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バロックジャパンリミテッド(3548)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

バロックジャパンリミテッドとは

株式会社バロックジャパンリミテッド(BAROQUE JAPAN LIMITED)は、東京都目黒区に本社を置くアパレル企業で、若年女性向けのファッションブランドを中心に展開している。企業の基盤となっているのは製造から販売までを自社で一貫して行うSPAモデルであり、トレンドの企画力と店舗での高い接客力が強みとなっている。特に主力ブランド「MOUSSY」は、2000年に渋谷109へ出店した際、美しいシルエットにこだわったデニムが大きな話題となり、わずか4年間で100億円規模のブランドへ急成長した。その後もストリート系からモード、カジュアルまで幅広くカバーするブランドを増やし、現在は17ブランドを抱える総合アパレルグループへと発展した。

同社は国内340店舗(2025年2月末時点)を展開しており、直営だけでなくフランチャイズや代行店舗も組み合わせることで柔軟な店舗網を築いている。また海外にもアメリカ・韓国・台湾で合計6店舗を構え、グローバル展開も着実に進めている。海外戦略は大型投資による拡大ではなく、現地企業との連携やFCモデルを活かしたリスクの低い成長を志向している。

展開ブランドには「MOUSSY」「SLY」「rienda」「AZUL BY MOUSSY」など、若い女性を中心に幅広い層に支持されるファッションブランドが並び、デザイン性の高さと世界観を重視したショップ作りが特徴となっている。ECにも早くから注力し、自社通販「SHEL’TTER WEBSTORE」を軸に、オンラインと店舗を連動させた販売体制を構築している。

2016年には東京証券取引所第一部に上場し、上場企業としてのガバナンス強化と海外展開の拡大を進めながら、ブランド価値の向上と収益基盤の安定化を図っている。顧客に「自分たちが本当に欲しいものを届ける」という創業時からの姿勢を維持し、ファッション市場の変化に合わせてブランド戦略・国内外の店舗戦略を進化させ続けている。

バロックジャパンリミテッド 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(単位百万) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 配当
連23.2 58,842 2,150 1,211 243 6.8 38
連24.2 60,290 1,954 2,022 945 26.2 38
連25.2 58,180 812 -1,683 -2,575 -71.6 38
連26.2予 56,600 1,300 1,200 970 27.0 38
連27.2予 58,500 1,700 1,600 800 22.2 38

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 2,041 -1,273 -1,381
2024 1,562 -2,870 -1,428
2025 2,201 -1,798 -1,436

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 3.6% 1.2% 0.6%
2024 3.2% 4.8% 2.5%
2025 1.3% -16.5% -7.6% 81.7倍(高値) / 67.1倍(安値) 1.95倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

バロックジャパンリミテッドがいま直面している課題がとてもはっきりと見えてくる。まず売上の推移を見るだけでも、ビジネスの勢いが弱まっていることは明白で、602億→581億→566億と3年連続で縮小している。アパレル企業にとって売上の縮小は商品力やブランド力の低下、あるいは顧客の嗜好にうまく対応できていないことを示しやすく、市場環境の厳しさや競合の強さが数字に表れていると考えられる。

利益面をさらに見ると、その不安定さは顕著で、営業利益は19億→8億→13億と大きく揺れており、安定収益体質からは遠い。特に連25.2で経常利益がマイナス16億、純利益がマイナス25億と赤字転落している点は重く、翌年の予想で黒字に戻るとはいえ、過去2年間の不安定さを見ると再現性ある黒字化とはまだ断言できない。利益率を見るとさらに状況が厳しく、営業利益率は3.6%→3.2%→1.3%まで低下しており、アパレルの固定費構造を考えるとこの数字は相当苦しい。利益率1%台というのは、ほんの少しの売上変動でも黒字と赤字を行き来するレベルで、収益性の弱さが露骨に表れている。

ROEやROAといった効率性の指標を見ても同じ傾向が出ており、ROEは1.2%→4.8%→マイナス16.5%、ROAも0.6%→2.5%→マイナス7.6%と悪化している。最終年が大きなマイナスになっているということは、利益創出力が落ちているだけでなく、資本や資産の使い方そのものがうまく機能していない可能性を示している。企業としての根本的な効率が低下している状態で、この点は中長期投資を考えるうえでは重要な警戒ポイントになる。

しかし一方で、株価評価を見ると不思議な現象が起きている。PERが67〜81倍という極めて高い水準になっており、数字だけを見る限り、この業績と収益性に対して市場が付けている評価はやや過剰とも言える。通常、売上が縮小し利益率が低下し赤字が出ている企業には、ここまで高いバリュエーションはつかないことが多い。PBRも1.9倍で特別安い水準でもなく、現状の財務数字と比較すると割高感が目立つ。

総合すると、バロックジャパンリミテッドは、数字だけを冷静に見た場合、成長性の低下、収益性の悪化、効率性の低下という三つの問題を同時に抱えており、しかも株価が割安なわけではないという、やや難しい状況にあると判断できる。黒字予想に戻っている点は前向きだが、過去のブレの大きさや利益率の低さを考えると、回復の確度が高いとはまだ言いにくい。

もし投資するのであれば、業績が実際に安定軌道へ戻り始める、営業利益率が改善する、売上が下げ止まるといった「数字の変化」を確認してから入る方が安全性は高い。現時点では、期待先行で値付けされている側面もあるため、慎重な姿勢が求められる銘柄と言えるだろう。

配当目的とかどうなの?

