株価
コムチュアとは

コムチュアは、クラウドを主力とする独立系のシステムインテグレーターであり、企業向けのITソリューションを幅広く提供しているソフトウェア会社である。本社は東京都品川区大崎に置き、JPX日経中小型株指数の構成銘柄にも採用されている。特定のメーカー系列に属さない独立系である点を強みとし、顧客企業の業種や規模に応じた柔軟なIT支援を行っている。
事業の中心は、クラウドサービスの導入支援やシステム構築である。企業の基幹システムや業務システムをクラウド環境へ移行する案件を多く手がけており、既存システムの更改や業務効率化を目的としたDX案件が増えている。クラウドを前提としたシステム設計や運用までを一貫して担う点が特徴で、単発の開発にとどまらず、継続的な運用・保守ビジネスにつなげている。
また、AIやRPAといった分野にも強みを持ち、業務の自動化やデータ活用をテーマとしたソリューションを提供している。定型業務の自動化や業務プロセスの効率化を目的としたRPA導入支援、データ分析や予測を活用したAI関連の取り組みなど、企業のDX推進を支える技術領域を幅広くカバーしている。ネットワークやITインフラの運用分野も事業の一角を占めており、システム構築後のネットワーク運用、監視、セキュリティ対策などを含めた運用サービスを提供している。これにより、顧客企業のIT部門を長期的に支援する関係を築いており、ストック型に近い収益構造を形成している。
近年は、従来のシステム構築中心のビジネスから、ITコンサルティング機能の強化にも力を入れている。単にシステムを作るだけでなく、業務課題の整理やIT戦略の立案段階から関与し、クラウド、AI、RPAなどの技術をどのように活用するかを含めた提案型のビジネスを拡大している点が特徴である。
グループ会社としては、ネットワーク分野を担うコムチュアネットワーク、マーケティング支援を行うコムチュアマーケティング、データ分析やAI関連を手がけるコムチュアデータサイエンス、人材育成を担うエディフィストラーニング、IT教育や人材関連事業を行うヒューマンインタラクティブテクノロジーなどを擁している。それぞれの会社が専門領域を持ち、グループとして総合的なITサービスを提供できる体制を整えている。
全体としてコムチュアは、クラウドを軸に、AI、RPA、ネットワーク運用、ITコンサルティングといった分野を組み合わせながら、企業のDXを支援するITサービス企業である。派手な消費者向けサービスを展開する企業ではないが、企業の業務に深く入り込む形で安定した需要を取り込み、着実な成長を目指すビジネスモデルを構築している。
コムチュア 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 29,056 | 4,065 | 4,067 | 2,695 | 84.6 | 44 |
| 連24.3 | 34,185 | 4,600 | 4,597 | 3,135 | 98.4 | 46 |
| 連25.3 | 36,341 | 4,630 | 4,660 | 3,160 | 99.1 | 48 |
| 連26.3(予) | 40,000 | 5,000 | 5,000 | 3,330 | 104.4 | 50 |
| 連27.3(予) | 44,000 | 5,500 | 5,500 | 3,600 | 112.9 | 50〜54 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 1,947 | -1,707 | -1,303 |
| 連24.3 | 3,424 | 449 | -1,952 |
| 連25.3 | 3,194 | -923 | -1,512 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 13.9% | 17.8% | 12.3% | ― | ― |
| 2024 | 13.4% | 18.6% | 13.3% | ― | ― |
| 2025 | 12.7% | 17.1% | 12.3% | 30.0倍(高) / 18.3倍(安) | 2.77倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益の規模を見ると、24年3月期の営業利益は約46億円、経常利益も約45億円、純利益は約31億円となっている。25年3月期は営業利益が約46億円、経常利益が約46億円、純利益が約31億円と、利益水準はほぼ横ばいで推移している。26年3月期予想では、営業利益が約50億円、経常利益も約50億円、純利益は約33億円と、再び増益に転じる見通しとなっている。利益規模としては中堅SIの中でも安定感があり、着実な拡大が続いている。
営業利益率は23年13.9%、24年13.4%、25年12.7%と、やや低下傾向にあるものの、依然として12%台後半を維持している。水準自体は高く、価格競争に巻き込まれにくい事業構造を持っていることがうかがえる。一方で、右肩上がりではなく緩やかに低下している点からは、成長に伴うコスト増や人材投資の影響が出始めているとも読める。
ROEは23年17.8%、24年18.6%、25年17.1%と、17%台から18%台で安定している。ROAも23年12.3%、24年13.3%、25年12.3%と高水準を維持しており、資本効率・資産効率ともに非常に優秀である。派手な上昇はないが、ブレが小さく、安定して高い点がこの会社の特徴といえる。
バリュエーション面では、25年の実績PERは高値平均で30.0倍、安値平均で18.3倍となっている。利益成長は着実だが急成長というほどではないため、30倍という水準はやや期待先行の評価と感じる。一方で、18倍前後まで評価が下がる局面であれば、ROE17%台、ROA12%台という収益性を考えると、納得感のある水準になる。PBRは2.7倍と、ROE水準を踏まえれば極端な割高感はない。
総合すると、この銘柄は営業利益率・ROE・ROAがいずれも高水準で、利益規模も着実に拡大している点が強みである。一方で、利益率はやや低下傾向にあり、成長スピードは安定寄りであるため、高PERを正当化し続けるには業績の積み上げが不可欠になる。結論としては、急成長株というより、高収益体質を維持しながら堅実に伸びるタイプの企業であり、株価がPER高値圏にある局面では慎重、安値圏に近づく場面では中長期で検討しやすい銘柄、という投資判断になる。
配当目的とかどうなの?
