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ダスキン(4665)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ダスキンとは

ダスキンは、大阪府吹田市江坂地区に本社を置く、清掃・衛生サービスを中核とした生活関連サービス企業である。清掃用具レンタルを祖業とし、現在もモップやマット、化学雑巾、浄水器などの清掃・衛生用品レンタルを主力事業としている。これらは定期交換型の契約モデルで提供されており、一般家庭から事業所まで幅広い顧客を持つストック型ビジネスとして、同社の安定収益の基盤となっている。

同社はフランチャイズ方式を軸に全国ネットワークを構築しており、清掃・衛生分野では「ダストコントロール」を中心に、「サービスマスター(ハウスクリーニング)」「メリーメイド(家事代行)」「ターミニックス(害虫駆除)」など、作業そのものを提供する役務サービスも展開している。共働き世帯や高齢者世帯の増加を背景に、こうした生活支援型サービスは継続的な需要が見込まれる分野となっている。

一方、ダスキンのもう一つの大きな柱が外食事業である。ミスタードーナツの事業本部を担っており、全国で約1,000店舗を展開する国内有数のフランチャイズチェーンとなっている。外食事業は売上高に占める比重も大きく、清掃事業とは異なり景気や原材料価格の影響を受けやすいものの、高いブランド力と知名度を持つ点が強みである。また、モスフードサービスと提携した「モスド」や、グループ会社が運営する「かつアンドかつ」なども展開している。

事業区分としては、清掃用具レンタルやハウスクリーニング、家事代行、害虫駆除などを担う「訪販グループ」、ミスタードーナツを中心とする「フードグループ」、ヘルスケア関連事業や海外事業などを含む「その他」に分かれている。訪販グループは安定性、フードグループは規模とブランド力という異なる性格を持ち、全体としてリスク分散の効いた事業構造になっている。

社名の「ダスキン」は、英語のダストと日本語のぞうきんを組み合わせた造語とされており、「自分が汚れた分だけ人をきれいにする」という創業者の思想を象徴しているとも言われる。また、経営理念にある「脱皮」に由来するという説もあり、変化し続ける企業姿勢を示す名前として語られている。ロゴでは「DUSK!N」と表記され、「I」を感嘆符で表す独特のデザインが用いられている。

全体としてダスキンは、清掃用具レンタルを中核とした定期収益型ビジネスを土台に、役務サービスと外食事業を組み合わせた多角的な事業展開を行う企業である。急成長を狙うタイプではないものの、生活必需性の高いサービスと強力なブランドを背景に、安定性と継続性を重視した事業モデルを築いている点が特徴といえる。

ダスキン 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
百万円
営業利益
百万円
経常利益
百万円
純利益
百万円
一株益
一株配当
連21.3 153,770 4,651 6,633 2,821 57.2 40
連22.3 163,210 9,899 12,215 8,132 164.7 83
連23.3 170,494 8,637 11,375 7,196 146.1 88
連24.3 178,782 5,084 7,863 4,574 95.0 100(記)
連25.3 188,791 7,268 10,697 8,808 185.7 112
連26.3予 195,000 7,900 11,600 9,000 191.4 115
連27.3予 201,000 8,400 12,100 9,180 195.2 115〜120

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期
(百万円)
営業CF 投資CF 財務CF
2023年 12,061 -12,844 -7,992
2024年 11,093 -16,604 -5,743
2025年 16,683 -5,074 -10,753

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROA ROE PER
(倍)
PBR
(倍)
2023年 5.0% 3.6% 4.7%
2024年 2.8% 2.2% 2.9%
2025年 3.8% 4.3% 5.8% 27.3(高)
22.5(安)
1.31

出典元:四季報オンライン

投資判断

提示された数値だけを前提にしてダスキンを見ると、この会社は「事業基盤は極めて安定しているが、収益性と株価評価のバランスという点では慎重に見たくなる局面」にあると感じられる。売上高は連24.3期で1,787億円、連25.3期で1,887億円、連26.3期予想で1,950億円と、年率3〜4%程度の安定成長が続いており、清掃用具レンタルというストック型ビジネスを中核に、事業規模は着実に拡大している。

一方で利益の動きは売上ほど安定していない。営業利益は24.3期の50億円から25.3期に72億円へ大きく回復し、26.3期予想では79億円まで伸びる見通しとなっている。24.3期は利益水準が大きく落ち込んでおり、そこからの反動もあるが、外食事業の影響を強く受ける構造がここでも表れている。経常利益や純利益も同様で、25.3期以降は純利益90億円前後が見込まれているものの、過去に比べて高水準とは言い切れない。

収益性を見ると、営業利益率は2023年が5.0%、2024年が2.8%、2025年が3.8%と大きく変動しており、安定事業を持つ割には利益率が低く、かつ振れ幅が大きい。清掃用具レンタルは本来ディフェンシブな事業だが、ミスタードーナツを中心とする外食事業の影響が全体の利益率を押し下げ、結果として収益構造を分かりにくくしている印象がある。

ROEは4.7%、2.9%、5.8%と低水準で推移しており、資本効率という観点では明確に弱い。ROAも3.6%から2.2%へ低下し、その後4.3%まで戻しているが、依然として高いとは言えない水準にとどまっている。成熟した生活関連企業として見ても、株主資本を効率的に使って高い利益を生み出している状態とは言いにくい。

こうした数値に対して、株価評価は強気だ。2025年実績ベースでPERは安値平均でも22.5倍、高値平均では27.3倍に達しており、ROE5%台の企業としてはかなり高い水準にある。PBRは1.3倍と一見控えめに見えるが、資本効率を考慮すると割安感があるとは言い難い。市場は「業績回復がこのまま続く」「外食事業が持ち直す」というシナリオをかなり前提にして株価を形成しているように見える。

