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フジ・メディア・ホールディングス(4676)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

フジ・メディア・ホールディングスとは

フジ・メディア・ホールディングスは、フジサンケイグループの中核を担う日本有数のメディア・コングロマリットであり、東京都港区台場に本社を置く認定放送持株会社である。1957年に株式会社富士テレビジョンとして設立され、1958年にフジテレビジョンへ商号変更、1967年には産経新聞社やニッポン放送などとともにフジサンケイグループを形成した。2008年には日本で初めて認定放送持株会社体制へ移行し、放送事業を分社化した上で、現在のフジ・メディア・ホールディングスとなっている。

グループの中心にはフジテレビジョン、ニッポン放送、ポニーキャニオン、サンケイビルといった主要企業があり、地上波テレビ、ラジオ、BS・CS放送、配信、音楽、映像制作、不動産など幅広い分野を傘下に収めている。認定放送持株会社として、フジテレビジョンやニッポン放送、ビーエスフジなどを連結子会社とし、関西テレビ放送をはじめとするフジネットワーク系列局やWOWOW、日本映画放送などを持分法適用関連会社としている。キー局持株会社が系列局を子会社化するという形態は日本で唯一の事例であり、放送業界における独特のポジションを築いてきた。

事業は大きく、メディア・コンテンツ事業、都市開発・観光事業、その他事業の3本柱で構成されている。メディア・コンテンツ事業では、地上波テレビ放送を核に、BS・CS放送、ラジオ放送、動画配信サービスFOD、映画・ドラマ・アニメ制作、ゲーム、音楽、出版、広告、通販までを網羅している。特に若年層向けの番組やエンターテインメントコンテンツに強みを持ち、フジテレビブランドは今なお高い知名度を維持している。一方で、テレビ視聴率は長期的に低迷しており、地上波広告収入への依存度が高い構造は大きな課題となっている。

このため近年は、放送以外の収益源を育成する方向に経営の軸足を移している。ポニーキャニオンを中心とした音楽・映像ソフト事業では、アニメや声優、ライブ、イベントなどと連動した展開を進め、コンテンツの多面的な収益化を図っている。映像制作やアニメ分野では、国内向けだけでなく海外配信や二次利用を意識した展開も強化しており、放送依存からの脱却を模索している。通販事業についても、テレビ番組やデジタルメディアと連動した販売手法を取り入れ、一定の存在感を示している。

都市開発・観光事業では、サンケイビルを中心にオフィスビルや商業施設の開発・賃貸を手がけており、放送やコンテンツ事業とは性格の異なる安定収益源としてグループを下支えしている。不動産事業は景気変動の影響を受けにくく、キャッシュフローの安定性という点で、メディア事業の変動を吸収する役割を果たしている。また、イベントや観光関連の取り組みを通じて、コンテンツ事業とのシナジーも意識した展開が進められている。

全体としてフジ・メディア・ホールディングスは、地上波テレビという成熟・縮小傾向の事業を抱えながらも、音楽、映像、配信、通販、不動産といった多角的な事業を組み合わせることで、収益構造の転換を進めている企業である。従来の「テレビ局グループ」という枠組みから、「総合メディア・コンテンツ企業」へと変化する途上にあり、その成否が中長期的な企業価値を左右する局面にあると言える。

フジ・メディア・ホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
百万円
営業利益
百万円
経常利益
百万円
純利益
百万円
一株益
一株配当
連21.3 519,941 16,274 22,295 10,112 44.3 36
連22.3 525,087 33,338 45,534 24,879 111.9 38
連23.3 535,641 31,401 39,053 46,855 210.7 50
連24.3 566,443 33,519 39,173 37,082 169.3 48
連25.3 550,761 18,293 25,180 -20,134 -95.7 50
連26.3予 544,300 -10,500 -7,400 18,500 89.7 50
連27.3予 560,000 15,000 18,000 15,000 72.7 50〜60

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期
(百万円)
営業CF 投資CF 財務CF
2023年 61,779 -32,770 -5,269
2024年 47,801 -106,535 25,240
2025年 58,449 -37,492 2,463

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROA ROE PER
(倍)
PBR
(倍)
2023年 5.8% 3.3% 5.5%
2024年 5.9% 2.5% 4.3%
2025年 3.3% -1.4% -2.5% 11.9(高)
6.9(安)
0.95

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず利益水準を見ると、2024年3月期の売上高は約5,664億円、営業利益は約335億円、経常利益は約391億円、純利益は約370億円と、メディア企業としては依然として大きな規模を維持している。ただし、2025年3月期には営業利益が約182億円、経常利益が約251億円へと大きく減少し、純利益は約-201億円の赤字に転落している点が最大の懸念材料である。2026年3月期予想では、営業利益は約-105億円、経常利益は約-74億円と本業赤字が見込まれる一方で、純利益は約185億円の黒字予想となっており、収益構造がかなり不安定な状態にあることがうかがえる。

収益性を見ると、営業利益率は2023年5.8%、2024年5.9%と5%台を維持していたが、2025年には3.3%まで低下している。地上波放送を中核とする事業構造の中で、コスト増や広告環境の悪化が利益を圧迫している状況が数字に表れている。ROEは2023年5.5%、2024年4.3%と低下傾向にあり、2025年には-2.5%とマイナスに転じている。ROAも同様に2023年3.3%、2024年2.5%から、2025年は-1.4%まで悪化しており、資本効率・資産効率の両面で明確に後退している。

評価面では、2025年時点の実績PERは高値平均で11.9倍、安値平均で6.9倍と、数字だけを見ると割安感はある。ただし、これは利益が大きく落ち込んだ局面での評価であり、低PERがそのまま投資妙味を示しているとは言い切れない。PBRは0.9倍と1倍を下回っており、純資産価値に対して市場が収益力の低下を強く織り込んでいる状態である。

以上を踏まえると、フジ・メディア・ホールディングスは売上規模や資産規模は依然として大きいものの、営業利益率の低下、ROE・ROAのマイナス転落が示す通り、本業の収益力は明確に弱含んでいる。PERやPBRの低さだけを理由に割安と判断するのは危険で、業績回復の道筋が見えない限り、積極的に評価しづらい局面にあると言える。現時点では、回復期待を前提とした中長期の逆張り投資向けの銘柄であり、安定成長や安定収益を重視する投資には向きにくい、という判断になる。

配当目的とかどうなの?

