株価
シップヘルスケアホールディングとは

シップヘルスケアホールディングス株式会社は大阪府吹田市に本社を置くシップヘルスケアグループの持株会社で、医療・保健・福祉・介護領域を中心としたヘルスケア総合企業群を統括している。グループ会社は2020年時点で連結子会社53社を擁し、病院や福祉施設と深く連携しながら事業を拡大してきた企業で、M&Aによる成長戦略も積極的に行っている。
主要事業は、病院建設・機器導入・運営受託までを一括支援する「トータルパックプロデュース事業(TPP)」、医療機器・診療材料などを供給する「メディカルサプライ事業(MSP)」、老人ホームや介護施設運営、食事提供、リハビリ支援を行う「ライフケア事業(LC)」、さらに調剤薬局を展開する「調剤薬局事業(PH)」で構成されるほか、給食を含むフードサービスも取り扱っており、医療と介護を中心にワンストップで機能する体制を整えている。
グループは超高齢化社会の進行に伴う医療・介護需要の増加を背景に1992年に設立され、医療制度改革に合わせ病院経営改善支援の需要が高まる中で事業領域を拡大してきた。病院建て替え需要の増加や在宅介護の拡大に合わせ、医療機関を単なる顧客としてではなく協業パートナーと捉えたビジネスモデルを構築し、診療材料の供給から施設整備、高齢者ケア、調剤、給食サービスまで幅広くカバーするヘルスケア総合支援企業として社会インフラの一部を担っている。また、NECキャピタルソリューション・三井住友銀行とともにヘルスケア&メディカル投資法人のスポンサーを務め、大阪重粒子線センターの管理運営受託など、新領域にも踏み込み事業幅を広げている。
主要子会社にはグリーンホスピタルサプライ、セントラルユニ、酒井医療、山田医療照明、小西医療器など医療機器や設備メーカー・ディーラーが並び、施設企画、調剤、給食、福祉サービスまで包括する構成となっている。病院・介護施設の建設プロデュースから医療材料供給、調剤薬局、介護施設運営まで一手に担う点が特徴で、今後も高齢化、市場ニーズ拡大に合わせた成長余地が大きい企業といえる。
シップヘルスケアホールディング 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 572,285 | 21,144 | 20,607 | 12,063 | 127.9 | 42 |
| 連24.3 | 630,988 | 24,535 | 25,215 | 13,789 | 146.2 | 50(記念配含) |
| 連25.3 | 678,229 | 24,779 | 26,023 | 15,128 | 160.3 | 58 |
| 連26.3予 | 700,000 | 26,000 | 26,500 | 15,500 | 166.9 | 60 |
| 連27.3予 | 740,000 | 27,000 | 27,500 | 16,000 | 172.3 | 60〜62 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023/3期 | 14,105 | -6,774 | -1,022 |
| 2024/3期 | 31,609 | -7,202 | -20,482 |
| 2025/3期 | 20,384 | -4,025 | -24,622 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 3.6% | 9.4% | 3.1% | – | – |
| 2024 | 3.8% | 9.8% | 3.5% | – | – |
| 2025 | 3.6% | 10.1% | 3.9% | PER高値平均18.6倍 / 安値平均13.6倍 | 1.64倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上は連24.3で6309億、連25.3で6782億、連26.3予で7000億と確実に積み上がっており、増収傾向が継続している。営業利益は245億、247億、260億と安定的に伸び、経常利益も252億、260億、265億と同様の上昇ラインにある。純利益も137億、151億、155億と増益が維持されているため、成長速度は急激ではないものの右肩上がりの収益拡大が数字で示されている。
営業利益率は2023年3.6%、2024年3.8%、2025年3.6%で3%台前半を維持しており、大幅改善や拡大こそないが低下もしておらず、卸・医療支援系ビジネスとしては安定推移といえる。ROEは9.4%→9.8%→10.1%、ROAは3.1%→3.5%→3.9%と、資本効率・総資産効率が毎年改善している点が好材料で、利益成長が表面上の売上拡大だけでなく効率面でも裏付けられている。
株価評価に関わる指標では、PERが高値平均18.6倍・安値平均13.6倍で割高と割安の中間に位置する水準、PBR1.64倍はROEとのバランスを見ると妥当、もしくはやや割安寄りにも見える。つまり、過度に安い株ではなく、成長を市場がある程度織り込んだ評価で取引されている状態と解釈できる。利益が伸び続ければ現在のバリュエーションは十分許容されるが、成長が鈍化するとPER縮小に伴う株価の調整余地も残るという位置でもある。
配当は50円→58円→60円予想で増配傾向にあり、利益の積み上げに応じて株主還元も伸びている点は長期投資にはプラス要素となる。高配当株ではないが、成長とともに還元が自然に増している形で、配当を重視する投資にも一定の相性がある。
総合的に判断すると、シップヘルスケアHDは売上・利益が綺麗に積み上がり、ROE・ROAが改善、安定利益率を保っている点から「堅実に成長し続けている企業」と評価できる。急伸を狙う銘柄というより、継続性と安定性を軸に持てる長期保有向けのタイプで、PER面でも極端な割高を感じさせない。買う場合は、利益成長の継続を前提にゆっくり保有する戦略と相性が良く、押し目や業績確認後のエントリーがリスクを抑えやすい。与えられた数値だけで見る限り、堅実で長期型の投資対象として評価できるという位置付けになる。
配当目的とかどうなの?
