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東亞合成(4045)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

東亞合成とは

東亞合成株式会社(証券コード4045)は、アクリル酸エステル分野の先駆的企業として知られる、アクリルモノマー・ポリマーを中核とした総合化学メーカーである。アクリル酸およびその誘導体を基盤に、基礎化学品から高付加価値の機能性材料まで幅広く事業を展開している。

同社は「アロン」の商標を保有し、シアノアクリレート系瞬間接着剤「アロンアルフア」の製造元として高い知名度を持つ。アロンアルフアは1963年に工業用として誕生し、1971年には一般家庭向け製品を発売。現在では日本における瞬間接着剤の代名詞的存在となっており、アジアや北米を中心に世界30カ国以上で販売されている。2019年には一般消費者向け瞬間接着剤として最長寿ブランドとしてギネス世界記録にも認定されている。

事業内容は、アクリル酸・アクリル酸エステルなどのアクリルモノマー、各種アクリルポリマーの製造販売を主軸とし、紙おむつ、塗料、接着剤、樹脂改質材など生活必需分野から産業用途まで幅広く供給している。また、苛性ソーダなどの基礎化学品、紫外線硬化型樹脂などの機能性樹脂、樹脂加工製品も展開している。

近年は電子材料や車載電池向け材料などの先端分野にも注力しており、安定収益を生む基礎事業と成長分野を組み合わせたバランスの取れた事業構造を持つ点が特徴である。HSD(Holography System Development)FORUMのメンバー企業であり、三井グループ(三井月曜会)に属している。

本社は東京都港区に所在し、国内に複数の支店・営業所および工場を構える。グループ会社は2023年12月末時点で34社あり、硬質塩ビ管や水処理薬品、工業用ガス、化学品販売など関連分野へも事業を広げている。全体として東亞合成は、アクリル酸エステルを核とする素材競争力と、アロンアルフアに代表される強力なブランド力を併せ持つ、安定性と成長性を兼ね備えた化学メーカーである。

東亞合成 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株配当 DPS(円)
連22.12 160,825 14,382 16,446 12,494 101.3 36
連23.12 159,371 12,499 14,503 12,179 102.8 53
連24.12 167,594 14,233 15,993 11,877 104.6 60
連25.12予 162,500 14,000 14,800 12,200 113.7 65
連26.12予 175,000 16,000 17,000 11,800 110.0 65〜66

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(百万円) 営業キャッシュフロー 投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー
2022年12月期 10,988 -3,579 -9,464
2023年12月期 21,638 -3,528 -15,544
2024年12月期 20,183 -13,594 -14,507

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率(%) ROE(%) ROA(%) PER(倍) PBR(倍)
2023年12月期 7.8 5.7 4.4
2024年12月期 8.4 5.5 4.2 11.0〜14.0 0.83
2025年12月期(予) 8.6 5.7 4.3 15.01

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず利益水準だが、営業利益は2023年124億、2024年142億と増加し、2025年予想では140億と一服するものの、2026年予想では160億まで戻る見通しになっている。経常利益も同様に2024年159億まで伸び、2025年はいったん148億に落ちるが、2026年には170億と再び高水準を想定している。利益が大きく崩れる局面はなく、全体としては横ばいから緩やかな成長軌道にある。

一方で純利益は2023年121億、2024年118億、2025年予想122億、2026年予想118億と、ほぼ横ばいで推移しており、ここに強い成長性は感じにくい。売上や営業利益が伸びても最終利益が大きく伸びない点からは、コスト構造や投資負担が一定程度続いていることが読み取れる。

収益性を見ると、営業利益率は2023年7.8%、2024年8.4%、2025年予想8.6%と着実に改善している。本業の効率は確実に良くなっており、事業の質はむしろ高まっていると言える。ただし資本効率の面では、ROEは5.5〜5.7%、ROAは4.2〜4.4%にとどまり、依然として低水準で安定している。利益率は改善しているものの、自己資本を強く回して成長するタイプの会社ではない。

バリュエーション面では、2024年の実績PERは11.0〜14.0倍、PBRは0.8倍となっている。PBRが1倍を下回っている点だけを見ると割安に映るが、ROEが5%台であることを考えると、株価が純資産を下回って評価されているのは理論的には不自然ではない。2025年の予想PERは15.0倍と、利益成長が大きくない割にはやや高めの水準で、明確な割安感があるとは言いにくい。

これらを総合すると、東亞合成は業績の安定性は高く、営業利益率の改善というポジティブな要素もあるが、ROEやROAが低いため株価が大きく再評価される可能性は限定的だと感じる。短期的な値上がり益を狙う銘柄ではなく、業績のブレが小さいことや配当を含めた安定性を評価して保有するタイプの銘柄と言える。上記数値だけで判断するなら、強気で積極的に買い向かう局面ではないが、極端に割高とも言えず、条件付きで中立からやや前向きといった位置づけになる。今後、ROEが6%後半から7%程度まで明確に改善してくるようであれば、PBR1倍超への評価見直しも見えてくるが、現状では緩やかな値動きを前提にした長期保有向きの銘柄、という判断になる。

配当目的とかどうなの?

