株価
オークネットとは

多分野で業者間ネットオークションを開催。中古車とデジタル機器が利益の柱。株式会社オークネットは東京都港区に本社を置く、業者間取引に特化したネットオークション運営会社である。個人向けではなくBtoB取引を専門とし、会員制オークションという形で、流通事業者同士が安全かつ効率的に売買できる取引基盤を提供している。オークションの参加者は審査を通過した事業者に限定されており、信頼性の高い取引環境を構築している点が特徴である。
主力事業は中古車TVオークションであり、全国の中古車販売店やディーラー、買取業者などが、店舗や事務所にいながらリアルタイムで車両の仕入れ・販売を行うことができる。会場に足を運ばずに大量の車両情報を確認し、入札・落札まで完結できる仕組みは、業界の効率化に大きく貢献してきた。この中古車オークションは同社の収益の中核を成しており、長年にわたり安定した取扱高を維持している。
中古車分野に加え、バイクTVオークション、花きインターネットオークション、ブランド品オークション、中古PC・スマートフォンなどのデジタル機器オークションを展開している点も特徴である。特にスマートフォンや中古PCなどのデジタル機器分野は、法人需要の拡大やリユース市場の成長を背景に、近年の利益成長を支える重要な事業となっている。花きオークションでは、生産者と卸売業者、小売業者をオンラインで結び、流通の効率化と価格の透明性向上に寄与している。
同社のビジネスモデルは、オークション参加料や月額会費、出品手数料、落札手数料などを組み合わせたストック性の高い収益構造である。会員数の積み上がりと取引継続率の高さにより、景気変動の影響を比較的受けにくい安定した収益基盤を築いている。また、長年にわたって蓄積してきた取引データや運営ノウハウ、独自のITシステムが参入障壁となっており、同業他社との差別化要因となっている。
沿革としては、藤崎眞孝初代代表取締役と福島友利が設立した西武モータース商事(現フレックス自動車販売株式会社)を母体とし、西武線沿線で中古車販売店を展開したことに始まる。その後、中古パソコンショップ事業にも進出したが、同事業から撤退した後、パソコンや通信技術に精通した人材を活用し、衛星回線を用いた新たなビジネスモデルを構築した。中古車ビジネスにおいて最も重要な仕入れを、店舗にいながら行える仕組みとして、衛星回線を使ったオートオークションを開始したことが、現在のオークネット事業の原点である。
近年では、サービスの通信基盤を衛星回線やアナログ回線からインターネットへ完全に転換し、システムの高度化、取引の迅速化、コスト削減を進めている。また、これまで中古車分野で培ってきたオークション運営ノウハウやシステムを横展開する形で、中古車関連以外の分野への進出も積極的に進めており、多分野展開による事業ポートフォリオの分散を図っている。
本社は東京都港区北青山二丁目5番8号に所在し、北海道北広島市、宮城県仙台市などにエリアオフィスを構えて全国規模で事業を展開している。業者間取引のインフラとして、流通の効率化とリユース市場の拡大を支える役割を担う企業である。
オークネット 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益EPS(円) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連20.12 | 24,078 | 3,705 | 3,643 | 1,896 | 34.3 | 10.5 |
| 連21.12 | 36,710 | 5,846 | 6,113 | 3,625 | 65.3 | 20 |
| 連22.12 | 40,455 | 6,601 | 6,699 | 4,346 | 79.7 | 24 |
| 連23.12 | 43,303 | 6,663 | 6,755 | 4,368 | 87.9 | 26.5 |
| 連24.12 | 55,910 | 7,005 | 7,207 | 4,485 | 94.2 | 38 |
