株価
アカツキとは

アカツキは、スマートフォン向けゲームの企画・開発・配信を主力とする日本のエンターテインメント企業である。2010年にディー・エヌ・エー出身の塩田元規とアクセンチュア出身の香田哲朗によって創業され、日本オンラインゲーム協会の正会員として活動している。2016年に東証マザーズへ上場し、その後「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」の世界的ヒットを背景に注目を集め、2017年には東証一部へ市場変更を果たした。現在はグローバル市場を前提とした展開を行い、IPの創出と活用に強い意欲を持つ企業として位置づけられている。
事業の中核はエンターテインメント事業であり、グループ会社のアカツキゲームスがモバイルゲームの企画・開発・運営を担っている。長期運営型のスマホゲームを中心に、日本国内だけでなく海外市場も視野に入れたグローバルタイトルを展開しており、成功したタイトルは高い収益性を生みやすい構造となっている。また、縦読みフルカラーのウェブトゥーンに特化したグローバルアプリ「HykeComic」を展開するなど、ゲーム以外のデジタルコンテンツ分野にも積極的に取り組んでいる。
ソリューション事業では、エンターテインメント業界を中心に、コンテンツ制作、プロモーション、ファンマーケティング、マーチャンダイズなどの領域で各種サービスを提供している。映像コンテンツ制作やYouTube運用、IPプロデュース、公式アプリ開発などを通じて、IPの価値を最大化する支援を行っており、コンテンツを生み出す側と活用する側の両面に関わるビジネスモデルを構築している。
さらにライフスタイル事業として、アートキャンディで知られる「PAPABUBBLE」を展開し、デザイン性や体験価値を重視した菓子ブランドを手がけている。デジタル領域に限らず、リアルな場での体験もエンターテインメントとして提供する姿勢が特徴となっている。
グループ全体では、アカツキゲームス、Akatsuki Ventures、HykeComic、アカツキメディアスタジオ、CRAYON、Natee、PAPABUBBLEなど複数の子会社を擁し、ゲーム、ウェブコミック、映像、音楽、インフルエンサー、菓子といった多様な分野に事業を展開している。アカツキは、スマホゲームを収益の柱としつつ、IPを軸にエンターテインメント領域全体へ横断的に展開することで、中長期的な成長を目指す企業である。
アカツキ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) | 一株当り配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.3 | 26,273 | 7,448 | 7,867 | 5,193 | 381.6 | 80 |
| 連23.3 | 24,336 | 5,700 | 5,207 | 1,342 | 99.0 | 80 |
| 連24.3 | 23,972 | 2,676 | 2,834 | 1,288 | 104.0 | 80 |
| 連25.3 | 23,652 | 3,915 | 4,233 | 1,646 | 114.2 | 95 |
| 連26.3 予 | 26,000 | 6,000 | 6,000 | 4,400 | 305.1 | 110〜115 |
| 連27.3 予 | 27,000 | 7,000 | 7,000 | 5,100 | 353.7 | 110〜115 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (百万円) |
営業キャッシュフロー | 投資キャッシュフロー | 財務キャッシュフロー |
|---|---|---|---|
| 2023.3 | 5,047 | 1,191 | 4,937 |
| 2024.3 | -84 | -77 | -3,232 |
| 2025.3 | 3,639 | -1,240 | -2,137 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | 23.4% | 3.4% | 2.5% | — | — |
| 2024.3 | 11.1% | 3.2% | 2.4% | — | — |
| 2025.3 | 16.5% | 4.0% | 3.0% | 18.1〜29.2倍 | 0.89倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績を見ると、連24.3は売上高239億円、営業利益26億円、経常利益28億円、純利益12億円となっている。連25.3は売上高236億円、営業利益39億円、経常利益42億円、純利益16億円と、売上は横ばいながら利益は回復している。連26.3予では売上高260億円、営業利益60億円、経常利益60億円、純利益44億円と、利益が大きく拡大する見通しとなっている。
収益性を見ると、営業利益率は2023年23.4%、2024年11.1%、2025年16.5%と、年度による振れはあるものの二桁水準を維持しており、ゲーム会社としての収益力は依然として高い。ROEは3.4%、3.2%、4.0%、ROAは2.5%、2.4%、3.0%と、いずれも低水準で推移しており、資本効率の面では弱さが残る。これは利益規模に対して自己資本や資産が厚い構造であることを示している。
バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは18.1倍から29.2倍のレンジとなっており、業績水準によって評価が大きく変動しやすい。PBRは0.9倍と1倍を下回っており、純資産に対して株価は割安水準にある。以上の数値だけで判断すると、アカツキは売上の成長力は限定的だが、利益の振れ幅が大きく、好調時には高い利益を生み出せる企業であることが分かる。一方で、ROE・ROAが低く、資本効率の改善は今後の課題となる。PERは高めに見える局面もあるが、PBRが1倍を下回っている点から、資産価値に対しては評価が抑えられている。
結論として、アカツキは安定成長株ではなく、業績回復局面で利益が一気に膨らむタイプの銘柄である。数値だけを見る限り、収益力は高いが変動も大きく、投資判断は業績トレンドを見極めながら行う必要がある。資本効率の低さを許容しつつ、利益回復フェーズでの評価見直しを狙う中期向けの銘柄、という位置づけになる。
配当目的とかどうなの?
