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大阪有機化学工業(4187)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

大阪有機化学工業とは

大阪有機化学工業株式会社は、アクリル酸エステルに強みを持つ独立系の化学メーカーであり、多品種少量生産を得意とする研究開発型企業である。本社を大阪府大阪市中央区に置き、塗料・接着剤から電子材料、化粧品原料まで幅広い分野に機能性化学品を供給している。

事業の中心となるのは化成品事業で、塗料や接着剤、インキ向けの特殊アクリル酸エステルおよびアクリル酸の製造販売を行っている。エステル化技術、蒸留精製技術、重合防止技術を基盤に、自動車や建築用途の塗料、粘接着剤、コーティング材などに用いられる原料を提供しており、マルチパーパス生産設備を活かした多品種少量生産によって、顧客ごとの細かな要求に対応している点が大きな特徴である。

電子材料事業では、ディスプレイや半導体向けを中心とした材料を展開している。アクリル酸エステルの光硬化性という特性を活かし、感光材などの電子材料原料や、アクリル酸エステルから誘導した機能性ポリマーを開発・供給している。精密有機合成技術やポリマー合成技術を背景に、電子産業分野で求められる高い品質や信頼性に対応できる点が強みとなっている。

機能化学品事業では、化粧品向け原材料や各種機能材料を手がけており、頭髪用機能性ポリマーや中間体原料、特殊溶剤などを関連産業に提供している。ここでもアクリル系技術を応用し、用途特化型の高付加価値製品を展開している。また、新規事業として、特殊アクリルをベースにした次世代材料の開発にも取り組んでいる。センサやIoT関連分野、ロボティクス分野など、今後の成長が見込まれる市場に向けた材料開発を進めており、中長期的な事業基盤の拡張を図っている。

事業拠点としては、本社のほか東京オフィスを構え、生産拠点として金沢工場、酒田工場、大阪事業所、八千代事業所を有している。これらの拠点を活用し、研究開発から製造までを一貫して行う体制を整えている。総合すると、大阪有機化学工業は、アクリル酸エステルを核とした有機合成技術を基盤に、多品種少量生産と顧客対応力を武器として、化成品、電子材料、機能化学品といった高付加価値分野で安定したポジションを築いている独立系化学メーカーである。

大阪有機化学工業 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株配当 DPS(円)
連22.11 32,236 5,934 6,365 4,725 216.9 54
連23.11 28,907 3,577 3,877 3,270 152.9 56
連24.11 32,698 4,608 4,753 4,044 191.3 66
連25.11予 36,500 6,500 6,700 6,600 324.5 69〜75
連26.11予 38,000 7,000 7,200 4,800 236.0 69〜82

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2022.11 4,727 -4,852 -1,564
2023.11 4,370 -4,127 -476
2024.11 8,600 -298 -3,127

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率(%) ROA(%) ROE(%) PER(倍) PBR(倍)
2023 12.3 5.9 7.6
2024 14.0 6.7 8.9 11.3〜19.7 1.73
2025 17.8 11.0 14.5 13.14

出典元:四季報オンライン

投資判断

大阪有機化学工業の業績推移を見ると、売上高は2023年11月期が約289億円、2024年11月期が約326億円、2025年11月期予想で約365億円と、着実な増収基調にある。多品種少量生産を軸とした高付加価値製品の拡販が進み、事業規模は緩やかだが安定的に拡大している。

利益面では、営業利益が2023年の約35億円から2024年は約46億円へ増加し、2025年予想では約65億円と大きく伸びる見通しとなっている。経常利益も2023年の約38億円、2024年の約47億円から、2025年予想で約67億円へと拡大しており、本業の収益力が明確に強まっている。純利益についても2023年の約32億円、2024年の約40億円から、2025年予想で約66億円と大幅な増益が見込まれている。

収益性の指標を見ると、営業利益率は2023年の12.3%から2024年は14.0%、2025年には17.8%まで上昇しており、化学メーカーとしてはかなり高い水準に達している。ROEは7.6%から8.9%、14.5%へと改善し、ROAも5.9%、6.7%、11.0%と大きく上昇しており、利益成長がそのまま資本効率・資産効率の改善につながっていることが分かる。

