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コスモス薬品(3349)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

コスモス薬品とは

株式会社コスモス薬品(本社福岡市)は「ドラッグストアコスモス」を主ブランドとして九州を起点に全国へ展開するドラッグストアチェーンで、2004年にマザーズ上場、2006年に東証一部へ市場変更した。店舗名は時代により変遷し「スーパードラッグコスモス」「ディスカウントドラッグコスモス」を経て、現在は再び「ドラッグストアコスモス」が標準となり、調剤併設店は「コスモス薬局」と呼ばれる。1994年には業界で早くからポイント制度を導入したが、2003年の個人情報保護法施行を機にポイント制度を廃止し、毎日低価格を前提とするEDLP方式に切り替えた。この戦略転換により大型店×価格訴求で生活必需品を一度に買える利便性が高まり、食品も多く取り扱うフード&ドラッグ型ドラッグストアとして成長、2001年からの5年間で店舗数は約4倍に拡大した。

店舗は1000〜2000平米規模の大型フォーマットに特化し、省人化オペレーションでコストを抑えながら大量陳列による回転率強化を図るスタイルを持ち、結果として2019年には売上6000億円を突破して国内ドラッグストア上位に浮上した。2020年には営業収入約6844億円、2023年売上高約8276億円と伸長しており、競合上位3社がM&Aで規模を拡大する中、コスモス薬品は買収に頼らず自力出店のみで勢力を広げてきた点が特徴である。2024年6月時点では約1500店舗を展開し、九州629店、中国212店、四国143店、関西213店、中部153店、関東151店と西日本を中心に広いドミナント網を形成している。

決済手段は現金が基本で、電子マネーやQR決済は導入されていない店舗が多く、クレジットカードも免税対象や調剤併設など限定的に対応する。プライベートブランドとして食品の「ON365」、日用品の「StandarDay」があり、仕入れ効率と価格競争力を高めている。生鮮惣菜を扱わない代わりに、食品・日用品・雑貨を幅広く揃えることで買い回り時間の短縮とリピート率向上を狙う業態で、低価格を武器に九州発ドラッグストアとして独自に成長してきた企業である。

コスモス薬品 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当り配当(円)
連21.5* 726,424 33,147 35,835 27,156 342.9 35
連22.5* 755,414 29,796 32,861 23,155 292.4 40
連23.5* 827,697 30,128 33,086 23,797 300.5 50
連24.5* 964,989 31,501 34,299 24,454 308.6 60
連25.5 1,011,390 40,404 43,160 30,978 390.9 70
連26.5予 1,057,000 42,300 45,000 32,300 407.5 75
連27.5予 1,100,000 44,000 46,700 33,500 422.7 75〜80

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業キャッシュフロー(百万円) 投資キャッシュフロー(百万円) 財務キャッシュフロー(百万円)
2023/5期 54,434 -49,113 3,245
2024/5期 55,175 -57,329 8,527
2025/5期 52,467 -55,448 7,717

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 3.6% 11.2% 5.6%
2024 3.2% 10.5% 5.1%
2025 3.9% 12.0% 5.9% PER高値平均26.2倍 / 安値平均17.9倍 2.33倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

売上規模は連24.5が9649億、連25.5が1兆113億、連26.5予が1兆0570億と推移し、年々拡大が続いている。営業利益は315億、404億、423億と右肩上りで、経常利益は342億、431億、450億、純利益も244億、309億、323億と増加傾向が明確で、利益の伸びと売上成長が連動していることが読み取れる。営業利益率は2023年3.6%、2024年3.2%、2025年3.9%で、25年に一度やや落ちた後に上昇し3〜4%前後で安定しつつあり、低すぎず高すぎずだがドラッグストアの薄利構造を踏まえれば健全な範囲に見える。ROEは11.2%、10.5%、12.0%、ROAは5.6%、5.1%、5.9%といずれも10%・5%前後で推移しており、資本効率・資産効率ともに安定して高めで、稼ぐ力が数値として持続している点は優秀と評価できる。

株価指標を見ると2025年実績PERは高値平均26.2倍、安値平均17.9倍、PBR2.33倍と、利益が伸びているにも関わらずバリュエーションはやや高めに位置しており、市場から成長期待を織り込まれている状態と理解できる。利益成長が今後も続くなら割高とは言えず、逆に利益が鈍化するとバリュエーション縮小で株価調整を受けやすくなる価格帯とも言えるため、投資家の期待を裏切らない成長が今後の条件となる。

この数字だけで投資判断をまとめると、売上・営業利益・純利益が綺麗に積み上がっていること、ROE・ROAが安定して高いことから、企業としての収益体質は良好で、長期成長が継続すれば投資対象として前向きに見られる水準にある。一方でPERとPBRが高めである点はリスクで、現価格がすでにある程度の期待を含んでいると見るべきで、買うのであれば継続的成長が崩れないか確認する必要がある。

利益が毎年伸びている間はホールドで報われやすいが、成長が止まった瞬間に評価調整が起こる可能性があるため、エントリーは押し目や業績加速の確認後が安全寄りの戦略になる。総合的には、成長性と収益性の両面で優秀だが、割安さで買う銘柄ではなく、成長継続前提で保有するタイプと判断できる。

配当目的とかどうなの?

