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オービックビジネスコンサルタント(4733)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

オービックビジネスコンサルタントとは

オービックビジネスコンサルタントは、通称OBCとして知られる、日本のERPソフトウェア開発会社であり、本社を東京都新宿区西新宿に置く。中小企業から中堅・上場企業までを主な顧客層とし、会計、人事、給与、販売管理など企業の基幹業務を支える業務ソフトウェアを一貫して提供している。大株主にはオービックが名を連ねており、資本面での安定性と長期的な事業継続性も特徴となっている。

同社は、元大原簿記学校会計士課勤務の和田成史氏が設立した、ビック・システム・コンサルタント・グループを前身としており、創業当初から会計実務に即したシステム開発を重視してきた。1983年にMS-DOS版の「TOP財務会計」をリリースし、1993年には財務会計ソフト「勘定奉行」を投入するなど、早期から業務パッケージソフト市場で存在感を示してきた。1995年にはWindows95対応版をいち早く提供し、加えて歌舞伎役者の中村京蔵を起用したテレビCMによって知名度を大きく高め、「勘定奉行のOBC」として広く認知されるようになった。

長年はオンプレミス型ソフトウェアを中心としたビジネスモデルを採用していたが、IT環境や顧客ニーズの変化を背景に、2018年には自社製品を全面的にSaaS型へ移行した。現在ではクラウド型ERPを中核とする事業構造へと転換しており、ライセンス販売主体から、利用継続を前提としたストック型収益モデルへと進化している。

主力製品である奉行シリーズは、会計、販売管理、人事、給与、固定資産管理など、企業活動に必要な基幹業務を幅広くカバーするSaaS型業務システムとして展開されている。中でも「奉行クラウド」は、SMB向けERP分野でトップシェアを占めており、累計導入数は82万に達している。小規模・中小企業向けの「奉行iクラウド」、中堅・上場企業向けの「奉行V ERPクラウド」、さらに勤怠管理や請求書発行など業務プロセスのデジタル化を支援する「奉行クラウドEdge」など、企業規模や利用目的に応じた多層的なラインアップを構築している。

奉行シリーズは、単なる会計ソフトにとどまらず、企業内のあらゆる業務データをつなぐ基幹システムとして位置付けられている。集約された業務データを企業内の誰もが安全かつ柔軟に活用できる環境を提供することで、業務効率化や意思決定の迅速化を支援し、企業全体の生産性向上に貢献している点が特徴である。また、税制改正や労働関連法改正への対応力にも定評があり、制度変更のたびに安定した更新需要が発生する構造となっている。

販売面では全国にパートナー網を構築し、代理店を通じた間接販売を基本とすることで、営業コストを抑えつつ広範な顧客基盤を維持している。導入後のサポートや保守体制も重視しており、顧客との長期的な関係を前提としたビジネスモデルを確立している点も、同社の高収益性を支える要因となっている。

外部評価としては、日経コンピュータが公表した2025〜2026年顧客満足度調査においてERP部門で第1位に選出されており、製品品質やサポート体制に対するユーザー評価は非常に高い。また、2025年には経済産業省が制度設計を行い、日本健康会議が認定する健康経営優良法人2025(大規模法人部門)ホワイト500に初認定されるなど、企業としての持続性や組織運営面でも評価を受けている。

このように、オービックビジネスコンサルタントは、中小・中堅企業向けERPという明確な領域に集中し、奉行シリーズを軸に高い市場シェアと顧客満足度を維持しながら、クラウド化によるストック型収益を積み上げる安定成長型のIT企業である。制度対応力、顧客基盤の厚さ、収益モデルの安定性を背景に、景気変動の影響を受けにくい事業構造を持つ点が大きな特徴といえる。

オービックビジネスコンサルタント 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(単位百万) 営業利益 経常利益 純利益 一株益EPS (円) 一株配当
単21.3 29,252 12,942 13,934 9,670 128.7 55
単22.3 34,757 16,357 17,157 11,811 157.1 70
単23.3 33,704 14,709 15,834 11,033 146.8 70
単24.3 41,954 18,748 19,869 13,841 184.1 80
単25.3 46,984 21,744 23,044 16,182 215.3 100
単26.3予 51,000 24,000 25,300 17,600 234.1 106
単27.3予 55,000 26,300 27,600 19,000 252.7 112〜115

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(百万円) 営業キャッシュフロー 投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー
2023 15,449 -202 -5,262
2024 23,259 -850 -5,262
2025 17,670 -1,072 -7,141

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROA ROE PER PBR
2023 43.6% 6.1% 7.8%
2024 44.6% 6.9% 9.2%
2025 46.2% 7.7% 10.1% 38.0(高)
25.3(安)
3.86

出典元:四季報オンライン

投資判断

オービックビジネスコンサルタントについて、まず利益規模を見ると、2024年3月期は売上高419億円、営業利益187億円、経常利益198億円、純利益138億円である。2025年3月期は売上高469億円、営業利益217億円、経常利益230億円、純利益161億円といずれも拡大しており、2026年3月期予想では売上高510億円、営業利益240億円、経常利益253億円、純利益176億円と、増益基調が継続する前提となっている。利益水準そのものが年々積み上がっており、事業の安定性と成長の両立が数値から確認できる。

収益性を見ると、営業利益率は2023年43.6%、2024年44.6%、2025年46.2%と着実に上昇している。SaaS型ERPを主力とする事業構造から、売上増がそのまま利益に反映されやすく、非常に高い水準の収益性が維持されていることが分かる。

