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住友精化(4008)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

住友精化とは

住友精化株式会社は、住友化学株式会社の持分法適用会社として住友グループに属する化学メーカーであり、本店を兵庫県加古郡播磨町に、本社機能を大阪市中央区と東京都千代田区に置いている。住友グループ広報委員会にも参加しており、グループの素材・化学分野を担う企業の一社である。もともとは肥料の製造を中心とした事業を行っていたが、1960年代に事業転換を行い、現在では高分子化学を基盤としたファインケミカルメーカーとして知られている。

同社の最大の柱は、紙おむつや生理用品などに使用される高吸水性樹脂である。高吸水性樹脂は生活必需品向けの素材であり、需要が景気に左右されにくい特徴を持つ。住友精化は国内外に生産拠点を有し、安定供給体制を構築している。世界の高吸水性樹脂市場では、日本触媒、BASF、エボニックなどと並ぶ主要メーカーの一角を占めており、品質の高さと信頼性を強みとしている。

高吸水性樹脂に加えて、精密化学品や機能樹脂、有機高分子、ポリエチレンオキサイド、微粒子ポリマーなど、幅広いファインケミカル製品を手掛けている。これらの製品は、化学、電子、医療、工業用途など多様な分野で使用されており、顧客ニーズに応じた高付加価値製品の提供を行っている点が特徴である。

また、各種工業用ガスや高純度ガス、ガス発生装置の製造、エンジニアリング分野にも事業を展開している。半導体や電子部品の製造工程向けのガス関連製品は、先端産業の需要を背景に安定した需要が見込まれる分野であり、高吸水性樹脂とは異なる収益源として事業ポートフォリオを支えている。

主要な事業所としては、大阪本社、東京本社のほか、兵庫県播磨町の別府工場で精密化学品や基礎化学品、ガス製品を製造し、姫路工場ではポリマー製品、千葉工場では粉末樹脂製品やガス製品を生産している。国内外に複数の生産・販売拠点を持つことで、安定供給と効率的な生産体制を実現している。

このように住友精化は、紙おむつ用高吸水性樹脂という安定需要分野を大黒柱としつつ、工業用ガスや機能性化学品といった高付加価値分野を組み合わせた事業構造を持つ化学メーカーであり、生活必需分野と産業分野の両面を支える堅実な企業といえる。

住友精化 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株当たり配当(円)
23.3期 143,041 10,454 10,929 8,592 636.8 200
24.3期 142,986 9,529 10,247 6,166 459.0 200
25.3期 147,571 10,712 11,106 5,961 450.6 200
26.3期(予) 145,000 9,000 8,400 6,100 465.3 200
27.3期(予) 147,000 9,800 10,000 7,000 533.9 200〜220

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023年3月期 6,703 -5,942 -8,303
2024年3月期 12,008 -10,372 -5,767
2025年3月期 13,681 -20,915 3,186

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

営業利益率(%) ROE(%) ROA(%) PER(倍) PBR(倍)
2023年 7.3 9.9 6.7
2024年 6.6 6.4 4.5
2025年 7.2 6.3 4.2 10.4(高) / 7.6(安) 0.72

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず売上高は24.3期が1,429億円、25.3期が1,475億円、26.3期予想が1,450億円と、1,400億円台でほぼ横ばいに推移している。事業規模は大きいものの、拡大局面ではなく成熟段階にあることが数値から読み取れる。営業利益も95億円から107億円、その後は90億円程度と、100億円前後で安定しており、大きな成長や急激な悪化は見られない。

営業利益率は7.3%、6.6%、7.2%と6〜7%台で推移しており、化学メーカーとしては標準的で安定した水準である。高収益体質ではないが、価格競争で利益が大きく削られる構造でもなく、事業の安定感は高いと言える。

資本効率を見ると、ROEは9.9%から6.4%、6.3%へと低下しており、ROAも6.7%から4.2%まで下がっている。利益水準が横ばいである一方、資本を積み上げているため、効率性はやや低下傾向にある。資本効率の改善を評価する局面ではなく、安定維持を優先している段階と捉えられる。

株価評価面では、2025年の実績PERは高値平均でも10.4倍、安値平均では7.6倍とかなり低い水準にあり、PBRも0.7倍と1倍を下回っている。市場は住友精化に大きな成長をほとんど期待しておらず、純資産に対しても割安に評価していることが分かる。

これらを数値だけで総合すると、住友精化は高成長を狙う銘柄ではなく、売上・利益ともに横ばいながら安定した収益を生み出す成熟企業である。PERとPBRの低さから下値余地は比較的小さく、業績が大きく崩れない限り株価は安定しやすい。一方で、成長ドライバーが見えにくいため、株価が大きく上昇する可能性も高くはない。

結論として、住友精化は値上がり益を狙うよりも、割安さと業績の安定性を評価して長期で保有するタイプの銘柄であり、防御的なポートフォリオを組む際の土台として向いていると考えられる。

配当目的とかどうなの?

