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東和薬品(4553)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

東和薬品とは

東和薬品株式会社は、後発医薬品 ジェネリック医薬品 メーカーとして国内2強の一角を占める企業で、大阪府門真市に本社を置いている。事業は医療用医薬品の製造販売に特化しており、なかでも循環器系領域に強みを持つ点が特徴。長年にわたりジェネリック医薬品市場で存在感を高めてきた企業であり、医療費抑制という国の政策的背景のもとで事業を拡大してきた。

営業面では、医療機関や薬局と直接向き合う直販を軸とした体制を築いてきた。製品そのものだけでなく、情報提供や現場対応を重視するスタイルで信頼関係を構築してきた点が東和薬品の特徴といえる。一方で、近年は安定供給や流通効率の観点から医薬品卸との取引も拡大しており、直販中心から販売チャネルの多様化へと舵を切りつつある。

製品づくりにおいては、安定供給、品質確保、情報提供を重視し、単に先発品の代替となるだけでなく、飲みやすさや扱いやすさといった付加価値の向上を追求している。ジェネリック医薬品は先発医薬品より後に発売されるため、その時点で利用可能な最新の製剤技術を活用できるという特性があり、東和薬品ではこの点を活かして改良や改善を積み重ねてきた。錠剤の大きさや形状、識別性、包装の工夫など、医療現場や患者目線での配慮が製品づくりの根幹にある。

原薬についても、製品ごとに最適なものを開発、選定する姿勢を取っている。自社での製造方法の確立に加え、グループ会社や委託先での製造、長年蓄積してきたノウハウを活かした原薬選定を行い、品質と安定供給の両立を図っている点は同社の競争力の一つとなっている。情報提供にも力を入れており、医療関係者に対しては自社製品の適正使用情報や学術情報を迅速かつ適切に届ける体制を整えている。また、患者やその家族に向けた情報発信にも取り組み、ジェネリック医薬品を安心して使用してもらうための環境づくりを重視している。

製品やサービスの考え方としては、健康状態を健康、未病、病気、リハビリ・介護の4段階に分け、重点的に取り組む複数の領域と組み合わせることで、幅広いニーズに対応する方針を掲げている。単なる医薬品メーカーにとどまらず、医療や健康を取り巻く課題全体に関与しようとする姿勢がうかがえる。全体として東和薬品は、循環器系に強みを持つ国内有力ジェネリック医薬品メーカーとして、直販を基盤に発展しつつ、卸との取引拡大による安定供給体制を強化しながら、品質と使いやすさを重視した製品づくりを続けている企業と位置づけられる。

東和薬品 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連21.3 154,900 19,923 18,677 13,958 283.6 44
連22.3 165,615 19,205 22,739 15,914 323.4 60
連23.3 208,859 5,514 5,141 2,201 44.7 60
連24.3 227,934 17,647 24,477 16,173 328.6 60
連25.3 259,594 23,242 26,152 18,986 385.7 70
連26.3予 280,000 26,800 26,800 18,400 373.8 80
連27.3予 300,000 29,500 28,000 19,500 396.1 80〜90

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 2,544 -30,284 17,481
2024 8,212 -40,394 35,407
2025 23,401 -31,287 21,567

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROA ROE PER(倍) PBR(倍)
2023 2.6% 0.5% 1.6%
2024 7.7% 3.7% 10.3%
2025 8.9% 4.0% 11.0% 27.8(高)/17.5(安) 1.02

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず利益水準を見ると、連24.3から連26.3予にかけて営業利益は176億、232億、268億と順調に増えており、23年の落ち込みを完全に脱して回復局面に入っていることが分かる。経常利益も244億、261億、268億と安定しており、純利益も161億、189億、184億と高水準を維持している。売上規模の拡大に対して利益がきちんとついてきており、収益構造自体は明らかに改善している。

収益性の指標を見ると、営業利益率は2023年の2.6%から2024年に7.7%、2025年には8.9%まで上昇している。ジェネリック医薬品メーカーとしては突出して高い水準ではないものの、低収益状態から正常レンジへ戻ってきたと評価できる。ROEも1.6%から10.3%、11.0%と大きく改善しており、資本を使ってしっかり利益を出せる状態に回復していることが分かる。ROAも0.5%から4.0%まで改善しており、資産効率の面でも底打ち感ははっきりしている。

一方でバリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均27.8倍、安値平均17.5倍と幅が大きい。業績回復局面にあるため市場が先行して評価するとPERは高くなりやすいが、事業自体は高成長型ではなく、あくまで安定型のジェネリック医薬品事業であることを考えると、27倍台は期待を織り込みすぎている水準に見える。一方、PBRは1.0倍と落ち着いた水準で、ROEが11.0%まで回復していることを踏まえると、資産価値面での割高感はほとんどない。

これらを総合すると、この会社は業績面では回復がはっきりしており、利益率、ROE、ROAともに改善基調にあるため、事業の安定性と回復力は評価できる。ただし、成長スピードが高いわけではなく、バリュエーションが高い水準では上値余地は限定的になりやすい。

投資判断としては、PERが高値側にある局面では積極的に買う対象ではなく、期待先行で評価されている分、調整リスクも意識したい。一方で、PERが安値平均に近い水準であれば、PBR1.0倍、ROE改善という条件から見て中長期では比較的安心して持てる銘柄といえる。成長株として追いかけるというより、業績回復と安定性を前提に、価格水準を見ながら拾うタイプの投資対象という位置づけになる。

配当目的とかどうなの?

