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北越コーポレーション(3865)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

北越コーポレーションとは

北越コーポレーションは、日本の製紙業界で国内5位規模に位置する大手製紙メーカーで、印刷・情報用紙と白板紙を主力とする会社である。洋紙ではコート紙や印刷用紙を中心に展開し、加えてパッケージ用途向けの白板紙、特殊紙なども手がけている。製紙業界全体が成熟・縮小傾向にある中でも、生産効率の高さと技術力によって一定の競争力を維持しているメーカーといえる。

同社の大きな強みは、新潟工場を中核とした生産体制にある。新潟工場は国内でも有数の高効率工場として知られ、規模・コスト・品質のバランスに優れている。これに加え、紀州工場や長岡工場、関東工場、大阪工場など全国に生産拠点を持ち、用途や地域に応じた柔軟な生産体制を構築している。こうした工場配置と設備投資の積み重ねが、北越コーポレーションの競争力の土台になっている。

技術面では「技術の北越」と呼ばれることも多く、業界に先駆けた取り組みが特徴的である。代表例がオンマシンコート技術で、抄紙工程と塗工工程を一体化し、コート紙を1パスで生産する仕組みをいち早く実用化した。当初は懐疑的に見られていたが、結果的に生産効率の高さが評価され、現在では製紙業界の標準技術の一つとなっている。また、紙以外の分野への展開も重要な特徴である。製紙技術を応用したガラス繊維製エアフィルターは世界トップクラスの技術力を持ち、半導体や液晶、記憶媒体工場のクリーンルーム向け原料として、アジアを中心に高いシェアを誇っている。このエアフィルター事業は、印刷用紙需要が減少する中での貴重な収益源となっている。

グループ体制としては、販売、物流、エンジニアリング、加工などを担う子会社を多数抱え、製造から販売までをグループ内で完結できる体制を整えている。また、家庭紙大手の大王製紙が持分会社として関係を持っており、業界内での資本関係という点でも特徴的な存在である。

過去には、王子製紙が北越コーポレーションに対して経営統合を提案し、事実上の敵対的買収を試みたことがある。この際には三菱商事や日本製紙がホワイトナイトとして関与し、結果的に王子製紙の統合構想は実現しなかった。この出来事は、北越コーポレーションの独立性と企業価値を象徴するエピソードとして語られている。全体として北越コーポレーションは、印刷・情報用紙という成熟分野を主軸としながらも、高効率な生産体制、独自技術、エアフィルターなどの非紙分野を組み合わせることで、製紙業界の中でも安定感と個性を持つ中堅大手メーカーといえる。

北越コーポレーション 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益
(円)
一株当り配当
(円)
連23.3 301,204 17,288 11,471 8,325 49.5 18
連24.3 297,056 15,267 17,766 8,396 49.9 18
連25.3 305,718 19,727 18,759 15,529 92.3 22
連26.3(予) 303,000 18,000 21,000 15,000 89.2 26
連27.3(予) 307,000 20,000 25,000 17,800 105.8 26〜28

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
連23.3 1,746 -12,753 -2,099
連24.3 22,320 -15,494 -3,801
連25.3 40,932 -18,816 -19,121

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 5.7% 3.6% 2.1%
2024 5.1% 3.3% 2.0%
2025 6.4% 5.8% 3.7% 33.1倍(高) / 12.7倍(安) 0.54倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず利益の推移を見ると、24年3月期は売上が約2,970億円に対して、営業利益が約152億円、経常利益が約177億円、純利益が約83億円となっている。紙市況が不安定な中でも一定の利益水準は確保できており、赤字に陥るような状態ではないが、利益率自体は高いとは言えず、安定重視の事業構造であることがうかがえる。

25年3月期は売上が約3,057億円、営業利益が約197億円、経常利益が約187億円、純利益が約155億円と、利益面で大きく改善している。特に純利益の伸びが大きく、一時的な要因も含みつつ、収益環境が好転した年だったといえる。26年3月期予想では、売上が約3,030億円と横ばいだが、営業利益は約180億円、経常利益は約210億円、純利益は約150億円と、25年並みの利益水準を維持する想定となっており、急失速するシナリオは想定されていない。

営業利益率は23年が5.7%、24年が5.1%、25年が6.4%となっており、製紙業としては比較的健全だが、高収益企業と呼べる水準ではない。ただし25年は明確に改善しており、コスト管理や市況の追い風が利益に反映された形になっている。ROEは23年3.6%、24年3.3%、25年5.8%と低水準ではあるものの、25年にかけて持ち直している。ROAも23年2.1%、24年2.0%、25年3.7%と同様に改善傾向にあり、資本効率・資産効率は「悪くはないが高くもない」という位置づけである。成長株というより、成熟産業の中で効率改善を進めている段階といえる。

バリュエーション面では、25年の実績PERは高値平均で33.1倍、安値平均で12.7倍と振れ幅が大きい。業績が良い局面では期待先行で買われやすい一方、慎重な局面では急速に評価が下がりやすい銘柄といえる。PBRは0.5倍台と低く、解散価値や資産価値を基準に見ると割安感は強い。ただし、ROEがまだ5%台であることを考えると、PBRが低いこと自体は必ずしも不自然ではない。

