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Link-Uグループ(4446)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

Link-Uグループとは

Link-Uグループ株式会社は、マンガを中心としたデジタルコンテンツ分野に特化し、配信インフラ、アプリ開発、運営、マーケティング、プロモーションまでを一体で手がけるIT企業である。最大の特徴は、自社で設計したオリジナルサーバーを基軸とする独自のコンテンツ配信基盤を持っている点にあり、大量アクセスが発生しやすいマンガアプリや電子書籍サービスを安定して運営できる技術力を強みとしている。特に大手出版社向けのマンガアプリ開発や運営に多くの実績を持ち、コンテンツ業界の裏側を支えるインフラ型のポジションを築いてきた。

現在は持株会社体制を採用しており、Link-Uグループ株式会社はグループ全体の経営管理を担う役割を果たしている。本社は東京都千代田区外神田に位置し、秋葉原エリアという立地もあり、ITやコンテンツ産業との親和性が高い環境に拠点を構えている。

グループの中核を担うのが株式会社Link-U Technologiesである。同社は、自社設計のオリジナルサーバーを活用したデータ配信技術を軸に、マンガアプリやコンテンツ配信サービスの企画、開発、運営を行っている。マンガアプリはヒット作品が出た際にアクセスが急増しやすく、配信トラブルが致命的になりやすいが、Link-U Technologiesは高負荷環境でも安定稼働するインフラ設計を強みとしており、出版社やコンテンツホルダーからの信頼を得ている。単なる受託開発にとどまらず、運営フェーズまで関与するケースも多く、継続的な収益につながりやすいビジネスモデルとなっている。

株式会社Link-U Marketingは、マンガサービスを中心としたコンテンツ領域に特化したマーケティング支援を行っている。アプリの集客施策、広告運用、キャンペーン設計、データ分析などを通じて、コンテンツの利用者拡大と収益最大化を支援する役割を担っている。開発会社とマーケティング会社がグループ内に存在することで、アプリ開発から集客、運用改善までを一気通貫で提供できる点は、Link-Uグループ全体の競争力につながっている。

株式会社Romanzは、Vtuberやストリーマーといった配信者を活用したプロモーションを手がけている。マンガやデジタルコンテンツと、影響力のある配信者を組み合わせることで、若年層を中心としたユーザー層へのリーチを狙うビジネスであり、従来の広告手法とは異なる切り口でコンテンツの認知拡大を図っている。コンテンツIPの活用やファンコミュニティとの親和性が高い点も特徴で、今後のコンテンツマーケティングの一形態として位置付けられる。

株式会社ビューンは、個人向けおよび法人向けの読み放題サービスを展開している。個人向けにはマンガや雑誌の読み放題サービスであるブック放題を運営しており、サブスクリプション型の安定収益を生み出す事業となっている。また、美容室やマンガ喫茶、待合スペースなどの店舗向けに、マンガや雑誌の読み放題サービスを提供するBtoBモデルも展開しており、来店客向けサービスとして導入されるケースが多い。BtoCとBtoBの両面でストック型収益を狙える点が、この事業の特徴である。

Link-Uグループ全体を俯瞰すると、独自サーバーによるコンテンツ配信という技術基盤を中心に、アプリ開発、運営、マーケティング、プロモーション、サブスクリプションサービスまでをグループ内で完結できる体制を構築していることが分かる。これは、コンテンツ業界における川上から川下までをカバーする形であり、単発の受託開発に依存しにくい構造を目指していると考えられる。

一方で、事業領域がマンガやデジタルコンテンツに強く依存しているため、ヒット作の有無や業界全体の競争環境の影響を受けやすい側面もある。そのため、安定したインフラ提供と運営収益を積み上げつつ、マーケティングやプロモーション、サブスクリプションといった周辺事業をどこまで成長させられるかが、中長期的な成長の鍵になる。

総じてLink-Uグループ株式会社は、表に出るコンテンツ企業というよりも、マンガアプリやデジタルコンテンツ市場を技術と運営で支える裏方型の企業であり、独自サーバー技術を核にコンテンツ産業の拡大を取り込もうとする企業だと言える。

Link-Uグループ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株当たり配当(円)
連21.7 1,634 225 219 157 11.2 0
連22.7 2,275 117 86 33 2.4 0
連23.7 3,129 434 397 204 14.4 0
連24.7 3,662 353 375 229 16.2 0
◇25.7 4,835 326 308 147 10.4 0
◇26.7予 6,000 600 580 310 21.9 0
◇27.7予 7,000 700 680 350 24.7 0

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 401 -193 557
2024 115 -29 56
2025 222 -112 -362

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率(%) ROE(%) ROA(%) PER(倍) PBR(倍)
2023 13.8 8.9 4.9
2024 9.6 9.2 4.9
2025 6.7 5.6 2.5 高値平均 69.3
安値平均 35.3
5.56

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず規模感を見ると、2024年7月期の売上は36.6億円、営業利益は3.5億円、経常利益は3.7億円、純利益は2.2億円となっている。2025年7月期は売上48.3億円まで拡大している一方で、営業利益は3.2億円、経常利益は3.0億円、純利益は1.4億円と、売上成長に対して利益が減少している。2026年7月期予想では売上60.0億円、営業利益6.0億円、経常利益5.8億円、純利益3.1億円と、利益が再び大きく伸びる前提になっている。

収益性を見ると、営業利益率は2023年が13.8%、2024年が9.6%、2025年が6.7%と、3年連続で低下している。売上は拡大しているが、利益率は明確に悪化しており、成長の過程でコスト負担が増している状況が読み取れる。2026年予想では営業利益額が大きく増える想定だが、直近実績ベースでは収益構造は弱含みである。

