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生化学工業(4548)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

生化学工業とは

生化学工業株式会社は、日本の研究開発型製薬企業であり、糖質化学、特に複合糖質を専門分野とする独自性の高い企業である。本社は東京都千代田区丸の内に置き、久里浜工場、高萩工場、中央研究所・CMC研究所といった生産・研究拠点を国内に有している。

同社は、世界でも早い段階から「糖質科学」に着目してきたパイオニアであり、複合糖質や糖鎖の研究を70年以上にわたり継続してきた。糖鎖は生命の誕生から老化に至るまで多くの生命現象に関与することが近年明らかになっており、創薬分野における糖質科学の重要性は年々高まっている。生化学工業は、この分野における長年の知見と技術力を背景に、独創的な医薬品・医療機器の開発を進めている。

事業の中核は医薬品事業であり、研究開発の重点領域は関節疾患や運動器疾患、眼科領域など、日常生活の質に直結する分野に特化している。主力製品は、変形性膝関節症の治療や白内障手術時に使用されるヒアルロン酸を主成分とした医療用医薬品であり、同社が開発した2種類のヒアルロン酸製剤は、科研製薬および参天製薬が販売を担っている。生化学工業自身は販売部門を持たず、各製品領域に強みを持つ製薬企業と提携することで市場展開を行うビジネスモデルを採用している点が特徴である。

また、複合糖質の構成成分に作用する酵素を活用した腰椎椎間板ヘルニア治療剤など、新たな治療領域への展開も進めており、高齢化社会における運動器疾患や眼科疾患といったニーズに応える製品群を揃えている。これらの医薬品・医療機器を通じて、患者のQOL向上に貢献することを事業の重要な使命としている。

研究開発への投資姿勢も際立っており、生化学工業単体の従業員の約40%が研究開発要員で構成され、売上高の25%以上を研究開発費に充てている。研究対象や重点疾患を絞り込むことで、糖質科学関連の技術やノウハウを最大限に活かした効率的な研究開発体制を構築している。

製造面では、1950年にコンドロイチン硫酸の工業化に成功した実績を起点に、独自の抽出・精製技術を磨き続けてきた。糖質科学がほとんど注目されていなかった時代から培われた技術力は、現在も高品質な医薬品・医療機器の安定供給を支える基盤となっており、創業以来の「パイオニア精神」が品質の源泉となっている。

さらに同社は、医薬品事業に加えてLAL事業も展開している。LAL事業では、医薬品や医療機器の製造プロセスにおける品質管理に不可欠なエンドトキシン測定用試薬や、深在性真菌症の診断に用いられるグルカン測定体外診断用医薬品を国内外で提供している。エンドトキシンは極めて微量でも強い発熱作用を示すため、医薬品製造において厳格な管理が求められる分野であり、この事業は医療インフラを支える重要な役割を担っている。

海外展開については、関節機能改善剤を米国、欧州、アジアで販売しているほか、既存製品の新規国への導出や海外での新薬開発を中長期的視点で推進している。また、海外子会社ACC社を通じて、エンドトキシン測定用試薬などを欧米を中心に展開しており、グローバルな医療ニーズへの対応も強化している。

総合すると、生化学工業は複合糖質という独自領域に特化した研究開発型製薬企業であり、関節疾患・眼科領域を軸とする医薬品事業と、品質管理を支えるLAL事業を両輪に事業を展開している。販売は提携企業に委ね、自社は研究開発と高品質な製造に集中するという明確な戦略のもと、糖質科学のパイオニアとして独自の存在感を発揮している企業である。

生化学工業 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

※ 金額単位:百万円(EPS・配当は円)
決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益
(円)
一株当り配当
(円)
連21.3 27,662 1,530 3,024 4,262 75.5 24
連22.3 34,851 4,495 5,395 3,733 66.3 30
連23.3 33,456 2,114 3,069 2,236 40.5 26
連24.3 36,213 433 1,691 2,186 40.1 26
連25.3 39,374 1,333 1,933 1,214 22.3 30
連26.3予 35,600 -300 1,350 1,350 24.7 30
連27.3予 36,500 500 1,000 650 11.9 30

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
2023.3 1,574 3,365 -3,244
2024.3 513 -7,209 -1,461
2025.3 4,429 -3,540 -1,571

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER
(高値平均/安値平均)
PBR
2023.3 6.3% 3.3% 2.9%
2024.3 1.1% 3.0% 2.6%
2025.3 3.3% 1.6% 1.4% 32.6倍/25.7倍 0.52倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

売上高は2024年3月期で362億円、2025年3月期で393億円と増加したが、2026年3月期予想では356億円と再び減少が見込まれている。事業規模は中小型で、成長トレンドは安定的とは言い難く、年度ごとの振れが大きい。

営業利益は2024年が4億円、2025年が13億円と改善したものの、2026年予想では-3億円と再び赤字転落が見込まれている。経常利益は2024年16億円、2025年19億円、2026年予想13億円と黒字は維持しているが、営業段階の収益力は弱い。純利益は2024年21億円、2025年12億円、2026年予想13億円と減少傾向で、利益水準そのものは高いとは言えない。

次に収益性と効率性を見る。営業利益率は2023年6.3%、2024年1.1%、2025年3.3%と低水準で推移しており、構造的に高い収益性を持つ事業とは言い難い。ROEは2023年3.3%、2024年3.0%、2025年1.6%と低下傾向で、株主資本を効率的に活用できていない。ROAも2023年2.9%、2024年2.6%、2025年1.4%と同様に低水準で、資産効率も弱い。

