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リケンテクノス(4220)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

リケンテクノスとは

塩ビコンパウンドで国内首位級の地位を持ち、エラストマー分野にも力を入れている素材メーカーである。建材分野では化粧材用フィルムに強みを持ち、海外展開でも同業他社に先行している点が特徴となっている。

リケンテクノス株式会社は、東京都千代田区に本社を置く化学メーカーで、東京証券取引所プライム市場に上場している。1951年、塩化ビニル樹脂コンパウンドの商業生産と販売を目的に理研ビニル工業株式会社として設立された。創業以来、合成樹脂加工に関する技術を蓄積し、2001年の創業50周年を機に現在の社名であるリケンテクノス株式会社へと変更している。社名には、RIKEN、TECHNOLOGY、SUPPLIERを組み合わせた意味が込められており、素材技術を提供する企業としての姿勢を示している。

同社は、コンパウンド事業、フィルム事業、食品包材事業の三つを事業の柱として国内外で展開している。自動車、建築、医療、情報機器、電力インフラ、食品包装など幅広い分野で、日本のものづくりを素材面から支えてきた企業である。

コンパウンド事業では、軟質塩ビコンパウンドや硬質塩ビコンパウンドをはじめ、ゴム特性を有する熱可塑性エラストマーコンパウンド、導電性や静電気対策を施したコンパウンド、環境配慮型のバイオマスコンパウンド、汎用プラスチックコンパウンドなど、幅広い製品を展開している。コンパウンドとは、ベースとなる樹脂に複数の添加剤を配合して新たな性質を持たせた複合材料であり、押出成形や射出成形などに用いられる。同社は汎用品から高機能品まで幅広く対応し、自動車部品、工業部品、家電、玩具、医療用品、建材、土木資材、IT関連分野など、多様化・高度化するニーズに応えている。

フィルム事業では、高度な加工技術を活かした高機能フィルムを提供している。建材・建装材用フィルムをはじめ、商業・広告用、鋼板用、電材用、ウィンドウ用、光学・半導体用、自動車用、医療用、農業用など用途は多岐にわたる。特に建材分野では化粧材用フィルムに強みがあり、意匠性や加工性、厚み精度の高さなどで長年高い評価を受けている。製造工程ではカレンダー製膜、押出製膜、ラミネート加工、コーティング加工などに最新設備を導入し、遮熱や紫外線カット機能を持つ窓ガラス用フィルムや、液晶・ディスプレイ向けの光学フィルムなど、クリーン環境下での精密加工にも対応している。また、環境対応として、オレフィン系やポリエステル樹脂系の環境配慮型フィルムであるリベスターシリーズを他社に先駆けて開発し、各業界から注目を集めている。

食品包材事業では、日本で初めて塩化ビニル樹脂製の食品包装用ラップを開発した実績を持つ。リケンラップ、ハイラップ、ブルーラップオーシャンなどの塩ビラップ製品を中心に、フォーラップ、業務用ラップ、耐熱クッキングシート、ゴミ袋、クッキングペーパー、調理用手袋など、家庭用から業務用まで幅広い製品を展開している。アジア市場を中心に海外展開も進めており、食品包材分野での存在感を高めている。

研究開発拠点としては東京都大田区と埼玉県深谷市に研究開発センターを置き、生産拠点として三重県亀山市、埼玉県深谷市、群馬県太田市に工場を展開している。関連会社には進興電線株式会社、協栄樹脂製作所、リケンテクノスインターナショナル、リケンケミカルプロダクツなどがあり、グループとして国内外の事業を支えている。

このようにリケンテクノスは、塩ビコンパウンドを中核にエラストマー、高機能フィルム、食品包材へと事業領域を広げ、環境対応や海外展開にも積極的に取り組んできた企業である。安定した技術基盤を背景に、素材のソリューション技術を進化させ続けながら、社会や産業の多様なニーズに応える事業展開を行っている。

リケンテクノス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高 営業利益 経常利益 純利益 一株益 一株配当
連21.3 88,224 5,313 5,652 3,234 51.2 16
連22.3 109,923 6,292 6,889 3,941 62.5 19(記)
連23.3 123,497 7,506 7,964 4,557 72.1 25
連24.3 125,739 8,775 9,544 6,880 114.2 32
連25.3 128,141 10,488 10,587 7,370 137.7 41
連26.3予 135,100 11,400 11,400 7,180 150.7 47〜53
連27.3予 139,100 12,100 12,200 7,930 166.5 54〜58

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(百万円) 営業キャッシュフロー 投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー
2023.3 8,524 -3,955 -2,335
2024.3 10,753 -1,668 -11,120
2025.3 11,547 -3,152 -6,512

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023.3 6.0% 7.2% 4.0%
2024.3 6.9% 10.6% 5.9%
2025.3 8.1% 11.3% 6.3% 8.8倍(高) / 5.5倍(安) 1.18倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績の推移を見ると、2024年3月期は営業利益が87億円、経常利益が95億円、純利益が68億円となっている。2025年3月期には営業利益が104億円、経常利益が105億円、純利益が73億円へと大きく伸びており、リケンテクノスはこの期間において明確な利益成長局面にあったことが確認できる。2026年3月期予想では営業利益114億円、経常利益114億円と増益基調が続く一方、純利益は71億円とやや減少する見込みとなっており、成長ペースは鈍化するものの、高い利益水準は維持される想定となっている。

