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電算システムホールディングスとは

電算システムホールディングスは、情報処理サービスと収納代行・決済サービスを2本柱とする独立系IT企業グループであり、岐阜県岐阜市に本社を置いている。もともとは株式会社電算システムとして事業を展開してきたが、2021年7月に持株会社体制へ移行し、株式会社電算システムホールディングスを親会社として、グループ経営を行う体制となった。現在は持株会社がグループ全体の戦略立案や経営管理を担い、事業会社が各分野の実務を担当している。
電算システムは、独立系SIerとして長い歴史を持ち、自治体、金融機関、一般企業向けに情報処理サービスを提供してきた企業である。特に公共分野や基幹業務に関わるシステム開発・運用に強みを持ち、安定性や信頼性が求められる領域で実績を積み上げてきた。システム開発だけでなく、運用・保守、アウトソーシング、データ処理、BPOなども手掛けており、顧客の業務を長期的に支えるビジネスモデルを構築している。
グループの大きな柱の一つが情報処理サービス事業である。この分野では、自治体や金融機関、民間企業向けのシステムインテグレーションに加え、クラウドサービスの提供にも力を入れている。特にグーグル関連サービスを含むクラウド分野では、業務システムのクラウド化支援やデータ活用支援を行い、企業のDX推進をサポートしている。従来のオンプレミス中心のIT支援から、クラウドやデータ活用を軸としたサービスへと領域を広げている点が特徴である。
もう一つの柱が、コンビニエンスストアなどを活用した料金収納代行・決済サービス事業である。公共料金や税金、通信販売代金などの収納代行を主業務としており、コンビニ収納を中心に、多様な支払い手段を提供している。電子マネーやスマートフォン決済など、キャッシュレス決済への対応も進めており、企業や自治体の決済業務を支えるインフラとして重要な役割を果たしている。キャッシュレス化の進展を背景に、この分野はグループの安定収益源となっている。
持株会社体制への移行後は、情報処理サービスと収納代行という異なる性質の事業を明確に分けつつ、グループ全体としてのシナジー創出を目指している。情報処理分野ではクラウドやDX関連サービスを拡充し、収納代行・決済分野ではキャッシュレス対応や利便性向上を進めることで、ストック型・継続型収益の拡大を図っている。
電算システムホールディングスは、派手な成長を狙うITベンチャーとは異なり、公共分野や決済インフラといった安定性の高い領域を基盤とした事業構造を持つ企業である。情報処理サービスと収納代行という2本柱を軸に、安定収益と緩やかな成長を両立させる中堅IT企業グループとして位置づけられる。
電算システムホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益 EPS(円) | 一株当たり配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12 | 53,479 | 3,414 | 3,587 | 2,348 | 217.7 | 35 |
| 連23.12 | 59,591 | 3,964 | 4,018 | 2,004 | 187.7 | 37 |
| 連24.12 | 61,256 | 2,311 | 2,534 | 1,850 | 173.9 | 60 |
| 連25.12予 | 67,500 | 3,550 | 3,700 | 2,640 | 246.8 | 80 |
| 連26.12予 | 71,000 | 4,100 | 4,130 | 2,700 | 252.4 | 80〜90 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 1,907 | -1,718 | -5 |
| 2023年12月期 | 5,506 | -852 | -941 |
| 2024年12月期 | 3,021 | 239 | -765 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年12月期 | 6.6 | 9.7 | 3.5 | ― | ― |
| 2024年12月期 | 3.7 | 8.3 | 2.9 |
高値平均 16.7 安値平均 11.1 |
1.59 |
| 2025年12月期 | 5.2 | 11.9 | 4.2 | 14.39 | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績推移を見ると、2022年12月期は売上高534億円、営業利益34億円、経常利益35億円、純利益23億円と、安定した収益水準を確保していた。2023年12月期は売上高595億円へ拡大し、営業利益39億円、経常利益40億円と増益を達成したものの、純利益は20億円とやや減少している。2024年12月期は売上高612億円と増収を維持した一方、営業利益は23億円、経常利益25億円、純利益18億円へと落ち込み、利益面では明確な調整局面に入った。
一方、2025年12月期予想では売上高675億円、営業利益35億円、経常利益37億円、純利益26億円と、利益水準が回復する見通しとなっている。さらに2026年12月期予想では売上高710億円、営業利益41億円、経常利益41億円、純利益27億円と、緩やかな増益基調が続く想定であり、2024年を底に業績は回復局面にあると判断できる。
収益性を見ると、営業利益率は2023年6.6%、2024年3.7%と低下した後、2025年には5.2%まで回復している。ROEも2023年9.7%、2024年8.3%から、2025年には11.9%へ上昇しており、資本効率は改善傾向にある。ROAについても2023年3.5%、2024年2.9%から、2025年には4.2%へ回復しており、事業の稼ぐ力は持ち直しつつある。ただし、いずれの指標も高成長IT企業と比べると中程度の水準にとどまる。
バリュエーション面では、2024年実績PERは高値平均16.7倍、安値平均11.1倍と、過度な割高感は見られない。PBRは1.5倍と、資産価値に対してややプレミアムが付いた評価にとどまっている。2025年予想PERは14.3倍と、利益回復を織り込みつつも比較的落ち着いた水準であり、市場は安定成長を前提とした現実的な評価を行っているといえる。
以上を踏まえた投資判断としては、電算システムホールディングスは2024年に一時的な利益低下があったものの、2025年以降は業績・収益性ともに回復基調にあり、安定性の高い事業構造が改めて確認できる銘柄である。営業利益率やROEは突出して高いわけではないが、情報処理サービスと収納代行という継続性の高い事業を基盤に、堅実な利益回復が見込まれている。
結論として、提示された数値だけで判断する限り、電算システムホールディングスは急成長を狙う銘柄ではないものの、業績回復局面にあり、PER14倍前後、PBR1.5倍という水準は妥当からやや割安寄りと評価できる。安定した事業と中期的な回復を前提に、値動きの穏やかな中長期投資向けの銘柄と位置づけられる。
配当目的とかどうなの?
