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フォーカスシステムズ(4662)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

フォーカスシステムズとは

フォーカスシステムズは、東京都品川区に本社を置く独立系のシステムインテグレーターで、公共分野向けシステム開発に強みを持つITサービス企業である。創薬バイオや先端半導体のように研究開発投資の成否で業績が大きく振れる企業とは異なり、官公庁・自治体向けを中心とした受託開発や保守・運用を軸に、安定収益を積み上げていく性格の会社と位置づけられる。

同社の事業の中核は、公共向けシステム開発である。官公庁や自治体向けの業務システムにおいて、要件定義や設計といった上流工程から、開発、導入、運用・保守までを一貫して手がけており、信頼性や継続性が重視される分野で長年の実績を積み重ねてきた。公共案件は一度採用されると長期にわたり保守・運用が続くケースが多く、これが同社の業績の安定性を支える大きな要因となっている。

一方で、民間企業向けのITサービスにも幅広く対応しており、製造業、流通業、サービス業などを対象に、業務系アプリケーションの受託開発やITインフラの構築・運用を提供している。特定メーカーに依存しない独立系SIerであるため、顧客の環境や要望に応じて柔軟に技術や製品を組み合わせられる点が強みとなっている。

事業内容は多岐にわたり、コンピュータシステムのコンサルティングおよび受託開発、システムの保守・運用管理、技術支援、サーバー・ネットワークなどのインフラ構築、さらには情報セキュリティ関連技術や製品の開発・販売までをカバーしている。特に近年は、サイバー攻撃の高度化を背景に、セキュリティ分野への取り組みを強化しており、独自の暗号システムを含む情報セキュリティ関連事業にも進出している点が特徴である。

また、ソフトウェアパッケージの開発・販売、Webコンテンツの企画・制作、労働者派遣事業なども展開しており、ITインフラからアプリケーション、運用支援までを含めた総合的なITサービスを提供できる体制を構築している。単発のシステム開発にとどまらず、企画段階から導入後のサポートまで顧客に伴走するスタイルを重視しており、公共・民間を問わず長期的な取引関係を築いてきた。

全体としてフォーカスシステムズは、公共向けシステム開発を軸に、保守・運用・セキュリティといったストック性の高いサービスを組み合わせた、堅実なビジネスモデルを持つ企業である。急成長や派手な事業拡大を狙うタイプではないが、公共分野で培った信頼性と、独立系SIerとしての柔軟性を背景に、安定したITサービスを継続的に提供する存在として位置づけられる。

フォーカスシステムズ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
百万円
営業利益
百万円
経常利益
百万円
純利益
百万円
一株益
一株配当
単21.3 23,485 1,450 1,469 1,025 68.1 24(特)
単22.3 26,278 1,640 1,600 1,066 70.8 27(記)
単23.3 29,124 1,894 1,911 1,390 92.2 35
単24.3 31,509 1,974 1,971 1,406 93.1 38
単25.3 32,555 2,171 2,164 1,566 103.7 42
単26.3予 33,200 2,660 2,660 1,880 124.3 54
単27.3予 34,000 2,950 2,950 2,080 137.5 54〜58

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期
(百万円)
営業CF 投資CF 財務CF
2023年 2,152 -539 -679
2024年 817 107 -652
2025年 1,839 -810 -1,020

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROA ROE PER
(倍)
PBR
(倍)
2023年 6.5% 6.8% 10.8%
2024年 6.2% 6.6% 10.4%
2025年 6.6% 7.4% 11.1% 13.5(高)
9.5(安)
1.73

出典元:四季報オンライン

投資判断

この会社は典型的な「派手さはないが、業績の質が徐々に良くなっている独立系SIer」だと判断できる。売上高は単24.3期の315億円から単26.3期予想で332億円まで緩やかに伸びており、年率で見れば2〜3%程度の安定成長にとどまるが、事業が縮小しているわけではなく、着実に規模を積み上げている。

注目すべきは利益の伸び方で、営業利益は24.3期の19億円から25.3期は21億円、26.3期予想では26億円まで増加している。売上の伸びに比べて利益の増加ペースが明らかに速く、利益率改善フェーズに入っていることが数字から読み取れる。経常利益や純利益も同様に増加しており、一時的な要因ではなく、収益構造そのものが少しずつ良くなっている印象を受ける。

営業利益率を見ると、2023年が6.5%、2024年が6.2%、2025年が6.6%と、多少の上下はあるものの、全体として6%台半ばを安定して維持している。ITサービス企業として特別に高い水準ではないが、価格競争で利益が削られている状況でもなく、公共向けを軸とした安定案件が収益の下支えになっていることがうかがえる。

資本効率の面では、ROEが10.8%から10.4%、11.1%と推移しており、常に10%を超えている。突出して高い水準ではないものの、安定収益型のSIerとしては十分に合格点といえる。ROAも6.8%から6.6%、7.4%と改善傾向にあり、資産を増やしすぎて効率が落ちているような印象はない。無理なレバレッジに頼らず、実力ベースで稼いでいる企業といえる。

