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ニッケ(3201)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ニッケとは

ニッケは、1896年に川西清兵衛が創業した毛織物メーカーであり、本社は大阪市中央区、登記上の本店は神戸市中央区に置かれている。明治期よりラシャやモスリンの生産で国内随一の規模を築き、長年にわたり毛織物のトップメーカーとして知られてきた存在である。特に制服向けの生地分野では圧倒的な実績を持ち、幼稚園から高校までの学校制服、鉄道会社や官公庁のユニフォーム、さらには高級ホテル用の白毛布など、多様な場面で使われてきた。ニッケの印南工場は建設後95年以上稼働し続ける歴史的な建物で、ドラマや映画のロケ地として登場することもあり、産業遺産としての価値すら備えている。

戦前には、日本海軍の名戦闘機「紫電改」を生んだ川西航空機を中心とする川西財閥の中核企業であり、ただの織物会社という枠を超えて日本の工業史にも名が刻まれる存在だった。その後、時代の変化に応じて事業構造を大胆に更新し、2008年には通称「ニッケ」を前面に出しつつ、正式社名は契約などフォーマルな場面に残すという二層の名称運用へと移行した。伝統を守りながら現代的なブランドへと舵を切る、そのバランス感覚が特徴的である。

1980年代以降は繊維一本柱から脱却し、収益源を分散させる形で不動産事業へと大きく軸足を移した。現在では商業施設賃貸・開発、スポーツクラブ運営、介護や保育、さらには売電事業まで多岐にわたり、生活インフラを支える複合企業としての姿が確立されつつある。つまりニッケは「羊毛の会社」から「生活と都市の機能まで担う企業」へと進化してきた。

ニッケの特徴は、伝統と変化の両立にある。毛織物分野で圧倒的なシェアを築いた歴史を持ちながら、その枠にとどまらず、不動産や福祉、エネルギーへと事業を拡げてきた。100年以上の長い企業史の中で、変化できたこと自体がニッケの生命力を示している。老舗でありながら古さに縛られず、時代に合わせて領域を広げてきた点はまさに企業体質の強さと柔軟性の証明といえる。

まとめると、ニッケは「羊毛紡織の老舗」であり「制服文化を支えてきた企業」であり、同時に「商業施設・介護・スポーツ・エネルギーまで手掛ける複合ライフ企業」でもある。歴史の長さよりも、その時間の中で変わり続け、生き残り、形を変えながら価値を積み上げてきたことに、この企業の本質がある。

ニッケ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) EPS(円) 1株配当(円)
連20.11 104,915 9,048 12,655 7,121 98.6 27
連21.11 106,619 9,900 9,784 8,308 115.1 28
連22.11 109,048 10,707 11,715 7,283 100.5 30
連23.11 113,497 11,016 11,634 7,643 108.6 33
連24.11 115,438 11,640 12,098 8,970 130.1 40
連25.11予 121,700 11,300 12,000 8,000 115.9 42〜45
連26.11予 125,000 12,000 13,000 9,000 130.4 42〜44

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2022 9,449 -6,878 -9,498
2023 8,995 990 -9,767
2024 10,158 -7,856 -4,213

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 9.7% 6.7% 4.6%
2024 10.0% 7.3% 4.9% 8.4〜11.9倍 0.94倍
2025予 9.2% 6.5% 4.4% 16.3倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

ニッケという企業を数字で見ると、派手さこそないものの、着実に利益を積み上げていくタイプだと分かる。売上は1134億 →1154億→1217億(予想)→1250億(予想)と、年々少しずつ増えている。営業利益も110億→116億→113億→120億と、大きく跳ねはしないが、しっかりと利益が取れている。純利益も76億から89億へ伸び、その後予想では80億→90億と推移しており、波はあっても大崩れしない。いわゆる「安定型」「成熟企業のリズム」を持っている。

バリュエーションを見るとさらに性格がはっきりする。PERは2024年で約8.4〜11.9倍と割安水準、PBRは0.9倍でほぼ純資産並み。これは市場がまだ過度な成長を織り込んでいない状態を示している。だが2025予想PERは16倍台に上がっており、予想に対して株価はすでにある程度期待を先取りし始めている可能性がある。つまり「地味に稼ぐ企業」だが、業績見通しが守られるならじわっと上に行く余地がある一方で、予想を下回ると評価が戻されることも十分あり得る。上にも下にもブレる余地はあるが、それでも基礎体力は崩れていないため、下値の怖さは比較的小さい。

この企業の一番の魅力は、成長というより安定と継続にある。利益率は約9〜10%、ROE7〜8%前後と非常に高いわけではないが、資本を腐らせずにしっかり回している。派手な跳ね方は期待しづらいが、会社として破綻しそうな危うさも見当たらない。ベンチャー型の爆発力とは対極にある落ち着いた企業で、長く持つほど「持っていて不安が少ない」銘柄に見える。

まとめると、ニッケは短期で大きく取る銘柄ではなく、コツコツ積み上げる長期向け。利益は緩く伸び、下落余地も比較的浅い。無理に期待価値で買うより、配当+緩い成長をじっくり享受するタイプで、投資の中核に置くよりも、ポートフォリオの安定剤として入れておくと効きやすい性格をしている。「派手さはないが裏切らない可能性が高い」そんな企業に見える。

配当目的とかどうなの?

