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アズーム(3496)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

アズームとは

株式会社アズームは、2009年に設立された不動産テック企業で、本社を東京都渋谷区代々木の新宿マインズタワーに構えている。月極駐車場のサブリース事業と紹介サービスを主力としており、駐車場という一見ニッチだが全国に膨大な潜在需要がある市場に対して、ITを使った効率化と収益最大化の仕組みを提供してきた。特に機械式駐車場は、オーナー側が管理に苦労し空き区画も発生しやすい領域で、アズームのサブリースは安定収益と稼働率の改善を両立するサービスとして高い評価を受けている。

月極駐車場検索ポータル「CarParking」は同社を代表するサービスで、利用者が空いている駐車場を簡単に探せるだけでなく、オーナー側も空き区画を効率よく埋められる仕組みになっている。さらに「CarParking One」や、駐車場の稼働状況を可視化する「Tomemiru」、自治体や空港でも導入されているレンタルスペース管理システム「スマート空間予約」など、不動産の利用効率を高めるためのITサービスを次々と展開している。これらは不動産業界の古い慣習や情報の不透明さを改善する役割を担っており、アズームは「遊休資産の有効活用」を会社の中核テーマとして、社会全体の資産効率を上げることに貢献している。

また、広告用壁面をマッチングする「AdWall」や、地域の生活圏に根ざした情報サービス「coconi」など、駐車場に限らず不動産周りの細かなニーズを拾い上げ、新しい事業へ発展させるスタンスも特徴的だ。子会社にはCGworks、鉄壁、ダイバース、AZOOM VIETNAMなどがあり、IT開発力の強化や事業領域の拡大に向けた体制も整えている。技術力と現場理解の両方を持つ組織構造が、アズームの事業の幅広さを支えている。

企業としての成長スピードも大きく、2018年に東証マザーズへ上場した後、事業規模の拡大と収益基盤の強化を進め、2025年6月には東証プライム市場に指定替えを果たしている。これは小規模な駐車場事業者というイメージとは裏腹に、収益性・成長性・ガバナンス面で市場から高い評価を受けている証でもある。駐車場という市場は世帯数の増加や都市部の土地需要とも密接に関わっており、今後もITとの組み合わせによって新たな価値が生まれる可能性が大きい。

総じてアズームは、「駐車場×IT」という非常に具体的でわかりやすい領域に深く入り込みながら、不動産テック企業としての柔軟性と拡張性を持ち合わせた企業であり、遊休不動産の活用という社会課題に対して実際に成果を出している点が強みになっている。

アズーム 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(単位百万) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株配当
連22.9* 6,417 878 872 597 101.9 15
連23.9 8,273 1,282 1,279 878 149.2 20
連24.9 10,541 1,828 1,827 1,288 218.2 25
連25.9予 13,400 2,500 2,490 1,770 290.9 212(記念)
連26.9*予 16,700 3,200 3,200 2,270 373.0 212〜240

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 621 -200 -99
2024 1,337 -253 -106
2025 1,948 -459 1,178

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 15.4% 34.3% 22.0%
2024 17.3% 34.5% 23.1%
2025 19.3% 26.8% 20.5% 46.4倍(高値平均) / 21.7倍(安値平均) 8.62倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

アズームの数字だけを見て判断すると、この企業はかなり力強い成長段階にあることがはっきり分かる。売上と利益が毎年しっかり積み上がっていて、営業利益は3年間で12億から32億へと着実に拡大している。営業利益率も15%台から19%台まで改善しており、単に売上が伸びているだけではなく、収益構造そのものが強くなっていることを示している。一般的に営業利益率が15%を超える企業は競争優位性が高いと評価されるが、アズームはそれをさらに上回る水準へ向かっているため、ビジネスモデルの安定性や価格決定力が強まっている可能性が高い。

ROEとROAも国内企業平均を大きく上回っており、資本効率や資産効率が極めて高いことが分かる。ROEは30%を超える水準が続いている点から、株主資本を利益に変換する能力が非常に優れている。ただし2025年だけROEがやや低下しているが、これは利益の伸びよりも自己資本の増加の方が大きかったことが原因という可能性が高く、成長過程の資本増強であれば必ずしも悪い兆候ではない。むしろ長期的に見ると財務体質が強まる方向と考えることもできる。

一方で気をつけるべき数字もある。2025年時点のPERが高値平均で46倍、安値平均でも21倍というのは、成長期待が高く評価された時期と、やや落ち着いた時期の差が大きいことを示している。市場はアズームの成長を強く評価することもあるが、逆に成長期待が剥落すると一気に割高感が意識されやすい。そのうえPBRも8倍台と高く、利益が順調に伸び続ける限りは問題はないが、成長が少しでも鈍るとバリュエーション調整が入りやすいリスクも常にある。

さらに配当については、2025年に記念配当が大きく入っているが、これは継続する保証があるタイプのものではなく、一時的な増配である可能性が高い。配当目的で投資する銘柄というより、あくまで利益成長を評価して保有する成長株として見る方が自然だと言える。

総合すると、アズームの数字は極めて優秀で、利益成長力・収益性・効率性のいずれを見ても成長株としての魅力が大きい。一方で、PERやPBRの高さを見ると、市場からの期待も大きく織り込まれているため、買うのであれば評価が過熱している時期ではなく、株価が落ち着いた局面や割安圏に入ったタイミングが望ましい。短期の値動きを狙うよりも、成長が続く前提で中長期的に保有する方が向いているタイプの銘柄と言える。

配当目的とかどうなの?