株価評価を見ると、2025年実績PERは高値平均32.6倍、安値平均25.7倍と、利益水準に対してかなり高い評価が付いている。一方で実績PBRは0.5倍と1倍を大きく下回っており、資産価値の観点では強い割安感がある。つまり、利益面では割高、資産面では割安という評価の歪みが生じている状態である。

以上を総合すると、生化学工業は売上規模が小さく、営業利益が不安定で、再び営業赤字に陥る可能性を抱えた事業構造にある。営業利益率、ROE、ROAはいずれも低位で、収益性や資本効率の面で明確な強みは見られない。一方でPBRが0.5倍と低い点から、バランスシート面での下値余地は限定的と考えられる。

投資判断としては、成長株や高収益株として積極的に評価できる局面ではなく、基本は慎重姿勢が妥当である。PER水準は利益の安定性を踏まえると正当化しづらく、業績が再び悪化すれば評価調整のリスクもある。ただし、資産価値を重視する観点ではPBRの低さが下支えとなり、営業黒字の定着や収益力の改善が確認できる局面では見直し余地が出てくる。結論として、生化学工業は現時点では「収益力の弱い研究開発型中小製薬」であり、割安感だけで積極的に投資する段階ではなく、業績改善を待って検討すべき銘柄という位置付けになる。

配当目的とかどうなの?

結論から言うと、生化学工業は配当目的としては「条件付きで可、ただし主力ではない」という評価になる。まず利回り水準を見ると、連26.3・連27.3ともに予想配当利回りは4.33%と、中小型株としてはかなり高い水準にある。現在株価692円という低位株であることもあり、インカム面の見た目は良い。

一方で配当の安定性には注意が必要である。営業利益は2024年が4億円、2025年が13億円と回復したものの、2026年予想では-3億円と営業赤字が見込まれている。営業段階で十分に稼げていない中でも配当を維持している構造であり、配当原資は利益というより内部留保への依存が大きい。

収益性の面を見ると、営業利益率は直近3年で6.3%、1.1%、3.3%と低位で推移している。ROEは3.3%、3.0%、1.6%、ROAは2.9%、2.6%、1.4%と、いずれも低下傾向にあり、高配当を長期的に支えられるだけの収益力や資本効率は現時点では確認できない。ただし、PBRは0.52倍と1倍を大きく下回っており、財務的な余力は一定程度ある。短期的にすぐ減配に踏み切るリスクが高いとは言い切れず、会社としては当面の配当維持を意識している段階と考えられる。

以上を踏まえると、生化学工業は高配当株として主力に据える銘柄ではないが、資産価値と配当を評価したサテライト的なインカム枠としては検討余地がある。結論として、生化学工業は業績回復が前提となる高配当株であり、安定配当を長期で狙う銘柄というより、業績改善の進捗を見守りながら高利回りを享受する、ややリスクを伴う配当狙いに向いた銘柄という位置付けになる。

今後の値動き予想!!(5年間)

生化学工業は現在株価692.0円を基準に見ると、複合糖質を基盤とした独自性の高い研究開発型製薬企業であり、ヒアルロン酸製剤やLAL品質管理試薬を主力とするものの、営業利益が安定しないため収益性の改善が株価にとって重要なテーマとなる銘柄である。配当利回りは比較的高いが、安定性には不安がある。この前提をふまえて、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、主力製品であるヒアルロン酸製剤の使用範囲が拡大し、関節疾患や眼科領域における処方が増加する展開を想定する。加えて研究開発パイプラインから新製品が市場評価を得て収益性が改善し、営業利益率が5%台以上で安定するとともにROE、ROAの改善が進む。このような収益基盤強化により市場評価が上昇し、PERは利益改善を織り込んで15〜20倍程度、PBRも1倍前後まで引き上げられる可能性がある。この場合、5年後の株価水準は1,000円から1,300円程度が一つの目安となり、現在値からの着実な上昇が見込める強気シナリオとなる。

中間のシナリオでは、売上は緩やかな増加傾向を維持するものの、収益性の改善は限定的で、営業利益率は3〜4%程度で推移し、ROEやROAの改善も小幅にとどまるケースを想定する。市場は同社の製品ポートフォリオや独自性を評価しつつも、収益性が十分に高くないとの見方を崩さないため、PERは10〜15倍程度、PBRは0.7〜1.0倍程度で推移する。この場合、5年後の株価は750円から900円程度と、現在値水準を中心とした緩やかな上昇にとどまる中立的シナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、主力製品の市場競争激化や薬価改定の影響で営業利益が再び低迷し、利益率の改善が見られない展開を想定する。また新製品の市場評価が期待に届かず、収益面の不安が拭えない状況が続く。この場合、市場の評価は慎重となり、PERは8〜10倍程度、PBRも0.5倍を下回る水準に低下する可能性がある。5年後の株価水準は450円から600円程度となり、現在値を大きく下回る弱気シナリオとなる。

総合すると、現在株価692.0円を起点とした生化学工業の5年間の値動きは、良い場合で1,000円から1,300円前後、中間で750円から900円程度、悪い場合で450円から600円程度といったレンジが想定される。株価は事業の収益性改善の進展や市場評価の変化によって大きく左右されるため、業績改善を見極めながら中長期で判断する投資スタンスが望ましい。

この記事の最終更新日:2025年12月25日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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