株価
アルファシステムズとは

アルファシステムズは神奈川県川崎市に本社を置く独立系のシステムインテグレーターであり、長年にわたり情報通信分野を中心にソフトウェア開発を手がけてきた企業である。1970年代に創業し、通信インフラの高度化とともに成長してきた経緯を持つ。
資本関係としては独立系に分類されるが実際の事業構造を見ると、主要顧客は富士通グループおよびNTTグループであり両グループ向けの開発案件が売上の6割強全体では約7割を占めているとみられる。特定顧客への依存度は高いものの、その分長期にわたる継続取引が多く受注の安定性は高い。
事業の大部分はソフトウェア開発関連であり、売上の9割以上を占めている。通信事業者向けのネットワーク制御システム、業務支援システム、基幹系システムなど、信頼性や可用性が強く求められる分野での開発実績が豊富である。通信系ソフトウェアで培った品質管理や開発プロセスの厳格さが、同社の技術的な強みとなっている。
近年の特徴として、通信系から非通信系システム開発への傾斜が挙げられる。教育機関向けのPC運用管理システム、授業支援ソフトウェア、シンクライアント環境の構築など、学校や公共分野を中心とした案件が増えている。通信分野一本足ではなく、需要の分散を意識した事業展開を進めている点が注目される。
自社製品としてはネットブート型パソコン運用システムのV-Boot、授業支援ソフトウェアのV-Class、PC環境を初期状態に戻すV-Recover、セキュアなシンクライアント環境を提供するalpha Teleworker、リモートアクセス用のalpha V-Workerなどを展開している。大規模なパッケージソフトというより、特定用途に強い業務支援ツールとして導入されるケースが多く受託開発と組み合わせた形で収益に貢献している。
開発拠点は川崎市中原区に集中しており、2013年には本店所在地も創業以来の渋谷区から中原テクノセンターへ移転している。開発人員を集約することで、技術者同士の連携やノウハウ共有を重視した体制を取っている。事業構造としては労働集約型のSIモデルである一方、通信・公共・教育といった参入障壁の高い分野を中心にしているため、価格競争に巻き込まれにくい。派手な成長はないが、毎期安定した受注と利益を積み上げるタイプの企業である。
総合すると、アルファシステムズは通信系ソフトウェア開発を基盤としつつ、非通信分野へ徐々に事業領域を広げている独立系SI企業である。顧客構成の偏りという課題はあるものの、長期取引による安定性と技術力を背景に業績のブレが小さい堅実型の企業と位置づけられる。急成長やテーマ株を狙う投資対象ではないが、安定収益を重視する視点からは特徴のはっきりした企業である。
アルファシステムズ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(円) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単21.3 | 31,318 | 3,370 | 3,428 | 2,281 | 162.5 | 50 |
| 単22.3 | 33,874 | 4,033 | 4,086 | 2,788 | 198.6 | 80 |
| 単23.3 | 35,548 | 4,213 | 4,279 | 2,918 | 207.9 | 70 |
| 単24.3 | 36,383 | 4,348 | 4,422 | 3,045 | 216.9 | 100 |
| 単25.3 | 38,484 | 4,422 | 4,540 | 3,211 | 228.8 | 125 |
| 単26.3予 | 41,500 | 5,100 | 5,200 | 3,500 | 249.3 | 125 |
| 単27.3予 | 44,500 | 5,400 | 5,500 | 3,690 | 262.8 | 125〜135 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(百万円) | 営業キャッシュフロー | 投資キャッシュフロー | 財務キャッシュフロー |
|---|---|---|---|
| 2023.3 | 2,946 | -1,341 | -1,263 |
| 2024.3 | 4,706 | -1,138 | -983 |
| 2025.3 | 1,568 | -3,085 | -1,613 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | 11.8 | 7.3 | 6.0 | – | – |
| 2024.3 | 11.9 | 7.2 | 5.9 | – | – |
| 2025.3 | 11.4 | 7.3 | 6.1 | 13.4〜20.2 | 1.32 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
アルファシステムズを直近の利益水準と収益性指標から見ると、典型的な高安定・堅実型の独立系SI企業という評価になる。まず利益の推移を見ると営業利益は単24.3期が43億円、単25.3期が44億円、単26.3期予想が51億円と着実に増加している。経常利益も44億円から45億円、52億円へと伸びており、純利益も30億円から32億円、35億円へと右肩上がりで推移している。売上拡大に対して利益がしっかり伴っており、事業運営の安定感が数字に表れている。
収益性の面では、営業利益率は2023年が11.8%、2024年が11.9%、2025年が11.4%と11%台で非常に安定している。SI業界では高水準とは言えないものの、長期にわたってブレが小さい点は評価でき、価格競争に巻き込まれにくい事業ポジションを維持していることがうかがえる。一方、資本効率を見ると、ROEは7.3%、7.2%、7.3%、ROAは6.0%、5.9%、6.1%と、いずれも高くはないが安定している。利益成長は続いているものの、自己資本が厚く、積極的にレバレッジをかけない経営姿勢のため、資本効率は抑えめに出ている。
バリュエーション面では、2025年実績ベースのPERは13.4倍から20.2倍、PBRは1.3倍となっている。成長率が緩やかな点を考えるとPERの上限側はやや高めだが、PBRが1倍台前半にとどまっていることから、資産面での割高感は小さい。安定収益を評価する銘柄としては妥当な水準といえる。以上を踏まえた投資判断としては、アルファシステムズは、急成長やテーマ性を狙う銘柄ではないが、売上と利益を着実に積み上げ、営業利益率を11%台で維持する堅実なSI企業である。資本効率は高くないものの、その分財務の安全性が高く、業績の振れも小さい。
株価評価は成長期待を強く織り込む局面では割高になりやすいが、PERが中位水準にある局面では、安定収益と配当を前提に中長期で保有する投資と相性が良い。値上がり益を大きく狙うよりも、業績の確実性と下値の堅さを重視する投資家向けの銘柄という位置づけになる。
配当目的とかどうなの?