資本効率の面では、ROEが2023年8.9%、2024年9.2%、2025年5.6%と低下しており、ROAも2023年4.9%、2024年4.9%、2025年2.5%まで下がっている。売上規模は拡大しているものの、資本や資産を使った効率的な利益創出力は落ちている状態であり、質の高い成長とは言い切れない。

バリュエーションを見ると、2025年実績PERは高値平均69.3倍、安値平均35.3倍とかなり高く、PBRも5.6倍と割高な水準にある。営業利益率やROEが低下している局面でこの評価が付いている点から、市場は将来の利益回復をかなり先取りしていると考えられる。以上を総合すると、この銘柄は売上成長自体は続いているものの、直近では利益率と資本効率が明確に悪化しており、成長の質には不安が残る。一方で2026年7月期は利益が回復・拡大する予想となっており、評価はこの将来改善を前提に成り立っている。

投資判断としては、現状の数字だけを見る限り、利益率低下とROE悪化にもかかわらずPER35.3倍から69.3倍、PBR5.6倍という水準は割高感が強い。2026年以降に営業利益率の下げ止まりやROEの回復が実績として確認できるまでは、積極的に買う局面とは言いにくい。結論としては、成長期待は織り込まれている一方で、足元の業績指標は弱く、投資判断は慎重、もしくは様子見が妥当な銘柄と評価できる。

配当目的とかどうなの?

結論から言うと、配当目的には向かない。提示されている数値では、◇26.7期、◇27.7期ともに予想配当利回りは0.00%となっており、少なくとも向こう数年は現金配当を実施しない前提になっている。配当収入を目的として保有する理由は、この数字だけを見る限り存在しない。

利益水準を見ても、純利益は2024年7月期で2.2億円、2025年7月期で1.4億円、2026年7月期予想で3.1億円とまだ小さく、営業利益率やROE、ROAも低下傾向にある。この段階で配当を出すよりも、事業拡大やシステム投資、グループ強化に資金を回す方が合理的な局面だと考えられる。

また、PERが35.3倍から69.3倍、PBRが5.6倍という評価水準は、市場がこの銘柄を配当を出す企業としてではなく、将来の成長で株価が評価される成長株として見ていることを示している。仮に配当目的で保有した場合、配当は得られず、株価変動リスクだけを負う形になりやすい。

以上を踏まえると、この銘柄の位置付けは、配当を受け取るインカム目的の投資対象ではなく、利益回復や成長がどこまで進むかを見極めながら値上がり益を狙うキャピタルゲイン型の銘柄である。したがって、配当重視の投資には不適であり、配当目的で選ぶべき銘柄ではない、という判断になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

Link-Uグループ株式会社は、現在株価1,002.0円を基準に見ると、安定配当を期待するインカム株や景気循環株というよりも、マンガを中心としたデジタルコンテンツ配信・アプリ開発を軸に、成長と収益性のバランスを模索している中小型の成長途上企業と位置づけられる。独自設計のサーバーによるコンテンツ配信や、大手出版社向けのマンガアプリ開発・運営に強みを持つ一方で、直近では営業利益率やROE、ROAが低下傾向にあり、収益性は調整局面に入っている。配当は無配が続いており、投資のリターンは配当ではなく株価の値上がりに依存する構造である。この前提を踏まえて、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、マンガアプリ開発・運営事業が安定的に拡大し、独自サーバーを活かした高負荷対応力が差別化要因として評価される展開を想定する。読み放題サービスやマーケティング、プロモーション事業も収益源として定着し、売上成長とともにコスト増が抑制されることで、営業利益率は再び2桁に近づいていく。ROEやROAも改善し、成長の質が回復することで市場評価は前向きになる。この場合、PERは成長株として30〜40倍程度が許容され、PBRも5倍前後を維持する可能性がある。5年後の株価水準は2,000円から2,400円程度が目安となり、現在値から2倍超の上昇を狙える強気寄りのシナリオとなる。

中間のシナリオでは、売上成長は継続するものの、開発人件費や運営コストの上昇が利益を圧迫し、営業利益率の回復は限定的にとどまるケースを想定する。営業利益率は5〜7%程度で推移し、ROE・ROAも低位での安定にとどまる。市場は成長企業として一定の評価を与えるものの、過度な期待は後退し、PERは20〜30倍程度、PBRも3〜4倍程度に落ち着く。この場合、5年後の株価は1,100円から1,400円程度と、現在値から緩やかな上昇にとどまる中立的なシナリオとなる。値上がり益は限定的だが、大きな下落も避けられる可能性がある。

悪い場合のシナリオでは、マンガアプリ市場の競争激化や受託案件の採算悪化が続き、売上は伸びても利益が伴わない展開を想定する。営業利益率はさらに低下し、ROE・ROAも改善が見られないままとなる。この場合、市場の成長期待は後退し、PERは15倍前後まで切り下がり、PBRも2倍前後まで低下する可能性がある。5年後の株価水準は600円から800円程度にとどまり、現在値を下回る弱気シナリオとなる。

総合すると、現在株価1,002.0円を起点としたLink-Uグループの5年間の値動きは、良い場合で2,000円から2,400円前後、中間で1,100円から1,400円、悪い場合で600円から800円といったレンジが想定される。配当は見込めず、値動きは業績と評価変化に大きく左右されるため、安定志向よりも、事業の成長と収益性回復を信じて中長期で値上がりを狙う投資と相性の良い銘柄と評価できる。

この記事の最終更新日:2025年12月23日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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