ニッケを配当目的で見ると、派手な利回りはないが、安心して長く預けられるタイプの銘柄だと分かる。予想配当利回り(2025・2026年度)はおよそ2.67%。年金のような大きなキャッシュフローを生む水準ではなく、攻めの配当株とも言いにくいが、その代わり無理なく支払える健全なラインに収まっている。高配当株にありがちな「配当を維持するために企業体力を削る」という危うさは感じにくい。

過去の配当推移を見ると、27円→28円→30円→33円→40円と着実に積み上げてきた実績がある。大幅な増配ではないが、止まらずに伸ばしてきた履歴は重い。これが一度だけの高配当ではなく、企業の利益体質と配当方針が地続きであることを示している。予想も 42〜45円 → 42〜44円 と大きな変化はないが、この「横ばい〜微増」という姿勢こそ、長期投資家に向いた性格だと思う。右肩急上昇の利回りより、切られない配当のほうが長期では効いてくることが多い。

さらにニッケは繊維一本足ではなく、不動産や介護・スポーツ、売電など複数の収益源を持つ。製造景気が落ちても、商業施設収入が支えたり、逆に不動産が軟化しても本業が補う可能性がある。配当が景気に振り回されづらいポートフォリオ型の収益構造になっており、これは配当投資家にとってとても大きな安心材料だ。会社のビジネスが一つに依存しないことは、配当が続くかどうかを判断する上で最も重視すべきポイントのひとつ。

もちろん、利回りだけを追う投資家には少し物足りないだろう。毎年4〜5%ほしい人には向かない。しかし、手元資産をできるだけリスクなく置いておき、株価が大きく崩れず、さらに毎年しっかり現金を受け取れる銘柄を探すなら、この2.6%台の利回りは「ちょうどいい安全策の匂い」がする。高くも低くもないが、継続性がある。急成長株と高配当株の中間に位置し、攻めすぎず、守りに寄りすぎず、資産をゆっくり育てるスタイルに向く。

今後の値動き予想!!(5年間)

ニッケの現在の株価は1,753円。繊維事業を基盤としながら、不動産収益、介護・スポーツなど複数の事業を併せ持つことが収益安定の土台になっており、単一事業に依存しない点が特徴といえる。利益水準は大きく増減せず、年単位で見ると緩やかに推移する傾向が続いている。5年先の株価を考える際は、利益成長が今後も続くか、不動産市況が維持または改善するかが判断の軸になる。この2点が揃うかどうかで将来株価は明確に三つに分かれる。

良い場合は、不動産事業の賃料収入や稼働率が上向き、介護やスポーツといった生活サービス系事業が収益貢献を続けるケースである。売上と利益が毎年一段ずつ積み増され、市場が同社の安定性を評価し直すとPER水準が緩やかに切り上がり、株価は2,200〜2,800円程度の水準が見込まれる。急速な値動きではなく、利益の積み上げとともに段階的に株価が伸びる形となる。

中間シナリオは、業績に大きな成長はないものの現状維持が続き、売上・利益ともにプラス圏を維持する状態を想定する。PERやPBRの評価が大きく変わらない場合は株価も横ばい推移になりやすく、1,800〜2,200円の範囲で動きやすい。このケースは現在株価との乖離が小さく、現実的な可能性として最も重みがある。値動きは限定的だが、配当収益を得ながら安定保有しやすい環境になることが想定される。

悪い場合は、不動産市況が鈍化し賃料収入や稼働率が下向きとなるなど、収益基盤が弱まり利益率が低下するケースである。建設コストの上昇や介護部門の利益圧迫など複数要因が重なると市場評価が低下し、PERの縮小とともに株価は1,300〜1,600円台まで下振れする可能性がある。ただし事業が多角化されているため、単体事業に依存して急落するリスクは比較的低く、下落余地は限定的になりやすい。

まとめると、良い場合は2,200〜2,800円、中間の場合は1,800〜2,200円、悪い場合は1,300〜1,600円となる。現在株価1,753円は中間シナリオの下限に近い位置であり、ここからの株価方向は利益成長の維持と不動産関連収益の推移次第となる。急速な株価上昇を期待するタイプではなく、収益の底堅さを背景に価格変動が比較的穏やかになりやすい点が同社株の特徴といえる。

この記事の最終更新日:2025年12月9日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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