バロックジャパンリミテッドを配当目的で見る場合、数字だけから判断すると、結論は「利回りは高いが、安定性には強い注意が必要」という評価になる。まず予想配当利回りが5.00%というのはかなり高く、一般的な日本株の平均利回り(約2%)と比べても魅力的に見える水準だ。しかし、配当の魅力は「金額の多さ」だけではなく、「その配当がどれだけ安定して続くか」が重要になる。ここで業績の数字を見ると、継続性に不安が残る。

バロックは直近3年間で売上が減少し続けており、602億→581億→566億と縮小傾向が止まっていない。営業利益率は3.6%→3.2%→1.3%に低下し、利益を生み出す力が目に見えて弱まっている。さらに連25.2では純利益が-25億と大きく赤字を出している。連26.2予では黒字に戻る見通しだが、9億程度と小さく、配当負担と比べても余裕が大きいとは言いづらい。

配当利回り5%というのは投資家にとって魅力だが、その裏側には「利益が大きく落ちているのに配当水準を維持している」という構造があり、数字だけを見れば配当が利益ではなく財務から捻出されている可能性も否定できない。つまり、事業の実力から自然と生まれている配当ではなく、企業が意図的に無理して維持している可能性がある。

またROE、ROAがマイナスに落ち込んでいる点も、企業の体力が弱っていることを示しており、長期で安定配当が続くと期待するには数字の裏付けが弱い。実際、収益のブレが大きい企業では、将来の減配リスクが常に付きまとう。

総合すると、利回りだけ見れば非常に魅力的だが、「高配当=安全」ではなく、むしろ不安定な業績と高利回りがセットになっているケースでは注意が必要」という典型例に近い。配当目的で選ぶなら、安定した利益を継続して生み、利益率が高く、配当性向に余裕のある企業の方が安心感が強い。

今後の値動き予想!!(5年間)

バロックジャパンリミテッドの現在株価759円から今後5年間を見据えると、まず鍵になるのは「業績が再び安定軌道に戻るかどうか」であり、この一点が株価評価の中心になる。売上が縮小傾向にあり、利益も年によって大きく変動しているため、今後の数字がどのように積み上がるかで市場の判断は大きく変わる。特に営業利益率の改善とROEが黒字圏へ戻るかどうかは、投資家心理を左右する重要指標となる。アパレル市場は競争が激しく、ブランド力の回復やコストコントロールの成功が数字に反映されるかどうかが5年視点での最大の分岐点となる。

良いシナリオでは、ブランド戦略の見直しや店舗効率化が成果につながり、売上の下げ止まりと利益率回復が実現するケースを想定する。営業利益率が再び3%台に戻り、ROEがプラス圏で安定するような状態になれば、市場は「回復が本物」と判断し、PERも見直されやすい。PERが20倍前後まで切り上がれば、株価は900〜1,100円あたりへ上昇し、業績改善が継続していくなら1,200円台に触れる可能性も出てくる。配当利回りの高さが投資妙味を高め、回復基調の中では株価の伸びが比較的素直に出る展開となる。

中間シナリオでは、売上が横ばいに近い状態で推移し、営業利益率も1〜2%台で小幅に上下するような展開が考えられる。赤字にはならずとも、大きな成長もない状態だと、PERは現在のように高水準にはならず、むしろ20〜30倍程度へと落ち着いていく。株価は650〜850円程度のレンジで推移し、配当利回りの高さが下値を支えるため大きく崩れはしないが、大きく跳ねる材料にも乏しい。長期でじわじわ保有しながら利回りを享受する「安定型のシナリオ」と言える。

悪いシナリオでは、売上の縮小傾向が続き、利益も再び赤字に振れるようなケースを想定する。営業利益率が1%を割り込み、ROE・ROAがマイナスのまま推移すると、投資家の評価は急速に冷え込む。PERは20倍を切り、10〜15倍程度の水準が意識されるようになると、株価は450〜600円まで下落する余地が出てくる。もし業績悪化が明確になれば、400円台前半に沈む局面もありうる。ただし、配当利回り5%という下支え要因が働くため、業績が大きく悪化しない限り、極端な底割れはしにくい構造を持っている点は特徴的だ。

最終的には、バロックジャパンリミテッドの株価は「売上の下げ止まり」と「利益率の回復」が数字として確認できるかどうかで方向性が決まる。成長が再現できれば株価は回復し、停滞すれば横ばい、悪化すれば割安放置が続く。

現在の759円という株価は、この三つのいずれにも振れやすい中間地点にあり、強気にも弱気にも判断しづらい位置にあると言える。だからこそ、決算ごとに営業利益率とROEの変化をしっかりと追い、改善の兆しを確認しながら段階的に投資判断を調整していくのがもっとも合理的でリスクを抑えたアプローチになる。数字が改善すれば自然に株価も追随し、改善が見られなければ早めに姿勢を引き締めることができる。結局のところ、未来の株価は業績の積み重ねそのものが決めるため、短期の値動きに振り回されず、数字の変化を冷静に追い続けることが重要となる。

この記事の最終更新日:2025年12月11日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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