株ウォッチング

すべての株の情報を表示し管理人のアドバイスも一言


フージャースホールディングス(3284)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

,

株価

フージャースホールディングスとは

株式会社フージャースホールディングスは、東京都千代田区丸の内に本社を置く総合不動産グループの持株会社で東証プライム市場に上場している。2013年に持株会社体制となり、グループの経営方針策定や事業管理を担いながら、主力事業会社である株式会社フージャースコーポレーションを中心に不動産開発や運営サービスを展開している。もともと地方都市に特化した分譲マンション開発で実績を積み、今では独立系デベロッパーとして一定の存在感がある。累計供給戸数は2万6千戸を超え、中規模都市の再開発、分譲マンション、戸建て、さらにはシニア向け物件まで幅広い領域を手がけるようになっている。

持株会社の配下にはフージャースコーポレーションのほか、資産運用や収益不動産開発を行う株式会社フージャースアセットマネジメント、REITや私募ファンド運用を担うフージャースリートアドバイザーズなどが存在する。さらにマンションやビルの管理、ホテル運営、スポーツクラブ事業、PFI/PPPによる公共施設運営支援など、不動産に付随するサービス領域にも事業を広げており、物件を作って売るだけでなく、所有し運営し投資を受け入れるという収益モデルを構築している。これにより景気の波に左右されやすい開発事業だけに依存せず、賃貸収益や資産運用収入を持つことで経営の安定化を狙っている。

開発物件のブランドとしてはウィズ(W’z)、デュオ(DUO)、デュオヒルズ(DUO HILLS)などが知られ、都心だけでなく地方都市での知名度も比較的高い。タワーマンションシリーズのMAX TOWERは千葉や埼玉など郊外立地で供給されており、MAX MODEシリーズなども展開されている。地方での代表的な物件として北海道では函館MARKS THE TOWER、宮城県では石巻テラス、茨城県つくば市のミックスガーデンつくば、栃木県宇都宮PEAKSなどがあり、首都圏近郊ではファインシティ東松戸モール&レジデンスやザ・クイーンズガーデン稲毛、ザ・レジデンス松戸、フェスタタウン、グランディーナ、グランセレッソ横濱戸塚なども供給実績として挙げられる。単なる住宅供給ではなく街区全体の開発や複合商業を含むケースも増えており、地域再生や街づくりに関与することが多くなっている。

直近では売上規模は800億円台とされる一方で、利益水準や財務の健全性面では波があり、自己資本比率の低下や負債の増加が投資家から注視されている。中期経営計画では経常利益100億円を目標に掲げ、収益物件や運用型事業の強化によってストック収益を伸ばし、景気変動に負けない事業体へ移行する構えである。地方都市の再生、シニア向け・単身向けの住まいの供給、ホテル・管理・運用ビジネスの拡大を重ねながら、開発から運営・投資まで循環可能な不動産ビジネスエコシステムを描こうとしている企業である。

フージャースホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(EPS) 一株配当(DPS)
連23.3 79,286 8,425 7,280 4,557 128.8 52
連24.3 86,418 8,943 7,599 4,806 135.3 55
連25.3 92,153 9,227 8,604 5,462 153.7 62
連26.3予 132,500 12,900 10,000 6,500 158.9 74
連27.3予 140,000 13,700 10,700 6,950 169.9 74〜76

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 -7,532 -178 5,932
2024 186 -2,407 2,413
2025 -14,122 274 12,534

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROA ROE PER PBR
2023 10.6% 3.0% 13.0%
2024 10.3% 2.9% 12.3%
2025 10.0% 3.0% 12.9% 7.8倍(高値平均)
5.5倍(安値平均)
1.11倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

フージャースホールディングスを見ると、売上高は24.3期の864億から25.3期に921億、そして26.3期予想では1325億と、数字の並びだけでも企業の伸び方が一段階変わっていることがわかる。特に25.3→26.3予の伸びは400億以上の増加で、単なる横ばい成長ではなく規模拡大フェーズに入っている印象が強い。営業利益も同様に89億→92億→129億と増え、経常利益は75億→86億→100億、純利益も48億→54億→65億と順当に積み上がっているため、利益水準の伸びも成長と連動している。

ただし営業利益率を見ると10.6%→10.3%→10.0%とわずかに低下しており、売上の拡大に対して利益効率が完全には維持できていない。この小さな数字の傾きは軽視されがちだが、規模拡大と収益体質が同時に成立している会社かどうかを判断するうえでは重要なところで、今後の成長がそのまま利益成長につながるのか、それとも規模だけが膨張して収益性を削る形になっていくのかという未来の分岐点にもなりかねない。

