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マークラインズとは

マークラインズ株式会社は、東京都千代田区に本社を置く自動車産業に特化した情報サービス企業である。自動車メーカーや自動車部品メーカーを主な顧客とし、国内外の自動車産業に関する情報を集約・提供するWeb情報サービスを中核事業として展開している。JPX日経中小型株指数の構成銘柄の一つでもあり、自動車業界向けの専門情報会社として一定の認知と実績を持つ企業である。
同社の特徴は、自動車産業関連企業をつなぐオンライン情報サービスを運営し、情報の「収集」と「発信」の両方の機能を備えている点にある。世界各国の自動車生産・販売動向、技術情報、部品構成、サプライチェーン情報など、自動車関連企業が共通して必要としながらも自社で収集するには多大なコストと手間がかかる情報を、会員制のオンラインサービスとして提供している。サービスは日本語・英語・中国語の3か国語に対応しており、グローバルに事業を展開する完成車メーカーや部品メーカーに利用されている。
中核となる情報プラットフォーム事業では、販売・生産台数データ、市場・技術レポート、モデルチェンジ予測、ニュース配信、部品メーカー検索、主要企業レポート、完成車メーカーの拠点情報、CASE(電動化・自動運転)関連情報、人事情報など、多岐にわたるコンテンツを提供している。これらの情報は研究開発、購買、営業、経営企画といった幅広い部門で活用されており、月額課金を中心としたストック型のビジネスモデルが同社の安定収益の基盤となっている。
また、情報提供に加えて、コンサルティングや受託調査といった個別対応型の事業も展開している。技術調査、市場調査、コスト比較分析、プロセス改善、サプライヤ調査、新製品や販路開拓の支援など、実務に直結した調査・分析を行い、顧客企業の意思決定を支援している。さらに、自動車業界に特化した人材紹介事業も手がけており、専門性の高い人材ニーズに応える形で事業領域を広げている。
広告・プロモーション分野では、製品情報の掲載、PRメール、バナー広告などを通じて、顧客企業の技術や製品の情報発信を支援している。加えて、英国の調査・コンサルティング会社グローバルデータ社が提供する市場予測情報の販売や、車両・電子部品の分解調査を行うベンチマーキング事業も展開している。これらには、分解レポートの提供だけでなく、車両や部品の調達代行サービスも含まれており、単なる情報提供にとどまらない実務支援型のサービスが特徴となっている。
総じてマークラインズは、自動車産業に特化した会員制Web情報サービスを中核に、調査、コンサルティング、人材紹介、広告、ベンチマーキング、車両・部品調達代行まで幅広く事業を展開する情報サービス企業である。自動車産業のグローバル化やCASE対応といった構造変化を背景に、専門性の高い情報と実務支援を組み合わせた独自のポジションを築いている点が同社の大きな特徴である。
マークラインズ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連20.12 | 2,663 | 960 | 957 | 630 | 47.8 | 21 |
| 連21.12 | 3,498 | 1,281 | 1,270 | 885 | 67.1 | 23 |
| 連22.12 | 4,125 | 1,623 | 1,622 | 1,139 | 86.3 | 29 |
| 連23.12 | 4,845 | 1,991 | 1,988 | 1,383 | 104.7 | 36 |
| 連24.12 | 5,562 | 2,216 | 2,227 | 1,577 | 119.4 | 48 |
| 連25.12予 | 6,400 | 2,300 | 2,300 | 1,600 | 122.6 | 52 |
| 連26.12予 | 6,900 | 2,700 | 2,700 | 1,890 | 144.8 | 59〜60 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 1,387 | -368 | -302 |
| 2023年12月期 | 1,785 | -601 | -383 |
| 2024年12月期 | 1,540 | -564 | -473 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年12月期 | 41.0% | 25.1% | 18.4% | – | – |
| 2024年12月期 | 39.8% | 23.8% | 18.0% | 高値平均 31.7 / 安値平均 20.6 | 3.13 |
| 2025年12月期 | 36.8% | 22.2% | 16.7% | 予想 13.99 | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず売上高を見ると、23.12期は48億、24.12期は55億、25.12期予は64億、26.12期予は69億となっており、年を追って着実に拡大している。事業規模はまだ大きくはないが、成長の持続性ははっきりしており、右肩上がりの推移が続いている点は評価できる。
次に利益面を見る。営業利益は23.12期19億、24.12期22億、25.12期予23億、26.12期予27億と安定して増加している。経常利益も23.12期19億、24.12期22億、25.12期予23億、26.12期予27億と営業利益と同様の推移であり、収益構造がシンプルでブレが少ない。純利益は23.12期13億、24.12期15億、25.12期予16億、26.12期予18億と一貫して増加しており、利益の質と安定性は非常に高い。