シップヘルスケアHDの予想配当利回りは連26.3と連27.3でいずれも2.31%と示されており、配当目当てで考える場合の評価は、決して高配当とは言えないが、安定配当銘柄としては十分候補に入る位置につけている。2%前後という水準は、銀行預金や債券と比べればリターンがあり、インフレ下でも一定の価値が保たれる利回り帯で、配当利回りが1%未満の銘柄と比較すると保有意義ははっきりしている。ただし3〜4%台の高配当株と比較すると、配当目的特化で選ぶにはやや物足りず、利回りの高さで勝負する銘柄というより「成長と配当の両立」で評価するタイプになる。
また、この企業は売上・利益が綺麗に積み上がっており、ROE・ROAも改善基調、配当も段階的に増えてきた流れがあるため、今後も利益成長に合わせて増配余地が十分に見込める点が魅力になる。現時点の2.31%は「安定的に受け取れる優良配当」という位置づけに近く、配当を軸に長期保有する場合、年間利回りを受け取りながら株価上昇も狙えるという投資設計が成立しやすい。そのため、配当で毎年大きく稼ぐよりも、5年・10年と継続保有し、利益成長→増配→株価評価の循環が回るタイミングを待つスタイルに向いた銘柄といえる。
まとめると、配当利回り単体で見ると「高配当株」と言えるほどの強さはないが、利益拡大と増配傾向が継続する限り、配当目的の投資として十分成立する水準になっている。2.31%という数字は派手さはないものの安定感があり、大きくは狙わず着実に配当を積み上げたい場合には相性が良い。一撃ではなく積み上げ型、短期ではなく長期。この銘柄の配当スタイルはそういう方向性と読むのが自然である。
今後の値動き予想!!(5年間)
シップヘルスケアHDの現在株価を2,588円とした場合、今後5年間の値動きを考えるうえでまず重要なのは、この企業が医療・福祉・介護という人口動態と連動する市場で収益を上げている点である。売上と利益はここ数年綺麗に積み上がり、ROE・ROAも改善している。また病院設備のプロデュース、医療材料供給、調剤、介護施設運営など複数の収益源を持つため、単一事業に依存しないバランス型の成長が期待できる。短期で大きく跳ねる株というより、中長期で価値が蓄積されていく銘柄という位置付けで捉えるのが自然になる。その前提で、株価は大きく3つの未来に分岐する。
まず良い展開に進むシナリオでは、病院の建替え需要や医療体制再編が継続し、TPP(病院プロデュース)・MSP(医療サプライ)・調剤・ライフケアの各事業が安定成長する。高齢化は止まらない以上、医療支援ビジネスは構造的に需要が存在するため追い風が吹きやすい。利益が増加しROEが10%以上で安定、営業利益率が4%前後へ改善していけば市場評価は自然と強含み、PERが15〜20倍で維持されるなら株価は5年で3,200〜3,900円あたりまで十分視野に入る。配当利回りは約2.3%と高配当ではないが、増配が継続すれば長期保有メリットが強化され、株価の土台は固くなる。急激ではなく階段を一段ずつ上るイメージで、利益積み上げと株価上昇が連動する形だ。
最も現実味があるのは中間シナリオで、売上と利益は伸びるものの勢いは強すぎず、営業利益率は3.5〜3.8%、ROEは9〜11%付近で安定する未来だ。この場合、株価は急上昇も急落もせず、適正PER帯に収まりながら2,800〜3,200円に向けて緩やかに推移しやすい。配当と微成長を合わせて資産をゆっくり育てていくイメージで、派手さよりも堅さが目立つ銘柄になる。短期利益より長期積み上げ型で、年輪のように収益と株主還元を増やしていく企業像に近い。
逆に悪い方向へ向かう場合、医療報酬制度の改定による収益圧迫、材料コスト増、人件費増などが利益を削る可能性がある。利益が横ばい〜微減で推移すると、ROEは10%を割り込み、PERは市場平均に収れんしていく。PERが10〜13倍に縮小すれば株価は1,900〜2,200円台まで下がっても不思議ではなく、増配ペースが鈍れば長期資金が抜ける可能性もある。市場としては伸び続けても、利益に転換できなければ株価に反映されないというケースであり、評価がじりじり剥がれる展開が想定される。
総括すると、現在株価2,588円は上にも下にも道がある分岐点であり、鍵を握るのは利益率とROEの維持または改善だ。シップヘルスケアHDの市場は縮小しない一方で、利益に変換できなければ株価は伸びない。成長と収益効率が並走すれば株価はついてくるし、停滞すれば評価は重くなる。それがシップヘルスケアHDの5年視点で捉えた本質的な姿である。
この記事の最終更新日:2025年12月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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