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カナミックネットワーク(3939)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

カナミックネットワークとは

カナミックネットワークは、自治体、医師会、介護事業者を主要顧客とし、医療・介護・福祉分野に特化したクラウドサービスを提供するヘルスケアIT企業である。地域包括ケアの実現をITで支えることを中核テーマとしており、医師、看護師、介護職、ケアマネジャー、薬剤師など、多職種・多機関が安全に情報共有できるクラウド型プラットフォームを展開している。

主力事業は、介護・医療分野におけるASP型クラウドサービスの提供であり、自治体単位での導入が進んでいる点が特徴である。住民情報、医療情報、介護記録、連絡帳、スケジュール管理、各種帳票管理などをクラウド上で一元化し、現場業務の効率化と医療・介護連携の高度化を実現している。サブスクリプション型の課金モデルを採用しており、契約継続率が高く、ストック型で安定した収益基盤を構築している点が強みである。

また、医療・介護分野向けの情報提供サービスも手がけており、業界動向や制度改定、実務に直結する情報を提供することで、顧客との関係性強化を図っている。これに加え、システムインテグレーション業務やシステムソリューション業務を通じて、顧客の業務フローに合わせたシステム構築やカスタマイズにも対応している。

Web関連事業としては、ホームページ制作・運営業務、Webコンテンツやビデオ、各種販売促進ツールの企画・制作・販売なども行っており、医療・介護事業者の情報発信やブランディング、集客支援にも関与している。さらに、経営コンサルティング業務やシステムコンサルティング業務を展開し、単なるシステム提供にとどまらず、経営課題の解決や業務改革まで踏み込んだ支援を行っている。

そのほか、講演会・セミナー・学会等の企画・開催、教育研修事業を通じて、医療・介護従事者の知識向上や人材育成にも取り組んでいる。有料職業紹介事業も展開しており、人材不足が深刻な医療・介護業界において、採用面からの支援も行っている。これらの事業は相互に連携しており、グループ全体として医療・介護業界を多面的に支える体制を構築している。成長戦略としては、クラウドサービスを軸としたIT事業に加え、24時間ジムなどリアルヘルスケア分野へのM&Aを積極的に進めている点が特徴である。ITによるヘルステックサービスと、実店舗を通じた健康支援を組み合わせることで、サービス領域の拡張と顧客接点の多様化を図っている。

また、国内市場にとどまらず、東南アジアを中心とした海外展開にも取り組んでおり、中長期的な成長余地の拡大を狙っている。同社は「人生を抱きしめるクラウド」という理念を掲げ、生まれてから亡くなるまでの人生を支えるヘルスケアサービスの提供を目指している。医療・介護・健康分野に特化したヘルスケアプラットフォームを構築し、ITサービスとリアルサービスを融合させることで、人と社会に継続的に貢献する企業としての成長を志向している。

カナミックネットワーク 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(単位百万) 営業利益 経常利益 純利益 一株益EPS(円) 一株当たり配当
連22.9 2,502 962 980 685 14.5 3
連23.9 3,746 1,096 1,107 763 16.1 5.5
連24.9 5,007 1,439 1,447 919 19.4 6.5
連25.9(予) 5,800 1,700 1,700 1,150 24.2 7.5
連26.9(予) 6,300 1,900 1,900 1,250 26.3 7.5〜8.5

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業キャッシュフロー 投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー
2023 1,430 -842 -2,267
2024 1,514 -343 -613
2025 1,292 -743 -651

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 29.2% 24.0% 13.4%
2024 28.7% 23.9% 14.8%
2025 29.2% 23.8% 16.9% 25.0~39.8倍 5.56倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績の推移を見ると、連23.9は売上37.4億円、営業利益11.0億円、経常利益11.1億円、純利益7.6億円という水準だった。連24.9では売上50.0億円、営業利益14.3億円、経常利益14.4億円、純利益9.2億円まで伸びており、1年で事業規模が一段拡大していることが分かる。連25.9予では売上58.0億円、営業利益17.0億円、経常利益17.0億円、純利益11.5億円、連26.9予では売上63.0億円、営業利益19.0億円、経常利益19.0億円、純利益12.5億円と、増収増益が継続する前提になっている。売上の拡大に対して利益がきれいについてきており、利益成長の鈍化は今のところ見えない。

収益性を見ると、営業利益率は2023年29.2%、2024年28.7%、2025年29.2%と、3年を通してほぼ3割で安定している。この水準は相当高く、価格競争に陥りにくいビジネスモデルであることを示している。ROEは24.0%、23.9%、23.8%と20%を大きく超えた状態が続いており、自己資本を効率よく使って利益を生み出している。ROAも13.4%から14.8%、16.9%へと着実に上昇しており、資産効率が年々改善している点はポジティブに見える。

