株価
コーエーテクモホールディングスとは

株式会社コーエーテクモホールディングスは、コンピュータゲームの開発および販売を行うコーエーテクモゲームスを中核子会社に持つ持株会社である。家庭用ゲーム機向けソフト、スマートフォン向けゲーム、PC向けオンラインゲームを中心としたデジタルエンタテインメント事業を主力とし、日本国内のみならず北米、欧州、アジアなど海外市場への展開も積極的に行っている。
同社は、歴史シミュレーションゲームに強みを持つコーエーと、アクションゲームや対戦型ゲームを得意とするテクモが2009年に経営統合して誕生した企業グループである。統合の背景として、2008年にスクウェア・エニックスがテクモに対して株式公開買付けによる子会社化を提案したが、テクモは人材確保や開発環境の安定、ブランドの独立性維持といった観点からこの提案に賛同しなかった。その後、ほぼ同時期にコーエーから経営統合の提案を受け、両社創業者の親交や企業文化の近さ、相互補完的なゲーム開発力による相乗効果が見込まれることから、コーエーとの統合を選択した。
2009年4月1日、コーエー1株に対しテクモ0.9株の比率で株式移転を行い、共同持株会社としてコーエーテクモホールディングスが設立された。これにより、経営の意思決定を持株会社が担い、ゲーム開発や販売は事業会社が担当する体制が整えられ、開発効率と経営管理の両立が図られている。
事業の中心となるデジタルエンタテインメント事業では、無双シリーズ、信長の野望、三國志、仁王、DEAD OR ALIVE、アトリエシリーズなど、長期にわたって支持されている自社IPを多数保有している。これらのIPは、新作タイトルの投入だけでなく、追加コンテンツ配信、リメイク、スマートフォン向け展開、コラボレーションなどを通じて継続的に収益化されている点が特徴である。
また、海外売上比率が高く、特にアジア市場や欧米市場においても一定のブランド力を確立している。家庭用ゲーム市場の変化に対応するため、オンラインゲームやダウンロード販売、長期運営型タイトルへの取り組みを進めるとともに、IPの多面的活用による安定的な収益基盤の構築を目指している。
グループ会社には、ゲーム開発・販売を担う株式会社コーエーテクモゲームスのほか、品質保証を行うコーエーテクモクオリティアシュアランス、アミューズメント施設運営や関連事業を行うコーエーテクモウェーブ、音楽制作を行うコーエーテクモミュージック、投資・財務戦略を担うコーエーテクモキャピタルおよびコーエーテクモコーポレートファイナンスなどがある。これにより、開発から販売、IP活用、財務戦略までをグループ内で一体的に管理する体制を構築している。
コーエーテクモホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益EPS(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 78,417 | 39,133 | 39,899 | 30,935 | 98.2 | 50 |
| 連24.3 | 84,584 | 28,494 | 45,741 | 33,792 | 107.1 | 54 |
| 連25.3 | 83,150 | 32,119 | 49,988 | 37,628 | 119.1 | 60 |
| 連26.3予 | 92,000 | 32,000 | 38,000 | 27,700 | 83.0 | 43〜50 |
| 連27.3予 | 94,000 | 33,000 | 39,000 | 28,500 | 85.4 | 45〜50 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023.3期 | 29,692 | -21,394 | -16,588 |
| 2024.3期 | 36,603 | -24,859 | -15,475 |
| 2025.3期 | 34,369 | 40,973 | -63,175 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3期 | 49.9% | 21.7% | 14.6% | — | — |
| 2024.3期 | 33.6% | 19.3% | 13.7% | — | — |
| 2025.3期 | 38.6% | 19.9% | 17.9% |
高値平均 22.4倍 安値平均 14.7倍 |
2.62倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
コーエーテクモホールディングスは、売上規模としては800億円台から900億円規模で推移しており、急成長するタイプの企業ではないが、一定の事業規模を安定して維持できている企業である。2024年3月期の売上は約845億円、2025年3月期は約831億円、2026年3月期予想では約920億円と、上下はあるものの長期的には大きく崩れていない。
営業利益は2024年3月期で約284億円、2025年3月期で約321億円、2026年3月期予想でも約320億円と非常に高水準で安定している。営業利益率は2023年から2025年で49.9%、33.6%、38.6%となっており、多少の変動はあるものの、全体として極めて高い利益率を維持している。これはコスト競争型のビジネスではなく、IPの強さによって高付加価値で利益を確保できていることを示している。
経常利益を見ると、2024年3月期で約457億円、2025年3月期で約499億円と、営業利益を大きく上回っている。これは本業に加えて投資や金融収益の寄与が大きい企業であることを示している。一方で、2026年3月期予想では約380億円と減少が見込まれており、経常利益は外部環境や投資成果によるブレが出やすい点には注意が必要である。純利益は2024年3月期で約337億円、2025年3月期で約376億円と増加した後、2026年3月期予想では約277億円と減少が見込まれている。一株益も2025年の119.1円から2026年予想では83.0円へ低下する見通しであり、短期的には利益のピークアウト感がある。この点から、直近数年で大きな成長を前提にする投資はやや慎重に考える必要がある。
資本効率を見ると、ROEは2023年から2025年で21.7%、19.3%、19.9%と非常に高い水準を維持している。ROAも14.6%、13.7%、17.9%と高く、自己資本・総資産のどちらを見ても効率良く利益を生み出している企業であることが分かる。これは財務体質が強く、稼ぐ力そのものが優れている企業であることを示している。
株価指標では、2025年の実績PERは安値平均で14.7倍、高値平均で22.4倍となっており、評価レンジに幅がある。PBRは2.62倍で、ROEが約20%ある企業としては極端な割高感はないが、成長率が高くないことを考えると、PERが20倍を超える水準では期待が先行しやすい。一方で、PERが15倍前後まで下がる局面では、収益力と資本効率の高さを考慮すると投資妙味が出やすい。
これらの数値だけから総合的に判断すると、この銘柄は高収益かつ高効率で、事業と財務の安定性が非常に高い一方、利益成長は波があり、将来の急成長を前提にするタイプではない。したがって、成長株として高値を追うよりも、業績が安定していることを評価し、株価が落ち着いた水準で中長期的に保有するのに向いた銘柄といえる。
配当目的とかどうなの?
