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レンゴー(3941)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

レンゴーとは

レンゴーは、板紙から段ボール製品までを一貫して手がける、日本の紙製包装資材分野を代表する企業である。板紙専業では国内首位に位置し、製紙業界全体でも上位に入る規模を持ち、段ボール・板紙分野では圧倒的な存在感を示している。1909年創業という長い歴史を持ち、日本で初めて段ボールを事業化した企業として知られており、「段ボール」という名称自体も創業者の井上貞治郎が命名したものである。さらに、世界で初めて段ボールの連続運転装置を開発するなど、技術面でも業界の礎を築いてきた。

本社は大阪市北区中之島および東京都港区港南に構え、登記上の本店は大阪市福島区に置いている。板紙・段ボール業界では名実ともに最大手であり、食品、飲料、日用品、工業製品、EC物流向けなど、生活や産業に密接に関わる分野を顧客としている。特に食品や日用品といった生活必需分野への依存度が高く、景気の変動に左右されにくい安定した需要構造を持つ点が大きな特徴である。

レンゴーの事業の中核は、板紙・段ボール事業である。自社の製紙工場で板紙を製造し、それを原材料として段ボールシートや段ボールケース、紙器製品までを一貫して生産・販売する体制を構築している。原材料から最終製品までをグループ内で完結できる垂直統合型のビジネスモデルは、コスト競争力と安定供給力の両立につながっており、同社の競争優位の源泉となっている。

紙器分野では、菓子、食品、化粧品、医薬品向けなど、デザイン性や機能性が重視される包装を手がけている。単なる箱の製造にとどまらず、商品の魅力を引き立てるパッケージデザインや、陳列効率や輸送効率を考慮した設計力を強みとしている。加えて、軟包装分野ではフィルムやラミネート製品など樹脂系包装材も展開しており、紙製包装に限定しない幅広い包装材ポートフォリオを持っている点も特徴である。

製紙事業では、利根川事業所、金津工場、八潮工場、尼崎工場など複数の製紙工場を有し、板紙を中心とした生産を行っている。国内には製紙関連子会社や段ボール・紙器関連会社を多数抱え、全国規模での生産・販売ネットワークを構築しているため、地域密着型の供給体制と大口顧客への対応力を兼ね備えている。経営思想の面では、創業者・井上貞治郎が提唱した「きんとま」哲学が今も企業文化の根底にある。金鉄の意志を持ち、タイミングや商機を逃さず、真心を込めて経営せよという考え方は、短期的な利益よりも長期的な安定と信頼を重視するレンゴーの経営姿勢を象徴している。

2000年以降は、板紙・段ボール業界が抱えてきた過当競争体質からの脱却を目指し、生産設備の統廃合や需給バランスを重視した生産体制の構築を進めてきた。フルコスト主義の徹底や、古紙・板紙・段ボールを一体で捉える構造改革を通じて、業界全体の収益性向上と持続可能な事業構造の確立を主導してきた点も特徴である。

環境面では、古紙を原料とする段ボールが100%リサイクル可能な循環型包装材であることから、環境負荷の低い素材として評価されている。レンゴーはこの循環型リサイクルシステムの中核を担い、環境対応型素材の開発やサステナブル包装の提案を進めることで、脱プラスチックや環境規制強化といった社会的要請にも応えている。総じてレンゴーは、板紙・段ボールを軸に、紙器、軟包装、樹脂系包装材までを幅広く手がける総合包装メーカーとして、生活インフラに近い安定性と、環境対応という時代の要請を両立した事業基盤を築いている企業であり、長期視点で見ると極めてディフェンシブ性の高い存在だといえる。

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直近の業績・指標

決算期 売上高 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株当たり配当
連23.3 846,080 25,957 28,682 20,425 82.5 24
連24.3 900,791 48,855 47,984 33,025 133.3 30
連25.3 993,251 37,408 39,178 28,979 116.9 30
連26.3(予) 1,005,000 40,000 40,000 24,000 96.8 30
連27.3(予) 1,050,000 45,000 45,000 27,000 108.9 30

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業キャッシュフロー 投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー
2023 46,066 -60,646 20,023
2024 89,628 -76,033 17,265
2025 77,008 -97,283 -14,485

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 3.0% 5.4% 1.9%
2024 5.4% 7.7% 2.8%
2025 3.7% 6.2% 2.3% 7.1~10.2倍 0.62倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず利益水準の推移を見ると、連24.3は営業利益488億円、経常利益479億円、純利益330億円と、かなり高い利益水準を確保している年だった。連25.3になると営業利益374億円、経常利益391億円、純利益289億円へと減益に転じており、利益のピークアウトがはっきり見える。連26.3予では営業利益400億円、経常利益400億円、純利益240億円と、営業・経常はやや持ち直す想定だが、純利益はさらに減る前提になっている。この流れを見る限り、利益は安定しているものの、明確な成長軌道に乗っているというより、市況やコスト環境に左右されながら上下する事業構造だと読み取れる。

次に収益性を見ると、営業利益率は3.0%、5.4%、3.7%と年による振れが大きく、平均すると4%前後に収まる水準である。製紙・素材系企業としては標準的だが、高収益とは言えない。ROEは5.4%、7.7%、6.2%、ROAは1.9%、2.8%、2.3%となっており、いずれも低めの数値で推移している。これは収益力が極端に弱いというより、自己資本が厚く、財務の安定性を重視してきた結果として、効率指標が低く出やすい構造と考えられる。

バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均10.2倍、安値平均7.1倍とかなり低く、PBRも0.6倍と明確に1倍を下回っている。市場はレンゴーを成長企業として評価しているのではなく、成熟した安定企業として、かなり慎重な価格付けをしていることが分かる。高い成長や収益性を前提にしたプレミアム評価は一切なく、むしろ保守的な見方が前提になっている水準である。

これらの数値を総合すると、レンゴーは営業利益率、ROE、ROAといった指標面では見劣りするが、数百億円規模の利益を安定的に稼ぐ力は持っている企業である。一方で、利益が右肩上がりに伸びていく姿は想定されておらず、株価も低PER・低PBRにとどまっている。結論としては、成長株としての魅力は乏しいが、低評価で放置されているディフェンシブ銘柄という位置づけになる。大きな株価上昇を狙うよりも、業績の大崩れが起きにくい点や、評価水準の低さによる下値の堅さを重視する投資家向けの銘柄であり、景気悪化局面や不透明な相場環境では相対的に選択肢に入りやすい銘柄だと判断できる。

配当目的とかどうなの?

配当目的という観点で見ると、レンゴーはかなり分かりやすく「向いている部類」の銘柄になる。提示されている予想配当利回りは、連26.3で3.38%、連27.3でも3.38%と、安定して3%台半ばを維持する前提になっている。この水準は、日本株全体で見ても明確に高配当ゾーンに入り、インカム目的の投資家にとっては十分に魅力がある数字だ。

業績面を見ると、営業利益や純利益は年によって振れがあるものの、数百億円規模の利益を継続的に確保しており、事業自体が急激に悪化するリスクは高くない。営業利益率やROE、ROAは低めだが、これは収益力が極端に弱いというより、自己資本が厚く、安定性を優先してきた結果として効率指標が低く出ている側面が大きい。言い換えれば、配当を継続する体力は十分にある構造といえる。

PERは7倍から10倍程度、PBRは0.6倍と評価はかなり低く、市場は成長を期待していない。その分、配当が株価の下支えになりやすく、大きな下落局面では利回りがさらに上がる形で買いが入りやすい。高成長株のような値上がり益は期待しにくいが、配当を受け取りながら保有するには心理的に持ちやすい銘柄である。

一方で注意点としては、製紙・包装という事業特性上、原材料価格や市況の影響を受けやすく、利益が好不調を繰り返す点が挙げられる。そのため、増配を積極的に狙うタイプではなく、あくまで「現状水準の配当を安定的に受け取る」スタンスが前提になる。総合すると、レンゴーは値上がり益狙いよりも配当目的に適した銘柄であり、3%台後半の利回りを安定的に確保しつつ、低PER・低PBRによる下値の堅さを重視する投資家向けといえる。高配当を軸に、長期でじっくり保有するには相性の良い銘柄、という評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

レンゴーは、板紙から段ボール製品までを一貫して手がける、国内最大手の紙製包装資材メーカーである。板紙専業では国内首位、製紙業界全体でも上位に位置し、段ボール・板紙分野では圧倒的なシェアと供給力を持つ。食品、飲料、日用品、工業製品、EC物流向けなど、生活や産業に不可欠な分野を顧客とするため、需要は比較的安定しており、事業は社会インフラ性が高い。

成長株というよりは、安定した事業基盤と配当を重視するディフェンシブ銘柄として市場に認識されている。現在価格1,182.5円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考えていく。

良い場合のシナリオでは、原材料価格の安定や価格転嫁が比較的順調に進み、営業利益は400億円台を安定的に確保するケースを想定する。営業利益率は4%前後、ROEも6〜7%程度で落ち着き、業績の振れ幅が小さくなる。低評価状態にあるPBRが0.8倍から1.0倍近辺まで見直され、PERも10倍前後で安定する。この場合、配当30円を維持しながら評価修正が進み、現在価格1,182.5円から緩やかな上昇基調となり、5年後の株価は1,600円から1,900円程度まで上昇する展開が考えられる。配当と値上がり益を合わせた、堅実なトータルリターンが期待できるシナリオである。

中間のシナリオでは、市況の影響を受けながらも利益は大きく崩れず、営業利益は350〜400億円規模で推移する。営業利益率は3〜4%、ROEは6%前後で横ばいとなり、事業環境に大きな変化は起きない。市場評価も大きく変わらず、PERは8〜10倍、PBRは0.6〜0.7倍程度にとどまる。この場合、株価は現在値1,182.5円を中心に上下しながら推移し、5年後の水準は1,200円から1,400円程度となる。値上がり益は限定的だが、配当を受け取りながら保有するインカム重視の展開となる。

悪い場合のシナリオでは、原材料価格の上昇や需要低迷により利益が圧迫され、営業利益は300億円を下回る水準まで低下するケースを想定する。営業利益率は3%を割り込み、ROEも5%前後まで低下することで、市況産業としての不安が強まる。市場の評価はさらに慎重になり、PERは7倍前後、PBRは0.5倍近辺まで切り下がる可能性がある。この場合、株価は調整局面に入り、現在価格1,182.5円から下落し、5年後の株価は900円から1,050円程度にとどまる可能性がある。ただし配当は維持される前提であり、利回りの上昇が下値を一定程度支える展開になりやすい。

総合すると、現在価格1,182.5円を起点としたレンゴーの今後5年間の値動きは、良い場合で1,600円から1,900円前後、中間で1,200円から1,400円、悪い場合で900円から1,050円といったレンジが想定される。高成長株ではないが、低PER・低PBRと3%台の配当利回りを併せ持ち、配当を軸にしつつ評価修正を待つ中長期投資家にとって、位置づけしやすいディフェンシブ銘柄だといえる。

この記事の最終更新日:2025年12月15日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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