バリュエーションを見ると、2025年実績ベースでPERは高値平均13.5倍、安値平均9.5倍、PBRは1.7倍となっている。ROEが11%前後であることを踏まえると、この評価水準は割高とは言いにくく、むしろ業績の安定性に対して控えめな評価にとどまっている印象がある。市場が高成長を前提に期待を膨らませている状態ではなく、堅実な水準に落ち着いている。

これらを総合すると、フォーカスシステムズは急成長や株価の大化けを狙う銘柄ではないが、売上・利益ともに安定して積み上がり、利益率と資本効率がじわじわ改善している点は評価できる。業績のブレが小さく、バリュエーションも過度ではないため、短期で値幅を取りにいくよりも、業績と配当を確認しながら中長期で保有するスタンスに向いた銘柄といえる。

提示された数値だけで判断する限りでは、リスクを抑えつつ安定したリターンを狙う投資に適した「中立からやや買い寄り」の位置づけであり、ポートフォリオの安定枠として検討余地のある銘柄、という評価になる。

配当目的とかどうなの?

配当目的という観点でフォーカスシステムズを見ると、「高配当株」ではないが、「業績連動で配当を積み上げていく安定型」としてはまずまず、という評価になる。まず利回り水準を見ると、単26.3、単27.3ともに予想配当利回りは2.93%で、東証全体の平均と比べるとやや低めから同程度の位置にある。4%超を狙う典型的な高配当投資の主力銘柄と比べると、利回りそのものに強い魅力がある水準ではない。

一方で、配当の中身を見ると印象は悪くない。配当は21.3期の24円から、27円、35円、38円、42円と着実に引き上げられており、26.3期予想では54円、27.3期予想では54〜58円と、利益成長に素直に連動した増配が続いている。純利益も14億円、15億円、18億円と増加しており、無理に配当を出している形ではなく、持続性のある配当といえる。

一株益124円に対して配当54円という水準を考えると、配当性向はおおむね4割前後と推測される。内部留保を確保しつつ株主還元も行うバランス型で、業績が多少ブレても急に減配に追い込まれるリスクは高くない。この点は、公共向け比率が高く業績の安定性がある同社の事業構造とも整合的である。

ただし、配当利回りが3%弱にとどまるため、「今すぐ配当収入を最大化したい」「生活費の一部を配当で賄いたい」といった目的にはやや物足りない。JTや商社株のような高利回り銘柄の代替にはなりにくい。

総合すると、フォーカスシステムズは「配当だけを目的に買う銘柄」ではないが、「業績の安定した企業を保有しながら、将来の増配を期待して配当を受け取る」というスタンスには合っている。値動きの派手さよりも、業績と配当の積み上がりを重視する中長期投資家にとって、補完的な配当銘柄として位置づけるのが妥当、という評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

フォーカスシステムズについて、現在株価1,837円を基準に見ると、創薬バイオや先端半導体のように研究開発投資の成否で業績が大きく振れる企業とは性格が異なり、公共向けシステム開発を軸とした安定収益型の独立系SIerと位置づけられる。官公庁・自治体向けシステムを中心に、民間企業向けの業務システム、ITインフラ構築、保守・運用、セキュリティサービスまでを幅広く手がけており、単発の開発に終わらない継続収益モデルを構築している点が特徴である。公共分野比率が高いため景気変動の影響は受けにくく、業績のブレは比較的小さい構造になっている。今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、官公庁・自治体向け案件が引き続き安定しつつ、セキュリティや保守・運用といったストック性の高い分野が着実に拡大する。利益率は6%台後半まで改善し、ROEも11%台前半を維持する。市場からは「安定成長・堅実配当の公共IT銘柄」として評価が見直され、PERは14〜15倍程度まで切り上がる可能性がある。この場合、配当を受け取りながら株価も緩やかに上昇し、5年後には2,300円から2,600円程度を目指す展開が想定される。急成長はないが、トータルリターンは安定的なシナリオである。

中間のシナリオでは、業績は会社想定に近いペースで推移し、売上は緩やかに拡大、営業利益率は6%台前半、ROEは10〜11%程度で安定する。市場評価も大きく変わらず、PERは9〜12倍レンジにとどまる。この場合、株価は大きな上昇トレンドを描かず、配当を受け取りながら緩やかに推移し、5年後の株価は1,900円から2,100円程度に収れんする中立的なシナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、民間企業のIT投資が鈍化し、案件単価や稼働率にやや圧力がかかる。営業利益率は6%を割り込み、ROEも10%前後で頭打ちとなる。この場合、市場は成長性を評価せず、PERは8〜9倍程度まで低下する。ただし、公共向け比率が高いため業績の急落は考えにくく、配当利回りの上昇が株価の下値を一定程度支える。この場合でも、5年後の株価は1,400円から1,600円程度にとどまる、もしくは一時的にその水準を試す弱気シナリオにとどまると考えられる。

総合すると、現在株価1,837円を起点としたフォーカスシステムズの5年間の値動きは、良い場合で2,300円から2,600円前後、中間で1,900円から2,100円、悪い場合で1,400円から1,600円程度といったレンジが想定される。急成長や株価倍増を狙う銘柄ではないが、業績の安定性、利益率の緩やかな改善、3%弱の配当利回りを背景に、配当を受け取りながら中長期で堅実なリターンを積み上げていく投資と相性の良い銘柄、という評価になる。

この記事の最終更新日:2025年12月26日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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