株価
PR TIMESとは

PR TIMESは、プレスリリース配信サイト「PR TIMES」を運営する日本のPR会社で、企業や官公庁、自治体などの情報発信を支えるインフラ的な役割を担っている。2005年に設立され、2018年に東証マザーズから東証一部へ市場変更しており、現在はベクトルの子会社としてグループの中核的なPRプラットフォームを担っている。プレスリリース配信という分野では国内最大級の存在で、広報活動における定番サービスとしての地位を確立している。
主力サービスであるPR TIMESは、企業が作成したプレスリリースをメディア関係者だけでなく一般ユーザーにも公開できる点が特徴で、情報の拡散力が非常に高い。利用企業数は5万社を超え、上場企業の約半数が利用している。月間では2万本以上のプレスリリースが配信され、サイト全体のページビューは多い月で6000万PVを超えるなど、圧倒的なトラフィックを持つ。全国紙のデジタル版を含む約200のメディアと提携しており、配信されたプレスリリース原文を提携媒体に転載できる仕組みが、同社サービスの強い競争力と参入障壁になっている。
同社は単なる配信会社ではなく、広報やPR活動全体を支援する方向へ事業を拡張している。ストーリー性を重視した情報発信を行うPR TIMES STORY、広報活動の成果を可視化するWebクリッピングサービス、動画を活用したPR TIMES TVやPR TIMES LIVEなどを展開し、企業の広報活動を多面的にサポートしている。また、問い合わせ管理を効率化するTayoriや、タスク・プロジェクト管理ツールのJootoといったSaaSも手掛けており、広報領域にとどまらず業務効率化の分野にも事業を広げている。
事業構造としては、プレスリリース配信を中心としたストック型の収益モデルがベースとなっており、利用企業数の積み上げと継続利用によって安定した売上が生まれる仕組みになっている。加えて、メディアとの強固な提携関係と高い認知度によるネットワーク効果が働いており、新規参入が容易ではない市場環境を形成している。
全体としてPR TIMESは、プレスリリース配信というニッチだが不可欠な領域で圧倒的なポジションを築き、その基盤を活かして広報・PR支援サービスや周辺SaaSへと事業を広げている企業である。急激に市場を拡大するタイプではないものの、情報発信ニーズの高まりを背景に、安定した成長と高い継続性を持つビジネスを展開している点が大きな特徴といえる。
PR TIMES 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益 EPS | 一株当たり配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.2 | 5,706 | 1,190 | 1,188 | 777 | 58.0 | 0 |
| 連24.2 | 6,836 | 1,746 | 1,717 | 1,161 | 86.6 | 0 |
| 連25.2 | 8,003 | 1,877 | 1,873 | 1,118 | 83.2 | 10.3 |
| 連26.2予 | 9,200 | 3,150 | 3,140 | 2,120 | 157.1 | 13.2 |
| 連27.2予 | 10,000 | 3,500 | 3,500 | 2,300 | 170.4 | 16.4 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 598 | -172 | -74 |
| 2024 | 1,537 | -556 | -139 |
| 2025 | 1,370 | -312 | 10 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 20.8% | 17.4% | 14.7% | ― | ― |
| 2024 | 25.5% | 20.5% | 16.4% | ― | ― |
| 2025 | 23.4% | 16.3% | 13.5% | 37.7倍(高) / 20.7倍(安) | 4.57倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の数字を見ると、売上高は68億、80億、92億と着実に拡大しており、事業規模ははっきりと成長している。営業利益も17億、18億と一度は伸びが緩やかになったものの、直近予想では31億まで大きく伸びており、利益成長が再加速している様子が数字から読み取れる。経常利益、純利益も同様の動きで、特に直近予想では売上の伸び以上に利益が拡大している点が特徴的だ。
収益性を見ると、営業利益率は20%台を安定して維持しており、一般的なITサービス企業やSI企業と比べても明らかに高い水準にある。25.5%まで上昇した後に23.4%へやや低下しているが、それでも高収益体質であることに変わりはない。ROEは17.4%から20.5%へ上昇した後、直近では16.3%とやや落ち着いており、ROAも同様にピークアウトしている。ただし、これらはいずれも二桁を維持しており、資本効率が低い企業とは言い難い。
一方で評価面はかなり強気だ。PERは安値平均でも20.7倍、高値平均では37.7倍と高く、PBRも4.5倍と明確なプレミアムが付いている。これは市場が今後も高い成長が続くことを前提に株価を付けている状態であり、現時点で割安感を期待する銘柄ではない。
総合すると、この銘柄は売上と利益の成長性、営業利益率の高さという点では非常に優秀で、ビジネスモデルの強さが数字に表れている。一方で株価評価はすでにかなり先行しており、業績が計画通りに伸び続けなければ評価調整が起きやすい位置にある。安定性や割安さを重視する投資には向かず、今後も高成長が続くことを前提に、値動きを取りに行く成長株として捉えるのが現実的だと考えられる。
配当目的とかどうなの?
