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FFRIセキュリティとは

FFRIセキュリティは、サイバーセキュリティ専業の純国産セキュリティベンダーであり、標的型攻撃を防ぐエンドポイントセキュリティ製品「FFRI yarai」で広く知られている。防衛省をはじめとする官公庁や安全保障関連分野への取り組みを強化しており、サイバーセキュリティを通じて日本の安全保障を支えることを企業の中核的な使命としている。同社の最大の特徴は、サイバーセキュリティのコア技術を自社で研究・開発する純国産ベンダーである点にある。海外製品への依存度が高いセキュリティ業界において、日本国内で開発からサポートまでを一貫して行い、日本発の技術で日本のサイバー領域における安全保障を支えてきた企業は極めて少なく、FFRIセキュリティはその中でもほぼ唯一の存在といえる。
高い技術力とリサーチ能力を強みとし、広範なセキュリティコア技術を基盤に、さまざまな角度からセキュリティ対策を支援している。防御技術の開発にとどまらず、実際のサイバー攻撃技術そのものを研究するオフェンシブセキュリティのアプローチを採用しており、攻撃者の視点から脅威を理解し、その対策技術を開発している点が大きな特徴である。
主力製品であるFFRI yaraiは、最新のマルウェアや侵入を多数検知してきた実績を持つ純国産エンドポイントセキュリティ製品であり、検知技術や運用ノウハウに優れたエンジニアが導入から運用までをサポートしている。さらに、FFRI yarai Managed Serviceとして、セキュリティ専門企業によるマネージド・サービスも提供し、運用負荷の軽減と実効性の高い防御体制を実現している。
サービス面では、世界で発生している最新のサイバー攻撃や、日本を特に狙った攻撃を、国家や重要インフラを守るという視点から調査・解析している。Prime Analysisでは、脅威情報や脆弱性情報の管理に関する課題解決を支援し、Attack Surface Researchでは、攻撃者と同様の手法でインターネット公開機器を調査することで、攻撃面の可視化とASMの支援を行っている。
また、脆弱性診断では、OSやミドルウェア、Webアプリケーションを対象にセキュリティ上の欠陥を診断し、経済産業省の情報セキュリティサービス基準を満たした信頼性の高いサービスを提供している。先端技術領域では、IoT製品やモバイルアプリを対象としたセキュリティ検証、ペネトレーションテスト、サプライチェーンリスク評価、コンサルティングなどにも対応している。加えて、マルウェア解析サービスでは、不審なファイルや攻撃コードを動的・静的の両面から解析し、インシデント対応や検知精度向上を支援する詳細な解析レポートを提供している。
総じてFFRIセキュリティは、純国産技術を基盤とした高度な研究開発力とリサーチ能力を武器に、民間企業のみならず、国家や重要インフラレベルの安全保障領域を支える、国内でも極めて希少なサイバーセキュリティ専門企業である。
FFRIセキュリティ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益 EPS(円) | 一株当り配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 1,952 | 202 | 247 | 187 | 23.6 | 0 |
| 連24.3 | 2,446 | 497 | 540 | 432 | 54.6 | 10 |
| 連25.3 | 3,039 | 817 | 880 | 687 | 86.9 | 14 |
| 連26.3予 | 4,260 | 1,000 | 1,050 | 780 | 98.6 | 14〜15 |
| 連27.3予 | 5,200 | 1,500 | 1,550 | 1,080 | 136.5 | 14〜20 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 302 | -26 | -161 |
| 2024 | 390 | -20 | -50 |
| 2025 | 641 | -477 | -79 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 10.3% | 10.6% | 7.1% | ― | ― |
| 2024 | 20.3% | 19.8% | 12.7% | ― | ― |
| 2025 | 26.8% | 24.6% | 15.9% | 48.2倍(高) 24.5倍(安) |
18.36倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績を億円ベースで見ると、売上高は2023年の約19.5億円から2024年24.4億円、2025年30.3億円と急拡大しており、2026年予想では42.6億円、2027年予想では52.0億円と、5年で2.5倍以上の成長が見込まれている。成長スピードはかなり速く、明確な拡大局面にある。営業利益は2023年2.0億円、2024年4.9億円、2025年8.1億円と、売上以上のペースで増加している。経常利益、純利益も同様に拡大しており、純利益は1.8億円から4.3億円、6.8億円と大きく伸びている。利益成長の質は高く、売上増加がそのまま利益に結びついている構造である。
営業利益率を見ると、2023年10.3%、2024年20.3%、2025年26.8%と急激に改善している。サイバーセキュリティ企業としてはかなり高い水準に入りつつあり、固定費を吸収しながらスケールメリットが強く出てきている段階といえる。資本効率と資産効率も非常に良い動きである。ROEは2023年10.6%、2024年19.8%、2025年24.6%と、わずか3年で2倍以上に上昇している。ROAも7.1%から12.7%、15.9%と着実に改善しており、投下した資本と資産を使って効率よく利益を生み出せる企業に変化していることが分かる。
このように、営業利益率、ROE、ROAのすべてが同時に改善している点は非常に評価が高く、単なる売上成長企業ではなく、収益構造そのものが強くなっている段階にあると判断できる。一方で、株価評価はかなり高い水準にある。2025年時点のPERは安値平均で24.5倍、高値平均で48.2倍と幅があり、期待先行の評価が付いている。PBRも18.4倍と極めて高く、すでに将来の高成長と国策・安全保障テーマを強く織り込んだ水準である。
このため、FFRIセキュリティは数値上は文句のない高成長・高収益化フェーズにある一方、投資判断としては「業績が計画どおり、あるいはそれ以上に伸び続けること」が前提となる銘柄である。成長が続く限り評価は正当化されるが、成長率が鈍化した場合には、利益が増えていてもPERやPBRの切り下げによって株価が大きく調整するリスクを内包している。
総合すると、FFRIセキュリティは、売上・利益・利益率・ROE・ROAのすべてが急速に改善している非常に質の高い成長企業であり、事業内容と数値は強い。一方で、現在の評価水準はすでにかなり高く、割安株として買う銘柄ではない。成長ストーリーと高い収益化が今後も続くと信じられる投資家向けの、ハイリスク・ハイリターン寄りの成長株という判断になる。
配当目的とかどうなの?
