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ユーザーローカル(3984)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ユーザーローカルとは

ユーザーローカルは、ビッグデータ解析と人工知能技術を中核に据えたIT企業で、企業活動の可視化と高度化を支援する各種SaaSサービスを開発・提供している。東京都港区に本社を置き、創業以来一貫してデータとAIの活用に特化した事業展開を行っている点が特徴である。経営理念として「ビッグデータ×人工知能で世界を進化させる」を掲げ、データに基づく意思決定を企業や社会に根付かせることを目指している。

同社の事業の根幹は、ビッグデータ分析システムおよびAIシステムの研究開発と提供にある。Web、SNS、メディア、テキスト、画像など、多様なデータソースから大量の情報を収集・解析し、それを分かりやすく可視化することで、企業のマーケティング活動や業務改善、戦略立案を支援している。自社開発のアルゴリズムとクラウド技術を活用し、すべてのサービスをSaaSとして提供しているため、導入のしやすさと継続利用によるストック型収益モデルを両立している。

Webマーケティング分野では、「User Insight」を主力サービスとして展開している。これはWebサイト上のユーザー行動を詳細に分析し、訪問者の属性、行動パターン、興味関心などを可視化するツールで、企業がWebサイト改善やマーケティング施策を行う際の意思決定を支援する。単なるアクセス解析にとどまらず、ユーザー理解を深めるための分析機能が充実している点が特徴である。

SNS分野では、「Social Insight」を提供している。これはソーシャルメディア上の投稿内容や拡散状況、話題のトレンド、ブランドや商品に対する評価を分析するツールで、企業の広報・マーケティング部門を中心に利用されている。炎上リスクの監視やキャンペーン効果の測定などにも活用されており、SNSが企業活動に与える影響が大きくなる中で、重要性の高いサービスとなっている。

さらに、「Media Insight」はニュースサイトやブログ、各種メディアの掲載情報を解析するツールで、企業やブランドがどのように報道・言及されているかを把握するために利用されている。Web、SNS、メディアを横断したデータ分析により、企業は情報発信の効果や世間の評価を多面的に捉えることができる。

AI分野では、自然言語処理技術を活用した人工知能チャットボット「Support ChatBot」を提供している。これは顧客からの問い合わせ対応や社内ヘルプデスク業務を自動化するもので、人手不足への対応や業務効率化を目的として導入が進んでいる。近年は生成AIの活用にも注力しており、法人向けChatGPTツール「ChatAI」を展開することで、企業内でのナレッジ活用や文書作成、問い合わせ対応など、より高度な業務支援領域へと事業を広げている。

ユーザーローカルの特徴として、研究開発志向の強さが挙げられる。ビッグデータ解析やAI技術の進化を事業成長の源泉と位置づけ、継続的に新機能や新サービスを投入している点が競争力につながっている。また、広告代理業のような人的リソース依存型ビジネスではなく、ソフトウェア中心のビジネスモデルであるため、固定費が比較的低く、高い営業利益率を維持しやすい構造となっている。

全体としてユーザーローカルは、Webマーケティング、SNS分析、メディア解析、AIチャットボット、生成AI活用といった分野を横断的にカバーし、企業のDXをデータとAIの側面から支援する企業である。ストック型収益を積み上げやすいSaaSモデルと、高付加価値な分析・AI技術を組み合わせることで、安定性と成長性を両立した事業基盤を築いている点が大きな特徴だと言える。

ユーザーローカル 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(単位百万) 営業利益 経常利益 純利益 一株益EPS(円) 一株配当
単21.6 2,088 854 850 615 39.3 2.5
単22.6 2,683 1,024 1,018 721 45.4 3
単23.6 3,288 1,372 1,357 954 59.8 4
単24.6 3,907 1,728 1,720 1,185 73.9 8
単25.6 4,581 1,971 1,972 1,429 88.9 14
単26.6予 5,300 2,200 2,200 1,520 95.3 20
単27.6予 6,000 2,700 2,700 1,800 112.9 22〜24

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 1,313 -28 -238
2024 1,545 -198 -36
2025 1,806 -260 -676

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 41.7% 15.0% 13.2%
2024 44.2% 15.3% 13.4%
2025 43.0% 16.4% 14.3% 高値平均40.2倍 / 安値平均18.1倍 3.46倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず売上の推移を見ると、2024年が約39億円、2025年が約45億円、2026年予想で約53億円と、きれいな右肩上がりが続いている。成長スピードは爆発的ではないが、毎年着実に売上を積み上げており、事業基盤が安定して拡大していることが分かる。

利益面に目を向けると、この会社の強みは非常に分かりやすい。営業利益は2024年約17億円、2025年約19億円、2026年予想で約22億円と、売上の伸びにほぼ比例して増えている。経常利益もほぼ同じ水準で推移しており、特別損益に左右されにくい、極めて素直な利益構造である。純利益も2024年約11億円、2025年約14億円、2026年予想約15億円と、安定感のある増益が続いている。

収益性を見ると、営業利益率は2023年41.7%、2024年44.2%、2025年43.0%と、3年連続で40%を超えている。これは国内企業の中でもかなり例外的な水準で、ソフトウェア中心のビジネスモデルと固定費の低さが強力な武器になっていることを示している。多少の変動はあるものの、利益率が構造的に高いことは明らかで、簡単に崩れる数字ではない。

