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ブイキューブとは

株式会社ブイキューブは、Web会議やオンラインイベント、映像配信などのコミュニケーションサービスを提供する企業であり、企業向けソフトウェアおよび関連サービスの開発・販売を手掛けている。映像技術を活用したビジュアルコミュニケーション事業を中核とし、遠隔医療やオンラインセミナー開催支援など、場所に依存しない情報伝達や業務遂行を支援している。
同社は1998年に間下直晃により設立され、当初はWEBソリューション事業を展開していたが、その後ビジュアルコミュニケーション事業へと事業転換を行った。2008年以降はWeb会議市場において国内シェアナンバーワンを獲得し、企業向けコミュニケーション分野での地位を確立している。2013年に東証マザーズへ新規上場し、2014年には東証一部へ市場変更を行った。
主力製品には、ウェビナー配信システムのV-CUBE セミナーや、Web会議や面談に適した個室型ワークブースであるテレキューブがあり、これらはテレワークやハイブリッドワークの普及を背景に導入が進んでいる。特にテレキューブは、オフィスや学校、公共施設などに設置され、柔軟な働き方を実現する上での「場所がない」という課題解決を目的としている。
事業内容としては、コミュニケーションDXを軸に、ウェビナーやオンラインイベント、ハイブリッドイベント、バーチャル株主総会などを支援するOne イベント事業を展開しており、小規模から大規模まで多様なイベント形式に対応している。単なる配信ツールの提供にとどまらず、企画、運営、配信、サポートまでを一体で提供する点を強みとしている。また、ライブ配信やビデオ・音声通話を可能にする通話・配信SDKやプラットフォームも提供しており、これらの技術を活用した新規事業や新機能の開発支援、コンサルティングも行っている。これらのソリューションは、エンターテインメント、医療、教育など幅広い業界・用途で活用されている。
さらに、Web会議、テレビ会議、クラウドPBXといった製品を通じて、企業内外のコミュニケーション改革を支援し、生産性向上や業務効率化を実現することを目指している。導入実績は累計10,000社以上に及び、企業、自治体、教育機関など幅広い顧客基盤を有している。
ブイキューブ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 20.12 | 8,282 | 1,046 | 1,020 | 1,138 | 47.1 | 4 |
| 21.12 | 11,493 | 1,351 | 1,232 | 1,324 | 54.7 | 8 |
| 22.12 | 12,229 | 675 | 612 | 84 | 3.5 | 4 |
| 23.12 | 11,084 | -156 | -275 | -5,623 | -231.7 | 0 |
| 24.12 | 10,463 | -236 | -320 | -1,417 | -55.7 | 0 |
| 25.12予 | 10,000 | -700 | -900 | 100 | 3.9 | 0 |
| 26.12予 | 10,500 | 100 | 50 | 20 | 0.8 | 0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 22.12 | 1,833 | -2,395 | 290 |
| 23.12 | 990 | -1,916 | 562 |
| 24.12 | 815 | -473 | -759 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.12 | -1.5 | -905.5 | -45.7 | — | — |
| 2024.12 | -2.3 | — | -13.6 | 418.6(高値)/192.3(安値) | 12.40 |
| 2025.12予 | -10.0 | — | -2.0 | — | — |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ブイキューブは、直近実績から今後予想にかけての数値を見る限り、投資判断としてはかなり厳しい評価にならざるを得ない状況にある。まず利益水準を見ると、23.12期の営業利益は-1.5億、税前利益は-2.7億、純利益は-56.2億と、最終損益で極めて大きな赤字を計上している。24.12期も営業利益-2.4億、税前利益-3.2億、純利益-14.1億と赤字が継続しており、売上規模に対して収益構造が大きく崩れている状態が続いている。
25.12期予想では営業利益が-7.0億、税前利益-9.0億と、本業赤字はさらに拡大する一方で、純利益は1.0億の黒字転換が見込まれている。ただし、この段階では営業段階で赤字が続いており、事業そのものが稼げる状態に戻ったとは言い難い。26.12期予想では営業利益1.0億、税前利益0.5億、純利益0.2億と、ようやく損益分岐点をわずかに超える水準まで回復する想定だが、利益規模は非常に小さい。
収益性を見ると、営業利益率は23年-1.5%、24年-2.3%、25年-10.0%と悪化が続いており、固定費負担の重さや事業モデルの弱さが数字に明確に表れている。26年予想で黒字化したとしても、利益率は極めて低い水準にとどまる可能性が高い。資本効率の面ではさらに深刻である。ROEは23年に-905.5%と異常値を示しており、これは巨額の純損失によって自己資本が大きく毀損していることを意味する。ROAも23年-45.7%、24年-13.6%、25年-2.0%と改善傾向にはあるものの、依然として資産を使って利益を生み出せていない状態が続いている。
PERについては、赤字基調のため実質的に評価指標として機能しておらず、投資判断に使える段階ではない。PBRについても、資本効率が大きく崩れている中では、割安かどうかを判断する材料としての信頼性は低い。これらの数値だけから判断すると、ブイキューブは現時点では明確に再建途上の企業であり、安定性や収益の再現性を求める投資には全く向かない。26.12期予想で黒字転換が示されているものの、利益水準は小さく、営業利益率やROAが安定してプラス圏に定着するまでは、長期投資の対象としてはリスクが非常に高い。
総合すると、ブイキューブは業績回復が数字で確認できてから検討すべき銘柄であり、現段階では配当目的や安定成長を期待した投資には適さない。投資判断としては様子見が妥当で、仮に投資する場合でも高いリスクを許容した上での限定的な判断にとどめるべき水準といえる。
配当目的とかどうなの?