株価指標を見ると、2024年実績PERは安値平均で11.3倍、高値平均で19.7倍とレンジがあり、2025年予想PERは13.1倍と、利益成長を前提にすれば割高感は強くない水準にある。一方、PBRは1.7倍と、純資産価値に対しては一定の成長評価が織り込まれている。以上を総合すると、大阪有機化学工業は売上・利益ともに拡大局面にあり、特に営業利益率、ROE、ROAが同時に改善している点から、事業の質が一段と高まっていることが読み取れる。PERは利益成長を前提とすれば過度に高い水準ではなく、PBRも極端な割高感はない。

提示された数値だけで判断する限り、この銘柄は急激な成長株というより、収益性を高めながら段階的に評価を切り上げていくタイプの中堅化学株といえる。割安株とまでは言えないが、業績の伸びが続くのであれば、現在の評価水準は十分に正当化可能であり、中期的な成長を前提に保有を検討できる投資対象と位置づけられる。

配当目的とかどうなの?

大阪有機化学工業の配当目的としての適性を見ると、予想配当利回りは2025年11月期、2026年11月期ともに1.78%と、数値だけを見る限り高配当株とは言い難い水準にある。インカムゲインを主目的に投資するには、利回り面での魅力は限定的と言わざるを得ない。

一方で、同社は利益成長局面にあり、営業利益率やROE、ROAが大きく改善していることから、配当余力そのものは着実に高まっている。現状の配当水準は、利益を内部留保や成長投資に回しつつ、無理のない範囲で株主還元を行っている段階と考えられる。そのため、配当の安定性という点では一定の安心感はあるものの、利回り重視の投資家にとっては物足りない。

総合すると、大阪有機化学工業は配当を主目的に保有する銘柄ではなく、業績拡大と企業価値の向上を背景にしたキャピタルゲイン寄りの銘柄と位置づけるのが自然である。配当はあくまでおまけとして受け取り、利益成長による将来的な増配や株価上昇を期待するスタンスが向いている。インカム重視であれば他銘柄を選び、成長性を評価するなら検討余地がある、という評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

大阪有機化学工業の株価について、現在値3,870円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。大阪有機化学工業はアクリル酸エステルを中心に高付加価値化学品、多品種少量生産に強みを持つ独立系化学メーカーであり、電子材料分野や機能性材料分野での業績改善が続いている。

良い場合のシナリオでは、半導体・ディスプレイ向け電子材料や機能性ポリマーの需要が安定的に拡大し、同社の高付加価値製品への需要が堅調に推移する展開を想定する。この場合、売上・利益が想定以上に伸び、営業利益率は20%近辺で高水準を維持し、ROE・ROAの改善も進む。市場評価が高まり、PERは15倍前後、PBRは2倍前後まで水準が拡大する。これにより株価は業績成長と評価倍率の両面から上振れし、5年後には5,000円から6,500円程度まで上昇する可能性がある。配当は成長に伴い緩やかに増配傾向を維持する想定である。

中間のシナリオでは、主要市場の需要は横ばい〜緩やかな成長にとどまり、売上・利益ともに安定はするが大きな躍進はないケースを想定する。この場合、営業利益率は15%台半ば〜後半、ROEは10%前後で安定し、PERは12倍前後、PBRは1.5倍程度で推移する可能性が高い。株価は現在値を中心に上下し、5年後には3,500円から4,500円程度のレンジに収まる展開が見込まれる。配当利回りは現状の1.7%台を維持しつつ、インカムゲインを多少享受できるシナリオである。

悪い場合のシナリオでは、電子材料市場や機能性化学品需要の伸び悩み、原材料費の上昇や競争激化が重荷となり、業績が伸び悩む展開を想定する。この場合、営業利益率は10%台前半まで低下し、ROE・ROAも低迷する。市場評価が慎重になり、PERは10倍前後、PBRは1倍割れまで低下する可能性がある。この場合、株価は調整色を強め、5年後には2,500円から3,000円程度まで下落する可能性がある。配当利回りは価格下落によって一時的に高く見えるが、トータルリターンは限定的となる。

総合すると、現在株価3,870円を起点とした大阪有機化学工業の5年間の値動きは、良い場合では5,000円から6,500円程度、中間では3,500円から4,500円程度、悪い場合では2,500円から3,000円程度のレンジが想定される。高い成長性を前提にする場合は上振れ余地があるものの、電子材料市場の需給動向や原材料コストなど外部環境の影響を受けやすい銘柄でもあるため、業績動向を見極めるスタンスが重要となる。

この記事の最終更新日:2025年12月20日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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