これらの数字からは、単なる売上成長企業ではなく、高い利益率と高い資本効率を同時に維持できている企業だという印象を受ける。少なくとも足元の業績や収益構造に大きな不安要素は見当たらない。

一方で株価の評価水準に目を向けると、2025年時点の実績PERは高値平均で39.8倍、安値平均でも25.0倍となっている。PBRは5.6倍水準で、ROEが23%台であることを考えれば理論的に説明できなくはないが、それでも日本株全体の平均と比べるとかなり高い評価である。特にPER40倍近辺は、今後も高い成長が続くことを前提にした数字であり、成長が少しでも鈍れば評価が切り下がりやすいゾーンにある。

以上を数値だけで整理すると、業績の伸び、営業利益率、ROE、ROAはいずれも非常に優秀で、企業の中身は強い。一方で、PERやPBRといったバリュエーションはすでに高く、割安感はない。高成長が続くと信じるなら保有・買いの選択肢はあるが、保守的に見るなら、株価の調整や成長の確認を待ちたい銘柄、という位置づけになる。

配当目的とかどうなの?

配当目的という観点だけで見ると、正直に言って主力に据えるタイプの銘柄ではない、という判断になる。提示されている予想配当利回りは、連26.9で1.65%、連27.9でも1.65%と、ほぼ横ばいで低水準にとどまっている。一般的に配当目的であれば、最低でも3%前後、安定志向なら4%近辺を期待する投資家が多いことを考えると、この利回りは明らかに物足りない。

一方で、これまで見てきたように営業利益率は約3割、ROEは23%台と非常に高く、会社は稼ぐ力を十分に持っている。その利益を配当に大きく回していないということは、現時点では株主還元よりも成長投資を優先している段階だと読み取れる。配当が低いのは業績が弱いからではなく、意図的に抑えている可能性が高い。

このため、配当だけを目的に長期保有する銘柄としては不向きで、インカム狙いのポートフォリオに組み入れる意味は小さい。一方で、成長が一巡し、将来的に配当性向を引き上げるフェーズに入れば、配当水準が上がる余地はあるが、それはまだ先の話と考えるのが妥当だろう。結論としては、配当目的では評価は低め、成長を取りに行く中で「配当はおまけ程度」と割り切れる投資家向けの銘柄、という位置づけになる。

今後の値動き予想!!(5年間)

カナミックネットワークは、自治体、医師会、介護事業者向けのクラウドサービスを中核とするヘルスケアIT企業である。医療・介護分野に特化したASP型サービスを展開し、地域包括ケアを支える情報共有プラットフォームを強みとしている。サブスクリプション型の収益モデルを採用しており、契約が積み上がるストック型ビジネスである点が特徴だ。売上は着実に拡大しており、営業利益率は約3割と非常に高い水準を維持している。現在価格545.0円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、自治体・医療・介護向けクラウドの導入が引き続き順調に拡大し、売上と利益が想定通り成長を続けるケースを想定する。営業利益率は3割前後、ROEも20%超を維持し、市場からは高品質な成長株として評価され続ける。PERはやや低下しても30倍前後で許容され、利益成長が株価上昇を支える。この場合、現在価格545.0円から段階的な株価上昇が続き、3年程度で800円前後、5年後には1,100円から1,300円程度まで上昇する展開が考えられる。値上がり益を主軸とした、最も強気なシナリオである。

中間のシナリオでは、業績は成長を続けるものの、成長率は徐々に落ち着き、営業利益率やROEは高水準ながら横ばいで推移するケースを想定する。市場の評価は冷静になり、PERは25倍前後、PBRもやや切り下がる。大きな失速はないものの、高成長プレミアムは限定的となる。この場合、株価は急騰せず、上下を繰り返しながら緩やかに上昇し、5年後の水準は800円から900円程度に収まる可能性が高い。配当利回りが低いため、トータルリターンは値上がり益中心となる。

悪い場合のシナリオでは、自治体予算の制約や競争環境の変化により成長が鈍化し、市場の成長期待が後退するケースを想定する。営業利益率やROEは依然として高水準を維持するものの、成長株としての評価が剥落し、PERは20倍前後まで低下する。この場合、株価は調整局面に入り、400円前後まで下落する可能性がある。その後は業績の底堅さを背景に下値は固まるが、5年後でも450円から550円程度にとどまり、現在値近辺を行き来する展開になりやすい。

総合すると、現在価格545.0円を起点としたカナミックネットワークの5年間の値動きは、良い場合で1,100円から1,300円前後、中間で800円から900円、悪い場合で450円から550円といったレンジが想定される。配当目的には向かないが、高い利益率とROEを背景にした成長株としての魅力は大きく、成長継続を信じて値上がり益を狙う中長期投資家向けの銘柄だといえる。

この記事の最終更新日:2025年12月15日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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