ROEは2023年15.0%、2024年15.3%、2025年16.4%と安定して15%前後を維持している。ROAも2023年13.2%、2024年13.4%、2025年14.3%と高水準で、資本や資産を効率よく使って利益を生み出していることが分かる。収益性と効率性の両面で、非常に優秀な部類に入る。

一方で評価面を見ると、2025年の実績PERは高値平均で40.2倍、安値平均で18.1倍と振れ幅が大きい。市場が強気になればかなり高い評価まで買われる一方、冷静になると一気に評価が下がる傾向がある。実績PBRは3.4倍で、純資産に対しては高めの評価だが、営業利益率40%超、ROE15%超という数字を考えれば、プレミアムが付くのも自然ではある。

全体を通して見ると、この会社は売上成長、利益成長、収益性のすべてが高いレベルでそろっており、事業の質は非常に高い。数字だけを見る限り、ビジネスモデルは完成度が高く、急激に崩れるリスクは小さい。一方で、すでにその強さは市場に認識されており、常に割安で買える銘柄ではない。

結論としては、安さを狙って買う銘柄というより、圧倒的な営業利益率と安定した成長を評価して、長期で保有するタイプの銘柄である。業績が計画どおり進む限り、株価も中長期では利益成長に沿って推移しやすいが、成長鈍化が見えた瞬間には評価調整が起きやすい。その意味で、質の高い成長株として向き合うべき銘柄だと言える。

配当目的とかどうなの?

まず予想配当利回りを見ると、2026年6月期で1.04%、2027年6月期で1.15%となっている。この水準は明確に低く、高配当株どころか、一般的な配当重視銘柄と比べても見劣りする。配当収入そのものを主目的にする投資家にとっては、物足りない水準であることははっきりしている。

一方で、配当金額そのものは着実に増えている。過去には2.5円、3円、4円、8円、14円と段階的に増配しており、2026年は20円、2027年は22〜24円と予想されている。利益成長に合わせて配当も増やしていく方針が数字から読み取れ、株主還元に消極的という印象はない。

営業利益率は40%超、営業CFも安定して積み上がっており、配当を支払う余力自体は非常に大きい。ただし、そのキャッシュは高配当に振り切るのではなく、成長投資や内部留保を優先しつつ、徐々に増配していくスタンスだと考えられる。つまり、配当性向を高めて利回りを上げるフェーズにはまだ入っていない。

総合すると、この銘柄は配当目的で買う銘柄ではない。利回り1%前後では、配当を主軸にした投資には向かない。一方で、業績拡大とともに増配が続く可能性は高く、長期保有の結果として配当が増えていくタイプの銘柄ではある。結論としては、高配当狙いには不向きだが、成長と増配をセットで取りに行く銘柄であり、値上がり益を主とし、配当はあくまでおまけと考える投資家向けだと言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

ユーザーローカルは、ビッグデータ解析ツールや人工知能(AI)を活用した業務支援ツールを自社開発・提供するIT企業である。Webマーケティング解析、SNS解析、メディア解析、AIチャットボット、法人向けChatGPTツールなどをSaaSとして展開しており、すべてクラウド上で提供されるストック型ビジネスモデルが中核となっている。固定費が低く、ソフトウェア中心の事業構造であるため、営業利益率は4割前後と非常に高く、ROE、ROAも二桁水準を安定して維持している。高収益かつキャッシュ創出力の強い企業である点が最大の特徴だ。現在価格1,909.0円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、企業のDX投資やデータ活用、生成AI導入の流れが継続し、Web解析、SNS分析、AIチャットボットといった主力サービスが着実に成長するケースを想定する。営業利益率は40%前後という極めて高い水準を維持し、ROEも15〜17%程度まで上昇する。高収益SaaS企業としての評価がより強まり、PERは20倍台後半から30倍近辺で許容される。この場合、現在価格1,909.0円から株価は段階的な上昇基調となり、5年後には3,000円から3,400円程度まで上昇する展開が考えられる。値上がり益を主軸とした、最も強気なシナリオである。

中間のシナリオでは、事業環境は堅調に推移するものの、成長率は徐々に落ち着き、売上・利益は安定成長にとどまるケースを想定する。営業利益率は40%前後を維持するが、大きな改善は見られず、市場の評価も冷静になる。PERは15〜20倍程度に収れんし、株価は急騰せずに上下を繰り返しながら推移する。この場合、5年後の株価水準は2,100円から2,400円程度に収まり、配当と小幅な値上がり益を合わせた穏やかなトータルリターンとなる。

悪い場合のシナリオでは、IT投資の鈍化や競争激化により新規導入が減速し、成長期待が後退するケースを想定する。営業利益率は依然として高水準を維持するものの、売上成長が鈍化することで成長株としての評価が剥落する。PERは12〜14倍程度まで低下し、株価は調整局面に入る。この場合、現在価格1,909.0円から1,400円前後まで下落する可能性があり、その後はキャッシュ創出力の強さを背景に下値は固まるものの、5年後でも1,500円から1,700円程度にとどまり、現在値近辺を行き来する展開になりやすい。

総合すると、現在価格1,909.0円を起点としたユーザーローカルの5年間の値動きは、良い場合で3,000円から3,400円前後、中間で2,100円から2,400円、悪い場合で1,500円から1,700円といったレンジが想定される。配当目的には物足りないが、営業利益率40%超という圧倒的な収益性とSaaS型ビジネスの強みを背景に、値上がり益を狙う中長期投資家向けの銘柄だといえる。

この記事の最終更新日:2025年12月16日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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