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PKSHA Technologyとは

株式会社PKSHA Technology(パークシャテクノロジー)は、深層学習をはじめとする人工知能(AI)アルゴリズムの研究開発を起点とし、企業向けAIソリューションおよびAI SaaSを提供する日本のテクノロジー企業である。大学発の研究成果を基盤に、自然言語処理、音声認識、画像認識などの高度なAI技術を実用化し、企業の業務課題解決に特化した事業を展開している。
同社は、対話自動化や知識活用といったAI機能を汎用化し、SaaS型プロダクトとして提供する点を特徴としている。ビジネスモデルは、アルゴリズムライセンス事業を中核とし、継続課金型の収益構造を構築している。
事業は「ソリューション」と「プロダクト」の2軸で展開されている。ソリューション領域では、PKSHA Automation、PKSHA Conversation、PKSHA Security、PKSHA SCM、PKSHA MA/CRMなどを通じ、企業ごとの業務プロセスや課題に応じたAI導入・高度化支援を行っている。プロダクト領域では、PKSHA Chatbot、PKSHA Voicebot、PKSHA FAQ、PKSHA Speech Insight、PKSHA Knowledge Maker、AIヘルプデスクなどのSaaS型サービスを提供し、カスタマーサポートや社内業務の自動化・効率化を支援している。
PKSHAが取り組む主なビジネス課題は、システム導入・運営における経営層、現場、IT部門、ベンダー間の認識のズレによる「多重伝言ゲーム」化、熟練者に依存した暗黙知の属人化、部門ごとに分断されたシステムやデータサイロ化といった問題である。これらが企業全体でのデータ活用や最適化を阻害していると捉えている。
同社の強みは、事業全体像を理解したうえでのシステム導入支援力、音声認識や自然言語処理など独自開発アルゴリズムと生成AIを組み合わせた知識共有・形式知化の実績、そしてSaaS型パッケージとカスタマイズ型ソリューションを組み合わせた一気通貫の実装力にある。これにより、企業内に蓄積された智慧やデータの可視化・共有を実現し、業務効率化と競争力強化を支援している。
PKSHA Technology 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株当たり配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 22.9期 | 11,509 | 1,565 | 1,551 | 836 | 27.4 | 0 |
| 23.9期 | 13,908 | 1,719 | 1,824 | 760 | 24.8 | 0 |
| 24.9期 | 16,893 | 3,235 | 3,343 | 2,100 | 67.8 | 0 |
| 25.9期(予) | 21,200 | 5,300 | 5,000 | 3,200 | 103.1 | 0 |
| 26.9期(予) | 35,000 | 5,700 | 5,700 | 3,600 | 115.9 | 0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023年9月期 | 2,390 | 1,719 | -1,093 |
| 2024年9月期 | 3,013 | -3,077 | 37 |
| 2025年9月期 | 5,176 | -6,198 | 4,893 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 12.3 | 2.6 | 2.0 | – | – |
| 2024年 | 19.1 | 6.5 | 5.0 | – | – |
| 2025年 | 24.2 | 7.7 | 4.9 | 115.9(高) / 52.9(安) | 2.93 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益の推移を見ると、営業利益は23.9期の17億円から24.9期に32億円、25.9期予想で53億円、26.9期予想で57億円と急拡大している。経常利益と純利益も同様の流れで伸びており、特に24.9期以降は利益成長が一段階加速している。売上の伸び以上に利益が伸びている点から、単なる規模拡大ではなく、収益構造そのものが改善していることが分かる。
営業利益率は2023年の12.3%から2024年に19.1%、2025年には24.2%まで上昇している。20%を超える営業利益率は日本のIT・AI関連企業の中でも高い水準であり、価格競争に陥っていないこと、もしくは付加価値の高いサービスを提供できていることを示している。この点は明確に評価できる。
一方で資本効率を見ると、ROEは2.6%、6.5%、7.7%と改善傾向にはあるものの、依然として10%に届いていない。ROAも2.0%から5.0%、4.9%と伸びてはいるが、高効率企業と呼べる水準ではない。利益成長に対して自己資本や総資産がまだ大きく、資本を十分に使い切れていない段階にあると考えられる。収益性は高いが、資本効率はまだ発展途上という評価になる。
バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは安値平均でも52.9倍、高値平均では115.9倍と非常に高い。PBRも2.9倍であり、すでに市場は将来の高成長をかなり強く織り込んでいる。現在の利益成長が数年続くことが前提になっている水準で、成長が少しでも鈍化すれば株価調整の余地は大きい。
以上を数値だけで総合すると、この会社は利益成長力と営業利益率の高さという点では非常に魅力的だが、ROEやROAはまだ低めで、株価水準は明らかに高成長を前提とした評価になっている。すでに保有している場合は成長が続く限り保有を継続する判断は成り立つが、新規で積極的に買うには割高感が強く、慎重姿勢が妥当と考えられる。数値だけで見る限り、「事業は強いが株価は期待先行」という位置づけになる。
配当目的とかどうなの?