数値だけで配当目的としてどうかを見ると、FFRIセキュリティは、配当目的の投資には明確に向かない銘柄と判断できる。まず予想配当利回りは、連26.3、連27.3ともに0.19%と極めて低い水準にある。これは市場平均や高配当株どころか、一般的な成長株の中でも最低水準に近く、インカム収入を目的に保有する意味はほぼない数字である。
配当の持続性という観点では、営業利益や純利益が急拡大しており、財務的に配当を出せない企業ではない。ただし、実際の配当額はEPSに対してごくわずかであり、利益はほぼすべて成長投資や事業拡大に回す方針であることが数値から明確に読み取れる。配当は株主還元というより、形式的に付けている程度の水準にとどまっている。
今後についても、仮に利益が増え続けたとしても、配当利回りが大きく改善する可能性は低い。現状の利益成長スピードとPER・PBRの高さを考えると、会社の価値は配当ではなく成長期待によって評価されている段階であり、増配によって投資魅力を高める局面ではない。
総合すると、FFRIセキュリティは配当を目的に買う銘柄ではなく、配当は完全におまけである。投資の主眼は、売上・利益・利益率・ROE・ROAが急速に改善している高成長フェーズそのものに置くべきであり、インカム狙いの投資家にとっては不適合、キャピタルゲイン狙いの成長株投資家向けの銘柄、という結論になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価7,240円を起点に今後5年間を見据えると、FFRIセキュリティの株価は、業績成長がどこまで持続するかと、安全保障・国策テーマへの市場評価が継続するかどうかに大きく左右される。安定成長や配当を前提とした銘柄ではなく、成長の持続性そのものが投資テーマとなる。
良い場合のシナリオでは、26.3期、27.3期予想どおりに売上・利益の高成長が続き、営業利益率が30%前後まで上昇するケースを想定する。ROEが20%台後半で定着し、国防・安全保障分野での存在感がさらに強まれば、市場は引き続き高い成長プレミアムを許容する可能性がある。この場合、PERは40倍前後が維持され、EPSの成長とともに株価は上昇する。5年後の株価水準としては10,000円から14,000円程度が視野に入り、テーマ株として評価され続ける展開となる。
中間のシナリオでは、成長は続くものの伸び率が徐々に鈍化し、利益は拡大するが市場の期待には届かないケースを想定する。PERは30倍前後まで切り下がり、株価は高値と調整を繰り返す不安定な推移となる。この場合、株価は5,500円から8,500円程度のレンジで推移し、5年後の水準は7,000円前後に落ち着く可能性が高い。
悪い場合のシナリオでは、売上成長は続くものの利益成長が鈍化し、営業利益率やROEの改善が止まるケースである。市場が成長ストーリーに疑問を持ち始めると、PERは20倍前後まで切り下げられ、株価は大きく調整する。この場合、現在値7,240円から4,000円から5,000円程度まで下落する可能性があり、5年間を通じて高値回復に時間を要する展開も考えられる。
総合すると、FFRIセキュリティは配当や安定性を目的とした投資には向かず、業績成長と国策テーマに賭ける高リスク・高変動性の成長株である。現在の株価はすでに高い期待を織り込んでおり、今後5年間の値動きは、良い場合で10,000円超、中間で7,000円前後、悪い場合で4,000円台まで振れる可能性がある。投資判断としては、値動きの大きさを許容できる投資家向けの銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2025年12月13日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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