総合すると、北越コーポレーションは売上約3,000億円規模の安定した事業基盤を持ち、利益も150~200億円レンジで推移する見通しが立っている。一方で、営業利益率、ROE、ROAはいずれも突出した水準ではなく、大きな成長や高収益を期待する銘柄ではない。

投資判断としては、急成長を狙う銘柄ではなく、資産価値の下支えと業績の安定性を重視する中長期向けの銘柄である。PBRが0.5倍前後、PERが安値圏に近い局面であれば、割安修正を期待した投資の対象になりやすいが、PERが高値圏まで上昇している局面では、業績の割に期待先行になりやすく、慎重に見る必要がある。全体としては「低評価・安定型」の典型で、値幅狙いよりも安定重視のスタンスと相性が良い銘柄といえる。

配当目的とかどうなの?

配当目的という観点で見ると、北越コーポレーションは「高配当株」ではないものの、安定配当を重視する投資には十分に検討余地がある銘柄といえる。まず水準として、26年3月期・27年3月期ともに予想配当利回りは約3.0%となっており、東証プライム全体と比べるとやや高めの水準にある。急成長企業のような派手さはないが、利回りだけを見ればインカム目的として一定の魅力はある。

業績面を見ると、営業利益は150~200億円規模、純利益も150億円前後を安定的に確保できる見通しとなっている。キャッシュフローも25年3月期は営業CFが大きく伸びており、配当原資という点では余力がある。過度に借入に依存して配当を出している構造ではなく、利益と現金創出力に裏付けられた配当といえる。

一方で注意点もある。ROEは5%台と高くはなく、企業としての成長性や資本効率を強く評価されるタイプではないため、配当を増やし続けるような「連続増配株」になる可能性は高くない。配当性向を大きく引き上げて株主還元を強化するよりも、業績や市況を見ながら安定配当を維持する姿勢が基本と考えられる。

また、製紙業は市況の影響を受けやすく、原燃料価格や需要動向によって利益が上下しやすい。3%前後の利回りは魅力だが、景気後退局面では増配期待よりも「維持できるかどうか」を重視する必要がある。総合すると、北越コーポレーションは高配当狙いにはやや物足りないが、3%前後の利回りを安定的に受け取りたい投資家には向いている銘柄である。大きな値上がり益を期待する配当成長株ではなく、PBRの低さによる下値の限定性と、安定配当を組み合わせて中長期で保有するタイプの配当投資と相性が良い、という評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の株価856.0円を起点に今後5年間を見据えると、北越コーポレーションは成熟産業に属する企業らしく、急成長よりも業績の安定性と資産価値を背景に、評価が徐々に見直されていくタイプの銘柄といえる。売上は3,000億円規模で大きな伸びは見込みにくい一方、営業利益は150~200億円レンジを維持しており、営業利益率も5~6%台で安定している。ROEやROAは高水準ではないが改善傾向にあり、PBRは0.5倍前後と低く、下値には一定の資産的な支えがある。

良い場合のシナリオでは、紙市況の安定とコスト管理の進展により、営業利益率が6%台で定着し、ROEも6%前後まで緩やかに改善する展開を想定する。利益が安定して積み上がることで、市場の見方が「低評価の安定企業」から「割安是正の余地がある企業」へと変化すれば、PBRは0.7~0.8倍程度まで見直される可能性がある。この場合、株価は段階的に評価を切り上げ、5年後の到達点は1,100~1,300円程度が視野に入る。大きな成長はないが、割安修正と配当を伴う穏やかな上昇シナリオである。

中間のシナリオでは、業績は現在の水準を概ね維持し、営業利益は150~180億円レンジ、営業利益率も5%台で横ばいとなるケースを想定する。ROEやROAの改善は限定的で、市場評価も大きくは変わらない。この場合、PBRは0.5倍前後にとどまり、株価は配当を受け取りながら緩やかに推移する展開となる。5年後の水準としては900~1,050円程度が現実的で、値上がり益は小さいが、下値も比較的限定されやすい。

悪い場合のシナリオでは、紙需要の減少や原燃料価格の上昇により利益が圧迫され、営業利益率が再び4%台まで低下するケースを想定する。ROEも3%前後にとどまり、市場の評価は一段と慎重になる。この場合、PBRは0.4倍台まで低下する可能性があり、株価は700円前後まで調整する場面も考えられる。ただし、事業基盤自体が崩れるわけではなく、赤字に転落しない限り、大幅な下落が長期化するリスクは限定的とみられる。5年後の水準は700~850円程度に収れんするイメージである。

総合すると、現在値856.0円を起点とした北越コーポレーションの今後5年間の値動きは、良い場合で1,100~1,300円、中間で900~1,050円、悪い場合で700~850円といったレンジが想定される。急騰を狙う銘柄ではないが、PBRの低さによる下値の安心感と、3%前後の配当を受け取りながら中長期で保有する投資スタイルと相性の良い銘柄といえる。

この記事の最終更新日:2025年12月14日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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