株価
セグエグループとは

セグエグループは、セキュリティ製品の輸入販売とネットワーク・セキュリティ分野のソリューション提供を両輪とするネットワークインテグレーターであり、東京都中央区に本社を置く純粋持株会社である。中核子会社であるジェイズ・コミュニケーション株式会社をはじめ、情報・通信分野を手がける複数の子会社を傘下に持ち、グループとしてITインフラの設計、構築、運用、保守までを一貫して提供している。特に情報セキュリティ分野に強みを持ち、企業や官公庁、社会インフラ関連の顧客を中心に事業を展開している。
ビジネスモデルの特徴は、海外製を中心としたセキュリティ製品の輸入販売によるプロダクトビジネスと、それらを組み合わせたネットワーク・セキュリティソリューションの提供、さらにSE派遣や技術支援といった人的リソースビジネスを組み合わせている点にある。単なる機器販売にとどまらず、設計・構築から運用・保守、常駐支援までをカバーすることで、顧客との継続的な関係を築きやすい収益構造を形成している。特にSE派遣や技術者提供に強みを持ち、慢性的にIT人材が不足する中で、安定した需要を取り込んでいる。
沿革を見ると、2014年12月に単独株式移転によりセグエグループ株式会社を設立し、ジェイズ・コミュニケーション株式会社などを子会社化したことが出発点となっている。その後、子会社の再編や吸収合併、社名変更を行いながら事業基盤を整備してきた。2016年には自社開発のネットワーク分離ソリューション「SCVX」の販売を開始し、同年12月にJASDAQへ上場。以降、東京証券取引所第二部、第一部へと市場変更を行い、上場企業としての体制を強化してきた。
技術面では、自社開発製品の育成を重要な成長テーマとしている。SCVXを皮切りに、「RevoWorks Browser」や「RevoWorks Desktop」など、情報漏えい対策やセキュアブラウザを中心とした自社開発セキュリティ製品を展開しており、プロダクト型ビジネスへの比重を徐々に高めている。これらの製品は、官公庁や大企業を中心に導入が進んでおり、単発のSI案件に比べて収益の安定性や利益率の向上が期待される分野である。また、SCVX関連では特許も取得しており、技術的な差別化を図っている点も特徴だ。
人材戦略も同社の重要な要素である。グループとしてITエンジニアの採用・育成に積極的で、特に高度なセキュリティ技術を持つエンジニアの育成に力を入れている。これはCSR活動の一環として位置づけられていると同時に、事業競争力の源泉でもある。エンジニア教育への継続的な投資により、SE派遣や常駐支援の品質を高め、顧客からの信頼を積み上げている。
全体としてセグエグループは、輸入セキュリティ製品による安定収益、ソリューション・SE派遣による人材ビジネス、そして自社開発製品の成長という三層構造で事業を展開している。今後はサイバー攻撃の高度化やDX、クラウド化の進展を背景に、セキュリティ需要の拡大が見込まれる中で、自社開発製品の拡販とM&Aを通じた事業領域の拡大により、収益性と成長性の両立を目指す企業といえる。
セグエグループ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益EPS(円) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連20.12 | 10,992 | 843 | 874 | 634 | 18.5 | 5.33 |
| 連21.12 | 12,038 | 638 | 686 | 454 | 13.2 | 5.33 |
| 連22.12 | 13,622 | 906 | 1,050 | 743 | 22.2 | 6 |
| 連23.12 | 17,443 | 1,086 | 1,015 | 660 | 19.6 | 10 |
| 連24.12 | 18,717 | 720 | 1,060 | 507 | 15.7 | 11 |
| 連25.12予 | 24,800 | 1,510 | 1,480 | 780 | 24.6 | 13 |
| 連26.12予 | 28,000 | 1,850 | 1,850 | 980 | 30.9 | 15〜16 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2022 | 1,125 | 84 | 453 |
| 2023 | 1,586 | -658 | -669 |
| 2024 | 1,755 | -991 | -335 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 6.2% | 16.7% | 5.5% | — | — |
| 2024 | 3.8% | 17.0% | 3.7% | 高値平均26.8倍 / 安値平均12.8倍 | 5.62倍 |
| 2025 | 6.4% | 29.6% | 6.4% | 予想25.48倍 | — |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず売上の流れを見ると、2023年は約174.4億円、2024年は約187.1億円、2025年予想は約248.0億円、2026年予想は約280.0億円となっており、2025年以降に成長が一段と加速する計画になっている。特に2024年から2025年にかけての伸びは大きく、事業拡大フェーズに入る前提の数字だといえる。
一方で利益の推移を見るとやや波がある。営業利益は2023年が約10.8億円だったのに対し、2024年は約7.2億円まで落ち込んでいる。2025年予想では約15.1億円、2026年予想では約18.5億円と急回復を見込んでおり、2024年は一時的な調整局面という位置づけになっている。経常利益は2023年が約10.1億円、2024年が約10.6億円と比較的底堅いが、営業利益の落ち込みを見ると、本業の収益力が安定しているとはまだ言い切れない。純利益も2023年約6.6億円、2024年約5.0億円と一度減少し、2025年予想で約7.8億円、2026年予想で約9.8億円と回復する計画になっている。
収益性を見ると、営業利益率は2023年6.2%、2024年3.8%、2025年予想6.4%となっており、2024年に大きく悪化している点が目立つ。2025年には元の水準に戻る計画だが、利益率のブレが大きく、まだ安定した高収益体質とは言いにくい。ROEは2023年16.7%、2024年17.0%、2025年予想29.6%と、2025年は非常に高い数値が想定されているが、これは利益回復が前提であり、実績として確認できるまでは楽観視はできない。ROAも2023年5.5%、2024年3.7%、2025年予想6.4%と同様に、2024年の落ち込みと2025年の回復という構図になっている。
