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セレス(3696)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

セレスとは

セレスは、東京都渋谷区に本社を置くインターネットマーケティング企業で、国内最大級のポイントサイトであるモッピーを中核に事業を展開している会社である。経営理念としてインターネットマーケティングを通じて豊かな世界を実現することを掲げており、ポイント事業を起点にしながら、広告、D2C、金融、暗号資産、ブロックチェーンなどへ事業領域を広げてきた。

セレスの原点はポイントメディア事業にあり、2005年の創業時から運営されているモッピーは、現在では会員数が1,300万人規模にまで拡大している。ユーザーは広告利用やサービス申込みを通じてポイントを獲得し、それを現金や電子マネー、ギフト券、マイル、他社ポイント、さらには暗号資産へと交換できる。ポイントをそのまま決済に使えるモッピーPayも展開しており、単なるWebサービスにとどまらず、日常の消費行動に入り込む仕組みを作っている。加えて、ポイントインカムの運営引き継ぎによって、ポイントサイト領域での存在感はさらに強まっている。

広告分野では、アフィリエイトプログラムであるAD.TRACKを運営し、広告主とメディアをつなぐ成果報酬型ビジネスを展開している。ここで培った集客力やデータは、他の事業にも横断的に活用されている。過去にはコミック閲覧サイトやゲームアプリ比較サイト、不動産関連ポータルなど、生活に密着した複数のWebサービスを展開してきた点も特徴である。

近年のセレスは、オンラインとオフラインをつなぐO2O領域にも力を入れている。モッピーPayや店頭モニター調査サービスのモッピーフクモニを通じて、ネット上の送客だけでなく、実店舗での消費や販促にも関与するビジネスモデルを構築しようとしている。この点は、単なるポイントサイト運営会社から一歩踏み出した動きと言える。

また、D2C事業にも積極的で、化粧品、健康食品、フェムケアなどの自社ブランドを複数展開している。さらに、医師の診察から処方までをオンラインで完結させるサービスなど、ヘルスケア領域にも踏み込んでおり、インターネットマーケティングで培った集客力を商品開発やブランド運営に生かしている。ショート動画分野では、TikTok公認MCNを通じて、企画からプロモーションまでを一貫して手がけている点も、時流を捉えた動きである。

フィナンシャルサービス分野では、暗号資産やブロックチェーン関連事業が大きな柱になりつつある。暗号資産販売所のCoinTradeや、国内最大級の暗号資産取引所であるbitbankを傘下に持ち、ステーキングやレンディングといったサービスも展開している。さらに、ビットコインを活用した海外向けの送金サービスなど、暗号資産の実利用を意識した取り組みも進めている。

加えて、フリーランスや個人事業主向けのオンラインファクタリングサービスや、事業者向けの資金調達情報サイトなど、中小事業者を支援する金融関連サービスも展開しており、広告やポイントとは異なる収益源の育成にも取り組んでいる。全体としてセレスは、モッピーという強力な集客基盤を軸にしながら、広告、D2C、金融、暗号資産、O2Oといった複数の分野へ事業を広げてきた会社である。一つの事業に依存せず、多角化によって成長機会を追求する姿勢が強く、安定と成長の両立を目指すインターネット企業だと言える。

セレス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(単位百万) 営業利益 経常利益 純利益 一株益 EPS(円) 一株当たり配当
連20.12 20,213 1,496 1,816 744 67.3 18
連21.12 23,402 2,305 3,499 2,775 251.8 40
連22.12 20,536 1,246 679 46 4.1 20
連23.12 24,070 1,118 1,217 451 39.6 20
連24.12 27,706 2,228 2,677 1,480 129.0 60
連25.12予 28,400 2,850 3,250 3,350 290.3 60
連26.12予 32,000 3,400 3,800 2,100 182.0 60〜65

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2022 101 -1,685 1,191
2023 1,061 -738 1,233
2024 722 -518 3,266