| 連25.12予 | 62,000 | 8,200 | 7,900 | 5,100 | 112.5 | 45 |
| 連26.12予 | 67,300 | 9,000 | 8,900 | 5,700 | 125.7 | 46〜50 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2022 | 4,523 | 185 | -4,426 |
| 2023 | 5,116 | -428 | -5,102 |
| 2024 | 4,853 | -3,474 | -4,066 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 15.3% | 19.7% | 11.5% | — | — |
| 2024 | 12.5% | 17.3% | 10.1% | 高値平均13.9倍 / 安値平均9.0倍 | 3.62倍 |
| 2025 | 14.4% | 21.2% | 12.4% | 予想17.86倍 | — |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の流れを見ると、売上規模は2023年が約433億円、2024年が約559億円、2025年予想が約620億円、2026年予想が約673億円と、年を追うごとに着実に拡大している。成長スピードは急成長ではないものの、安定感のある右肩上がりで、事業基盤が崩れていないことが分かる。
営業利益は2023年が約66億円、2024年が約70億円、2025年予想が約82億円、2026年予想が約90億円となっており、売上成長に対して利益もしっかり追随している。経常利益も2023年約67億円、2024年約72億円、2025年予想約79億円、2026年予想約89億円と同様の推移で、収益構造に大きな歪みは見られない。純利益も2023年約43億円、2024年約44億円、2025年予想約51億円、2026年予想約57億円と、緩やかだが確実に積み上がっている。
収益性を見ると、営業利益率は2023年15.3%、2024年12.5%、2025年14.4%となっている。2024年に一度低下している点はやや気になるが、2025年予想では回復しており、構造的に収益力が落ちたわけではないと判断できる。14〜15%台の営業利益率は、IT・プラットフォーム系としては十分高水準であり、価格競争に巻き込まれにくいビジネスモデルであることがうかがえる。
資本効率を見ると、ROEは2023年19.7%、2024年17.3%、2025年21.2%と、2025年に再び20%を超えている。ROAも2023年11.5%、2024年10.1%、2025年12.4%と高い水準を維持している。ROE20%超、ROA10%超という数値は、市場全体で見てもかなり優秀で、利益を効率良く生み出せている企業といえる。
バリュエーション面では、2024年実績PERが高値平均13.9倍、安値平均9.0倍、実績PBRが3.6倍となっている。2025年予想PERは17.8倍まで上昇しており、利益成長を織り込んで市場評価が一段切り上がっている状態と考えられる。過去の安値PERと比べると割安感は薄いが、ROEが20%を超える水準であることを考えると、PBR3倍台は成長企業としては極端に割高とは言い切れない。
総合的に見ると、売上と利益が安定的に成長し、営業利益率、ROE、ROAはいずれも高水準で、事業の質はかなり高い。一方で、2025年予想PERは17倍台と、もはや割安株とは言えず、株価は業績成長を前提とした評価ゾーンに入っている。そのため、短期的な大幅上昇を狙うよりは、中期的に業績成長が続くかどうかを確認しながら保有するタイプの銘柄といえる。
結論としては、高い収益性と資本効率を背景に中長期では評価できるが、すでに一定の成長期待は株価に織り込まれており、安値放置の割安株というより、成長を取りにいく銘柄という位置づけになる。配当狙いよりも、利益成長と企業価値の積み上がりを重視する投資スタンスに向いている。
配当目的とかどうなの?
