株価
FOOD & LIFE COMPANIESとは

FOOD & LIFE COMPANIESは、回転寿司「スシロー」を中心として外食事業を展開する国内最大手の寿司チェーン企業であり、日本全国に店舗網を持つだけでなく、台湾、香港、韓国、タイ、シンガポール、インドネシア、中国本土などアジアを中心に海外展開を積極的に広げている。F&LC は元々「スシローグローバルホールディングス」として誕生し、現在は傘下に「あきんどスシロー」「京樽」「FOOD&LIFE INNOVATIONS」など複数の事業会社を持つ持株会社体制となっている。
中核事業会社である株式会社あきんどスシロー(AKINDO SUSHIRO CO., LTD.)は大阪府吹田市に本社を置き、「スシロー」ブランドの回転寿司チェーンを全国で展開し、テレビCMや広告戦略による高い認知度を持ち、国内の回転寿司業界で売上・店舗数ともに首位を維持している。スシローは近畿・中部・関東エリアを中心に成長し、2017年に島根県へ出店したことで全都道府県への出店を達成。2023年4月時点で日本国内には642店舗が存在する。
海外でも店舗拡大を続け、台湾、香港、韓国、シンガポール、インドネシア、タイ、中国本土などに進出し、アジアでのプレゼンスを強めている。近年は「鮨・酒・肴 杉玉」などの寿司居酒屋業態の店舗も増やしており、外食の多様化に合わせたブランド戦略を進めている。関連会社には株式会社FOOD&LIFE INNOVATIONS、株式会社京樽、Sushiro Korea, Inc.などがあり、グローバルブランドとしての基盤を固めている。
過去には「ツマミグイ」や「七海の幸」といった都市型業態や高級寿司店ブランドを展開した時期もあるが、2016年までに撤退し、現在はスシローを主軸としながら居酒屋・持ち帰り寿司・総菜分野などの関連領域に注力する形となっている。FOOD & LIFE COMPANIES 全体としては、寿司を中心としたフードサービス事業を国内外で展開し、素材調達・加工・物流まで含めたサプライチェーンの効率化や品質管理に強みを持ち、国際競争力の強化を図りながら海外市場のさらなる開拓を進めている。国内外での店舗網拡大、ブランド多角化、グローバル戦略強化が現在の事業の柱となっている。
直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 22.9 | 281,301 | 10,123 | 7,564 | 3,607 | 31.2 | 22.5 |
| 23.9 | 301,747 | 11,001 | 9,864 | 7,899 | 68.3 | 22.5 |
| 24.9 | 361,129 | 23,384 | 21,653 | 14,633 | 127.5 | 30(記念) |
| 25.9予 | 421,000 | 35,000 | 33,500 | 21,000 | 185.5 | 30 |
| 26.9予 | 480,000 | 41,500 | 40,000 | 25,000 | 220.9 | 30〜36 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 42,360 | -17,888 | -23,876 |
| 2024 | 56,326 | -24,066 | -34,322 |
| 2025 | 64,429 | -25,436 | -29,235 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値/安値) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 3.6% | 11.0% | 2.2% | – | – |
| 2024 | 6.4% | 19.1% | 4.0% | – | – |
| 2025 | 8.4% | 23.4% | 5.7% | 83.6倍 / 37.7倍 | 8.73倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
FOOD&LIFE COMPANIESの業績を見ると、まず売上が23.9期の3017億円から24.9期には3611億円、25.9期予想では4210億円、26.9期予想では4800億円へと着実に拡大しており、外食企業としては非常に強い成長基調にあると言える。営業利益も同様に110億円から233億円、さらに350億円、415億円へと伸びており、利益の伸び幅は売上以上に大きく、会社の収益体質が改善している様子がデータから読み取れる。実際に営業利益率は23.9期の3.6%から24.9期に6.4%、25.9期には8.4%まで上昇しており、同業他社と比較しても十分に高い水準に近づいている。経常利益と純利益の推移を見ても同様の成長が認められ、純利益は78億円、146億円、210億円、そして予想では250億円と増加が続いている。
資本効率を見る指標であるROEは11.0%、19.1%、23.4%と急速に改善しており、企業としての収益力と株主資本の活かし方が大きく進歩していることを示す。日本企業でROEが20%を超える水準は決して多くなく、明らかに高い資本収益性を持つ企業であると言える。ROAも2.2%、4.0%、5.7%とこちらも改善基調で、総資産を利益に結びつける力も順調に上昇している。
一方で、バリュエーション指標であるPERとPBRを見ると慎重な判断が必要になる。2025年時点の実績PERは高値平均が83.6倍、安値平均でも37.7倍とかなり高い水準にあり、成長力を強く評価されている半面、割安感はまったくない。さらにPBRは8.7倍と非常に高く、株価が企業の純資産に対して相当なプレミアムを付けている状態であることがわかる。つまり、業績や収益力は文句なく優秀で、外食企業としてトップクラスの成長性を持っているものの、現在の株価はその期待を大きく織り込んでおり、割安水準とは言い難い。
以上を総合すると、この企業は業績面では力強く成長しており、利益率やROEの改善も顕著で、事業的には優良企業と評価できる。しかし株価指標を見る限り市場はかなり強気の評価を行っており、すでに高い期待が織り込まれた状態にあるため、短期的な割安感を求める投資家にとっては買いづらい。一方で、強い成長ストーリーを信じて長期的に保有するスタンスであれば投資対象として魅力があるとも言える。提示された数値だけで判断すると、この企業は「業績は極めて良いが株価は割高」という状況にあり、長期成長志向か、割安重視かによって投資判断が分かれる銘柄といえる。
配当目的とかどうなの?