26年3月期、27年3月期ともに予想配当利回りは3.0%となっている。この水準は、日本株全体で見れば平均よりやや高く、明確な高配当株とまでは言えないものの、配当目的として十分に検討対象に入る利回りだといえる。
これまでの利益水準を見ると、営業利益は50億円前後、純利益も30億円規模を維持しており、配当の原資となる利益は安定している。営業利益率も12%台後半と高く、事業としての収益力は強い。短期的に減配を心配する必要は小さく、現行水準の配当は比較的維持されやすいと考えられる。
一方で、この銘柄は配当利回りだけを最優先に狙うタイプではない。ROEが17%台と高く、利益を内部に再投資して成長につなげる余地も大きいため、会社としては配当と成長投資のバランスを重視している印象がある。今後も配当を急激に引き上げるより、安定的に増配していく姿勢が基本になりやすい。
そのため、純粋な高配当狙いで短期的に利回りを取りにいく投資には向きにくいが、安定した配当を受け取りながら中長期で保有するスタイルとは相性がいい。値動きが比較的落ち着いた局面であれば、配当利回り3.0%は一定の下支えとして機能しやすい。結論として、配当を最優先に考える投資よりも、業績の安定性と収益性を前提に、配当は「ほどよい水準」として受け取る投資に向いた銘柄、という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価1,664.0円を起点に今後5年間を見据えると、コムチュアはクラウドやDX関連を主力とする独立系SIとして、比較的安定した成長を続ける企業であり、株価はテーマ性よりも業績の積み上がりと収益性を評価されながら推移しやすい銘柄といえる。営業利益は40億円台後半から50億円規模へ拡大しており、営業利益率も12%台後半と高水準を維持している。ROE・ROAも安定して高く、配当利回り3%前後が下支えとなる構造を持っている。
良い場合のシナリオでは、企業のDX投資やクラウド移行需要が底堅く続き、売上・利益ともに着実な成長が継続するケースを想定する。営業利益は50億円台からさらに積み上がり、営業利益率も12%前後を維持できれば、ROEは17%前後で安定する。この場合、市場はコムチュアを高収益で安定成長するITサービス企業として評価し、PERは20~25倍程度が許容されやすくなる。利益の成長とともに株価も段階的に切り上がり、5年後には2,500円~3,000円程度まで上昇する展開が考えられる。
中間のシナリオでは、業績は堅調に推移するものの、成長率は徐々に落ち着き、利益率も現状水準で横ばいに近い推移となるケースを想定する。この場合、市場の評価は安定し、PERは15~18倍程度に収れんしやすい。株価は現在値1,664.0円を中心に緩やかに切り上がり、5年後の水準としては2,000円~2,300円程度が現実的な到達点になる。配当を受け取りながら、緩やかな値上がりを期待する形となる。
悪い場合のシナリオでは、企業のIT投資が鈍化し、受注環境がやや厳しくなるケースを想定する。業績は黒字を維持するものの、成長期待が後退し、市場の評価が切り下がる。この場合、PERは12~14倍程度まで低下しやすく、株価は一時的に1,300円前後まで調整する可能性がある。その後も大きな回復には時間がかかり、5年後でも1,400円~1,600円程度にとどまる展開が考えられる。
総合すると、現在値1,664.0円を起点としたコムチュアの今後5年間の値動きは、良い場合で2,500円~3,000円前後、中間で2,000円~2,300円、悪い場合で1,400円~1,600円といったレンジが想定される。高配当や急成長を狙う銘柄ではないが、収益性の高さと配当を下支えに、中長期で安定したリターンを狙う投資と相性の良い銘柄と言える。
この記事の最終更新日:2025年12月14日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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