コスモス薬品の配当利回りは連26.5期と連27.5期の予想でともに0.97%とされており、配当を重視した投資という観点で見ると利回り水準はかなり低い部類になる。一般的に配当目的で株を選ぶ場合、最低でも2%台、理想は3〜4%以上が候補になりやすく、1%未満はあくまでおまけ程度の配当と考えるのが自然である。売上と純利益が伸びており、配当金も段階的に増えている点は好材料だが、利回り自体は依然として高くなく、保有する理由を配当に限定するには力不足と言える。

利益成長が見えている企業なので、将来的に増配余地はあると解釈できるが、現時点の利回りだけを見るとキャッシュ収益を目的に保有するタイプの銘柄ではない。むしろ値上がり益や成長継続を期待して保有するほうが現実的で、配当だけを狙う投資なら別銘柄の方が効率が良いという判断になる。今後も連続増配が続き、利回りが2%台に近づくなら考え方も変わるが、0.97%ではリターンの柱にはなりにくい。

結論として、コスモス薬品は配当投資としては弱い利回り水準であり、利益成長による資産拡大や株価上昇を狙う方が理にかなっている。もし優先軸が完全に「配当」なら別の銘柄を探すべきで、コスモス薬品は配当で稼ぐ銘柄ではなく、成長と値上がりを基準に考える銘柄と言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

コスモス薬品の現在値を7,728円とした場合、今後5年間の株価には利益成長の持続性と市場評価が鍵になる。売上と利益は直近数年で右肩上がりを続けており、ROEやROAも高水準で推移しているため、企業体質としては優良店網による安定成長型のモデルが確立されているが、株価がすでに評価を織り込んでいる部分があるため、成長が予定より鈍化すれば下振れの余地も持つ。したがって、未来は「利益成長が継続するパターン」「維持はするが伸びは緩やかなパターン」「競争やコスト負担で勢いが鈍るパターン」の三つを軸に整理できる。

もし良い未来をたどるなら、現在の店舗拡大ペースが継続し、食品と日用品を幅広く扱うフード&ドラッグ戦略が強みとして機能し続け、他社がM&Aで規模を追う中でも自律成長で収益を積み重ねる姿が続くシナリオが自然に描ける。この場合は営業利益率が4%へ近づき、ROEは12%前後を維持、PER20倍以上でも違和感なく市場が受け入れる環境になる。国内消費が底堅く推移し、物価上昇局面でも低価格戦略が支持され続けるなら、客数増加と売上密度の改善により利益成長が後押しされ、株価は5年で9,500〜12,000円を狙うラインに入る。ドラッグストア市場が今後も再編と競争を続ける中、買収頼りではなく自力で伸びる独自性は評価材料になりやすく、機関投資家が成長株として長期で買いの姿勢を取る可能性も十分にある。

一方で現実的な中間の道を辿る場合、店舗数増加は続くが収益性の伸びはゆっくりで、営業利益率が3〜4%の範囲内で安定し、ROEが10%前後を維持する形が予想される。この場合、株価は期待も失望もどちらも限定的となり、急騰する場面よりもじりじりと緩やかに押し上げるような値動きが想像しやすい。評価面でも現状のPER水準が据え置かれ、大きく上にも下にも振れにくく、企業としての信頼感はあるがボラティリティはそこまで高くない。株価は5年で8,200〜9,200円前後で推移しやすく、安定配当+一定の成長で資産価値がゆっくり膨らむタイプの銘柄という位置に落ち着く可能性が高い。

悪い方向へ進んだ場合は、競合による価格競争や仕入れコスト上昇、人件費増、ドラッグストア市場の成熟、調剤報酬制度が厳しめに働くといった影響で営業利益率が3%を割り込み、ROEが10%を下回る可能性がある。この時、市場はバリュエーションを調整しPERが現在より低く評価されやすくなるため、株価は期待を剥がされるように6,500円〜5,800円程度まで下落する姿も現実的に見えてくる。特に成長が止まり横ばいが続くと評価剥落は想定より速いペースで起こり、優良株としての見方から安定だけの株という認識に変わると資金流入の勢いも鈍くなる。

総括すると、コスモス薬品の株価は今後5年間で、強い成長が続けば大きな上昇余地があり、中間では緩やかな上昇と横ばいのレンジ、成長が鈍れば調整余地も残すという三層構造になる。現在の7,728円はそのちょうど中間的な位置にあり、将来は利益率とROEの流れに強く依存する。伸び続けるなら長期で報われるが、伸び悩むとしぼむ。その分岐点に今いるとも言える。

この記事の最終更新日:2025年12月9日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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