アズームを配当目的で考える場合、数字だけを見ると「完全に配当狙いの銘柄ではないが、成長性のわりには配当がしっかり出る」という少し珍しいタイプの企業だという印象になる。予想配当利回りは26.9期で2.63%、27.9期で2.92%と、一般的な日本株の平均である2%前後よりは明らかに高く、配当を軽視している企業ではないことがわかる。ただ、純粋に“配当利回りの高さだけ”を求める投資家が期待する3.5〜4%以上の水準には届いていないため、「配当だけを理由に買う銘柄」ではない。

とはいえアズームは成長株でありながら利回りが2%後半もある点はむしろポジティブで、ここ数年の利益の伸び方を見ると、配当を増やしていく余力は今後ますます高まっていくはずだ。営業利益、純利益ともに毎年大きく伸びていて、EPSも150円台から370円台へと急拡大している。こうした企業は、利益が増えれば自然と配当を増やしやすい構造になっている。

ただし注意すべき点もある。過去に記念配当が大きく入った年があり、これが一時的な膨らみを作っているため、アズームが「毎年安定的に同じ水準の配当を出す企業なのか」というと、それは判断できない。継続的な高配当を約束している企業ではなく、あくまで成長とともに配当が増えていく可能性を持つ企業という位置づけが適切だ。

総合すると、アズームは「高利回り株として買うタイプの銘柄」ではないが、「成長株に投資しつつ、そこそこ配当も欲しい」という人にはちょうどよい選択肢になる。強い利益成長が続く限り、今後の配当は増える方向に向かいやすく、長期保有で自分が受け取る利回り(YOC)が上がっていく可能性も高い。ただし、バリュエーションがもともと高い銘柄なので、株価が過熱しているタイミングで飛びつくよりは、調整した局面で買う方がリスクは低くなる。要するにアズームは「配当目的一本の銘柄ではないが、成長+配当という二つの魅力を同時に持ち合わせた、長期保有向けの成長株」というのが数字から読み取れる結論になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

アズームの現在の株価は4,790円だが、この5年間でどこへ向かうかは、売上と利益の伸びが今のペースで続くかどうかが最大のポイントになる。営業利益は3年前の12億から現在は30億以上に伸びており、営業利益率も15%台から19%台へと改善している。EPSも150円台から370円まで跳ね上がっているため、もしこの成長テンポが続くなら、市場がもう一段この企業を評価し始める可能性がある。

良いシナリオでは、アズームの利益成長がこのまま綺麗に積み上がり、営業利益率が20%台を保ち、ROEも高いまま維持されるケースだ。月極駐車場のサブリース事業が全国で安定成長し、サービス領域の広がりもあれば、投資家はアズームを「安定して強い成長株」として扱い始める。その場合、PERが強気相場で見られたような40~45倍の水準まで買われる場面もあり、EPSの増加と合わせると株価が一気に跳ねる可能性がある。流れが噛み合うと、5年後には1万円超え、さらに1万2000円あたりまで届くシナリオも現実的だ。とくに機関投資家が注目し始めると、需給の影響で株価が想像以上に強く動くこともある。

中間のシナリオは、
最も現実的と感じる人が多いかもしれない。売上と利益は伸び続けるが、今ほど急角度ではなく、営業利益率の改善ペースが落ち着き、投資家の評価も行き過ぎず冷静な状態が続くパターンだ。この場合、PERは20~28倍程度の範囲で安定しやすく、急騰ではないものの緩やかな右肩上がりになる。5年後には株価が6,000~8,000円あたりに収まり、派手さはないが堅実な成長株として評価される。配当利回りも今後さらに伸びやすいため、長期ホルダーにとっては安定感のあるシナリオといえる。

逆に悪いシナリオでは、利益成長が鈍ったり、営業利益率が低下したり、競争環境が厳しくなるケースだ。アズームは高い評価を受けている企業だけに、成長期待が薄れるとPERが大幅に縮む可能性があり、PBRが8倍台という高さも市場の不安材料になりやすい。もし成長ペースが落ち着き、EPSの伸びも鈍化してくると、市場は「期待しすぎていた」と考え始め、PERが15~18倍程度に落ち着く展開もあり得る。その場合、現在から下方向への圧力がかかり、株価が3,000~3,500円付近まで下落するシナリオも想定される。成長株は期待で買われやすく、期待が剥がれたときの反動も大きいため、このリスクは常に意識しておく必要がある。

総合すると、アズームは成長企業であり、株価の未来は業績の勢いが続くかどうかに大きく左右される。利益の積み上がりが止まらない限り、株価の上方向の可能性は大きいが、一方で成長株特有の評価調整リスクも抱えている。したがって、アズームへの投資は「良い時に大きく伸びるが、悪い時にはしっかり下がる」という典型的な成長株パターンに近く、自分がどのシナリオを想定してリスクを取るかが重要になる。5年間という期間で見れば、成長が続けば報われる可能性は高いが、どこかで成長が鈍れば株価は素直に反応するだろう。

この記事の最終更新日:2025年12月11日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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