一方でROEは13.0%→12.3%→12.9%と水準感は安定しており、ROAは3.0%→2.9%→3.0%と低めではあるがほぼ一定。資本効率は特段悪くなく、ROEの位置だけを切り取れば株主資本に対して利益を返せている企業といえる。ただROAの水準からみると資産を積みながら事業を回している印象があり、利益創出に必要な投資額もそれなりに大きい構造を感じさせる。ROEが崩れずに維持されているのは好材料だが、ROAが伸びていない点は資本効率を劇的に改善しているわけではなく、拡大局面とはいえ資産の活用効率に飛躍はまだ無いことが読み取れる。つまり結果として利益は増えているが、効率性の向上による収益成長というよりは、事業のボリューム拡大によって伸びている印象がある。

株価評価面を見ると2025年におけるPERは高値7.8倍、安値5.5倍の範囲で動いており、PBRは1.11倍と低め。業績の伸びとROEの水準を考えると、この評価は過度に高くなく、どちらかといえば割安寄りと考えられる。普通ならROE12〜13%クラスの企業はPER10倍前後になっても不思議ではないため、今の評価は業績に対しマーケットが強気に買い上がっていない状態、言い換えるなら改善が確認されれば見直し買いが入る余地があるとも言える。

ただし市場は利益率の低下傾向を見逃さず、それが株価に織り込まれる形でPERが上に伸びていない可能性もある。つまり投資家の視点で見ると、「業績は伸びているのに評価が高くない」という状況は魅力とリスクの両面を含む。期待が乗ればPERは上がりうるが、利益率がさらに下がれば現在の評価が維持される保証はなく、今の低位PERは市場が慎重に見ている証拠でもあるからだ。

結局のところこの銘柄は、売上と利益が素直に伸びている点と、ROEが水準以上で推移している点を考えると長期視点では評価される可能性が高い。一方で利益率とROAの動きは慎重に観察すべきで、拡大による成長と効率悪化の綱引きが今後の株価方向を左右しそうだ。PERが低くPBRも高くない現状は割安と見る余地があるため、成長が途切れず利益率が下げ止まる兆しが見え始めた時が、投資タイミングとしては最も美しい形になるかもしれない。数字だけを素材に判断するなら、中長期の買い余地がありつつも、利益効率を確認しながら慎重にポジションを積み上げるべき銘柄という評価に落ち着く。

配当目的とかどうなの?

予想配当利回りは連26.3で5.85%、連27.3でも同じく5.85%という水準になっており、これは東証プライム銘柄の中でも上位帯に入る利回りだ。一般的に3%で高配当と呼ばれ、4〜5%で投資対象として魅力が出始めることを考えれば、5.8%台という数字は明確に高配当領域にある。しかも一時的な配当ではなく、翌期予想でも同水準を維持している点から、少なくとも会社計画の前提では「継続的に配当を支払える」という意識を持っていると読み取れる。配当目的で銘柄を選ぶ投資家にとっては、この継続性の示唆は非常に大きい。

ただし収益と配当を並べて眺めると慎重に見るべき部分もある。EPSは135.3 → 153.7 → 158.9と伸びていて、一株配当も55円 → 62円 → 74円予想と順調に増配されている。つまり利益成長に合わせて株主還元も増やしている形だが、利益率が10.6% → 10.3% → 10.0%とわずかに下がっていることを忘れてはいけない。利益は伸びているが収益効率は下がっている。この状態で高配当を維持していくには、利益そのものが伸び続けるか、効率が改善に向かわなければやがて配当余力が圧迫される可能性もある。現時点の数字だけを見る限りでは大丈夫そうだが、配当狙いの投資は「来年も出るか」ではなく「5年後も出せるか」を見るものなので、長期ホルダーであれば利益率の推移を無視して良いわけではない。

一方、PERが5.5〜7.8倍と低く、PBRも1.11倍という評価位置にあるため、利回りと指標を組み合わせると割安高配当株としての魅力は素直に評価できる。配当利回り5.8%前後で、株価が極端に割高でもなく、ROEも12〜13%台で悪くない。この三点がそろっている銘柄はそこまで多くない。高配当銘柄の中には成長が止まって利回りだけが高く見える「配当だけが取り柄」という銘柄も多いが、この数字を見る限りフージャースは売上・利益が伸びている成長中の企業で、そのうえ高利回りを示している点は魅力的だといえる。株価が大きく上がらずに利回りが維持されるなら、配当再投資型の長期運用にも向き得る。

