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テラスカイとは

株式会社テラスカイは、東京都中央区日本橋に本社を置く日本のシステムインテグレータで、クラウドコンピューティング分野に特化したITサービス企業である。2006年に佐藤秀哉氏が設立し、創業当初からクラウド関連システムの開発・導入支援を主軸に事業を展開してきた。2014年にはセールスフォース・ドットコムと業務提携を締結し、Salesforce領域における国内有数のクラウド専業SIerとしての地位を確立。2018年に東京証券取引所一部へ上場している。
主な事業はクラウド・インテグレーション、クラウド・コンサルティング、自社および連携クラウド製品の提供で構成される。クラウド・インテグレーション分野では、Salesforceを中心に、MuleSoft Anypoint Platform、Amazon Web Services、Herokuなどのクラウド基盤を活用し、システムの設計、構築、開発、運用までを一貫して支援している。特にSalesforce分野では、CRM、業務アプリケーション、基幹連携など幅広い領域に対応している。
クラウド・コンサルティング分野では、DX推進を軸に、デジタルマーケティング支援、マーケティングツール導入支援、Salesforce開発の内製化支援、CoE立ち上げ支援などを提供。顧客データ活用や業務プロセス改革を含めた戦略立案から、システム構築・定着化までをワンストップで支援する点を特徴としている。
製品・サービス面では、Salesforceを基盤としたクラウドグループウェア「mitoco」を中心に、ERP、会計、データ連携分野へ展開している。mitocoはITreview Grid Awardを13回連続受賞しており、チャットボットツール部門やSalesforce拡張機能部門で最高位評価を獲得するなど、市場で高い評価を得ている。関連製品として、mitoco ERP、mitoco会計、mitoco X(データインテグレーション)、SkyVisualEditor、Flosum、ACCELQなどを展開している。
このほか、AWS運用に特化した子会社スカイ365や、AWSに強みを持つBeeXなどグループ企業との連携により、構築から運用までをカバーする総合的なクラウドサービスを提供している。フロー型のSI収益と、mitocoを中心としたストック型のクラウド製品収益を組み合わせた事業モデルにより、クラウド需要の拡大を背景とした中長期的な成長を目指している。
テラスカイ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株当たり配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.2 | 15,440 | 512 | 610 | 347 | 27.2 | 0 |
| 連24.2 | 19,137 | 522 | 655 | 300 | 23.4 | 0 |
| 連25.2 | 24,709 | 1,452 | 1,603 | 1,018 | 78.9 | 0 |
| 連26.2予 | 29,400 | 1,830 | 1,970 | 1,430 | 110.8 | 0 |
| 連27.2予 | 32,500 | 2,100 | 2,250 | 1,550 | 120.1 | 0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 978 | -975 | 216 |
| 2024 | 671 | -894 | -59 |
| 2025 | 1,558 | -1,008 | 345 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 3.3% | 3.6% | 2.2% | ― | ― |
| 2024 | 2.7% | 2.7% | 1.6% | ― | ― |
| 2025 | 5.8% | 9.1% | 5.2% | 92.3倍(高) / 39.3倍(安) | 2.28倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の数字を見ると、売上高は191.3億→247.0億→294.0億と順調に拡大しており、会社規模自体は着実に大きくなっている。営業利益も5.2億→14.5億→18.3億と大きく伸び、経常利益、純利益も同様に増加しているため、量的な成長という点ではかなり強い数字が出ている。一方で収益性を見ると、営業利益率は3.3%から2.7%へ一度低下した後、直近予想では5.8%まで改善している。ROEも3.6%→2.7%→9.1%、ROAも2.2%→1.6%→5.2%と、直近で一気に効率性が良くなっている。少なくとも直近の数字だけを見る限り、低収益体質から抜け出しつつある段階に入ったと判断できる。
ただし評価面はかなり強気だ。2025年の実績PERは安値平均でも39.3倍、高値平均では92.3倍と非常に高く、PBRも2.3倍ある。ROEが9.1%まで改善しているとはいえ、この水準のPERとPBRは、今後も利益が伸び続けることを前提に株価が付いている状態だといえる。総合すると、この銘柄は業績の伸びと収益性改善が数字としてはっきり確認できる一方で、株価評価はすでに先行している。成長が続く限りは評価が崩れにくいが、もし利益成長が鈍化したり、営業利益率が再び下がるようなことがあれば、株価調整の余地も大きい。
配当はゼロであり、安定収益やインカム目的で保有する銘柄ではない。どちらかと言えば、業績拡大が続くことを前提に値動きを取りに行く成長株で、押し目や業績確認後に段階的に入る方が無難なタイプだと考えられる。
配当目的とかどうなの?