配当目的で見ると、アルファシステムズは十分に検討対象になる銘柄といえる。予想配当利回りは単26.3期、単27.3期ともに3.00%と東証全体で見れば平均よりやや高めの水準にある。極端な高配当株ではないが、安定配当を狙う投資家にとっては現実的で使いやすい利回りである。
利益水準を見ると、営業利益は40億円台後半から50億円超へ拡大し純利益も30億円台から35億円規模へと増加している。営業利益率は11%台で安定しており、ROEやROAは高くないもののブレが小さい。営業キャッシュフローも黒字を維持しており、配当の原資という点で無理は感じられない。配当性向の観点でも利益に対して配当が過度に重い印象はなく、これまで段階的な増配が行われてきた。財務体質が厚く内部留保を重視する経営姿勢から見ても、急減配のリスクは比較的低いと考えられる。
一方で、配当成長のスピードは緩やかである。高成長企業のように毎年大幅な増配を期待するタイプではなく、配当はあくまで安定重視という位置づけになる。そのため、配当利回りの急上昇を狙うよりも、長期で安定したインカムを積み上げる目的に向いた銘柄である。
整理すると、アルファシステムズは高配当株ではないが業績の安定性と3%前後の利回りを両立した堅実な配当銘柄であり、値上がり益よりもインカムを重視する中長期投資と相性が良い。ポートフォリオの土台として、安定配当枠に組み込むタイプの銘柄という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
アルファシステムズを現在株価4,160円前後を基準に見るとSI業界の中でも業績のブレが小さく、利益と配当を着実に積み上げてきた安定志向の企業として位置づけられる。売上高、営業利益、純利益はいずれも右肩上がりで推移しており、営業利益率は11%台で長期にわたり安定している。ROEやROAは高成長企業ほどの水準ではないものの、自己資本を厚く保ちながら着実に利益を生み出す経営スタイルが数字に表れている。この前提を踏まえ、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。
良い場合のシナリオでは、通信系システム開発に加え非通信分野である教育機関向け、公共分野向けの案件が安定的に拡大し、受注ポートフォリオの分散が進む。主要顧客である富士通グループ、NTTグループ向け案件が引き続き堅調に推移する中で非通信分野の比率が高まり利益率の底上げにつながる。営業利益率は12%前後まで改善し、ROEも8%台に乗せることで市場からの評価が一段と高まる。この場合、安定収益と増配余地を評価され、PERは18~20倍程度まで許容される。株価は業績の積み上がりに沿って緩やかに上昇し、5年後には5,000円から5,800円程度を目指す展開が想定される。値動きは穏やかだが、下値不安の小さい堅実な上昇シナリオである。
中間のシナリオでは、業績は現状の延長線上で推移し売上・利益ともに毎期着実な増加を続けるが、大きな構造変化や成長加速は起きない。営業利益率は11%前後、ROEは7%台で安定し、評価面でも現状水準を大きく超えない。この場合、PERは13~16倍程度に収れんし、株価は配当を受け取りながら緩やかに水準を切り上げる動きとなる。5年後の株価は4,400円から4,900円程度が中心となり、値上がり益とインカムをバランス良く狙う現実的なシナリオとなる。
悪い場合のシナリオでは、国内IT投資の一時的な減速や主要顧客の投資抑制により、新規案件の獲得ペースが鈍化する。人件費の上昇も重なり営業利益率は10%前後まで低下し、ROEも6%台に下振れする可能性がある。この場合、市場の評価は慎重になり、PERは11~12倍程度まで低下する。株価は評価調整が先行し、5年後は3,500円から3,800円程度で推移する弱気シナリオとなる。ただし、営業キャッシュフローは黒字を維持しており、配当利回りが下支えとなるため急落や長期低迷に陥る可能性は限定的と考えられる。
総合すると、現在株価4,160円前後を起点としたアルファシステムズの5年間の値動きは、良い場合で5,000円から5,800円程度、中間で4,400円から4,900円、悪い場合でも3,500円から3,800円程度というレンジが想定される。短期間で大きな値幅を狙う銘柄ではないが、安定した業績、11%台の営業利益率、3%前後の配当利回りを背景にリスクを抑えながら中長期でじっくりリターンを積み上げていく投資と相性の良い銘柄という評価になる。
この記事の最終更新日:2025年12月27日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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