配当目的という観点で見ると、アカツキはかなり評価できる部類に入る。予想配当利回りは連26.3で4.13%、連27.3でも4.13%と高水準で、日本株全体の平均配当利回りと比べても明確に上回っている。この水準であれば、インカムゲイン目的で保有する理由は十分にある。
これまで見てきた数値を踏まえると、アカツキは売上こそ大きく伸びないものの、営業利益・経常利益・純利益は回復基調にあり、26.3期予想では純利益が44億円と大きく改善する見通しとなっている。営業利益率も16.5%と高く、本業でしっかり利益を出せる体質にあるため、配当原資の面での不安は小さい。ROEやROAは3〜4%台と低めだが、これは利益が出ていないというよりも、自己資本が厚く財務がかなり保守的であることの裏返しとも言える。
無理にレバレッジをかけず、安定した財務基盤の上で配当を出している点は、配当投資の視点ではむしろプラスに働く。また、PBRが0.9倍と1倍を下回っている点も重要で、資産価値に対して株価は割安水準にある。その状態で4%超の配当利回りが見込めるため、株価下落時のクッションとして配当が機能しやすい。株価が横ばいでも、配当収入によるトータルリターンを確保しやすい構造だ。
結論として、アカツキは配当目的との相性が良い銘柄と言える。高成長株ではないため大きなキャピタルゲインは期待しにくいが、4%超の利回りを安定的に受け取りつつ、業績回復局面での評価見直しも狙える。配当を軸に、無理のない中長期保有を考える投資家にとっては、十分に検討価値のある銘柄、という位置づけになる。
今後の値動き予想!!(5年間)
アカツキは、スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営を中核とするエンターテインメント企業である。グローバル展開を前提としたタイトル運営を行い、特に「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」に代表される長期運営型ヒットタイトルを収益の柱としてきた。売上はヒットタイトルの動向に左右されやすいものの、成功時の利益率は高く、営業利益率は二桁水準を確保できるポテンシャルを持つ。
一方で自己資本が厚く、ROEやROAは低めに出やすい構造となっている。近年は利益が落ち込んだ時期もあったが、26.3期予想では営業利益・純利益ともに大きく回復する見通しで、業績は回復局面にある。また配当利回りは4%超と高く、株主還元を明確に意識した姿勢も特徴となっている。現在価格2,658円から今後5年間の値動きを、良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考えていく。
良い場合のシナリオでは、主力タイトルの収益が安定して高水準を維持しつつ、新規タイトルや既存IPの再活性化が一定の成果を上げるケースを想定する。売上は大きく伸びなくても、営業利益率は15%前後を維持し、純利益も40億円規模が定着する。高配当銘柄としての評価に加え、業績回復が市場に認識されることで、PBRは1倍割れから是正され、PERも20倍前後まで許容される。この場合、現在価格2,658円を起点として、5年後の株価は3,800円から4,500円程度まで上昇する展開が考えられる。値上がり益と配当を合わせたトータルリターンが大きくなる、比較的強気なシナリオだ。
中間のシナリオでは、既存タイトルの収益は維持されるものの、新たな大型ヒットには恵まれず、業績は横ばいから緩やかな回復にとどまるケースを想定する。営業利益は40億円前後、営業利益率は10%台前半で推移し、ROEやROAも低水準ながら安定する。市場評価は落ち着き、PERは15〜18倍、PBRは1倍前後で推移する可能性が高い。この場合、株価は現在価格2,658円を中心に上下しながら推移し、5年後の水準は2,700円から3,200円程度となり、配当を受け取りながら保有する形が現実的となる。
悪い場合のシナリオでは、主力タイトルの売上減少や新作不振により、利益水準が大きく低下するケースを想定する。営業利益率は一桁台まで低下し、純利益も20億円前後に縮小することで、業績変動の大きさが改めて意識される。配当は維持される可能性が高いものの、成長期待は後退し、PERは10〜12倍程度まで切り下げられる余地がある。この場合、現在価格2,658円から株価は調整局面に入り、5年後の株価は1,800円から2,200円程度にとどまる可能性がある。
総合すると、現在価格2,658円を起点としたアカツキの今後5年間の値動きは、良い場合で3,800円から4,500円前後、中間で2,700円から3,200円、悪い場合で1,800円から2,200円といったレンジが想定される。高成長株ではないものの、高い収益力と4%超の配当利回りを兼ね備えており、配当を軸にしつつ業績回復局面での評価見直しを狙う中長期投資家にとって、位置づけしやすい銘柄だといえる。
この記事の最終更新日:2025年12月15日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す