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オプティムとは

株式会社オプティムは、東京都港区に本社を置く、AI・IoT・リモート技術を強みとするソフトウェア企業である。主力事業は、スマートフォンやPCなど法人向け端末の一括管理サービス(MDM)であり、遠隔サポートやセキュリティ管理を含むクラウド型サービスを提供している。関連分野での特許保有数も多く、技術志向の高い企業である。
設立当初は、デジタル放送向け配信サポート技術やインターネット広告配信を中心とした事業を展開していたが、2006年頃からルータ設定の自動化ツールやリモートサポート技術の研究開発へと軸足を移した。2011年には、それらの技術を応用し、AndroidやiOS向けのソフトウェア開発を開始している。同社が提供するモバイルデバイスマネジメントサービス「OPTiM Biz」は、企業が利用するスマートフォンやタブレットを一元的に管理できるサービスであり、国内市場でシェアNo.1を獲得している。法人のIT運用負荷軽減やセキュリティ強化、遠隔サポートの効率化に貢献しており、安定したストック型収益の基盤となっている。
2015年頃からは、AIおよびIoTを中心とした研究開発へとさらにシフトし、IoTプラットフォームサービス「OPTiM Cloud IoT OS」の提供を開始した。このプラットフォームは、建設業界向けオープンプラットフォームである小松製作所主導の「Landlog」や、メディカロイドが開発した手術支援ロボット「hinotori サージカルロボットシステム」のネットワークサポートシステム「MINS」などに採用された実績を持つ。
近年は、第4次産業革命の中心的企業になることを掲げ、AI・IoT・ロボット技術を様々な産業と融合させる「○○×IT」戦略を推進している。AIを活用した画像解析技術やIoT技術を強みに、農業、医療、建設、電力、警察、小売、金融、運輸、ロボットなど、幅広い分野で業界特化型のソリューションを展開している。全体としてオプティムは、法人向け端末管理という安定収益事業を基盤に、AI・IoTを活用した産業横断型ソリューションへと事業領域を拡大している技術主導型企業である。
オプティム 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株当たり配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 9,277 | 1,750 | 1,634 | 962 | 17.5 | 0 |
| 連24.3 | 10,243 | 1,940 | 1,844 | 1,171 | 21.3 | 0 |
| 連25.3 | 10,580 | 1,954 | 1,862 | 1,178 | 21.4 | 0 |
| 連26.3予 | 11,600 | 1,570 | 1,470 | 930 | 16.9 | 0 |
| 連27.3予 | 12,700 | 1,750 | 1,650 | 1,040 | 18.9 | 0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 2,313 | -1,651 | -199 |
| 2024 | 1,965 | -1,504 | 0 |
| 2025 | 2,111 | -1,966 | -312 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 18.8 | 11.7 | 15.7 | ― | ― |
| 2024 | 18.9 | 12.2 | 16.1 | ― | ― |
| 2025 | 18.4 | 10.6 | 13.9 |
高値平均 60.3 安値平均 32.5 |
3.05 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず売上と利益の推移を見ると、オプティムの売上高は24.3期が約102億円、25.3期が約105億円、26.3期予想で約116億円と、緩やかながら右肩上がりが続いている。一方で営業利益は24.3期と25.3期がともに約19億円で横ばい、26.3期予想では約15億円まで減少しており、売上成長に対して利益成長が伴っていない。経常利益も18億円前後から14億円へ、純利益も11億円から9億円へと減少予想で、利益面ではピークアウト感がはっきり出ている。
それでも営業利益率を見ると、2023年が18.8%、2024年が18.9%、2025年が18.4%と、3年連続で18%台後半を維持している。ソフトウェア企業としては非常に高い水準であり、オプティムの事業モデルそのものの収益力はかなり強いと言える。多少のコスト増や先行投資があっても、簡単には崩れない利益構造を持っている点は大きな強みである。
資本効率の面では、ROEが2023年15.7%、2024年16.1%、2025年13.9%と、やや低下しているものの依然として高水準にある。ROAも11.7%、12.2%、10.6%と10%台を維持しており、オプティムは資産を使ってしっかり利益を生み出せている企業であることが分かる。ただし、ROE・ROAともにピークを過ぎて下向きに転じており、成長初期から成熟局面へ入りつつある印象は否めない。
次に株価水準を示す指標を見ると、2025年実績PERは高値平均で60.3倍、安値平均でも32.5倍と非常に高い。PBRも3.0倍であり、オプティムの高い収益力や技術力への期待は、すでに株価に十分織り込まれている。現在の利益成長率や26.3期予想での減益を考えると、このPER水準を正当化するには、今後再び明確な成長加速が必要になる。
配当はゼロであり、株主還元という観点では評価材料がない。したがってオプティムはインカム目的では完全に対象外であり、あくまで成長期待やテーマ性に賭けるタイプの銘柄である。
以上を踏まえると、オプティムは事業の質、利益率、資本効率はいずれも非常に優秀だが、直近の数値だけを見る限り、利益成長が鈍化しているにもかかわらず評価だけが先行している状態にある。すでに高評価を受けた銘柄であり、現水準からの新規投資はリスクが高い。一方で、業績が再び成長軌道に戻るなら評価が維持される余地はあるため、既存株主であれば様子見や保有継続は理解できるが、積極的に買い増す局面とは言いにくい、という判断になる。
配当目的とかどうなの?