配当目的という観点だけで見ると、東亞合成はかなり相性がいい部類に入る。まず利回りだが、連25.12、連26.12ともに予想配当利回りは4.0%とされている。化学セクターの中では高めで、預金や債券と比べても明確に見劣りしない水準だ。短期的な値上がりを狙わず、毎年のインカムを重視するなら、入口としての数字は十分に魅力がある。

配当の持続性を数値から見ると、2025年予想の一株配当は65円、EPSは113円程度で、配当性向はおおよそ5割台になる。2026年も配当は65〜66円、EPSは110円前後とされており、極端に無理な配当ではない。利益が横ばいでも配当は維持できる設計になっており、減配リスクは相対的に低いと考えられる。

キャッシュフロー面を振り返っても、営業キャッシュフローは2022年から2024年にかけて毎年プラスを確保しており、配当の原資そのものはしっかり出ている。一方で投資キャッシュフローはやや大きめに出ているが、それでも事業が回らなくなるほどの負担ではなく、安定配当を支える土台はある。

ただし注意点もある。ROEが5%台にとどまっていることから、内部留保を積み上げても高成長に転じにくい構造になっている。つまり、配当は出るが、配当を再投資しても株価が大きく伸びるタイプではない。増配ペースも急ではなく、利回りが一気に跳ね上がるような期待は持ちにくい。

結論として、配当目的で見るなら東亞合成は「かなりアリ」な銘柄だ。4%前後の利回りを安定して受け取りつつ、業績悪化や減配の心配が比較的小さい。反面、配当をもらいながら株価上昇も大きく狙いたい人には物足りない。値上がり益よりも、インカムを淡々と積み上げる人向けの銘柄、という位置づけになる。

今後の値動き予想!!(5年間)

東亞合成は、アクリル酸およびアクリル酸エステルを中核とする総合化学メーカーで、基礎化学品と機能材料の両輪で事業を展開している。瞬間接着剤アロンアルフアを擁する接着材料分野の知名度が高い一方、収益の柱はアクリルモノマー・ポリマーなどの化学素材であり、紙おむつや塗料、接着剤向けといった生活必需分野に強みを持つ。近年は電子材料や車載電池向け材料など、比較的付加価値の高い分野への展開も進めている。事業構造としては景気変動の影響を受けにくく、安定性を重視した会社といえる。現在の株価1,622円を起点に、今後5年間の値動きをシナリオ別に考える。

良い場合のシナリオでは、アクリル関連事業の安定需要に加え、電子材料や電池向け材料の比率が高まり、営業利益率が9%前後まで改善する展開を想定する。営業利益は160億円超で安定し、ROEも6.5〜7%程度まで上向くことで、市場からの評価がやや改善する。PBRは1倍近辺まで回復し、PERも15倍前後で定着する。この場合、業績の安定性と配当評価が重なり、株価は緩やかに上昇し、5年後には1,900円から2,300円程度まで上昇する展開が考えられる。配当を受け取りながら評価修正を待つ、やや強気のシナリオである。

中間のシナリオでは、主力のアクリル関連事業は底堅く推移するものの、新規分野の収益貢献は限定的で、全体としては現状維持に近い展開を想定する。営業利益率は8%台前半で横ばい、ROEは5.5〜6%程度にとどまり、市場評価も大きく変わらない。配当は安定して支払われ、利回りの魅力は継続するが、成長期待は高まらない。この場合、株価は現在水準を中心に上下しながら推移し、5年後の水準は1,300円から1,800円程度に収まる可能性が高い。配当を主目的とした現実的なシナリオといえる。

悪い場合のシナリオでは、アクリル関連製品の市況悪化やコスト上昇により、利益率が低下するケースを想定する。営業利益は120億円前後まで落ち込み、営業利益率も7%台前半に低下する。ROE・ROAの改善も進まず、市場からは資本効率の低さが強く意識される。PBRは0.7倍前後まで低下し、PERも10倍前後に抑えられる。この場合、配当利回りは高水準でも株価は評価低下を避けられず、5年後には1,000円から1,300円程度まで下落する展開も想定される。

総合すると、現在株価1,622円を起点とした東亞合成の5年間の値動きは、良い場合で1,900円から2,300円前後、中間で1,300円から1,800円、悪い場合で1,000円から1,300円といったレンジが想定される。急成長による大幅な値上がりを狙う銘柄ではないが、業績の安定性と約4%の配当利回りを背景に、インカムゲインを重視した中長期保有向けの銘柄として位置づけられる。

この記事の最終更新日:2025年12月18日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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