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eBASEとは

eBASE株式会社は、食品業界向けの商品情報管理ソフト「eBASE」を主力とするBtoB向けソフトウェア企業である。大阪に本社を置き、メーカー、卸、流通、小売企業を中心に、商品情報を正確かつ効率的に管理・活用するためのデータベースソフトウェアを開発・販売している。もともとは食品業界での利用が中心であったが、現在では住宅、日用雑貨、ギフト、工具、文具など幅広い分野へと展開を進めている。
eBASEの中核となる考え方は、DX推進には統合された商品データベースが不可欠であるという点にある。企業内でバラバラに管理されがちな商品仕様、画像、成分表示、価格、規格といった情報を一元管理し、それを社内外で活用できる基盤を提供している。eBASEは、商品情報の構築、一元管理、活用に加え、企業間での商品情報交換までを支援するデータベースソフトウェアであり、商品情報を起点とした業務変革を可能にしている。
機能面では、マルチメディアコンテンツ管理機能が大きな特徴となっている。画像、文字、CADデータ、映像、Officeデータなど、あらゆる形式のコンテンツをタグ付きで登録・管理でき、用途に応じて柔軟に出力することが可能である。これにより、Web、印刷物、社内資料など、さまざまなメディアへの展開がスムーズに行える。また、企業間でのデータ交換機能も備えており、サプライチェーン全体での情報連携を実現している。
eBASEは、フレキシブルなデータ構造を持つ点も強みである。商品や顧客などのマスタ情報はカテゴリーごとに必要な項目が異なるが、eBASEではカテゴリーの種類に応じて複数のデータベース構造を柔軟に定義できる。利用現場の要望に合わせてシステムを改変しやすく、変化の多い業務にも対応できる設計となっている。さらに、ノンプログラミング開発環境を備えており、専門的なプログラミング知識がなくても運用変更や機能拡張が可能である。
商品情報運用の現場では、構築、管理、運用のバランスが課題となるが、eBASEはその課題を低コストで解決できる点が評価されている。ネットメディアや印刷系アプリケーションとの連動、企業間情報交換、大規模なネットワーク形成、ナレッジマネジメントまで、目的や環境に応じた柔軟な運用が可能である。仕入先向けには無償ソフトウェア「eBASEjr.」を提供しており、仕入先が作成した商品情報をそのまま仕入れ元のeBASEに取り込むことで、スムーズでスピーディな情報連携を実現している。
この仕組みにより、eBASEは社内システムにとどまらず、サプライヤーとバイヤーをつなぐ商品情報交換プラットフォームとして機能している。食品業界を中心に、ギフト、日用品、工具、文具、住宅など多くの業界で導入が進んでおり、商品情報フォーマットの事実上の標準としての役割も担いつつある。近年では、登録、管理、編集機能の強化により、PLMや顧客情報管理、ナレッジマネジメントといった分野への活用も広がっている。eBASEは、商品情報という企業活動の根幹データを軸に、DX推進と業務効率化を支える基盤として、派手さはないものの、継続性と専門性の高いソフトウェア企業である。
eBASE 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益EPS(円) | 一株当り配当(DPS) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 4,714 | 1,365 | 1,395 | 890 | 19.4 | 6.1 |
| 連24.3 | 5,192 | 1,651 | 1,662 | 1,144 | 25.0 | 10.1 |
| 連25.3 | 5,469 | 1,731 | 1,797 | 1,250 | 27.7 | 13.9 |
| 連26.3予 | 5,800 | 1,970 | 2,000 | 1,370 | 30.5 | 15.2 |
| 連27.3予 | 6,200 | 2,150 | 2,180 | 1,500 | 33.4 | 15.2〜16.7 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業キャッシュフロー | 投資キャッシュフロー | 財務キャッシュフロー |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,025 | -134 | -415 |
| 2024 | 1,334 | -306 | -565 |
| 2025 | 1,166 | 87 | -837 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 28.9% | 14.1% | 12.6% | — | — |
| 2024 | 31.7% | 16.4% | 14.6% | — | — |
| 2025 | 31.6% | 16.9% | 15.4% |
高値平均 32.5倍 安値平均 21.0倍 |
2.69倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の推移を見ると、eBASEの売上高は2024年3月期で51億円、2025年3月期で54億円、2026年3月期予想で58億円と、事業規模は中小型ながらも着実に拡大している。年率で見れば緩やかではあるが、毎期確実に積み上がっており、事業の安定性と継続性が数字に表れている。
利益面では、営業利益が2024年に16億円、2025年に17億円、2026年予想で19億円と右肩上がりで推移している。経常利益も2024年16億円、2025年17億円、2026年予想で20億円と増加基調にあり、純利益も2024年11億円、2025年12億円、2026年予想で13億円と安定した増益が続いている。売上成長以上に利益が伸びており、収益構造の強さがはっきりしている。
収益性を見ると、営業利益率は2023年28.9%、2024年31.7%、2025年31.6%と30%前後という非常に高い水準を維持している。これはソフトウェア企業の中でもトップクラスで、価格競争に巻き込まれにくいビジネスモデルを持っていることを示している。ROEは14.1%から16.9%へ、ROAも12.6%から15.4%へと改善しており、資本効率・資産効率の両面で優秀な企業と言える。
一方でバリュエーションを見ると、2025年実績PERは安値平均で21.0倍、高値平均では32.5倍と、利益成長と高収益性を織り込んだ水準にある。PBRも2.6倍と、純資産に対しては明確にプレミアムが付いている。営業利益率30%超、ROE15%超という数字を考えれば理解できる水準ではあるが、割安感があるとは言いにくい。これらを総合すると、eBASEは規模こそ小さいものの、非常に高い利益率と安定した増益を続ける「質の高いソフトウェア企業」と評価できる。事業のブレは小さく、収益構造も強固で、数字だけを見る限り事業リスクは低い。一方で、株価評価はすでに一定の成長と高収益性を織り込んでおり、PER30倍前後では新規で飛びつく局面とは言いにくい。
結論としては、eBASEは中長期で安心して保有できる優良企業だが、投資判断としては「安定成長・高収益を評価して保有する銘柄」であり、「割安狙いで積極的に買う銘柄」ではない。PERが20倍前後まで調整する場面があれば投資妙味は高まるが、現状の水準では既存保有者は継続保有、新規投資は押し目待ちが妥当、という判断になる。
配当目的とかどうなの?