配当目的という観点でオプティムを見ると、結論はかなりはっきりしていて、配当狙いの投資にはまったく向かない銘柄だと言える。まず、26.3期、27.3期ともに予想配当利回りは0.00%となっており、少なくとも今後2年間は配当を出す意思が示されていない。インカムゲインを目的とする投資では、配当があるかどうかが最初の入口になるが、その前提条件を満たしていない時点で対象外になる。
利益水準だけを見ると、営業利益率は18%台と非常に高く、ROEやROAも10%台を維持しているため、本来であれば配当を出せない企業ではない。それでも無配を続けているということは、会社として株主還元よりも成長投資や研究開発、内部留保を優先する方針を明確にしているということになる。実際、26.3期は減益予想であり、安定的に配当を出すフェーズに入った企業とは言い難い。
また、株価水準を示すPERは30倍台から60倍台と高く、配当ゼロの銘柄としては完全にキャピタルゲイン前提の評価になっている。配当がない以上、株価が上がらなければ投資リターンは得られず、株価が停滞した場合は持っている意味が薄くなる。値動きに左右されやすく、配当目的の投資家にとっては精神的にも合わない。
総合的に見ると、オプティムは配当を期待して保有する銘柄ではなく、あくまで成長やテーマ性に賭ける株である。安定したインカムを積み上げたい人にとっては選ぶ理由がなく、配当目的であれば他にもっと適した銘柄はいくらでもある。配当狙いという視点では、オプティムは完全に選択肢から外れる、という判断になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価495.0円から今後5年間を見据えると、オプティムは法人向け端末管理(MDM)を中核とし、AI・IoT・画像解析といった技術を武器に多業界へ展開するソフトウェア企業である。営業利益率18%台、ROE・ROAも10%台を維持しており、事業の質や収益構造は非常に高い。一方で、直近では利益成長が鈍化しており、今後の株価は再成長が実現できるか、それとも高収益だが伸びない企業として評価されるかで大きく分かれる。
良い場合のシナリオでは、AI・IoT関連のサービスが再び拡大し、既存のMDM事業に加えて産業向けソリューションが収益ドライバーとして成長するケースを想定する。売上は年率5~8%程度で拡大し、営業利益も再び増加基調に戻る。営業利益率は18%台後半を維持し、ROEも15%前後まで回復する。この場合、市場はオプティムを再成長企業として評価し、PERは25~30倍程度が許容される。5年後の株価は700~900円程度まで上昇する余地があり、成長期待が強まれば1,000円近辺を意識する展開も考えられる。
中間のシナリオでは、売上は緩やかに伸びるものの、利益は横ばいに近い推移となり、高収益だが成長性に欠ける企業として評価されるケースを想定する。営業利益率は18%前後を維持するが、ROE・ROAは徐々に低下し、市場の期待は落ち着く。PERは20倍前後まで切り下がり、評価は安定寄りとなる。この場合、株価は400~600円程度のレンジで推移し、5年間を通じて大きな上昇も下落もなく、時間だけが経過する可能性が高い。無配であるため、トータルリターンはほぼ株価次第となる。
悪い場合のシナリオでは、AI・IoT分野での競争激化や案件の伸び悩みにより、利益減少が続くケースを想定する。営業利益は15億円前後からさらに縮小し、ROE・ROAも一段と低下する。成長期待が剥落すると市場評価は厳しくなり、PERは15倍前後まで低下する可能性がある。この場合、株価は495.0円から300~380円程度まで下落し、無配であることから下値の支えが弱く、回復には時間を要する展開が考えられる。
総合すると、現在値495.0円を起点としたオプティムの今後5年間の値動きは、良い場合で700~900円前後、中間で400~600円、悪い場合で300~380円といったレンジが想定される。配当を目的とした投資には向かず、再び成長軌道に戻れるかどうかを見極めながら中長期で向き合うタイプの銘柄だと言える。
この記事の最終更新日:2025年12月13日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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