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石原ケミカル(4462)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

石原ケミカルとは

石原ケミカル株式会社は、金属表面処理剤を中核事業とする研究開発型の化学薬品メーカーであり、表面処理分野では国内有数の存在感を持つ企業である。本社は兵庫県神戸市兵庫区に置き、東京証券取引所プライム市場に上場している。もともとは石原薬品株式会社として事業を展開していたが、2013年10月に現在の社名へ変更し、金属表面処理を軸とした専門メーカーとしての立ち位置をより明確にしてきた。

同社の最大の強みは、金属表面処理剤、とりわけめっき液分野における高い技術力と市場シェアである。めっき液では6割強という非常に高いシェアを有しており、プリント配線板、半導体パッケージ、電子部品といった高精度が求められる分野で広く採用されている。単なる汎用品の供給ではなく、顧客の製造工程や用途に合わせて処方や条件を細かく調整する技術提案型のビジネスモデルを取っている点が特徴で、これが長期取引や高い顧客ロイヤルティにつながっている。

事業の中心である金属表面処理剤事業では、銅、ニッケル、金などの各種めっき液をはじめ、洗浄剤、表面改質剤など幅広い製品群を展開している。電子部品の微細化・高密度化が進む中で、表面処理の精度や均一性への要求は年々高まっており、同社は研究開発を通じてこうした高度なニーズに対応してきた。研究開発型メーカーとして、製品開発と技術サポートを一体で提供できる体制を構築している点は、競合との差別化要因となっている。

電子材料分野も重要な成長領域である。先端電子部品向けの表面処理技術を強みとし、国内市場だけでなく海外展開にも積極的に取り組んでいる。特に台湾は、半導体や電子部品産業の集積地であり、同社は先端電子部品向け製品の供給拠点として進出を進めている。台湾を足掛かりにアジア全体への展開を視野に入れており、グローバルな顧客対応力の強化が中長期の成長テーマとなっている。

また、同社は自動車用化学製品も事業の柱の一つとしている。自動車部品の製造工程において、金属部品の耐久性向上や品質安定に寄与する表面処理薬品を提供しており、自動車産業の電動化や軽量化の流れの中でも、表面処理技術の重要性は高まっている。電子部品向けと比べると成長は緩やかだが、事業ポートフォリオの安定性を高める役割を果たしている。

拠点体制としては、本社を神戸市に置き、営業拠点として東京支店を構えている。生産・研究開発拠点としては滋賀工場と神戸工場を有しており、研究開発から量産、品質管理までを国内で一貫して行える体制を整えている。こうした内製力の高さは、品質要求の厳しい顧客への安定供給を可能にしている。

総じて石原ケミカルは、金属表面処理という専門性の高い分野に経営資源を集中させ、研究開発力と顧客密着型の技術対応を武器に成長してきた企業である。派手な事業拡大を行うタイプではないが、電子部品や自動車といった基幹産業を支える裏方として、安定した需要基盤と高い技術力を有している。今後は先端電子部品向け需要の拡大や海外展開の進展を背景に、収益基盤のさらなる強化が期待される化学メーカーと言える。

石原ケミカル 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株当たり配当(円)
連21.3 16,967 1,705 1,853 1,504 93.7 21.5
連22.3 19,036 2,355 2,514 2,049 130.0 26.5
連23.3 20,345 2,139 2,258 1,684 110.3 34
連24.3 20,705 2,328 2,457 1,906 127.6 36
連25.3 23,630 3,400 3,456 2,465 173.4 40
連26.3予 24,500 3,510 3,600 2,550 186.6 44
連27.3予 26,500 3,770 3,860 2,730 199.8 44〜48

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 947 716 -1,184
2024 1,844 -281 -883
2025 3,591 182 -3,678

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率(%) ROE(%) ROA(%) PER(倍) PBR(倍)
2023 10.5 7.6 6.3
2024 11.2 8.2 6.8
2025 14.3 11.2 9.1 高値平均 15.4
安値平均 10.5
1.32

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績規模を見ると、2024年3月期の売上は207億円、営業利益は23億円、経常利益は24億円、純利益は19億円である。2025年3月期は売上236億円、営業利益34億円、経常利益34億円、純利益24億円と着実に拡大している。2026年3月期予想では売上245億円、営業利益35億円、経常利益36億円、純利益25億円と、成長ペースはやや緩やかになるものの、高水準の利益を維持する前提となっている。

収益性を見ると、営業利益率は2023年10.5%、2024年11.2%、2025年14.3%と明確な上昇基調にある。製造業としてはかなり高い水準であり、研究開発型メーカーとしての付加価値の高さが数字に表れている。単なる売上拡大型ではなく、利益の質が改善している点は大きな評価ポイントである。

資本効率の面では、ROEが2023年7.6%、2024年8.2%、2025年11.2%と順調に上昇しており、ROAも6.3%、6.8%、9.1%と高水準に達している。特にROAが9%台というのは、資産効率が非常に良好であることを示しており、過剰投資に依存しない堅実な収益構造が読み取れる。