まとめると、配当だけで評価しても悪くない水準で、利回りは十分高い。ただし利益率が下がりつつある点を無視せず、配当原資となる利益が今後も伸び続けるかどうかを見る必要がある。もし後続の期で利益率が盛り返す、もしくは維持できるなら、配当目的の長期保有は有力候補になり得る。一方で利益の伸びが鈍り、利回り維持のために配当性向が上がり過ぎるようだと持続性に赤信号が灯る可能性がある。現時点では「買える。だが盲信せず決算を追う」というバランスがちょうどいい距離感かもしれない。

今後の値動き予想!!(5年間)

フージャースHDの現在株価は1,264円。ここから5年という期間を置いて未来を眺めると、株価がどの方向に進むかは業績と利益率、そして市場がどれだけ同社に評価を与えるかで大きく変わってくる。数字で見た限り売上は伸びており、純利益も増加している。ROEはおおむね10%台後半前後を維持、ROAは3%台で大きな伸びはないものの悪い水準ではない。そしてPERは5.5〜7.8倍と低く、市場の期待バリューがまだ乗り切っていない状態。だから未来を考えると、成長が評価されるか、現状のままか、評価されないまま沈むかで3つの道が浮かぶ。

まず良いシナリオでは、売上拡大と純利益の成長がそのまま継続し、営業利益率の低下が止まり、ROEが13%台を安定してキープするケース。もし市場がそれをポジティブに評価すればPERが現在の6〜8倍から9〜12倍へと水準訂正される可能性がある。その場合EPSが伸びている限り、5年後の株価が1,800円、あるいは2,400円程度に届くことも十分に現実的だと言える。開発案件の利益回収が順調に進み、不動産リスクが大きく荒れなければ、この道筋はそこまで突飛な話ではない。配当利回りが5%台で維持されたまま株価が伸びるなら、配当再投資を含めた長期リターンは大きく、長期積立にも耐える銘柄になる。

中庸のシナリオでは、売上は伸びるが利益率が横ばい、ROEは12〜13%の範囲で安定し、PERは現水準に近い6〜9倍の間で評価され続ける。これは企業としては堅調に成長しているものの、際立った収益改善や新ビジネスの爆発が無い場合に起きる姿だ。この場合、株価は緩やかに上昇し、5年後には1,400〜1,700円前後に落ち着いている未来が見える。今の配当利回りが5%台近い水準なので、値上がりがそれほどなくても配当だけで資産が積み上がる。つまり、値動きは派手ではないが配当狙いのホルダーにとっては悪くない着地だと言える。派手さより着実さを選ぶ長期投資家にはちょうど良い未来だ。

逆に悪いシナリオでは、営業利益率の低下が止まらず、ROEも10%を割り込んでくるような場面だ。利益が伸びず、市場が同社の資本効率に不安を感じればPERは今と同等か、むしろ5〜6倍程度に沈む可能性すらある。その場合、株価は評価されず900〜1,200円のレンジに沈むことも考えられる。配当が維持できるなら損ではないものの、利益成長が止まれば配当の持続性にも陰りが出る。配当利回りが魅力な銘柄ほど、業績低下と減配のセットは市場が敏感に嫌うため、ここは注意を払うべき側面となる。高利回り銘柄の弱点は「リターンの源泉が利益から来ている限り、利益が止まると利回りは幻になる」という点だ。

株価がどう動くかは未来次第だが、今ここで言えるのは、フージャースHDは数字上「伸びている企業なのに評価は控えめ」という状態にあるため、良い方向に転べば見直し買いの余地が残されているということ。そしてその未来は利益率とROEが握っている。利益率が底を打ち、ROEが13%台で長く安定するようなら株価は動き出す余地があるし、逆に利益効率がじわじわ落ちるなら評価は横ばい〜縮小の方向へ流れるかもしれない。配当利回り5%台は強力な魅力だが、それは「利回りを維持できるほど稼ぎ続けられる企業」であることが前提条件。だから投資の視点としては、買わない理由より「見守る価値」の方が今は大きいが、油断なく決算を追うことが必要になる銘柄だと言える。

この記事の最終更新日:2025年12月9日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP