |
| 連21.11 | 110,883 | 2,787 | 2,681 | 1,959 | 198.7 | 32 |
| 連22.11 | 147,423 | 2,971 | 3,134 | 2,286 | 231.6 | 40 |
| 連23.11 | 158,328 | 3,184 | 2,847 | 2,048 | 206.5 | 48 |
| 連24.11 | 170,907 | 4,455 | 4,320 | 3,146 | 315.8 | 80 |
| 連25.11予 | 188,000 | 5,700 | 6,000 | 4,350 | 436.3 | 132 |
| 連26.11予 | 194,000 | 6,200 | 6,100 | 4,420 | 443.3 | 132〜142 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) | 投資CF (百万円) | 財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022 | -10,408 | -287 | 11,078 |
| 2023 | 3,222 | -1,362 | -772 |
| 2024 | 636 | -596 | 1,101 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 2.0% | 8.3% | 2.8% | – | – |
| 2024 | 2.6% | 11.4% | 3.8% | 7.4〜10.9倍(実績) | 1.14倍(実績) |
| 2025 | 3.1% | 15.7% | 5.3% | 7.98倍(予想) | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ラクト・ジャパンの業績を数値だけで見ると、売上は連23.11の1583億から1709億へ増え、今後の予想でも1880億、1940億と伸び続ける見込みになっている。営業利益は31億から44億へ増え、予想では57億、62億と伸び幅が大きくなり、経常利益も28億から43億へ、さらに60億、61億へと拡大する形。純利益も20億から31億、43億、44億と増加傾向が崩れておらず、利益までしっかり積み上がっている点が特徴になる。一株益は206円台から315円台になり、予想では436円前後まで伸び、配当も48円、80円、132円と増配が続いている。
指標面では営業利益率が2.0%から2.6%、そして3.1%と少しずつ良化し、ROEも8.3%から11.4%、15.7%と三段階で伸びている。ROAも2.8%、3.8%、5.3%と改善が続いているため、企業の収益体質は年を追うごとに締まりつつあると読める。ただし利益率自体はまだ高くはなく、原料商社らしい低めのマージン構造はそのまま残っているため、成長は急角度よりも積み上げ型になる。
つまりこの銘柄は売上と利益がそろって伸びており、効率指標も右肩に寄って改善していることから、中期的には前向きに評価しやすい内容になっている。ただし前提は利益率が今のペースで改善し続けること。そこが止まれば成長の見え方は弱くなるが、数字だけを見れば今は安定して伸びている途中にあり、強弱で言えば「良い方向に向かっている企業」という評価でまとめられると思う。
配当目的とかどうなの?
ラクト・ジャパンを配当目的で見ると、今の予想利回り(2025・2026年度)は3.8%ほどで、食品原料商社としては悪くない位置にある。直近数年で配当額は確実に増えてきており、企業として株主への還元を意識しているのははっきり読み取れる。利益の伸びに合わせて配当も階段状に増えてきた流れを見ると、今後も業績が伸びるなら配当がさらに積み上がる可能性は十分ある。
ただ一方で、ラクト・ジャパンはもともと高配当を武器にしている銘柄というより、利益成長と配当の両方を伸ばしていくタイプの企業で、安定配当株とは少し性質が違う。乳製品原料は価格変動の影響も受けやすく、市況や生乳の供給状況によって利益率が揺れやすい部分がある。だから配当だけを狙う投資だと、良い年もあれば渋い年もある可能性があり、そこは人によって評価が分かれるところだと思う。
要するに、今の利回りは十分見られる水準で、成長が続くなら配当を受け取る楽しみは大きくなる。ただし「毎年安定して一定の配当をキープし続ける企業」というよりは、「成長に乗れれば配当と株価の両方を取れる銘柄」という見方が現実に近い。配当を目的に持つなら、業績を追いながら増配の勢いが続くかを確認していくのが一番良いスタンスになると思う。
今後の値動き予想!!(5年間)
今のラクト・ジャパンは、乳原料とチーズの国内最大級商社として売上も利益も伸ばしており、ROE・ROAも改善基調で「右肩成長の途中」という位置にいる。海外拠点・アジア工場の拡大も進み、事業基盤は少しずつ大きくなっている。そんな状況の会社の株価が今3,465円。ここから先の5年は、単純にどれだけ利益を積み上げられるかで評価がまるっきり変わる。
良い未来
乳製品の輸入需要は長期的に高く、国内供給が不足気味なのは構造的要因。そこに同社はど真ん中で関わっているため、もしこの強みを維持したまま利益率が少しずつ上がり、ROEが10~15%台で安定して維持できるなら、株価は素直に水準を切り上げていく可能性が高い。東南アジアでのチーズ製造や機能性食品原料の販売が伸びれば、収益の柱が複数立ち、外部環境に振られにくい体質にもなる。そうなると市場は割安株ではなく「成長株」として扱い始めるため、5年後の株価レンジは4,200〜5,500円と十分に見込める。決算が積み上がる限り上は軽い。
中間の未来
一方、売上は増えても利益率が頭打ち、または原料市況に振り回されて利益が上下するような展開なら、投資家はフラットな評価のまま様子見を続けるだろう。売上は良くても、利益が伸びなければ株価は大きく評価されない。決算のたびに期待と不安が交互に揺れて、上げても戻り、下がっても戻るレンジ推移になりやすい。5年持っても大儲けでも大損でもなく、時間だけが経つパターン。こういう展開なら株価は3,000〜4,000円付近で波打ちながら推移し、今と大差ない水準に留まる可能性が高い。
悪い未来
もし原料価格が高止まり、乳価や為替が不利に働き、利益が伸びないどころか減るような展開になれば、株価の評価は真っ先に剥がれる。成長期待で買われた銘柄は期待が剥がれた瞬間が一番脆い。営業利益率が再び縮み、ROE・ROAも鈍化するようなら、今の3,465円はむしろ高かったと市場が判断し、ゆっくりと沈む絵も十分あり得る。下方向の現実的レンジは2,200〜3,000円。配当利回りはある程度維持されても、株価が沈むスピードには勝てない可能性もある。
要するにラクト・ジャパンという会社は「売上の大きさ」よりも「その売上からどれだけ利益を残せるか」が株価の未来を決める軸になっている。売上は既に右肩に伸びているが、真に評価が変わるのは利益率が上昇し、年々利益額が積み重なっていくのが数字で確認できたとき。乳製品原料の輸入は市場構造的に需要が強く、事業基盤は追い風になりやすい一方で、原料市況・為替・需給の波によって利益が揺れる弱点も抱えている。だから利益率が伸び続ければ市場は成長企業として扱い始めるし、伸びが止まれば「売上は大きくても利益は薄い」という評価が残り、株価は足踏みまたは下向きに傾く可能性もある。
今の3,465円という株価は、その分岐点の真上にある位置で、これから先の数年で上にも下にも大きく動ける余地を持っている。つまり期待だけが先行しているわけでもなく、崩れているわけでもない段階で、未来を決めるのは外部環境でもニュースでもなく、四半期ごとに出てくる決算の数字そのもの。利益率が改善し続けるなら株価は自然と評価を押し上げるし、逆に伸びなければ横ばいか緩やかな後退へ向かう。分岐の鍵はただひとつ、「利益が積み上がるかどうか」です。
この記事の最終更新日:2025年12月8日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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