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小松マテーレ(3580)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

小松マテーレとは

小松マテーレ株式会社は、石川県能美市に本社を置く合成繊維メーカーであり、特にポリエステル織編物の精練・染色・捺染加工において国内を代表する存在である。2018年に旧社名の小松精練から現社名へ変更された。同社は衣料用素材の染色加工大手であり、高い企画力を武器にファッション、スポーツ、民族衣装など幅広い分野に素材を供給している。中でも、中東湾岸諸国の男性が着用する伝統衣装「トーブ」「カンドゥーラ」向けのポリエステル生地では世界市場において大きなシェアを持ち、約7割の生産を担う主要メーカーとして知られる。また、ロープ状の炭素繊維複合材「カボコーマ・ストランドロッド」など炭素繊維事業にも力を入れており、建築用途・補強材など新領域への展開を進めている。

大株主である東レが主納入先となっており、繊維・素材分野で長年培った関係性の中で安定した取引基盤を形成している。社名は「小松マテーレ」だが、本社移転により所在地は石川県能美市となっている。

事業構成としては、繊維事業を中心に、衣料ファブリック部門(民族衣装、スポーツ、ファッション向けなど)、資材ファブリック部門(リビング、車輌、医療・福祉向け、生活関連資材など)、そして物流物販事業を展開している。これらを通じて衣料用途から産業資材用途まで、多岐にわたる市場に製品を供給している。

主な拠点として、本社(石川県能美市浜町ヌ167番地)と美川工場(石川県白山市鹿島町1丁目7番1号)があり、生産・物流体制を構築している。グループ会社には小松精練(蘇州)有限公司、株式会社コマクソン、株式会社コマツインターリンク、株式会社パッゾ、株式会社セイホウなどがあり、持分法適用会社として株式会社トーケン、根上工業株式会社などを有する。

同社は長年培ってきた染色加工技術と独自の素材開発力を活かし、衣料向けから産業向け、そして炭素繊維を応用した新規事業へと事業領域を広げており、伝統的な繊維メーカーにとどまらず、機能性素材メーカーとして進化を続けている。

小松マテーレ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3 35,438 1,605 1,683 1,118 27.9 20
連24.3 36,670 1,856 2,643 1,843 46.0 22(記念)
連25.3 39,526 2,181 2,838 2,934 73.4 25
連26.3予 41,500 2,550 3,050 2,250 57.5 26
連27.3予 42,000 2,600 3,100 2,300 58.8 26〜27

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 1,818 -214 -1,808
2024 3,113 -228 -906
2025 4,793 -5,693 -1,347

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値/安値) PBR
2023 4.5% 3.1% 2.3%
2024 5.0% 4.8% 3.6%
2025 5.5% 7.4% 5.5% 37.2倍 / 18.8倍 0.80倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

小松マテーレの業績推移を見ると、売上は連24.3期の366億円から連26.3期予の415億円へと緩やかに伸びており、増収基調が続いている。営業利益は18億円、21億円、25億円と改善が進んでおり、営業利益率も4.5%から5.5%へと着実に上昇している。経常利益も26億円、28億円、30億円と増加し、純利益は18億円から29億円を経て22億円予想となっている。25.3期の純利益が突出して高かった反動が26.3期に出ているが、基礎収益が悪化しているわけではなく、一時的な利益増の調整と捉えるのが妥当である。

ROEは3.1%、4.8%、7.4%へと明確に改善しており、資本効率は年々良くなっている。ROAも2.3%、3.6%、5.5%と同様に底上げされており、企業の稼ぐ力が着実に上昇している点は評価できる。特に26.3期予のROE7.4%は繊維メーカーとしては堅調で、利益率改善の成果がしっかり数字へ表れている。

一方で、株価指標を見るとPERは高値平均で37.2倍、安値平均で18.8倍と評価に振れ幅があり、決して割安とは言えない。ただしPBRは0.8倍と1倍を割れており、純資産に対して株価が低く評価されている状況になる。利益率改善が続く中でPBR0.8倍という水準は「事業価値に対して株価がやや低め」に放置されている印象で、収益が安定して積み上がるなら再評価余地はある。

総合して判断すると、小松マテーレは「派手さはないが、着実に良くなっている企業」という位置づけになる。売上・利益ともにゆるやかに伸び、営業利益率・ROE・ROAが段階的に改善しているため、企業の基礎体力は確実に強くなっている。その一方でPERはやや高めに評価される時期もあり、成長期待が高いとは言いづらい。しかしPBRが0.8倍で放置されている点は、利益がこのまま積み上がるなら見直される余地が大きい。

結論として、提示された数値の範囲で見る限り、小松マテーレは「大きく伸びる成長株ではないが、着実に改善している割に株価が割安気味に放置されている企業」であり、中長期でじっくり保有するタイプの銘柄といえる。急騰は期待しづらいが、利益率の改善が続けば自然と評価が戻りやすく、下値の限定性が比較的高い安定型の投資対象と判断できる。

配当目的とかどうなの?