東和薬品について、配当目的としてどうかを提示されている数値だけで考える。予想配当利回りは連26.3、連27.3ともに2.14%と、数値としてははっきり低めの水準にある。一般的に配当を主目的にする場合、少なくとも3%台、できれば4%前後を期待する投資家が多いため、この利回り水準では高配当株とは言えない。配当収入を主な目的としてポートフォリオの中心に据えるには、やや力不足という印象になる。

一方で、配当の安全性という点では極端に不安があるわけではない。営業利益は回復基調にあり、営業利益率は8%台後半、ROEは11%前後、ROAも4%程度まで改善している。これらの指標を見る限り、利益が出ずに無理をして配当を出している状況ではなく、現在の配当水準を維持できるだけの収益力は確保されていると考えられる。PBRも1.0倍程度で、財務的に過度な負担をかけて株主還元を行っている印象はない。

ただし、利回りが低い背景として、会社が配当を強く前面に押し出す段階にないことは意識しておく必要がある。ジェネリック医薬品という事業特性上、安定供給のための設備投資や体制強化が重要で、利益をすべて株主還元に回す余地は大きくない。成長株というより、業績回復と安定運営を優先するフェーズにある企業と見る方が自然だ。

結論として、東和薬品は配当目的だけで買う銘柄ではない。利回り2.14%ではインカム狙いの主力にはなりにくい。一方で、業績が回復し、配当が維持される前提であれば、株価水準次第では配当をもらいながら中長期で保有する補助的な位置づけの銘柄としては成立する。高配当を期待する投資には不向きだが、安定回復を背景にした無理のない配当を受け取りたい投資家には、条件付きで検討余地がある、という評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

東和薬品について、現在株価3,735円前後を基準に見ると、安定配当を前面に押し出した高配当株というよりは、ジェネリック医薬品を主軸に業績回復局面へ入ってきた国内有力メーカーと位置づけられる。循環器系を中心に幅広い後発医薬品を展開し、直販を軸に医療現場との関係を築いてきた企業であり、近年は卸との取引拡大によって安定供給体制の強化も進めている。

23年に一度大きく収益性が落ち込んだものの、24年、25年と営業利益、純利益ともに回復し、営業利益率、ROE、ROAも明確に改善している点が足元の特徴といえる。一方で、成長性が高い新薬メーカーではなく、事業の成熟度は高いため、投資リターンは急成長よりも業績回復の定着と評価水準の変化に左右されやすい構造になっている。この前提を踏まえて、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、ジェネリック医薬品需要の底堅さを背景に売上成長が続き、コスト管理と製造効率の改善が進むことで営業利益率が8〜9%台で安定する展開を想定する。ROEも10%前後を維持し、回復が一時的ではなく構造的なものと市場に認識されるケースになる。この場合、成熟企業としては一定の評価が与えられ、PERは20倍前後が許容されやすくなる。PBRも1倍台前半から中盤で安定し、業績の回復定着とともに株価は段階的に切り上がる。5年後の株価水準としては4,800円から5,500円程度を目指す展開が考えられ、これは回復局面が順調に続いた場合のやや強気寄りのシナリオになる。

中間のシナリオでは、現在の利益水準は維持できるものの、これ以上の利益率改善は進まず、営業利益率は8%前後、ROEも10%前後で横ばいとなるケースを想定する。ジェネリック医薬品としての安定性は評価される一方、成長性は限定的と見なされるため、市場評価は大きく変わらない。この場合、PERは17〜20倍程度のレンジに収まりやすく、PBRも1倍前後で推移する。株価は大きく崩れにくいが上値も重く、5年後の水準は3,800円から4,300円程度と、現在値近辺を中心とした緩やかなレンジ推移にとどまる中立的なシナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、薬価改定や原材料コストの上昇、競争激化などにより利益率が再び低下し、営業利益率が6%台以下に戻るケースを想定する。ROEやROAも一桁台に低下し、回復は一過性だったと市場に判断される展開になる。この場合、評価は厳しくなり、PERは15倍前後まで切り下げられ、PBRも1倍を割り込む可能性がある。配当利回りも高くないため下値での買い支えは弱く、株価は評価調整を受けやすい。5年後の株価水準は2,700円から3,200円程度にとどまる弱気シナリオとなる。

総合すると、現在株価3,735円を起点とした東和薬品の5年間の値動きは、良い場合で4,800円から5,500円前後、中間で3,800円から4,300円、悪い場合で2,700円から3,200円といったレンジが想定される。配当利回りは2%台と控えめで、インカム狙いの高配当株とは言いにくい。投資妙味は配当よりも、業績回復がどこまで定着し、それが評価水準の見直しにつながるかに依存する。高成長を期待する銘柄ではないが、回復基調が続く前提であれば、値段次第で中長期の値上がりを狙う投資と相性の良い銘柄、という評価になる。

この記事の最終更新日:2025年12月25日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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