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率(%) ROA(%) ROE(%) PER(倍) PBR(倍)
2023 4.6 1.7 4.9
2024 8.0 4.4 13.2 高値平均 222.4
安値平均 75.8
1.79
2025 10.0 10.1 30.0 7.4

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず売上と利益の推移を見ると、売上高は23.12期が約240億円、24.12期が約277億円、25.12期予想で約284億円、26.12期予想では約320億円と、事業規模は着実に拡大している。トップラインは安定して伸びており、事業基盤そのものは強い。一方で利益面を見ると、23.12期の営業利益は約11億円と低水準だったが、24.12期には約22億円へと一気に倍増し、25.12期予想では約28億円、26.12期予想では約34億円と、明確な回復・成長フェーズに入っている。経常利益も同様に拡大しており、収益構造が改善していることがはっきり分かる。純利益は25.12期予想で約33億円と突出した水準になっているが、26.12期予想では約21億円へ減少しており、利益の振れ幅が大きい点は意識しておく必要がある。

収益性の指標を見ると、営業利益率は2023年の4.6%から、2024年8.0%、2025年10.0%へと急速に改善している。低収益体質だった状態から、2年ほどで利益率が倍以上に改善しており、単なる一時的な要因ではなく、事業構造そのものが変わりつつあることを示している。ポイントメディアを軸としながらも、収益性の高い分野が寄与し始めている局面だと読み取れる。

資本効率の面でも変化は顕著で、ROEは2023年の4.9%から2024年13.2%、2025年30.0%へと急上昇している。ROAも1.7%から10.1%まで改善しており、資本・資産の使い方が一気に効率化している。これらの数値だけを見ると、セレスは完全に収益回復フェーズから成長フェーズへ移行しつつあるように見える。

一方で株価評価を見ると、2024年時点では実績PERが高値平均で222.4倍、安値平均でも75.8倍と極端に高く、業績回復の初期段階で株価だけが先行していた状態だったことが分かる。ただし、2025年予想PERは7.4倍まで一気に低下しており、利益成長が株価の割高感を急速に吸収している。PBRは1.7倍で、ROEが30.0%まで上がる前提で見ると、評価はむしろ控えめな水準に見える。

これらを総合すると、セレスは直近まで高PERでリスクの高い銘柄だったが、足元では利益成長が急速に進み、評価が一気に正常化、もしくは割安側に寄りつつある段階にあると言える。営業利益率、ROE、ROAの改善は非常に分かりやすく、数字だけを見る限り、企業の体質は大きく変わっている。

ただし、純利益のブレが大きく、26.12期予想では減益となっている点から、利益の安定性という意味ではまだ完成度が高い企業とは言いにくい。配当も高水準ではあるが、インカム目的よりは業績改善と再評価を狙う投資のほうが合っている。結論として、提示された数値だけで判断するなら、セレスは高リスク高評価の局面を抜け、業績回復が数字に表れ始めた段階にある銘柄であり、短期の値動きよりも中期的に業績が計画どおり進むかを見極めながら向き合うタイプの投資対象だと言える。

配当目的とかどうなの?

配当目的という視点でセレスを見ると、以前と比べて評価はかなり変わってきているが、万人向けの安定配当株かというと、まだ少し性格が違うという印象になる。まず数字だけを見ると、25.12期の予想配当利回りは3.90%、26.12期でも2.92%と、利回り水準そのものは十分に高い。一般的な配当狙いの目安である3%前後は満たしており、無配や低配だった過去と比べると、明確に株主還元を意識し始めている段階にあることが分かる。表面的な利回りだけを見れば、配当目的として検討に値する水準には入ってきている。

一方で、業績との関係を見ると注意点も多い。直近数年で営業利益率やROEが急改善しており、25.12期予想ではROE30%と非常に高い数字が出ているが、同時に純利益は年ごとの振れが大きい。25.12期は約33億円と大きく伸びる一方、26.12期予想では約21億円へ減少しており、利益の安定性という点ではまだ発展途上にある。配当原資となる利益が年によって大きく動く企業は、長期の安定配当という意味では不確実性が残る。