まず配当利回りを見ると、連25.12、連26.12ともに予想配当利回りは2.77%となっている。水準としては、低配当ではないが高配当とも言えず、市場全体で見れば中間よりやや低め〜標準的なレンジに入る。これだけを見る限り、配当だけを主目的に投資する銘柄ではない。配当額自体は増配基調にあり、2023年26.5円、2024年38円、2025年予想45円、2026年予想46〜50円と、利益成長に合わせて着実に引き上げられている。配当を出し渋る企業ではなく、株主還元意識ははっきりしている。
ただし、配当利回りが2.7%台にとどまっているのは、配当が低いというより、利益成長期待によって株価水準が比較的高く保たれているためと考えられる。2025年予想PERは17.8倍と、配当狙いで買われる水準ではなく、成長評価が前提になっている。
キャッシュフローを見ると、営業CFは2022〜2024年で毎年約45〜51億円と安定してプラスで推移している。一方、投資CFは2024年に約マイナス34億円と大きく出ており、成長投資を優先している局面であることが分かる。それでも財務CFは配当や自己株関連を含めてコントロールされており、配当が無理をして出されている印象はない。
総合すると、配当は安定して出ており増配傾向も続いているため、配当を全く重視しない企業ではない。ただし、利回り自体は3%未満で、インカムゲインを主目的にするには物足りない水準である。この銘柄は、配当を「おまけ」として受け取りながら、利益成長と株価上昇を狙うタイプに向いている。結論として、純粋な配当目的の銘柄ではないが、業績成長に伴う安定配当と緩やかな増配を期待する投資家には合う。高配当株を集めたい人よりも、成長+配当のバランス型を狙う人向けの銘柄と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
オークネットは、中古車を中心に、バイク、花き、ブランド品、中古PC、スマートフォンなど、多分野で業者間ネットオークションを運営するプラットフォーム企業である。個人向けではなくBtoB取引に特化しており、会員制オークションという形で流通事業者同士をつなぐ業界インフラとしての役割を担っている。出品料、落札手数料、会費などを主な収益源とするストック型ビジネスで、特に中古車オークションとデジタル機器関連オークションが利益の柱となっている。固定費負担が比較的低く、営業利益率は2割前後と安定して高い水準を維持しており、ROE、ROAも堅調な水準にある。現在価格1,985円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。
良い場合のシナリオでは、中古車流通量が安定的に推移しつつ、スマートフォンや中古PCなどのデジタル機器オークションが成長ドライバーとなるケースを想定する。営業利益率は20%前後を維持し、ROEも15%前後で安定する。業者間取引のインフラ企業としての安定性と、リユース市場拡大の成長性が同時に評価され、市場からの信頼が高まる。PERは18〜22倍程度まで許容され、利益成長が株価を押し上げる。この場合、現在価格1,985円から株価は段階的に上昇し、5年後には3,000円から3,400円程度まで上昇する展開が考えられる。安定成長を前提とした、最も強気なシナリオである。
中間のシナリオでは、中古車市場は大きな拡大も縮小もなく横ばい圏で推移し、デジタル機器分野の成長が全体を下支えするケースを想定する。売上・利益は緩やかな増加にとどまり、営業利益率は18〜20%程度で安定する。市場の評価は落ち着き、PERは15〜17倍程度に収れんする。この場合、株価は急騰せず、現在価格1,985円を中心に上下しながら推移し、5年後の水準は2,300円から2,600円程度に収まる可能性が高い。値上がり益と配当をバランスよく狙う、現実的なシナリオといえる。
悪い場合のシナリオでは、中古車流通量の減少や競合オークションとの競争激化により取扱高が伸び悩み、デジタル機器分野の成長も鈍化するケースを想定する。営業利益率は15%前後まで低下し、ROEも10%台前半にとどまる。成長期待が後退し、市場評価は切り下がり、PERは10〜12倍程度まで低下する。この場合、株価は調整局面に入り、現在価格1,985円から下落して1,400円から1,600円程度まで下げる可能性がある。その後は安定した収益基盤を背景に下値は固まりやすいが、5年後でも1,500円前後にとどまる展開になりやすい。
総合すると、現在価格1,985円を起点としたオークネットの5年間の値動きは、良い場合で3,000円から3,400円前後、中間で2,300円から2,600円、悪い場合で1,400円から1,600円といったレンジが想定される。高配当目的の銘柄ではないものの、安定した収益基盤とリユース市場拡大の追い風を背景に、値上がり益と配当を組み合わせて狙う中長期投資家向けの銘柄だといえる。
この記事の最終更新日:2025年12月16日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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