資本効率の面では、ROEが2023年7.8%、2024年9.2%、2025年10.1%と改善傾向にあるものの、2桁に達したのは直近であり、同じ高収益企業の中ではやや控えめな水準である。ROAも2023年6.1%、2024年6.9%、2025年7.7%と着実に改善しているが、こちらも高水準ではあるものの、突出して高いとは言えない。

一方、バリュエーションを見ると、2025年実績PERは高値平均38.0倍、安値平均25.3倍とかなり高い水準にある。PBRも3.8倍と、収益性の高さを織り込んだ評価がすでに付いている。ROEが10.1%であることを踏まえると、PBR3倍台後半、PER30倍前後は、将来成長を前提とした評価であり、割安感は乏しい。

以上を総合すると、オービックビジネスコンサルタントは、利益規模が拡大を続け、営業利益率40%超という非常に高い収益性を持つ一方で、ROE・ROAは改善途上にあり、株価はすでに高い成長期待を織り込んでいる状態といえる。このため投資判断としては、事業の質や安定性を重視し、長期で成長を信じて保有する投資には適しているが、短期的な割安狙いには向かない。PERが安値帯である25倍前後まで調整する局面であれば検討余地があり、38倍水準では慎重姿勢が妥当、という評価になる。

配当目的とかどうなの?

結論から言うとオービックビジネスコンサルタントは配当目的にはあまり向かない銘柄であり、配当を主目的にする場合は優先度が下がる。予想配当利回りを見ると、単26.3で1.24%、単27.3で1.31%と明確に低水準である。東証プライム全体の平均配当利回りや一般的な配当株と比べると見劣りし、インカム目的で魅力を感じる水準ではない。

一方で、配当の裏付けとなる利益水準や安定性は非常に高い。営業利益率は40%台後半まで上昇しており売上成長とともに営業利益、純利益も着実に拡大している。キャッシュフローも安定しており、配当が不安定になるリスクは小さい。つまり、配当利回りは低いが減配リスクが低く、着実に増配していく余地はある銘柄といえる。

ただし、株価水準はPER25倍から高値では38倍、PBRも3倍台後半と将来成長を強く織り込んだ評価となっている。この水準では配当利回りが低いこともあり、配当を受け取りながら株価の値上がりも同時に狙う戦略には向きにくい。

総合すると、オービックビジネスコンサルタントは高配当株やインカム重視の配当目的銘柄ではなく、あくまで成長と安定性を評価して長期保有するタイプの銘柄である。配当はあくまで補助的な位置付けであり配当目的であれば、より利回りの高い銘柄を主軸にしその補完として検討する程度が妥当と判断する。

今後の値動き予想!!(5年間)

オービックビジネスコンサルタントの現在値は8,533円である。基幹業務ソフトという高収益領域において営業利益率40%台後半と高い収益性を持ち、売上・利益規模も年々拡大傾向にある。その一方でROEは改善傾向にあるが、他の高収益IT企業と比べればやや控えめであり株価は比較的高いバリュエーションを維持している。この状況を踏まえ、5年間の株価について良い場合・中間・悪い場合のそれぞれのレンジを以下に想定する。

良い場合のシナリオでは、クラウドERPの導入需要が堅調に推移し、奉行シリーズの市場シェア拡大が加速する展開を想定する。営業利益率が引き続き高水準を維持し純利益も予想どおり拡大することで、成長期待が強まる。この場合、PERが再評価されて業績成長に乗る形で株価は長期で上昇し、PERが30倍台後半を維持しつつ利益成長を織り込むかたちとなる可能性がある。このシナリオでは、5年後の株価は12,000円〜15,000円程度まで上昇する余地があると考えられる。

中間のシナリオでは、成長は堅調だが市場全体の評価がやや控えめになり、PERが25倍前後に収れんする展開を想定する。売上・利益は着実に伸びるもののROEが大きく改善するほどの成長加速が見られず、評価倍率は横ばいもしくは微増にとどまる。この場合、株価は利益水準の拡大に応じて緩やかに上昇し、5年後の株価は10,000円〜11,500円前後になる可能性が高い。値動きとしては調整を交えつつも、中長期的にはプラスで推移する展開が想定される。

悪い場合のシナリオでは、クラウドERP市場の競争激化や顧客支出の抑制などにより、利益成長が鈍化する展開を想定する。他社クラウドサービスとの競争や価格競争が強まると、今までの利益成長率を維持できなくなる可能性がある。この場合、PERは20倍台前後まで低下し、PBRも現状より圧縮されるリスクがある。このような評価調整局面では株価は利益水準の伸び悩みと相まって、7,000円〜8,000円程度まで下落する可能性がある。ただし、高い営業利益率と安定したストック型収益モデルが下値を支えるため、極端な下落には陥りにくい。

総合すると、オービックビジネスコンサルタントは5年間の中長期で見れば、安定した収益基盤と利益拡大が株価を支える一方、高いバリュエーションを反映した動きになると予想される。良い場合には12,000円超〜15,000円レベル、中間シナリオでは10,000円台前後、悪い場合でも7,000円台後半程度までのレンジで推移する可能性が高いと考えられる。配当利回りは1%台と低めであるため、価格成長期待が主なリターン源となる銘柄である。

この記事の最終更新日:2025年12月28日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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