配当目的で見ると高配当株とは言いにくい。予想配当利回りは2026年3月期で2.20%、2027年3月期で2.30%と、株式市場全体の平均水準か、やや下回る程度である。配当利回りそのものを重視する投資家にとっては、第一候補になる水準ではない。
一方で、同社は営業利益率が30%を超える高収益体質であり、ROEも約20%前後と資本効率が非常に高い。キャッシュを生み出す力は強く、配当を出す余力そのものは十分にある企業といえる。そのため、配当が大きく減るリスクは相対的に低く、安定的に配当を受け取るという意味では安心感はある。ただし、2026年3月期は純利益が前期より減少する予想となっており、一株益も低下する見込みである。この点を考えると、今後も配当利回りが大きく上昇していく可能性は高くない。配当は維持もしくは緩やかな増配にとどまり、利回りを一気に高める経営姿勢ではないと考えられる。
また、PBRが2倍台で推移していることから、企業価値に対して株価はある程度評価されている状態にある。配当利回りが2%台にとどまるのは、配当を重視する企業というよりも、利益を内部に残しつつ事業価値を維持するタイプの企業であることを示している。
以上を踏まえると、この銘柄は配当利回りを目的に積極的に買う銘柄ではなく、高収益・高資本効率の企業を中長期で保有し、その結果として安定した配当を受け取る銘柄という位置づけが適している。高配当株投資を主目的とする場合は物足りないが、業績の安定性を重視しつつ、値下がりリスクを抑えながら配当も一定程度欲しいという投資スタイルには合う。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価1,949.5円から今後5年間を見据えると、コーエーテクモホールディングスは国内有数のゲームIP企業として、無双シリーズ、信長の野望、アトリエシリーズなどの長寿IPを軸に、高い収益性と安定したキャッシュ創出力を持つ企業である。急成長株というよりは、強いIPと高い利益率を背景に、波はありつつも中長期で企業価値を積み上げていくタイプの銘柄といえる。今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合で考えていきます。
良いシナリオでは、既存IPの新作や追加コンテンツが安定的に収益貢献し、営業利益率が35〜40%前後で維持されるケースを想定する。ROEも20%前後を保ち、キャッシュ創出力の高さが改めて評価されることで、市場の評価水準はPER18〜22倍程度で安定しやすくなる。この場合、EPSの回復と評価の維持が重なり、株価は1,949.5円から2,500〜3,000円程度までの上昇余地がある。5年スパンで見れば、強いIPを背景に3,000円前後を定着点として試す展開も十分に考えられる。急騰はしないが、「高収益 × 時間」でじわじわ切り上がるイメージである。
中間シナリオでは、売上・利益は概ね横ばいから緩やかな推移となり、営業利益率は30%台後半で安定するケースを想定する。ROE・ROAはやや低下しつつも高水準を維持し、市場評価はPER14〜17倍程度に落ち着く。この場合、株価は1,800〜2,300円程度のレンジで推移しやすく、大きな上昇は期待しにくいが、下値も限定的となる。配当利回りは高くないものの、財務と収益の安定性から、中長期の保有枠としては安心感がある。
悪いシナリオでは、新作タイトルの不振や開発費の増加により利益率が低下し、営業利益率が30%前後まで下がるケースを想定する。ROE・ROAも低下し、市場は成長鈍化を強く意識し始める。PERは12倍前後まで切り下がり、PBRも2倍台前半まで低下する可能性がある。この場合、株価は1,949.5円から1,400〜1,700円程度まで調整する余地がある。ただし、強力なIP資産と高いキャッシュ創出力を持つ企業であるため、業績が急激に崩れる可能性は低く、下落局面では長期投資家の買いが入りやすい。
結局のところ、コーエーテクモの株価は「非常に収益力は高いが、成長の波が読みにくい」タイプであり、最大のポイントは「営業利益率30%以上とROE20%前後をどこまで維持できるか」にある。5年視点で見ると、良い場合は2,500〜3,000円、中間は1,800〜2,300円、悪い場合は1,400〜1,700円といったレンジが想定される。短期売買向きというよりは、利益率とIPの強さを定点観測しながら付き合う、中長期向けの高収益IP企業といえる。
この記事の最終更新日:2025年12月12日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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