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日本パーカライジング(4095)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日本パーカライジングとは

日本パーカライジング株式会社は、防錆技術を発祥とする金属表面処理の専業メーカーであり、現在では熱処理、めっき、塗装分野まで事業領域を広げた、日本最大級の総合表面処理企業である。本社は東京都中央区日本橋に置き、長年にわたり自動車産業を中心とした製造業の基盤を支えてきた。金属表面処理という工程は完成品の表には出にくいが、耐久性、安全性、品質を左右する重要な分野であり、同社はこの分野で国内首位クラスの地位を確立している。

同社の技術は、鉄、アルミ、ステンレス、亜鉛など多様な金属素材に対応しており、防錆性の向上だけでなく、塗装密着性の改善、摩擦低減、耐摩耗性向上、外観品質の維持といった多面的な価値を提供している。これにより、自動車部品、建設機械、産業機械、電機・電子部品、耐久消費財など幅広い分野で採用されており、完成品の長寿命化や品質安定に大きく貢献している。

事業構成は、薬品事業、加工事業、装置事業を中心に展開されている。薬品事業では、リン酸塩皮膜処理剤などの化成処理薬剤をはじめ、圧延油、防錆油、洗浄剤、無電解めっき液などを開発・製造・販売しており、金属表面処理工程の中核を担っている。これらの薬品は単なる材料供給にとどまらず、顧客の製造条件に合わせた最適化提案が行われている点が特徴である。

加工事業では、防錆処理、熱処理、めっき、塗装といった各種表面処理の受託加工を行っており、自社工場での実処理を通じて、顧客の品質要求や工程改善ニーズに直接応えている。この分野では、自動車部品メーカーを中心に安定した需要があり、薬品事業との相乗効果によって技術力の高度化が進められている。

装置事業では、前処理装置、電着塗装装置、粉体塗装装置、排水処理設備、熱交換器などの設計・製造・販売を行っている。薬品、加工、装置を一体で提供できる体制を持つことで、単なる材料メーカーではなく、生産工程全体を支えるソリューション型企業としてのポジションを確立している点が、日本パーカライジングの大きな強みである。

海外展開も積極的であり、米国、中国、韓国、台湾、タイなどを含む世界11カ国に合弁企業や現地法人を展開している。特に自動車産業向けでは、グローバル自動車メーカーの海外生産拠点に合わせて事業を拡大してきた経緯があり、近年は海外売上比率が高まっている。海外拠点では、現地調達・現地生産を進めることで、為替変動リスクの低減や安定供給体制の構築にも取り組んでいる。

また、環境対応も重要な経営テーマとなっており、有害物質削減、省工程化、省エネルギー化に寄与する表面処理技術の開発を進めている。排水処理設備や環境負荷低減型薬品の提供を通じて、顧客の環境規制対応を支援する役割も担っている。近年では、電動化が進む自動車産業に対応した新材料や新工程の開発にも注力しており、EV関連分野への技術適応が中長期的な成長テーマとなっている。

防錆技術を原点に、薬品、加工、装置を組み合わせた一貫体制と、国内外に広がる生産・供給ネットワークを強みに、日本パーカライジングは金属表面処理分野における中核企業として、今後も安定した需要を背景に事業を継続していく企業と位置づけられる。

日本パーカライジング 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(単位百万) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(円) 一株当り配当
連21.3 99,918 10,681 14,197 9,999 84.8 26
連22.3 117,752 13,370 17,003 9,046 76.9 40
連23.3 119,177 12,668 16,625 9,973 86.1 40
連24.3 125,085 15,258 19,945 13,194 114.4 40
連25.3 132,281 14,998 19,936 13,112 112.2 50
連26.3予 132,000 14,000 18,500 12,000 110.4 50
連27.3予 133,000 14,400 18,900 12,300 113.2 50

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 16,608 -12,300 -9,158
2024 22,776 -5,784 -6,778
2025 12,010 -16,283 -15,227

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 10.6% 5.9% 4.2%
2024 12.1% 7.0% 4.8%
2025 11.3% 6.7% 4.9% 11.9倍~9.1倍 0.80倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

日本パーカライジングの直近業績を見ると、売上高は2024年3月期が約1,250億円、2025年3月期が約1,322億円、2026年3月期予想でも約1,320億円と、高水準で安定的に推移している。事業規模としては成熟段階にあり、大きな成長は見込みにくいが、売上の落ち込みも見られない安定型の構造といえる。

営業利益は2024年3月期が約152億円、2025年3月期が約149億円、2026年3月期予想が約140億円と、やや減益傾向にある。営業利益率は2023年から2025年にかけて10.6%、12.1%、11.3%と10%超を維持しており、金属表面処理という装置産業・受託加工型ビジネスとしては高い水準にある。ただし、ピークアウト感があり、今後の利益成長を強く期待できる状況ではない。

経常利益は2024年3月期が約199億円、2025年3月期が約199億円、2026年3月期予想が約185億円と高水準だが、こちらも横ばいからやや減少の見通しとなっている。純利益は2024年3月期が約131億円、2025年3月期が約131億円、2026年3月期予想が約120億円と、安定はしているものの増益基調ではない。

資本効率を見ると、ROEは2023年が5.9%、2024年が7.0%、2025年が6.7%と中程度の水準にとどまっている。ROAは4.2%、4.8%、4.9%とやや改善傾向にあり、資産を使った利益創出力は堅実だが、成長企業と評価される水準ではない。内部留保が厚く、守りの経営を重視する企業体質が数値にも表れている。