配当目的でeBASEを見ると、結論から言えば「配当狙いでも十分に検討できるが、純粋な高配当株とは性格が少し違う銘柄」である。まず予想配当利回りは、2026年3月期で3.54%、2027年3月期でも3.54%と、東証全体の平均を明確に上回る水準にある。IT・ソフトウェア系の中では高めで、インカム目的としての最低条件はしっかり満たしている。
配当の裏付けとなる収益力を見ると、営業利益率は30%前後と非常に高く、ROEも15%前後を維持している。営業キャッシュフローも安定してプラスで、投資キャッシュフローの負担は小さく、財務キャッシュフローは配当支出によるマイナスが中心という健全な構造になっている。配当は事業が生み出すキャッシュの範囲内で十分に賄われており、無理をして配当を出している印象はない。
配当性向もEPSとDPSの関係を見る限り極端に高くなく、利益成長に応じて配当を段階的に引き上げてきた経緯がある。今後も業績が大きく崩れない限り、配当を維持、もしくは緩やかに増配していく余地はある。一方で、急激に配当利回りが跳ね上がるようなタイプではなく、3%台半ばを安定的に確保する銘柄と考えるのが現実的である。
注意点としては、PERが比較的高く、株価が調整した場合には利回りが一時的に上がる可能性がある一方、株価水準次第では配当利回りの魅力が相対的に薄れる点が挙げられる。つまりeBASEは、配当だけを目的に買う高配当株というより、「高収益体質の企業を配当込みで長期保有する」タイプの銘柄である。総合すると、eBASEは配当目的としても一定の魅力があり、特に業績の安定性と配当の持続性を重視する投資家には向いている。4%超の高配当を狙う銘柄ではないが、収益力の高さを背景に3%台半ばの配当を安定して受け取りたい場合には、十分に検討に値する銘柄という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価429.0円を起点に今後5年間を見ると、eBASEは小型ながらも非常に高い収益性を持つBtoBソフトウェア企業であり、株価はテーマ性よりも業績の積み上げと利益率の高さを評価されながら推移する銘柄である。食品業界を中心に商品情報管理というニッチ分野で確固たる地位を築いており、事業のブレは小さく、安定した増益と配当が株価の下支えになりやすい構造にある。
良い場合のシナリオでは、食品業界に加えて住宅や日用品分野への展開が着実に進み、売上が年率5%前後で拡大するケースを想定する。営業利益率は30%前後という極めて高い水準を維持し、ROEも15%超で安定すれば、市場はeBASEを「高収益・安定成長のソフトウェア企業」として評価し続ける可能性が高い。この場合、PERは現在と同程度の25~30倍が許容され、EPSの成長と配当の積み上がりが株価を押し上げる。5年後の株価は600円~720円程度まで上昇する展開が考えられる。
中間のシナリオでは、業績は堅調に推移するものの、成長スピードは緩やかで、評価水準も落ち着くケースを想定する。営業利益率は30%前後を維持するが、PERは20~23倍程度に収れんする。この場合、利益成長と評価低下が相殺され、株価は420円~520円程度のレンジで推移し、5年後も現在値近辺からやや上の水準にとどまる。値上がり益は限定的だが、3.5%前後の配当を安定的に受け取り続ける展開となる。
悪い場合のシナリオでは、業界のIT投資が鈍化し、新規導入ペースが落ちることで利益成長が停滞するケースを想定する。営業利益率は高水準を維持するものの、成長期待が後退し、市場が評価を引き下げる可能性がある。この場合、PERは15~18倍程度まで低下し、株価は429.0円から300円~360円程度まで調整する展開が考えられる。ただし、事業自体の競争力は高いため、長期的な業績悪化というよりは評価調整の色合いが強い下落となる。
総合すると、現在値429.0円を起点としたeBASEの今後5年間の値動きは、良い場合で600円~720円、中間で420円~520円、悪い場合で300円~360円といったレンジが想定される。急騰を狙う銘柄ではないが、高い利益率と安定配当を背景に、大きく崩れにくい特性を持つため、業績を確認しながら中長期で付き合うタイプの銘柄と言える。
この記事の最終更新日:2025年12月14日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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