収益性の指標を見ると、営業利益率は2023年の6.0%から2024年に6.9%、2025年には8.1%まで上昇しており、3年間で明確な改善トレンドが続いている。リケンテクノスは価格競争に左右されやすい素材メーカーでありながら、利益率を着実に引き上げており、事業構造そのものが強化されていることがうかがえる。ROEも7.2%から10.6%、11.3%へと大きく上昇しており、資本効率はこの3年で質的に変わったと言える水準に達している。ROAも4.0%から5.9%、6.3%と着実に改善しており、資産を使って利益を生み出す力が強まっている。

株価指標を見ると、2025年の実績PERは安値平均で5.5倍、高値平均でも8.8倍と低水準にとどまっている。ROEが11.3%まで上昇している企業としては、リケンテクノスのPERは明らかに割安感のある水準といえる。PBRは1.18倍と1倍をやや上回っているが、ROEとの関係を考えると過熱感はなく、むしろ収益力の改善に対して評価が追いついていない印象を受ける。

これらを総合すると、リケンテクノスは営業利益・経常利益が増加基調にあり、利益率と資本効率が同時に改善している点が最大の強みとなっている。2026年3月期に純利益がやや減少する予想はあるものの、水準自体は依然として高く、構造的に稼ぐ力が弱まっているとは言いにくい。それにもかかわらず、PERは一桁台、PBRも1倍前後にとどまっており、指標面では明確な割安感が残っている。

結論としては、上記数値だけで判断する限り、リケンテクノスは「収益性の改善が着実に進んでいるにもかかわらず、市場評価がまだ十分に織り込まれていない局面」にあると評価できる。急成長株ではないものの、利益率とROEの改善を伴った増益基調と低PERを踏まえると、中長期では評価修正余地が大きい。配当によるインカムゲインと業績の安定性を土台にしつつ、キャピタルゲインも狙えるバランス型の投資対象として、やや強気寄りの判断が妥当と考えられる。

配当目的とかどうなの?

配当目的という観点でリケンテクノスを見ると、今回示されている予想配当利回りは、2026年3月期で3.05%、2027年3月期で3.51%と、明確に配当投資の対象として意識できる水準にある。まず水準面では、3%を超える利回りは国内株式の中でも中〜高配当ゾーンに入り、インカムゲインを主目的とする投資家にとって十分な魅力がある。特に2027年3月期に3.51%まで上昇する想定は、株価が大きく上昇しなくても、配当収入だけで一定のリターンが期待できる水準である。

次に持続性を見ると、営業利益・経常利益は増益基調で、営業利益率やROE、ROAも3年連続で改善している。2026年3月期は純利益がやや減少する予想ではあるものの、利益水準自体は高く、営業キャッシュフローも拡大傾向にあることから、配当原資に大きな不安は感じにくい。配当利回りが上昇する背景も、無理な増配というより、業績の底上げを前提とした還元姿勢の強化と見ることができる。

一方で注意点としては、素材メーカーであるため、市況や原材料価格の影響を受けやすく、景気後退局面では業績がブレる可能性がある点が挙げられる。ただし、現時点の配当利回り3%台前半から後半であれば、多少の業績調整があっても、急激な減配リスクは相対的に抑えられていると考えられる。

総合すると、リケンテクノスは「配当目的として十分に検討に値する銘柄」と言える。高配当株の中でも、単に利回りが高いだけでなく、利益率やROEが改善している点が特徴であり、配当の持続性と将来的な増配余地の両面を期待できる。キャピタルゲインを強く狙うというより、3%台の配当を受け取りながら中長期で保有するインカム重視型の投資に向いた銘柄と評価できる。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在株価1,536円を基準に考えると、リケンテクノスは高成長株というよりも、収益性と資本効率が改善してきたことによる評価見直し余地と、3%台の配当を背景にした安定した値動きが想定される銘柄である。PERが5〜9倍と低く、ROEが11%台まで上昇している点から、現状は市場評価がやや抑えられている局面と考えられる。今後5年間の良い場合、中間の場合、悪い場合の株価予想をしていきます。

良い場合のシナリオでは、営業利益率が8%前後で定着し、ROEも10%台を維持することで、収益力の高さが市場に評価される展開を想定する。業績は緩やかな増益基調を保ち、配当も3%台を安定的に維持することで、投資家層が拡大する。PERは10〜12倍程度まで切り上がり、PBRも1.3〜1.5倍程度まで評価される可能性がある。この場合、5年後の株価は2,200円から2,700円程度が目安となり、配当を含めたトータルリターンは比較的良好な水準となる。

中間のシナリオでは、営業利益率は7〜8%台で横ばいとなり、ROEも10%前後で安定する。業績は大きくは伸びないものの、安定した利益とキャッシュフローを維持し、配当利回り3%前後が株価の下支えとなる。市場評価はPER7〜9倍、PBR1.1〜1.3倍程度に落ち着き、株価は緩やかなレンジ推移となる。この場合、5年後の株価水準は1,600円から1,900円程度となり、値上がり益は限定的だが、配当込みで安定したリターンが期待できる。

悪い場合のシナリオでは、原材料価格の上昇や市況悪化により利益率が低下し、営業利益率が6%台まで後退する。ROEも8%前後に低下すると、市場の評価は慎重になり、PERは5〜6倍、PBRも1倍を割り込む可能性がある。配当は維持されるものの、増配期待は後退し、株価の上値は重くなる。この場合、5年後の株価は1,000円から1,300円程度まで下落するリスクがある。

総合すると、現在株価1,536円を起点としたリケンテクノスの5年間の値動きは、良い場合で2,200円から2,700円前後、中間で1,600円から1,900円、悪い場合で1,000円から1,300円といったレンジが想定される。高成長を狙う銘柄ではないが、低PERとROE改善、3%台の配当利回りを背景に、インカムゲインを重視しながら評価修正を待つ中長期向けの銘柄と位置づけられる。

この記事の最終更新日:2025年12月20日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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