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ヨシックスホールディングス(3221)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ヨシックスホールディングスとは

ヨシックスホールディングスは、愛知県名古屋市東区に本社を置く飲食チェーン運営と建装事業を手がける企業グループである。創業は1985年に始まり、当初は「テンガロンキッド」という名称でスタート。後に「ベストフード」を経て1990年に「ヨシックス」へ商号を変更。飲食業を軸としながら成長を続け、2021年1月1日に持株会社体制へ移行し、現在はヨシックスホールディングスとしてグループ全体を統括している。飲食事業は子会社のヨシックスフーズが担当し、店舗設計および建築・施工を行う建装部門はヨシオカ建装が担当する。この社内での建築体制により、店舗の新規出店や改装、業態転換などを自社内で一貫して管理できる構造を持つ。

ヨシックスが展開する主な業態は五つ:「や台ずし」「ニパチ」「これや」「や台や」「せんと」。それぞれが異なる価格帯・料理ジャンル・客層を対象としており、居酒屋から寿司居酒屋、低価格焼鳥・居酒屋、串カツ・鉄板焼き、お好み焼きなど多様なニーズに対応可能。たとえば「ニパチ」は全品280円という低価格帯を武器とした居酒屋で、費用を抑えたい利用者をターゲットにする。一方で「や台ずし」は寿司と居酒屋の融合業態であり、より幅広い年齢層や客層に対応する戦略となっている。こうした多業態展開は、景気や食のトレンドに左右されやすい飲食業のリスク分散にもなっている。

また、ヨシックスの出店戦略はユニークである。「田舎戦略」と「老舗理論」の2本柱を掲げており、どちらも効率と地域密着を重視する。田舎戦略とは、都心の一等地を避け、一定の客数が見込めて従業員の確保が可能な地方や郊外、地方都市を重点的に狙う方針だ。これにより高い賃料や人件費がネックになる都心出店のリスクを抑えつつ、安定した収益を見込める地域で店舗を展開する。一方の老舗理論は、チェーンならではのマニュアル・教育制度を導入しつつも、地域に根差した中小規模の店舗を重視し、地産地消や地域のローカル需要を捉えることを目的とする。これによって、チェーン店の効率化と地元密着型店の良さを両立させる戦略を取ってきた。

このような戦略と多業態展開、建装の内製化という体制を背景に、ヨシックスは安定と効率と柔軟性を兼ね備えた企業構造を持つ。飲食業のように競争の激しい業界でありながら、コスト抑制・迅速な店舗展開・価格帯の多様化・地域分散という手段を複数持つことで、経済環境の変化や消費者の好みの移り変わりに対して比較的耐性を持つ。

さらに、こうした多様な業態・地域展開・建装の自社管理という企業体質は、予期せぬ外部ショック(例えば不動産賃料の上昇、人手不足、食材コスト高騰など)に対してもリスクを分散させる。一つの業態や一つの地域に依存しないことで、どこかが打撃を受けても他でカバーする余地を残す構造になっている。

総括すると、ヨシックスは「飲食チェーン運営」と「建装施工管理」という二つの軸を持ち、多業態かつ多地域展開でリスク分散を行う企業である。低価格帯から寿司居酒屋、串カツ・鉄板焼き、焼鳥、居酒屋など複数のブランドを使い分け、地域密着と効率化を両立する出店戦略を持つ。安定性・柔軟性・リスク分散性を兼ね備えた構造は、飲食業界の中では比較的堅実な経営スタイルといえ、将来の環境変化にも対応しやすい企業と評価できる。

ヨシックスホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益 経常利益 純利益 EPS(円) 配当(円)
連23.3 17,089 706 1,834 961 94.1 24
連24.3 21,117 2,322 2,538 1,809 175.1 26(記)
連25.3 22,905 2,328 2,558 1,758 172.2 28
連26.3予 24,100 2,250 2,500 1,700 165.8 28〜30
連27.3予 26,400 2,550 2,810 1,900 185.3 28〜30

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 1,613 -509 -699
2024 3,785 -1,340 -872
2025 874 -1,733 -296

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 4.1% 10.9% 7.9%
2024 10.9% 18.2% 12.4%
2025 10.1% 15.3% 11.7% 15.5〜22.8倍 2.37倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

ヨシックスHDの業績を3年並べてみると、まず売上は211億→229億→241億と安定して増えている。店舗網の拡張または客数・単価の積み上げが続いていると考えられ、規模拡大が止まっていない点は素直に強みといえる。一方で利益面を見ると、営業利益は23億→23億→22億で横ばい、純利益は18億→17億→17億でわずかに後退している。売上成長に対し利益が比例して増えていないことから、コスト面(人件費、仕入原価、出店投資)などの圧力を受けている可能性がある。EPSも175円→172円→165円と右肩下がりで、利益成長が株主利益まで届いていない様子が数値に表れている。