結論から言うと、住友精化は配当目的としてかなり相性が良い銘柄といえる。26.3期、27.3期ともに予想配当利回りは3.72%と、東証全体で見ても高めの水準にあり、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力は大きい。

これまでの数値を見ると、売上高や利益は大きな成長はないものの、1,400億円台の売上と100億円前後の営業利益を安定して確保している。キャッシュフローも営業CFが安定してプラスで推移しており、配当の原資は十分に確保できていると考えられる。業績が急拡大しなくても、一定の配当を継続できる体力がある点は、配当目的では重要なポイントになる。

また、直近数年間にわたり1株当たり200円前後の配当を継続しており、業績の多少の上下があっても配当水準を維持する姿勢がうかがえる。予想利回り3.72%は、成長株では得られない安定感があり、値動きよりも毎年の配当収入を重視する投資スタイルに適している。

バリュエーション面でも、PERは10倍前後、PBRは1倍割れと割安水準にあり、株価の下値リスクは比較的小さい。高配当でありながら、極端に無理をした配当ではなく、利益水準と釣り合った水準に見える点も評価できる。

数値だけで判断すると、住友精化は値上がり益を狙う銘柄ではないものの、安定した業績と比較的高い配当利回りを組み合わせて、長期で保有する配当目的の銘柄としては十分に検討に値する。ポートフォリオの安定収入源として組み入れる意義は大きいといえる。

今後の値動き予想!!(5年間)

住友精化は、紙おむつ用の高吸水性樹脂を主力とする化学メーカーであり、生活必需分野向け素材を大黒柱に、工業用ガスや機能性化学品なども手掛けている。高吸水性樹脂は世界的にも需要が安定しており、国内外に生産拠点を持つことで安定供給体制を構築している。売上高は1,400億円台で推移し、営業利益も100億円前後と大きな成長はないものの、景気変動の影響を受けにくい事業構造を持つ点が特徴である。配当も長年にわたり安定しており、現在価格5,370円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、紙おむつ向け高吸水性樹脂の需要が国内外で安定的に推移し、原材料価格や為替の影響も比較的落ち着いた環境を想定する。営業利益率は7%前後を維持し、営業利益は100億円規模で安定する。高配当銘柄としての評価が一段と定着し、PBRは現在の1倍割れから是正され、PERも10倍前後で落ち着く。業績の大きな成長はなくとも、安定性と配当を評価する資金が流入し、株価は緩やかに上昇する。この場合、現在価格5,370円から株価は徐々に見直され、5年後には6,000円から6,800円程度まで上昇する展開が考えられる。高配当・低リスクを評価した場合の強気シナリオである。

中間のシナリオでは、事業環境は大きく変わらず、売上高・利益ともに現状水準で横ばいが続くケースを想定する。営業利益率は6〜7%台で安定し、ROEも6%前後にとどまる。配当は維持され、利回りの魅力は継続するものの、成長期待は乏しいため市場評価は大きく変わらない。この場合、株価は現在価格5,370円を中心に上下しながら推移し、5年後の水準は5,200円から5,800円程度に収まる可能性が高い。配当を受け取りながら長期保有する、最も現実的なシナリオといえる。

悪い場合のシナリオでは、原材料価格の上昇や需要の鈍化により利益水準がやや低下するケースを想定する。営業利益は80億円台まで減少し、営業利益率も6%を下回る。成長期待が乏しい中で業績悪化が意識されると、市場評価はさらに慎重になり、PERは一桁台前半、PBRも低下する。この場合、配当は維持される可能性が高いものの、株価は調整局面に入り、現在価格5,370円から下落して、5年後には4,200円から4,800円程度まで下げる展開も想定される。

総合すると、現在価格5,370円を起点とした住友精化の5年間の値動きは、良い場合で6,000円から6,800円前後、中間で5,200円から5,800円、悪い場合で4,200円から4,800円といったレンジが想定される。大きな値上がりを狙う成長株ではないが、安定した収益基盤と高配当を背景に、値動きの安定性とインカムゲインを重視する中長期投資家向けの銘柄だといえる。

この記事の最終更新日:2025年12月16日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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