配当目的でこの銘柄を検討する場合、正直なところ魅力はかなり薄いと言わざるを得ない。予想配当利回りが26.9期も27.9期も0.47%という数字は、東証プライムの平均である2%前後を大きく下回っており、配当収入を狙う投資家にとっては実質的に“無配に近い利回り”と言って良いレベルである。さらに、同社は成長企業であり、利益は増えていても配当性向を高くする方針を採っていない。利益の多くを設備投資や海外展開に回しており、株主への還元よりも事業拡大を優先するスタンスが明確だ。これは成長企業としては正しい戦略だが、「配当を毎年増やしてほしい」「インカムゲインが欲しい」という投資家には全く向かない。
また、株価が高く評価されているため(PERが高値83倍、安値でも37倍)、株価が上がって利回りがさらに低く見える構造もある。つまり、企業が悪いわけではなく、業績がよく成長性が高いために株価が割高で、結果として利回りが低くなっているという状況である。ただ、配当利回りを重視しない長期成長目的の投資家なら問題ないが、「配当で生活の足しにしたい」「高配当ポートフォリオを組みたい」というタイプの投資とは根本的に相性が良くない。
結論を言えば、配当目的で投資する銘柄としてはまったく適していない。利回り0.47%では銀行預金や国債と変わらず、リスクを取る意味がほとんどない。一方で、企業の収益力や成長性は高いため、あくまで“成長株としての値上がり益を期待する投資”なら選択肢に入り得るが、配当狙いという観点では完全に向かない銘柄という判断になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
企業の現在、株価7,385円から今後5年間を見据えると、売上の積み上がりが続き、営業利益率が年々改善し、ROEも再び上向く流れに入れば、市場は再び強気に傾きやすくなる。FOOD&LIFE COMPANIESは国内外で積極的に店舗網を広げ、スシローを中心に安定した集客力を武器にしてきた企業であり、ここ数年は利益率の改善も顕著に表れている。海外展開の強化が本格的に収益へ寄与し始めれば、現在の評価が再び見直され、成長株としての存在感を取り戻していく可能性がある。
市場はしばしば“成長の踊り場”に警戒するため、利益が売上に追いつかない時期は慎重になりがちだが、営業利益率が継続的に上昇する局面に入れば、バリュエーションが再び切り上がりやすい。最終的には、売上と利益がどれだけ綺麗に積み上がり続けるかが、今後5年間の株価を左右する中心軸になる。
良いシナリオでは、海外展開が順調に拡大し、原価や人件費の上昇を吸収しながら営業利益率が9〜10%台へ乗る未来を想定する。ROEも20%前後を安定して維持できるなら、投資家は成長の持続性をより強く評価し、PERが現在の過熱水準から一段階落ち着いたとしても、依然として高めのレンジでの評価が続きやすい。このケースでは株価が7,385円から上方向へ滑らかに切り上がり、業績の成長と収益性の改善が同時に進めば、1万円〜1万3,000円あたりまで伸びる余地がある。海外利益が本格的に寄与し始める局面が到来すれば、5年スパンで1万5,000円台を試す場面があっても不思議ではなく、成長株としての強さを素直に株価へ織り込む展開になる。
中間シナリオでは、売上は順調に伸びる一方で、利益の伸びはやや落ち着き、営業利益率は8%前後で推移する未来を想定する。この場合、市場は同社を過度に持ち上げることもなく、かといって悲観的に見る必要もなく、PERは30〜40倍の“高めだけど許容範囲”のレンジに収まりやすい。株価は7,385円からじわじわと上向き、8,000〜9,500円のレンジを中心に推移しながら、緩やかに資産が増えるタイプの銘柄として扱われる。派手な値動きは期待しづらいものの、安定した売上積み上げと利益率の底堅さがサポートとなり、長期保有者にとってはストレスの少ない中庸の展開になりやすい。
悪いシナリオでは、急速な海外出店や物流負担の増加、原価上昇などを吸収しきれず、利益率が低下に転じる未来を想定する。営業利益率が再び6%台へ沈み、ROEも15%を割り込む展開となれば、市場は成長への信頼を弱め、PERは現在のような高いプレミアムを許容しなくなる。もしPERが20倍を下回る方向に収縮すれば、株価は5,500〜6,000円への調整が現実的となり、海外展開の採算不安が強まる局面では、5,000円割れ、さらには4,500円台までの押しも視野に入る。ただし、同社の事業基盤は依然として強固で、ブランド力のあるスシローが国内外で一定の需要を持つことを踏まえれば、悲観的な局面は“逆張りの買い場”として機能しやすく、大崩れするタイプの事業ではないとも言える。
結局のところ、スシローの成長が続くかどうかを決めるのは、売上ではなく利益の積み上がりであり、利益率の改善が維持されるかどうかが株価の方向性を決める最大のポイントになる。現在の株価7,385円は、上にも下にもどちらへも動き得る中間的な立ち位置にあり、割安で買える状況ではないが、割高だからといって成長の継続を否定する理由にもならない。時間を分散して買い増しし、決算のたびに営業利益率とROEの推移を確認しながらポジションを調整していくのが、リスクを抑えつつ長期で向き合う上で現実的な戦略になる。数字が綺麗に積み上がるなら株価は自然と上向いていくし、違和感が出た段階で早めに距離を置く判断もできる。焦って結論を出す必要はなく、成長が積み重なるかどうかを丁寧に確認しながら付き合うべき銘柄だと言える。
この記事の最終更新日:2025年12月11日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す