電算システムホールディングスを配当目的で見ると、「悪くはないが、配当特化型ではない」という評価になる。まず数値面では、2025年12月期、2026年12月期ともに予想配当利回りは2.27%と、東証全体の平均と比べてやや低めから中程度の水準にある。高配当株と呼べる水準ではないが、無配や低配当というわけでもなく、一定のインカムゲインは期待できる。
配当の裏付けとなる利益水準を見ると、2024年12月期は純利益18億円まで落ち込んだものの、2025年12月期予想では26億円、2026年12月期予想では27億円と回復が見込まれている。営業利益や経常利益も2025年以降は30億円台後半から40億円台に戻る見通しであり、利益面から見た配当継続余力は十分にある。実際に配当額も増配基調にあり、会社として株主還元を意識している姿勢は確認できる。
キャッシュフローの面でも、営業キャッシュフローは安定して黒字を確保しており、投資キャッシュフローの振れはあるものの、財務キャッシュフローは配当や返済を中心とした健全なマイナスで推移している。配当を無理に捻出している構造ではなく、本業のキャッシュ創出力に基づいた配当といえる。
一方で注意点として、営業利益率は5%前後、ROEも10%前後と、収益性や資本効率は中程度にとどまっている。そのため、将来的に配当を大きく引き上げて利回りが急上昇するような銘柄ではない。あくまで業績に応じて緩やかに増配していくタイプであり、配当利回りを最優先する投資家にとっては物足りなさが残る。
結論として、電算システムホールディングスは配当目的だけで積極的に買う銘柄ではないが、安定した事業基盤と業績回復を前提に、2%台前半の配当を中長期で受け取りたい投資家には適した銘柄といえる。高配当を狙うというより、「値動きは比較的穏やかで、業績とともに配当も徐々に増える銘柄を保有したい」投資スタイル向けの銘柄である。
今後の値動き予想!!(5年間)
電算システムホールディングスは、情報処理サービスと収納代行・決済サービスを2本柱とする独立系IT企業グループである。岐阜県岐阜市に本社を置き、2021年7月に持株会社体制へ移行した。従来から強みとしてきた自治体・金融機関・企業向けの情報処理サービスに加え、コンビニエンスストア等を活用した料金収納代行事業を主業務としており、安定性の高い事業構造を特徴としている。グーグル関連サービスを含むクラウド分野にも取り組んでおり、DXやキャッシュレス化といった社会的潮流を背景に事業領域を広げている。この価格帯(3520円)を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。
良い場合のシナリオでは、情報処理サービスと収納代行・決済サービスの両事業が安定的に成長し、DXやキャッシュレス関連需要の取り込みが進むことで、利益回復が想定以上に進む展開を想定する。営業利益は40億円台を安定的に確保し、営業利益率も6%前後まで改善する。ROEは10%台前半を維持し、安定成長銘柄としての評価が高まることで、PERは15倍台、PBRは1.6倍前後で安定する。この場合、業績回復と配当評価が進み、株価は緩やかに上昇し、5年後には5,000円から6,000円程度まで上昇する展開が考えられる。安定成長と配当を両立する場合の強気シナリオである。
中間のシナリオでは、事業は堅調に推移するものの大きな成長はなく、利益は回復後に横ばいで推移するケースを想定する。営業利益は30億円台後半で安定し、営業利益率は5%前後、ROEは10%前後にとどまる。配当は維持され、2%台前半の利回りの魅力は継続するが、市場評価は大きく変わらない。この場合、株価は現在値3,520円を中心に上下しながら推移し、5年後の水準は3,800円から4,400円程度に収まる可能性が高い。配当を受け取りながら保有する、現実的なシナリオといえる。
悪い場合のシナリオでは、情報処理需要の停滞やコスト増により、利益回復が進まず、2024年の低収益状態が長期化するケースを想定する。営業利益率は5%を下回り、ROEやROAも伸び悩むことで、市場評価は慎重になる。PERは10倍前後、PBRは1倍前後まで低下する可能性があり、この場合、株価は調整色を強め、現在値3,520円から下落し、5年後には2,500円から3,000円程度まで下げる展開も想定される。
総合すると、現在株価3,520円を起点とした電算システムホールディングスの5年間の値動きは、良い場合で5,000円から6,000円前後、中間で3,800円から4,400円、悪い場合で2,500円から3,000円といったレンジが想定される。高成長株として大きな値上がりを狙う銘柄ではないが、安定した事業基盤と配当を背景に、インカムゲインを意識しつつ中長期で保有する投資家向けの銘柄と位置づけられる。
この記事の最終更新日:2025年12月18日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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