収益性を見ると、営業利益率は2023年41.0%、2024年39.8%、2025年36.8%と、緩やかに低下しているものの、依然として極めて高水準である。情報サービス企業としての高付加価値体質が明確であり、競争力の高さが数字に表れている。資本効率を見ると、ROEは2023年25.1%、2024年23.8%、2025年22.2%と2割超を維持している。ROAも2023年18.4%、2024年18.0%、2025年16.7%と非常に高く、資産を効率的に利益へ転換できている。いずれも低下傾向ではあるが、水準自体は優良企業の範疇を大きく上回っている。
バリュエーションを見ると、2024年の実績PERは高値平均31.7倍、安値平均20.6倍と高めであり、PBRは3.1倍となっている。高い収益性と成長性を前提にプレミアム評価を受けていたことが分かる。一方で、2025年の予想PERは14.0倍まで低下しており、利益成長が進めばバリュエーション面の割高感は急速に薄れる構造となっている。
この数値だけで判断するなら、マークラインズは成熟産業に属する企業とは異なり、高収益かつ成長性を兼ね備えた優良成長株である。短期的にはPER水準の変動による株価の上下はあり得るが、中長期では利益の積み上がりが株価を押し上げる可能性が高い。投資判断としては、価格変動リスクを許容できる前提での中長期保有向きの銘柄であり、積極寄りの評価が妥当である。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは25.12期、26.12期ともに3.34%と、マークラインズは情報サービス企業としては比較的高い水準にある。一般的に高成長・高収益のIT・情報系企業は配当利回りが低くなりやすいが、その中で3%超を維持している点は明確なプラス要素である。
配当の裏付けとなる利益水準を見ると、純利益は23.12期13億、24.12期15億、25.12期予16億、26.12期予18億と安定して増加している。営業利益率は30%後半から40%前後、ROEは20%超、ROAも15%超と、マークラインズは収益性・資本効率のいずれも非常に高い水準にある。キャッシュフローも営業CFが安定してプラスで推移しており、配当原資に不安は見られない。
また、配当額自体もEPSの成長に合わせて着実に増加しており、マークラインズが無理に高配当を出している印象はない。高成長企業でありながら、成長投資と株主還元を両立している点は、この企業の大きな特徴といえる。
一方で、注意点としては、マークラインズが典型的な「高配当株」ではないという点がある。利回り3.34%は魅力的ではあるものの、電力・通信・金融といった高配当セクターと比べれば突出して高いわけではない。また、将来的に成長投資を優先する局面では、増配ペースが鈍化する可能性もある。
以上を総合すると、マークラインズは「配当だけを目的に保有する銘柄」ではないが、「成長を享受しながら、安定した配当も受け取りたい投資家」にとっては非常に相性の良い銘柄である。配当利回り3.34%は株価の下支えとして十分に機能しやすく、値動きと配当の両方を中長期で狙う投資に適した銘柄といえる。結論として、マークラインズは純粋なインカム狙いではやや物足りないものの、成長株の中では配当目的も十分に成立する、バランス型の優良銘柄という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価1,555.0円を起点に今後5年間を見据えると、マークラインズは自動車業界特化の情報サービスという明確な強みを持ち、高い営業利益率と安定した成長を継続している企業である。テーマ性で急騰するタイプではないが、業績の積み上がりと高収益体質を評価されながら、比較的素直に株価が形成されやすい銘柄といえる。
良い場合のシナリオでは、自動車業界のCASE対応やグローバル情報需要の拡大を背景に、会員数と単価が安定的に伸び、売上・利益ともに想定どおり成長が続くケースを想定する。営業利益率は30%台後半を維持し、ROEも20%超を保つ。市場はマークラインズを高品質な成長株として評価し、PERは20倍前後で安定する。この場合、利益成長に合わせて株価も段階的に切り上がり、5年後には2,400円〜2,800円程度まで上昇する展開が考えられる。
中間のシナリオでは、成長は続くものの伸びはやや鈍化し、売上・利益ともに予想レンジ内での推移にとどまるケースを想定する。営業利益率は30%台前半まで低下するが、依然として高水準を維持する。PERは15倍前後に収れんしやすく、株価は現在値を中心に緩やかに切り上がる展開となる。この場合、5年後の水準としては1,800円〜2,100円程度が現実的な到達点になる。
悪い場合のシナリオでは、自動車業界の投資抑制や情報投資の優先度低下により、会員増加が鈍化し、利益成長が止まるケースを想定する。営業利益率は20%台後半まで低下し、ROEも20%を下回る。市場の評価は慎重になり、PERは10〜12倍程度まで切り下がる可能性がある。この場合、株価は一時的に1,200円前後まで下落し、その後も大きな回復には時間がかかり、5年後でも1,200円〜1,400円程度にとどまる展開が考えられる。
総合すると、現在値1,555.0円を起点としたマークラインズの今後5年間の値動きは、良い場合で2,400円〜2,800円前後、中間で1,800円〜2,100円、悪い場合で1,200円〜1,400円といったレンジが想定される。高配当株ではないものの、成長と配当の両立が期待できる銘柄であり、中長期で業績の積み上がりを狙う投資と相性の良い企業といえる。
この記事の最終更新日:2025年12月14日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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