配当目的という観点で見ると、この銘柄は正直なところ優先順位はかなり低い。予想配当利回りは連26.2、連27.2ともに0.78%と1%を大きく下回っており、一般的に配当狙いで求められる2〜3%台にはまったく届いていない。これまで配当がゼロだったことを考えると、配当を出し始めた点自体は前向きな変化だが、水準としては象徴的、もしくは株主還元姿勢を示すための最低限のラインに近い。
また、この会社は売上高や利益が大きく伸びている成長局面にあり、実際に営業利益や純利益はここ数年で数倍に拡大している。一方でPERは安値平均でも40倍前後、高値平均では90倍超とかなり高く、株価はすでに成長期待を強く織り込んでいる状態だ。このような局面では、会社側も内部留保を成長投資に回すインセンティブが強く、配当を積極的に増やしていくフェーズにはまだ入っていないと考えるのが自然だ。
さらに、利回りが低い銘柄の場合、株価が少し調整しただけでも含み損が配当額を簡単に上回ってしまう。たとえば0.78%という利回りは、株価が1日で1%動くだけで簡単に相殺される水準であり、価格変動リスクに対するクッションとしてはほとんど機能しない。インカム目的の投資では、配当が下落耐性として働くことが重要だが、この水準ではその役割は期待しにくい。
総合すると、この銘柄は配当を安定的に受け取りながら長期保有するタイプではなく、あくまで業績拡大と株価上昇を主なリターン源泉とする成長株で、配当はおまけ程度に考えるべき存在だ。もし配当目的で投資するのであれば、同じ資金でより高利回りかつ配当実績が安定している銘柄を選ぶ方が合理的で、この銘柄を選ぶ理由はほとんど見当たらない、というのが率直な評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
テラスカイはSalesforceを中心としたクラウドインテグレーション事業を主力とし、近年は自社プロダクトであるmitocoシリーズやデータ連携、クラウド運用領域にも事業を広げている企業である。売上高は年々拡大しており、会社規模そのものは着実に成長している。一方で、SI事業特有の人件費比率の高さや投資フェーズの影響から、過去には営業利益率、ROE、ROAが低水準にとどまり、収益性の弱さが課題として意識されてきた。ただし直近では営業利益、純利益ともに大きく伸び、営業利益率、ROE、ROAも明確に改善しており、低収益体質からの脱却が数字として見え始めている段階にある。配当はこれまでゼロで、予想配当利回りも1%未満と低く、株主還元よりも成長投資を優先する姿勢が続いているため、配当目的ではなくキャピタルゲイン狙いの成長株という位置づけになる。
良い場合のシナリオでは、Salesforce関連需要の拡大を背景にSI案件が安定的に積み上がり、自社プロダクトの契約数も順調に増加するケースを想定する。これにより売上高の成長が続くだけでなく、プロダクト比率の上昇によって利益率が改善し、営業利益率は5〜6%台で定着する。ROEも10%前後を維持できるようになれば、これまで割高感を意識されやすかった評価も次第に正当化され、市場からは高成長クラウド企業として評価されやすくなる。この場合、PERは現在より低下しつつも成長プレミアムを維持し、株価は段階的に見直される。現在値2,036.0円を起点とすると、5年後には3,500円から4,500円程度まで上昇する展開が考えられる。
中間のシナリオでは、売上成長は続くものの成長率は徐々に鈍化し、営業利益率も5%前後で頭打ちになるケースを想定する。SI事業の人件費負担は依然として重く、プロダクト事業の伸びも想定ほど加速しないため、収益性の改善は限定的となる。市場の評価は落ち着き、PERは20倍前後まで調整されやすい。この場合、業績成長と評価調整が相殺され、株価は大きくは伸びないが下値も限定的となり、5年後の株価は2,200円から2,800円程度に収れんするシナリオが現実的といえる。
悪い場合のシナリオでは、クラウド投資需要の一服や競争激化により案件単価が伸びず、人件費増加を吸収できなくなるケースを想定する。営業利益率は再び3%台まで低下し、ROE、ROAも改善が止まる。成長期待が後退すれば、高いPERは維持できず、市場評価は急速に切り下がる可能性がある。この場合、業績が大きく崩れなくても株価は調整局面に入り、現在値を下回る水準で推移しやすくなる。5年後の株価は1,200円から1,600円程度にとどまる展開も十分に考えられる。
総合すると、現在値2,036.0円を起点としたテラスカイの今後5年間の値動きは、良い場合で3,500円から4,500円前後、中間で2,200円から2,800円、悪い場合で1,200円から1,600円といったレンジが想定される。業績は明確に成長局面に入っているものの、株価はすでに一定の成長を織り込んでおり、安定投資や配当投資には向かない。業績拡大と収益性改善がどこまで続くかを見極めながら、値動きを取りに行く成長株として位置づけるのが妥当だと考えられる。
この記事の最終更新日:2025年12月14日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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