結論から言うと、PKSHA Technologyは配当目的ではまったく向いていない。提示されている通り、26.9期も27.9期も予想配当利回りは0.00%で、現時点では株主還元としての配当を出す姿勢は数字上まったく見えてこない。つまり、PKSHA Technologyはインカムゲインを狙う投資家を対象にしていない。
これまでの数値を見ると、営業利益や純利益は大きく伸びており、利益水準そのものはすでに配当を出せる段階にある。それにもかかわらず無配を継続しているということは、PKSHA Technologyが稼いだ利益を株主に還元するよりも、事業拡大や研究開発、M&Aなどの成長投資に優先的に回す方針を明確にしていると解釈できる。
また、PERが50倍超から100倍超という水準にある中で配当を期待するのは現実的ではない。仮に配当を出したとしても、株価が高すぎるため利回りはごく低くなり、配当目的の魅力にはつながりにくい。市場もPKSHA Technologyを成長株として評価しており、配当開始を前提に株価が形成されているわけではない。
将来についても、ROEがまだ7%台であることを考えると、当面は内部留保を使って成長を続け、資本効率を高めるフェーズにあると見るのが自然だ。配当が出るとしても、それは成長が一巡し、ROEが安定的に10%以上になった後の話になる可能性が高い。数値だけで判断すると、PKSHA Technologyは配当目的では不適、値上がり益狙い専用、長期でもインカム投資には向かないという結論になる。配当を重視するなら、最初から別の銘柄を選ぶべきで、PKSHA Technologyはあくまで成長期待を取りに行く銘柄だと割り切る必要がある。
今後の値動き予想!!(5年間)
PKSHA Technologyは、深層学習を中心としたAIアルゴリズムの研究開発を起点に、企業向けAIソリューションおよびAI SaaSを提供するBtoB特化型のテクノロジー企業である。対話自動化、知識活用、業務効率化といった分野を中心に、企業の業務プロセスへAIを実装する役割を担っており、単なる受託開発ではなく、アルゴリズムを汎用化したSaaSとライセンス提供を組み合わせたビジネスモデルを構築している。営業利益率は直近で20%台前半まで上昇しており、高付加価値型のソフトウェア企業として収益性は高い。一方で配当は行っておらず、成長投資を優先する典型的な成長株である。現在株価3,255円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。
良い場合のシナリオでは、対話AIや業務自動化分野での需要拡大が続き、SaaS売上の積み上がりによって利益成長が持続するケースを想定する。営業利益率は24%前後を維持、もしくはさらに改善し、ROEも10%前後まで上昇する。市場からは国内有数のAIプラットフォーム企業として評価され、高成長プレミアムは残りつつも、PERは40〜50倍程度へ徐々に低下しながら安定する。この場合、利益成長が株価を押し上げ、現在株価3,255円から段階的に上昇し、5年後には6,000円から8,000円程度まで上昇する展開が考えられる。成長株として理想的な推移をたどる強気シナリオである。
中間のシナリオでは、AI市場自体は拡大するものの競争も激化し、利益成長は緩やかになるケースを想定する。営業利益率は20%前後で横ばいとなり、ROEは7〜9%程度で伸び悩む。市場の評価は落ち着き、PERは30倍前後まで調整される。この場合、株価は大きくは崩れないものの急騰もしにくく、現在株価3,255円を中心に上下しながら推移し、5年後の水準は3,500円から4,500円程度にとどまる可能性が高い。成長期待と割高感が拮抗する、最も現実的なシナリオといえる。
悪い場合のシナリオでは、AI関連投資の減速や競争激化により、利益成長が鈍化するケースを想定する。営業利益率は15%前後まで低下し、ROEも5〜6%台にとどまる。高成長前提が崩れ、市場評価は大きく切り下がり、PERは20倍前後まで低下する。この場合、株価は調整局面に入り、現在株価3,255円から下落して1,800円から2,500円程度まで下げる可能性がある。その後は事業基盤の強さから急落は避けられるものの、5年後でも2,000円前後にとどまる展開になりやすい。
総合すると、現在株価3,255円を起点としたPKSHA Technologyの5年間の値動きは、良い場合で6,000円から8,000円前後、中間で3,500円から4,500円、悪い場合で1,800円から2,500円といったレンジが想定される。配当を狙う銘柄ではなく、あくまで成長継続を前提に値上がり益を狙うタイプの銘柄であり、業績成長が続くかどうかが株価を大きく左右する高リスク・高リターン型の投資対象だといえる。
この記事の最終更新日:2025年12月16日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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