バリュエーションを見ると、2024年実績PERは高値平均26.8倍、安値平均12.8倍と振れ幅が大きく、市場の評価が安定していないことが分かる。実績PBRは5.6倍とかなり高く、純資産に対しては強気な評価が付いている。2025年予想PERは25.4倍で、利益回復と成長を前提にした水準だといえる。営業利益率が一桁台前半の企業としては、PERもPBRも割高寄りで、期待先行の評価になっている印象は強い。
全体をまとめると、売上は拡大基調で、2025年以降の利益回復が実現すれば数字の見栄えは大きく改善する。ただし、2024年に営業利益率が3.8%まで低下している点を見ると、収益の安定性にはまだ不安が残る。現在の評価水準は、すでに回復シナリオをかなり織り込んでおり、計画未達となった場合の下振れリスクは小さくない。
結論としては、安定収益や割安さを求める投資には向かず、2025年以降の業績回復を信じて値上がり益を狙う成長株タイプの銘柄である。業績が想定どおり進めば評価は維持されるが、少しでもつまずけば評価調整が起きやすい、期待とリスクが表裏一体の局面にあると言える。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りを見ると、連25.12で1.88%、連26.12で2.18%となっている。この水準は市場全体で見ると低めで、高配当株と呼べるレンジには明確に入らない。配当だけを目的に保有する銘柄としては、正直に言って物足りない水準である。配当額自体は増配基調にあり、2023年10円、2024年11円、2025年予想13円、2026年予想15〜16円と、利益成長に合わせて着実に引き上げられている点は評価できる。ただし、株価水準が比較的高く、PERも25倍前後と成長期待を織り込んだ状態にあるため、配当利回りは抑えられている。
キャッシュフローを見ると、営業CFは2022年から2024年にかけて増加しており、本業でのキャッシュ創出力は改善している。一方で投資CFはマイナスが拡大しており、成長投資を優先している局面であることが分かる。この状況から、会社のスタンスは高配当よりも、事業拡大や自社製品開発への再投資を重視していると考えられる。
総合すると、この銘柄は配当を全く出さない企業ではなく、増配姿勢も見られるものの、配当利回りは2%前後にとどまり、インカムゲインを主目的にするには向かない。配当はあくまで「おまけ」として受け取りつつ、業績回復と成長による株価上昇を狙う投資スタンスに向いた銘柄といえる。
結論として、配当目的で買う銘柄ではないが、成長の進展に伴う緩やかな増配を期待しながら、中長期で値上がり益を狙う投資家には合う。高配当株を集めたい人よりも、成長重視のポートフォリオに組み込む位置づけが妥当だと判断できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
セグエグループは、情報セキュリティ製品の輸入販売とネットワーク・セキュリティ分野のソリューション提供を両輪とするITインフラ系企業である。中核子会社であるジェイズ・コミュニケーションを中心に、企業や官公庁向けにネットワーク設計、構築、運用、保守、SE派遣までを一貫して手がけている。海外製セキュリティ製品の販売に加え、自社開発のセキュリティ製品やソリューションを展開しており、近年は「RevoWorks」シリーズなど自社開発品の成長にも注力している。人材提供とプロダクト、ソリューションを組み合わせたビジネスモデルが特徴で、IT人材不足を背景に一定の需要を確保している。現在価格688.0円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。
良い場合のシナリオでは、企業のDX投資やセキュリティ対策需要が拡大し、輸入セキュリティ製品の販売とソリューション案件がともに伸長するケースを想定する。加えて、自社開発製品の売上比率が高まり、収益構造が改善する。営業利益率は6%台まで回復・定着し、ROEも20%超の水準が評価される。成長株としての見方が強まり、PERは25倍前後で許容される。この場合、現在価格688.0円から株価は段階的に切り上がり、5年後には1,100円から1,300円程度まで上昇する展開が考えられる。業績回復と成長期待が同時に進む、最も強気なシナリオである。
中間のシナリオでは、セキュリティ需要は堅調に推移するものの競争も激しく、売上・利益の伸びは緩やかにとどまるケースを想定する。営業利益率は5%前後で安定し、ROEは高水準を維持するが、成長株としての評価はやや落ち着く。市場の評価は冷静となり、PERは18〜22倍程度に収れんする。この場合、株価は大きく上昇も下落もしにくく、上下を繰り返しながら推移し、5年後の水準は800円から950円程度に収まる可能性が高い。配当利回りは高くないため、トータルリターンは緩やかな値上がり益が中心となる。
悪い場合のシナリオでは、IT投資の抑制や価格競争の激化により、ソリューション案件の採算が悪化し、利益回復が遅れるケースを想定する。営業利益率は4%前後にとどまり、ROEの改善も限定的となる。成長期待が後退し、PERは12〜15倍程度まで低下する。この場合、株価は調整局面に入り、500円前後まで下落する可能性がある。その後は人材ビジネスと既存顧客基盤に支えられて下値は固まるものの、5年後でも550円から650円程度にとどまり、現在値近辺を行き来する展開になりやすい。
総合すると、現在価格688.0円を起点としたセグエグループの5年間の値動きは、良い場合で1,100円から1,300円前後、中間で800円から950円、悪い場合で550円から650円といったレンジが想定される。配当目的には物足りない一方で、セキュリティ需要の拡大と自社開発製品の成長が進めば評価余地は残されており、業績回復を前提に値上がり益を狙う中長期投資家向けの銘柄だといえる。
この記事の最終更新日:2025年12月16日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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