小松マテーレの予想配当利回りが26.3期・27.3期ともに3.36%という数字は、東証プライム全体の平均利回り(およそ2%前後)と比べると明確に高く、安定配当株としての魅力がある水準と言える。配当利回りが3%台半ばに位置する企業は、成熟産業や安定事業を持つ企業に多く、同社のように売上・利益がゆっくりではあるが着実に伸びているタイプの企業とは相性が良い。無理に高配当を出しているという印象もなく、利益率の改善が続いていることを考えると、配当の持続性に大きな不安は感じられない。

また、PBRが0.8倍と資産価値に対して株価が低めに評価されている点も、配当目的で投資する際にはプラス材料になる。割安圏にある企業で利回りが3%台半ばという組み合わせは、いわゆる「守り寄りの高配当株」として扱われやすい特徴を持つ。ROEはまだ7%台と突出して高くはないものの、過去数年より確実に改善しており、利益が積み上がるほど配当の安定度も増していく構造になっている。

成長株のような大きな値上がりを期待する銘柄ではないものの、配当を受け取りながら長期で保有するスタイルには向いている。増配ペースもゆっくりながら続いており、業績の底堅さと財務体質の安定性を考えれば、配当が大きく減るリスクは低めと考えられる。配当利回りだけを見ても、3%台半ばという数値は日本株の中では魅力的な部類で、インカム重視の投資家にとっては十分検討対象となる。

結論として、小松マテーレは「配当目的としては悪くないどころか、むしろ安定感のある優良銘柄」であり、値動きの派手さはないものの、堅実な配当収入を継続して期待したい人には向いていると言える。急成長や株価急騰を望むより、着実に配当を積み上げるスタイルの投資家と相性の良い銘柄である。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の株価802円から今後5年間を見据えると、小松マテーレは売上・利益の堅調な積み上げと配当利回りの高さが特徴の企業であり、大きな成長株というよりは安定した収益と配当を享受しながら中長期で徐々に株価を上昇させるタイプの銘柄である。営業利益率は4%台後半から5%台へ改善傾向にあり、ROEやROAも年々底上げされているため、企業の稼ぐ力はゆるやかではあるものの確実に改善している。PBRが0.8倍程度で放置されている点は、今後利益拡大が進めば見直される余地があり、配当利回り3%台半ばというインカム面の魅力も併せて投資妙味を提供している。

良いシナリオでは、自動車資材向けや産業資材向けなどの素材事業が堅調に推移し、営業利益率が5%台後半〜6%台まで高まるようなケースを想定する。この場合、利益拡大に伴って投資家の評価も向上し、PERが再び平均〜やや高めのレンジである20倍前後へ戻る可能性がある。PERが20倍前後で推移し、EPSが改善し続けると仮定すれば、株価は802円から1,000〜1,200円あたりまで上昇する余地がある。5年という時間軸で見れば、決算ごとの利益改善と配当の安定的な実績が重なることで、1,300円台にタッチする局面も十分考えられる。大きな成長株ほどの爆発力はないものの、「堅実な改善 × 市場評価の向上」という積み上げ型の上昇ストーリーとなる。

中間シナリオでは、売上と利益の伸びが緩やかに進み、営業利益率は5%前後で横ばい、ROEも6〜7%台で安定する未来を想定する。この場合、市場評価は大きく変わらず、PERは15倍前後で推移すると考えられる。株価は802円から850〜950円のレンジで推移しやすく、急騰はしにくいものの、配当利回り3%台半ばを背景に下値は比較的堅い展開となる可能性が高い。こうした「安定型の中間軌道」は、配当目的の投資家や長期保有志向の投資家にとっては安心感のある値動きになる。

悪いシナリオでは、原材料価格やエネルギーコストの上昇、海外市場の鈍化、あるいは自動車や産業資材向け需要の減速が利益率を圧迫し、営業利益率が5%を割り込むケースを想定する。ROEが低迷したまま改善が停滞する場合、市場の評価は冷え込み、PERが10倍台に沈む可能性もある。PERが10倍前後まで低下する展開では、株価は802円から650〜750円台、さらに悪化シナリオでは600円台前半まで押し戻されるリスクも考えられる。配当利回りが相対的に高く見える環境(株価下落 × 配当維持)では、逆張り的な買い場と捉えられる局面になるが、株価自体は短期的に重い展開になる可能性がある。

結局のところ、小松マテーレの株価は「大きく跳ねる成長株」というより、「安定して稼ぎながらじんわり評価が高まる銘柄」であり、5年間の値動きは配当と業績の着実な積み上げを見ながら進んでいくことになる。良い場合は1,000〜1,200円台、中間は850〜950円台、悪い場合は600〜750円台といったレンジシナリオが想定される。投資スタンスによって狙いどころは変わるものの、時間分散で買い下がりつつ決算の利益改善を確認するスタイルが最もリスクを抑えつつ向き合える現実的な戦略と言える。数字が綺麗に積み上がれば株価は自然に上向くし、鈍化すれば持ち高を調整する判断もできる。結論を急ぐ必要はなく、成長と配当の積み重ねを確認しながら付き合う銘柄だと言える。

この記事の最終更新日:2025年12月11日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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