株式市場での評価を見ると、2025年の実績PERは9.1倍から11.9倍のレンジ、PBRは0.80倍と、明確に割高感はない。むしろ、営業利益率10%超、事業の安定性を考慮すると、市場評価はやや控えめといえる。ただし、ROEが一桁台後半にとどまっているため、PBR1倍を大きく上回る評価が付きにくい構造でもある。

総合的に見ると、日本パーカライジングは、売上・利益ともに大崩れしない強固な事業基盤を持つ一方で、成長力は限定的な成熟企業である。PER・PBR水準は割安感があり、下値の堅さは期待できるが、ROEや利益成長率の面から見て、株価が大きく切り上がる局面は想定しにくい。このため投資判断としては、短期的な値上がり益を狙う銘柄ではなく、業績の安定性と適度な配当を前提に、中長期で保有するディフェンシブ寄りの銘柄という位置づけになる。業績悪化リスクが小さい一方で、強い成長ストーリーも描きにくく、「安定収益・ほどほどのリターン」を許容できる投資家向けの銘柄と判断される。

配当目的とかどうなの?

日本パーカライジングを配当目的で見ると、位置づけは「高配当株ではないが、安定配当株としては十分に成立する銘柄」といえる。2026年3月期、2027年3月期ともに予想配当利回りは3.54%と、東証プライムの中では平均よりやや高い水準にあり、銀行預金や国債と比較すれば明確な優位性がある。

業績面では、売上高は1,300億円前後、営業利益は140億円前後、純利益は120億円規模を維持する見通しとなっており、配当原資となる利益水準は十分に確保されている。営業利益率も10%超を維持しており、金属表面処理という景気敏感要素を含みながらも、利益構造は安定している。受託加工と薬品販売、装置ビジネスを組み合わせた事業構成により、単一事業に依存しない点も配当の安定性を支えている。

配当性向についても、直近の水準は無理のない範囲に収まっており、利益の大半を内部留保に回しつつ、一定額を継続的に株主へ還元する姿勢がうかがえる。増配ペースは緩やかで、急激な配当拡大は期待しにくいが、減配リスクも相対的に小さい。景気後退局面においても、いきなり配当を削る可能性は低いと考えられる。

一方で、ROEが6〜7%台にとどまっていることから、株主還元を強く意識した経営とは言い切れず、積極的な配当成長株を求める投資家にはやや物足りない面がある。あくまで本業の安定性を最優先し、その範囲内で配当を出す保守的なスタンスである。

総合すると、日本パーカライジングは、配当利回り3.5%前後を長期的に受け取りながら、株価の大きな下落リスクを抑えたい投資家に向いた銘柄である。インカムゲインを重視しつつ、値動きの安定性を重視する中長期投資向けであり、高配当ランキング上位を狙う銘柄というより、「安心して持ち続ける配当株」という位置づけが適切といえる。

今後の値動き予想!!(5年間)

日本パーカライジングは、防錆処理を起源とする金属表面処理の国内最大手であり、化成処理薬品、熱処理、めっき、塗装、装置事業までを一体で展開する総合表面処理メーカーである。自動車向けを中心に、建機、産業機械、家電など幅広い分野に供給しており、特に自動車分野では海外展開を積極的に進め、北米・中国・アジアを中心にグローバル拠点網を構築している。日本酸素ホールディングスや東ソーと資本関係を持ち、事業基盤の安定性も高い。現在の株価1,409円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、世界的な自動車生産が安定的に推移し、電動化が進む中でも表面処理需要が底堅く推移する展開を想定する。海外拠点の稼働率改善により利益率は10%台後半を維持し、営業利益は150億円超で安定する。ROEも7%台後半まで改善し、業績の安定性が再評価されることで市場評価は見直される。PBRは1倍近辺まで回復し、PERも11〜12倍で安定する。この場合、配当評価と割安修正が進み、株価は緩やかに上昇し、5年後には1,800円から2,200円程度まで上昇する展開が考えられる。高配当を維持しながら着実に評価が切り上がる強気シナリオである。

中間のシナリオでは、自動車・産業機械向け需要は横ばいで推移し、売上・利益ともに大きな成長は見込めないものの、現在の水準を概ね維持するケースを想定する。営業利益率は10%前後、ROEは6%台で安定し、配当も維持される。市場評価はPBR0.7〜0.9倍、PER9〜11倍程度で推移し、株価は現在値1,409円を中心に上下する。この場合、5年後の株価水準は1,350円から1,650円程度に収まり、配当を受け取りながら保有する堅実なシナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、世界的な景気後退や自動車生産の減速が長期化し、海外拠点の稼働率低下が利益を圧迫する展開を想定する。営業利益は140億円を下回り、営業利益率も9%台まで低下する。ROE・ROAも低下し、成長力への評価が一段と慎重になる。市場評価はPBR0.6倍前後、PER7〜8倍程度まで低下し、この場合、株価は調整色を強め、5年後には1,000円から1,250円程度まで下落する可能性がある。配当利回りは高く見えるものの、株価下落リスクが意識される局面である。

総合すると、現在株価1,409円を起点とした日本パーカライジングの5年間の値動きは、良い場合で1,800円から2,200円前後、中間で1,350円から1,650円、悪い場合で1,000円から1,250円といったレンジが想定される。高成長株ではないが、安定した収益基盤と比較的高い配当利回りを背景に、インカムゲインを重視しつつ緩やかな評価修正を狙う中長期投資向けの銘柄と位置づけられる。

この記事の最終更新日:2025年12月18日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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