配当目的という観点で見ると、この銘柄ははっきりと向いていない。予想配当利回りは連26.2で0.50%、連27.2でも0.62%と1%を大きく下回っており、インカムゲインを期待して保有する水準ではない。数字だけを見る限り、配当はあくまで象徴的な位置づけで、株主還元の主軸は配当ではなく成長投資に置かれていると判断できる。
これまでの業績を見ると、利益水準は高く、営業利益率も20%超と十分な稼ぐ力はある。それでも配当利回りが低いのは、利益を積極的に内部留保し、事業拡大や新たなサービス投資に回しているためだと読み取れる。つまり、配当を増やせない企業ではなく、あえて配当を抑えている段階にあるという見方が妥当だ。
このため、この銘柄を配当目的で保有すると、得られるリターンは極めて小さい。一方で、利益成長が続けば将来的な増配余地はあるが、それはかなり先の話であり、現時点では確実性は低い。配当利回りを重視する投資スタイルには適合せず、値上がり益を主目的とした成長株としての位置づけになる。
結論としては、この銘柄は配当を取りにいく投資ではなく、事業拡大と利益成長による株価上昇を狙う銘柄である。インカム狙いであれば他に選択肢が多く、ここはあくまでキャピタルゲイン前提で考えるのが現実的だといえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
PR TIMESは、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」を中核とするPR支援プラットフォーム企業である。企業や官公庁、自治体などの情報発信を支えるインフラ的存在としての地位を確立しており、利用企業数の積み上げによるストック型収益モデルを強みとしている。売上高は年々拡大しており、営業利益、経常利益、純利益も高水準で推移している。営業利益率は20%超と非常に高く、ROE、ROAも二桁後半に近い水準を維持しており、プラットフォーム型ビジネスとしての収益力と資本効率の良さが数字にはっきり表れている。一方で配当利回りは1%未満と低く、株主還元の中心は配当ではなく事業成長による企業価値向上に置かれている点が特徴だ。
良い場合のシナリオでは、企業の広報・PR活動におけるデジタル化と情報発信需要の拡大を背景に、PR TIMESの利用企業数と利用頻度が着実に増加するケースを想定する。既存顧客の継続利用に加え、単価上昇や周辺サービスの利用拡大が進み、売上は安定的に成長する。営業利益率は20%台前半で維持され、高水準の利益成長が続くことで、ROE、ROAも安定して高い水準を保つ。市場からは高収益プラットフォーム企業としての評価が一段と定着し、PERは高水準ながらも成長プレミアムを維持する。この場合、現在値2,710.0円を起点として、5年後の株価は4,000円から5,000円程度まで上昇する展開が考えられる。業績成長が株価を素直に押し上げる、比較的分かりやすい上昇シナリオだ。
中間のシナリオでは、プレスリリース配信市場での優位性は維持されるものの、成長率は徐々に落ち着き、売上・利益は安定成長にとどまるケースを想定する。営業利益率は20%前後で推移し、収益力は高いものの、成長企業としての期待はやや後退する。市場評価は冷静化し、PERは15倍から20倍程度に収れんする可能性がある。この場合、業績成長と評価調整が相殺され、株価は大きくは伸びず、5年後の水準は2,800円から3,400円程度が現実的な到達点となる。安定感はあるが、キャピタルゲインは限定的なシナリオといえる。
悪い場合のシナリオでは、企業のPR予算が抑制され、プレスリリース配信の成長が鈍化するケースを想定する。売上は伸び悩み、営業利益率も20%を下回る水準まで低下する可能性がある。ROE、ROAも低下し、高収益プラットフォームとしての評価が揺らげば、PERは10倍台前半まで切り下げられる余地がある。業績が急激に悪化する可能性は低いものの、成長期待の後退によって株価は調整局面に入りやすくなる。この場合、5年後の株価は1,800円から2,200円程度にとどまる展開も十分に考えられる。
総合すると、現在値2,710.0円を起点としたPR TIMESの今後5年間の値動きは、良い場合で4,000円から5,000円前後、中間で2,800円から3,400円、悪い場合で1,800円から2,200円といったレンジが想定される。高い収益性と強固なビジネスモデルを持つ一方、株価評価はすでに成長を織り込んでおり、配当目的には向かない。安定した高収益プラットフォームの成長が今後も続くと考える投資家が、中長期でキャピタルゲインを狙う銘柄として位置づけるのが妥当だといえる。
この記事の最終更新日:2025年12月14日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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