総合すると、ダスキンは売上の安定性やブランド力、生活必需性という強みは明確だが、数字だけを見る限り、収益性と資本効率は低く、その割に株価評価は高い。今後、営業利益率が再び5%前後まで戻り、ROEが8〜10%程度に改善してくれば評価の正当性は見えてくるが、現時点ではそこまでの裏付けは数字に表れていない。

提示された数値だけで判断するなら、ダスキンは「事業は安心だが、株価は安心ではない」状態に近く、積極的に買いに行くよりも、回復の持続性を確認しながら距離を保つスタンスが妥当だと感じられる。配当やブランドへの信頼を重視する長期保有には一定の意味があるものの、純粋に数字面だけで見た投資判断としては、中立からやや慎重寄りに位置づけるのが自然だろう。

配当目的とかどうなの?

配当目的という観点でダスキンを見ると、高配当株として積極的に狙う銘柄ではないが、安定配当を前提にした保有という意味では一定の評価はできる、というのが率直な印象になる。予想配当利回りは連26.3期、連27.3期ともに2.67%と、配当投資としてはやや物足りない水準で、利回りだけを重視する投資スタンスには合いにくい。4%前後を期待する高配当投資と比べると、明確に見劣りする。

一方で、配当の出し方を見ると安心感はある。清掃用具レンタルというストック型ビジネスを中核に持ち、売上自体は大きく崩れにくい構造の中で、配当は長期的に見て引き上げられてきた。利益が落ち込んだ局面でも配当を急に切り下げるのではなく、維持や緩やかな増配を優先してきた姿勢が数字から読み取れる。生活関連サービス企業として、株主還元を軽視していない点は評価できる。

ただし、現在の配当水準には余裕があるとは言いにくい。一株益に対する配当額を考えると、配当性向は6割前後に達しており、ROEが5%台にとどまる中では、これ以上大きく配当を引き上げていく余地は限られている。今後も配当は維持される可能性が高いものの、業績が大きく改善しない限り、利回りが自然に上がっていく展開は期待しにくい。

そのため、ダスキンは配当そのものを目的に積極的に買いに行く銘柄というよりも、事業の安定性やブランド力を評価し、その上で2%台後半の配当を受け取るというスタンスに向いた銘柄といえる。配当収入を主目的にポートフォリオを組む場合の主役にはなりにくいが、値動きの大きさを抑えたい投資家にとっては、補完的な配当株として一定の役割を果たす余地はある。数字だけで判断する限りでは、配当目的で積極的に比重を高める銘柄ではなく、安定枠として慎重に付き合うタイプの配当株、という位置づけになる。

今後の値動き予想!!(5年間)

ダスキンについて、現在株価4,304円前後を基準に見ると、創薬バイオや先端半導体のように研究開発投資の成否で業績が大きく振れる企業とは性格が異なり、清掃用具レンタルを中核とした生活関連サービス企業として、安定性を重視した事業構造を持つ会社と位置づけられる。モップやマットなどの清掃・衛生用品レンタルは定期契約型のストックビジネスであり、景気変動の影響を受けにくい。一方で、ミスタードーナツを中心とする外食事業も展開しており、こちらは原材料価格や消費動向の影響を受けやすく、全体業績のブレ要因にもなっている。今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、清掃用具レンタルや家事代行、害虫駆除といった訪販グループが安定成長を続けると同時に、ミスタードーナツ事業が原材料高の落ち着きや商品施策の奏功によって収益性を回復する。営業利益率は再び5%前後まで戻り、ROEも8%前後まで改善する。この場合、市場は「安定成長・安定配当の生活関連優良株」として再評価し、PERは現状水準を維持もしくはやや上振れする。株価は配当を受け取りながら緩やかに上昇し、5年後には5,200円から5,800円程度を目指す展開が想定される。値幅は大きくないが、安心感のある堅実なシナリオである。

中間のシナリオでは、訪販グループは引き続き安定するものの、外食事業の収益改善は限定的にとどまり、営業利益率は3%台後半、ROEは5〜6%程度で推移する。評価面ではPERは20倍台前半で落ち着き、市場での位置づけは「安定だが成長力は乏しい成熟企業」にとどまる。この場合、株価は大きな上昇トレンドは描かず、配当を受け取りながら横ばいから緩やかな上昇にとどまり、5年後の株価は4,500円から4,800円程度に収れんする中立的なシナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、外食事業の回復が進まず、原材料高や人件費上昇の影響で利益率が再び低下する。営業利益率は3%を下回り、ROEも4%前後にとどまる。この場合、市場は収益性の低さをより厳しく評価し、PERは15〜18倍程度まで切り下がる可能性がある。ただし、清掃用具レンタルという安定事業があるため、業績が急激に崩れる可能性は低く、配当利回りの上昇が下値を支える。この場合でも、5年後の株価は3,300円から3,800円程度にとどまる弱気シナリオに収まると考えられる。

総合すると、現在株価4,304円前後を起点としたダスキンの5年間の値動きは、良い場合で5,200円から5,800円前後、中間で4,500円から4,800円、悪い場合で3,300円から3,800円程度といったレンジが想定される。急成長や株価倍増を狙う銘柄ではないが、清掃用具レンタルという強固な事業基盤と安定配当を背景に、値動きの大きさを抑えながら中長期で保有する投資と相性の良い銘柄、という評価になる。

この記事の最終更新日:2025年12月26日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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