配当は26円→28円→28〜30円とわずかながら増加傾向で、利益横ばいの中でも株主還元意識が感じられる。ただし増配幅は大きくなく、利益水準が伸びていない以上、将来の配当成長力は利益動向に依存する。つまり、配当で保有価値を高めるには業績の底上げが前提となる。

結局、この3年のデータだけで判断すると、ヨシックスHDは「売上は伸びているが利益は伸びず維持に留まっている企業」と整理できる。業績の形は減速ではなく停滞に近く、悪化とも改善とも言い切れない中間領域にいる。急成長を期待するなら材料不足だが、利益が大きく崩れていないため下値は比較的堅い可能性がある。つまり、攻めの銘柄ではなく守りの側に属する。

まとめると、現状は成長というより安定型の投資対象。売上の積み上げが続く一方で利益が横ばいのため、株価が大きく跳ねるにはコスト改善や既存店の利益率回復など、次の一段が必要になる。積極的な値上がり益よりも、ゆるやかな配当と緩やかな株価推移を前提に保有するタイプの銘柄といえる。もし投資するなら、「成長ではなく安定を求める時」に向いた選択肢と評価できる。

配当目的とかどうなの?

ヨシックスHDの予想配当利回りは、26.3期と27.3期どちらも0.97%でほぼ固定となっている。利回り1%を切らない最低ラインは保っているが、高配当株と呼べる水準ではなく、配当収益を主目的とする投資としては魅力は強くない。数字の流れを見る限り、同社の株主還元は「大きく増やす」というより「現状維持を基調に、やや上積みを狙う」といった姿勢が透けて見える。

EPSは175円→172円→165円と減少傾向であるにもかかわらず、配当は26円→28円→28〜30円と維持または微増を続けているため、利益伸長が伴わない中でも還元意欲はある。ただし、EPSが下がる中で配当維持を続けるということは、将来的に余裕があるかどうかは利益次第となり、増配余地に強さを感じるとは言い難い。

配当利回りが約1%という数字は、「利回り目的で積極的に資金を投じる銘柄ではない」という評価につながる。長期で持って毎年の配当で資金が増えていくタイプの株ではなく、どちらかと言えば業績の横ばい安定と緩やかな株価推移を期待して保有するスタイルのほうが合う。インカム投資(配当を貰っていく戦略)で見るなら、より高利回りの銘柄に目を向けたほうが合理的で、ヨシックスHDはあくまでサブの位置付けになる。

まとめると、ヨシックスの配当は「安定はしているが、高くはない」。利回りは約1%で、配当を主目的に買う銘柄ではなく、あくまで業績横ばいの安定感とほどよい還元を受け取りながら保有するタイプといえる。配当で稼ぐ株ではなく、守備寄りの銘柄に分類するのが妥当だ。

今後の値動き予想!!(5年間)

ヨシックスHDの株価は現在2,886円。売上は右肩上がりで伸びているものの、利益は2025年に向けて横ばい〜やや縮む傾向が見られ、成長よりも「安定運転型」の業績構造が目立つ。営業利益率は改善してきているため効率化は進んでいるが、EPSが低下していることから、利益の伸びが株主還元の伸びに直結していない点は今後の評価分岐ポイントになる。飲食市場は人件費と原材料価格の影響を強く受けるため、同社の強みである低価格業態や自社建装によるコスト最適化を活かせるかが中長期の焦点になる。

良い場合は、原価・人件費の負担が改善し既存店の利益率が上昇、営業利益も右肩方向に推移しEPSが回復軌道に乗る展開。この場合の株価想定レンジは3,600〜4,300円。営業利益率が現状水準を維持しながら毎年数%でも積み上がるなら、市場評価の見直しが入り徐々に株価が切り上がる可能性がある。短期急騰ではなく3〜5年で段階上昇するイメージ。

中間シナリオでは、売上は増えるが利益は横ばいで推移しEPSも大きく伸びないケース。配当もほぼ据え置きで、市場評価は現状維持。株価は2,900〜3,400円で落ち着きやすく、現在株価2,886円はほぼこの範囲と重なる。強い材料が出なければ、今後は狭いレンジ内の推移が中心になりやすい。

悪い場合は、原材料や人件費上昇が利益率に重く乗り、EPSがさらに低下する展開。市場評価が弱まりPERが切り下がると、株価は2,200〜2,700円まで調整する可能性がある。ただし多業態展開による分散効果があるため急落より緩やかな下げが濃厚。

現在株価は中間想定レンジの下端付近にあり、今後の方向性は「利益を回復できるか」で大きく分かれる。売上は伸びているため急落リスクは大きくないが、上昇には営業利益率とEPSの改善が必要。原価や人件費を吸収できるなら上方向、伸びなければ横ばい〜やや下方向へ動きやすい。今はどちらにも振れ得る分岐点にある。

この記事の最終更新日:2025年12月9日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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