また、セレスの事業構造を見ると、ポイントメディアや広告、暗号資産関連など、市況や外部環境の影響を受けやすい分野を多く含んでいる。好調な年は配当利回りが高く見えるが、環境が変われば業績も配当方針も動きやすいタイプの企業だと言える。電力や通信、食品のようなディフェンシブな安定配当株とは性格がまったく異なる。

これらを踏まえると、セレスは「配当もそこそこ取れる成長回復株」という位置づけになる。配当だけを目的に長期で保有する銘柄というよりは、業績改善と再評価を前提にしつつ、その間に3%前後の配当を受け取れる銘柄、と考える方がしっくりくる。業績が順調に推移すれば配当は魅力的だが、業績次第では減配リスクも意識しておく必要がある。

結論として、セレスは配当目的として「完全に不向き」ではなくなったが、「安定インカム狙いの主力銘柄」に据えるタイプでもない。配当を一つの要素として評価しつつ、あくまで業績動向を注視しながら保有する中期向けの銘柄、という判断になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の株価2,048.0円から今後5年間を見据えると、セレスは国内最大級のポイントサイト「モッピー」を中核とする安定収益基盤を持ちながら、暗号資産、金融、D2Cといった成長分野へ事業を広げてきたインターネット企業である。直近では営業利益率、ROE、ROAが急速に改善しており、業績面では明確な回復・成長局面に入っている。一方で、過去には利益の振れが大きく、事業特性上、市況や外部環境の影響を受けやすい点もあり、今後の値動きは業績の安定性と市場の評価水準に大きく左右される。

良い場合のシナリオでは、ポイントメディア事業が引き続き安定収益を生み出しつつ、暗号資産・金融関連事業が収益の柱として定着するケースを想定する。営業利益率は10%前後を維持し、ROEも20%超の水準が続く。利益成長が継続し、配当も安定的に支払われるようになれば、市場はセレスを「高収益かつ株主還元も期待できるインターネット企業」として評価する。この場合、PERは12~15倍程度が許容され、5年後の株価は3,000~3,800円程度まで上昇する余地がある。業績が想定以上に伸びれば、4,000円近辺を意識する展開も考えられる。

中間のシナリオでは、業績は会社計画どおりに推移するものの、純利益の振れや成長率の鈍化が意識され、市場の期待が落ち着くケースを想定する。営業利益率は8~10%、ROEも10%台後半に収れんし、評価は安定寄りとなる。この場合、PERは10倍前後で落ち着き、株価は1,900~2,500円程度のレンジで推移する可能性が高い。大きな値上がりは期待しにくいが、配当が下支えとなり、長期的には比較的安定した値動きになる。

悪い場合のシナリオでは、暗号資産関連事業の不振や広告市況の悪化により、利益の変動が再び大きくなるケースを想定する。営業利益率が低下し、ROEも10%を下回る水準になると、市場評価は急速に冷え込む。この場合、PERは7~8倍程度まで低下し、株価は現在値2,048.0円から1,200~1,600円程度まで下落する展開が考えられる。配当はあるものの、株価下落を完全に補うほどの下支えにはならず、回復には時間を要する可能性がある。

総合すると、現在値2,048.0円を起点としたセレスの今後5年間の値動きは、良い場合で3,000~3,800円前後、中間で1,900~2,500円、悪い場合で1,200~1,600円といったレンジが想定される。配当利回りは一定の魅力があるものの、本質的には業績回復と再評価をどこまで維持できるかがカギとなる銘柄であり、安定配当株というよりは、成長と還元の両立を見極めながら中長期で向き合うタイプの銘柄だと言える。

この記事の最終更新日:2025年12月13日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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