まず配当利回りを見ると、2026年3月期予想で約1.34%、2027年3月期予想でも約1.34%と、水準としてはかなり低い部類に入る。高配当株やインカム目的の投資先として一般的に意識される3%前後と比べると、明確に見劣りする水準であり、配当そのものの魅力は小さい。

次に、配当の安定性を支える収益力を見ると、ここが最大の弱点になる。2024年3月期は純利益約370億円と黒字を確保していたものの、2025年3月期には純利益が約-201億円と大幅な赤字に転落している。さらに2026年3月期予想では、営業利益・経常利益ともに赤字が見込まれており、本業の稼ぐ力は明確に低下している局面にある。純利益は黒字予想とはいえ、構造的な安定黒字とは言いにくい。

収益性の指標でも、営業利益率は5%台から3%台へ低下し、ROEは-2.5%、ROAは-1.4%とマイナス圏に沈んでいる。これは株主資本を使って十分な利益を生み出せていない状態を示しており、配当を積極的に増やせるフェーズにはないことが数字からも読み取れる。実際、配当金額は維持されているものの、業績悪化局面での配当は、将来の増配余地という点では期待しにくい。

評価面ではPBRが0.9倍と1倍を下回っており、株価水準自体は割安に見えるが、これは「配当株として評価されていない」ことの裏返しでもある。低PBRであっても、配当利回りが1%台にとどまる以上、インカム投資家の買いは入りにくい。

総合すると、フジ・メディア・ホールディングスは配当目的で保有する銘柄としては魅力が弱いと言わざるを得ない。利回りが低い上に、本業の収益力が低下しており、安定的に配当を積み上げていくタイプの銘柄ではない。現時点では、配当を主目的とする投資よりも、将来的な業績回復や資産価値の見直しを期待した値上がり狙い、あるいは逆張り的な位置づけで検討する銘柄という評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

フジ・メディア・ホールディングスについて、現在株価3,705円前後を基準に見ると、創薬バイオや先端ITのように技術革新の成否で業績が大きく跳ねる企業とは性格が異なり、地上波テレビ放送を中核に、音楽、映像、配信、通販、不動産といった複数事業を組み合わせた総合メディア企業と位置づけられる。フジサンケイグループの中核として高い知名度と資産規模を持つ一方、近年はテレビ視聴率の低迷や広告環境の変化により、従来型の放送事業は構造的な逆風にさらされている。

直近の数値を見ると、売上高は5,000億円超の規模を維持しているものの、営業利益率は2023~2024年の5%台から2025年には3%台まで低下し、純利益は赤字に転落している。ROE・ROAもマイナスに沈んでおり、本業の収益力という点では明確に弱含んだ局面にある。一方で、不動産事業や保有資産の存在により、企業規模や財務基盤そのものが急激に毀損する構造ではなく、「低成長・低収益だが資産を多く持つ企業」という性格が強まっている。PERは一桁後半から10倍台前半、PBRは1倍を下回る水準で推移しており、市場はすでに収益力低下をかなり織り込んだ評価を与えている。この前提を踏まえ、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、テレビ放送の広告収入が底打ちし、音楽・映像、配信、通販といった非放送分野が着実に伸びることで、グループ全体の収益構造が改善する。不動産事業も安定収益を維持し、営業利益率は再び5%前後まで回復、ROE・ROAもプラス圏に戻る。この場合、市場は「放送依存からの転換が進んだ総合メディア企業」として再評価し、PERは10~12倍程度まで見直される可能性がある。業績回復と評価修正が重なれば、5年後の株価は5,000円から5,800円程度を目指す展開が想定される。

中間のシナリオでは、テレビ放送の低迷は続くものの、音楽・配信・不動産が下支えとなり、業績は横ばいから緩やかな回復にとどまる。営業利益率は3~4%台で推移し、ROE・ROAは小幅なプラス圏に戻る程度にとどまる。この場合、評価面ではPER8~10倍、PBR1倍前後に収れんし、株価は大きくは動かず、5年後の水準は3,800円から4,300円程度に落ち着く中立的なシナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、地上波広告収入の減少が続き、非放送分野の成長も限定的にとどまることで、収益回復の道筋が見えない状態が長期化する。営業利益率は2%台以下に低迷し、ROE・ROAもマイナス圏が続く。この場合、市場は成長性をほとんど評価せず、PERは6~7倍、PBRは0.7~0.8倍程度まで低下する可能性がある。資産価値が下値を支えるとはいえ、株価は2,500円から3,000円程度まで調整する弱気シナリオが想定される。

総合すると、現在株価3,705円前後を起点としたフジ・メディア・ホールディングスの5年間の値動きは、良い場合で5,000円から5,800円前後、中間で3,800円から4,300円、悪い場合で2,500円から3,000円程度といったレンジが想定される。急成長や株価倍増を狙う銘柄ではなく、放送事業の構造転換と資産価値の再評価が進むかどうかを見極めながら、中長期で値戻りを狙う投資と相性の良い銘柄、という評価になる。

この記事の最終更新日:2025年12月26日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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