バリュエーションを見ると、2025年実績PERは高値平均15.4倍、安値平均10.5倍と、成長性と安定性を考慮すると過度な割高感はない。PBRも1.3倍で、ROE11%台の企業としては妥当、もしくはやや割安寄りの水準といえる。以上を総合すると、この銘柄は売上成長は緩やかだが、利益率と資本効率が年々改善しており、事業の質が非常に高い。急成長株ではないものの、研究開発力を背景に安定して稼げる体質が確立されつつある。PER・PBRともに過熱感はなく、利益水準とのバランスは良好である。

投資判断としては、短期的な大化けを狙う銘柄ではないが、高収益・高ROA体質を評価して中長期で保有するには適した銘柄と判断できる。業績のブレが小さく、利益率の高さが維持される限り、株価は緩やかな上昇と安定推移が期待できる。結論として、石原ケミカルは成長性と安定性のバランスが取れた優良製造業銘柄であり、割安感は大きくないものの、収益の質を重視する投資家にとっては中長期で安心して持ちやすい銘柄という評価になる。

配当目的とかどうなの?

配当目的かどうかという点で見ると、主目的としてはやや物足りないが、安定収益を背景とした補助的な配当投資としては十分成立する水準と言える。連26.3期、連27.3期ともに予想配当利回りは1.95%であり、高配当株と呼べる水準ではない。3%超の利回りを重視するインカム投資の観点では、利回り面だけを見ると明確に見劣りする。一方で、営業利益率は14%台まで上昇し、ROEも11%台、ROAも9%台と、収益性と資本効率は非常に高い水準にある。これは、無理に配当性向を引き上げなくても、安定的に配当を出し続けられる体力があることを示している。

配当水準自体も、21円台から40円、さらに40円超へと段階的に引き上げられており、業績の伸びに合わせて着実に増配している点は評価できる。配当性向を過度に高めず、研究開発や設備投資とのバランスを保ちながら株主還元を行っているため、減配リスクは比較的低いと考えられる。

そのため、この銘柄は、配当だけを目的に買うインカム株ではないが、高収益体質を背景に、安定配当を受け取りながら中長期で保有するタイプの銘柄という位置付けがしっくりくる。配当は主役ではないものの、業績の安定性と利益率の高さを裏付ける安心材料としては十分に機能する水準であり、株価の安定と緩やかな上昇を狙う投資と相性が良い、という評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

石原ケミカル株式会社は、現在株価2,245.0円を基準に見ると、急成長を狙うグロース株というよりも、金属表面処理剤というニッチかつ高付加価値分野で安定的に利益を積み上げる、収益重視型の技術メーカーと位置づけられる。営業利益率は10%台後半まで上昇し、ROE・ROAも着実に改善しており、事業の質は明らかに高まっている。一方で配当利回りは2%弱にとどまり、評価軸はインカムよりも収益性と安定成長にある。この前提を踏まえて、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、電子部品向けの金属表面処理剤需要が堅調に拡大し、台湾を中心とした海外展開も順調に進む展開を想定する。先端電子部品向けの高付加価値製品が収益を牽引し、営業利益率は15%前後で安定、ROEも12%前後を維持する。市場からは「高収益・高ROAの優良化学メーカー」として評価され、PERは15〜18倍程度が許容される。この場合、5年後の株価水準は3,200円から3,800円程度が目安となり、現在値からは1.5倍前後の上昇が期待できる強気寄りのシナリオとなる。

中間のシナリオでは、電子部品向け需要は底堅く推移するものの、市場環境の変動やコスト上昇の影響で利益成長は緩やかにとどまるケースを想定する。営業利益率は13〜14%程度で横ばい、ROEは10%前後に落ち着く。市場評価は安定的で、PERは12〜15倍、PBRは1.2〜1.5倍程度に収れんする。この場合、5年後の株価は2,500円から3,000円程度と、現在値から緩やかな上昇にとどまる現実的なシナリオとなる。配当を含めたトータルリターンは安定的だが、大きな値幅は出にくい。

悪い場合のシナリオでは、電子部品業界の調整局面が長期化し、需要の鈍化や価格競争が強まる展開を想定する。営業利益率は10%前後まで低下し、ROEも8%程度にとどまる。市場の評価は慎重になり、PERは10倍前後、PBRは1倍付近まで切り下がる可能性がある。この場合、5年後の株価は1,700円から2,000円程度にとどまり、配当は維持されても株価面でのリターンが限定される弱気シナリオとなる。

総合すると、現在株価2,245.0円を起点とした石原ケミカルの5年間の値動きは、良い場合で3,200円から3,800円前後、中間で2,500円から3,000円、悪い場合で1,700円から2,000円といったレンジが想定される。爆発的な成長を狙う銘柄ではないが、高い収益性と安定した事業基盤を背景に、中長期で着実なリターンを狙う投資と相性の良い銘柄と評価できる。

この記事の最終更新日:2025年12月24日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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