数値だけを見る限り、ブイキューブは配当目的では完全に対象外と判断せざるを得ない。まず、予想配当利回りは25.12期、26.12期ともに0.00%であり、配当そのものが予定されていない。インカムゲインを目的とした投資においては、検討の余地がほぼない水準である。
業績面を見ても、23.12期から25.12期予想まで営業利益は-1.5億、-2.4億、-7.0億と赤字が続いており、本業で安定的にキャッシュを生み出せていない。26.12期予想で営業利益1.0億と黒字化が示されているものの、利益規模は極めて小さく、まずは事業の立て直しと財務の安定が最優先となる段階である。資本効率の面でも、ROEは23年に-905.5%、ROAも23年-45.7%、24年-13.6%、25年-2.0%と大幅なマイナスが続いており、株主に還元できる状態にはない。配当再開以前に、自己資本の回復と収益構造の正常化が必要な局面といえる。
これらの数値を踏まえると、ブイキューブは「配当をもらいながら保有する銘柄」ではなく、「業績回復が軌道に乗るかを見極める再建途上の銘柄」である。仮に将来的に配当が再開されるとしても、それは黒字が定着し、営業CFが安定的に積み上がった後の話であり、少なくとも25.12期から26.12期時点で配当目的として買う合理性はない。総合すると、配当目的という観点では、ブイキューブは現時点では完全に不適格であり、投資判断としては除外するのが妥当といえる。配当を重視するのであれば、同業他社や別セクターの安定黒字・配当継続企業を選択した方が合理的である。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価110.0円から今後5年間を見据えると、ブイキューブは明確に再建フェーズにある企業であり、株価の方向性は業績回復が実際の数字として定着するかどうかに大きく左右される状況にある。安定成長や配当を前提とした銘柄ではなく、回復の成否そのものが投資テーマとなる。
良い場合のシナリオでは、26.12期予想で示されている営業利益1.0億、純利益0.2億といった黒字化が一過性に終わらず、その後も小幅ながら黒字が定着するケースを想定する。営業利益率がプラス圏に戻り、ROAも0%超で安定すれば、市場は再建完了に向けた初期段階として評価を見直す可能性がある。この場合、PERは参考指標として15~20倍程度まで意識されるようになり、株価は110.0円から180~250円程度までの回復が視野に入る。5年間を通じて黒字が継続し、再成長の兆しが見えれば300円近辺を試す展開も考えられる。
中間のシナリオでは、赤字幅は縮小するものの、黒字と赤字を行き来する不安定な状態が続くケースを想定する。営業利益はトントン前後、純利益も小幅な黒字と赤字を繰り返し、事業の立て直しは進むが決定打に欠ける展開である。この場合、市場の評価は慎重なままとなり、PERは明確に意識されにくい。株価は80~150円程度のレンジで上下し、5年間を通じて大きなトレンドは出にくいが、倒産リスクが後退することで下値は限定される形となる。
悪い場合のシナリオでは、26.12期予想の黒字化が達成できず、営業赤字が長期化するケースを想定する。売上規模が伸びない中で固定費負担が重くのしかかり、ROAや営業利益率は引き続きマイナス圏にとどまる。この場合、市場の信頼はさらに低下し、株価は110.0円から50~80円程度まで下落する可能性がある。5年間を通じて回復の兆しが見えなければ、株価は低位での停滞が続く展開も考えられる。
総合すると、現在値110.0円を起点としたブイキューブの今後5年間の値動きは、良い場合で180~250円前後、中間で80~150円、悪い場合で50~80円といったレンジが想定される。配当や安定成長を目的とした投資には不向きであり、あくまで業績回復が実現するかどうかに賭ける高リスク・高変動性の投資対象といえる。
この記事の最終更新日:2025年12月12日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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