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クリーク・アンド・リバー社(4763)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

クリーク・アンド・リバー社とは

クリーク・アンド・リバー社はテレビ、ゲーム、Web、広告といったクリエイティブ分野を中心に、人材派遣・紹介と制作請負を一体で展開するプロフェッショナルエージェンシーである。本社は東京都港区新橋に置き、C&Rグループとして幅広い専門分野にまたがる人材ネットワークと事業基盤を構築している。

同社の事業の出発点はクリエイターや専門職に対して単に仕事を紹介するのではなくプロフェッショナルとしての価値を継続的に高め、その成果を社会や市場に還元することにある。テレビ番組制作、ゲーム開発、Web制作、広告・出版など、クリエイティブ業界ではプロジェクト単位での人材需要が多く、雇用の不安定さが課題となりやすいが、同社は派遣・紹介・請負を組み合わせることでプロフェッショナルに安定した就業機会を提供してきた。

事業構造の中核となっているのがライツマネジメント、プロデュース、エージェンシーという3つの柱である。ライツマネジメント事業ではプロフェッショナルが生み出すアイデア、企画、コンテンツといった知的財産を、映像、ゲーム、漫画、書籍、デザイン、データ、NFTなどの形で市場に流通させて収益化を図る。個人の才能に依存しがちな知的成果を事業として継続的に活用できる仕組みに転換し、その収益をプロフェッショナルへ還元する点が特徴となっている。

プロデュース事業では番組制作、ゲーム・Web開発、建築デザイン、データ分析、事業開発など、クライアントの要望に応じてプロジェクトチームを組成し、企画立案から開発、進行管理、品質管理までを一括して請け負う。単なる人材提供ではなく成果物そのものに責任を持つことで、付加価値の高い案件を獲得しやすい構造を作っている。この制作・請負機能を内包している点が、一般的な人材派遣会社との差別化要因になっている。

エージェンシー事業は同社の安定収益を支える基盤であり、テレビ、ゲーム、Web、広告、出版といった分野において、派遣、紹介、業務委託など多様な雇用形態でプロフェッショナルを企業とマッチングしている。加えて近年は医療、会計、法曹といった専門職分野にも意欲的に展開しており、クリエイティブ領域で培った人材マネジメントのノウハウをより専門性の高い分野へ横展開している。

事業分野は非常に幅広く、映像、ゲーム、Web、広告・出版、作家、舞台芸術、建築、AI・DX、アスリート、VR・AR・MR、ドローン、プロフェッショナル語学など多岐にわたる。C&Rグループでは世界中で活躍でき、機械では代替できず知的財産が蓄積される職種をプロフェッショナルと定義しており、この考え方が事業拡大の軸となっている。

さらに、AIやXR、ドローンといった先端技術とプロフェッショナルの発想力を組み合わせたソリューション事業にも力を入れており、既存分野にとらわれない新しい価値創出を目指している。教育・育成事業にも取り組みスキル向上やキャリア形成を支援することで、プロフェッショナルの生涯価値を高め、結果としてグループ全体の競争力向上につなげる循環型のビジネスモデルを構築している。

全体として、クリーク・アンド・リバー社は人材派遣や紹介による安定収益を土台に、制作請負や知的財産ビジネスで付加価値を積み上げる構造を持つ企業であり、クリエイティブ分野に強みを持ちながら専門職・先端分野へと領域を広げ続ける多角化型プロフェッショナルサービス企業と位置づけられる。

クリーク・アンド・リバー社 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益 EPS
(円)
一株当り配当
(円)
21.2期 37,314 2,447 2,485 1,647 74.3 16
22.2期 41,799 3,411 3,419 2,224 99.8 20
23.2期 44,121 3,956 4,002 2,899 130.5 27
24.2期 49,799 4,103 4,137 2,658 120.8 41
25.2期 50,275 3,614 3,694 2,251 105.5 41
26.2期予 60,000 5,000 5,000 3,200 151.3 45
27.2期予 67,000 5,600 5,600 3,580 169.3 50

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
23.2期 2,261 -950 -605
24.2期 3,251 -3,514 -599
25.2期 2,958 -1,765 -369

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率
(%)
ROA
(%)
ROE
(%)
PER
(倍)
PBR
(倍)
23.2期 8.9 12.7 20.6
24.2期 8.2 10.4 17.0
25.2期 7.1 8.3 14.1 13.0~19.7 1.87

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず利益規模の推移を見ると営業利益は24.2期が約41億円、25.2期が約36億円と一時的に減少しているが、26.2期予想では50億円、27.2期予想では56億円と大きく回復・拡大する計画となっている。経常利益・純利益も同様の動きを示しており25.2期にいったん調整した後、再び成長軌道に戻る前提が置かれている。短期的にはブレがあるものの、中期的には利益成長を見込む構図である。

一方で収益性を見ると営業利益率は23.2期8.9%、24.2期8.2%、25.2期7.1%と3年連続で低下している。売上規模は拡大しているものの、利益率は徐々に圧迫されており事業拡大に伴うコスト増や人材投資の影響が出ていると読み取れる。この点は、利益の絶対額が伸びていても、質の面ではやや注意が必要なポイントになる。

資本効率の指標を見るとROEは20.6%から17.0%、14.1%へと低下し、ROAも12.7%、10.4%、8.3%と明確な下降トレンドにある。依然として水準自体は悪くないものの、過去と比べると効率性は着実に落ちており、成長局面から成熟・調整局面に入りつつある印象を受ける。

バリュエーション面では、25.2期実績ベースのPERは13.0倍から19.7倍のレンジ、PBRは1.8倍となっている。営業利益率やROEが低下傾向にある中でこのPER水準は決して割安とは言いにくく、成長期待がある程度織り込まれている評価といえる。ROE14%水準に対してPBR1.8倍は理論的に極端な割高感はないものの、評価余地が大きく残っている水準とも言い切れない。

以上を踏まえると、クリーク・アンド・リバー社は売上・利益規模は中期的に拡大が見込まれる一方で、営業利益率、ROE、ROAといった効率指標が低下傾向にあり、成長の質には陰りが見え始めている段階と判断できる。投資判断としては業績拡大を前提に中期的な成長を評価する投資には一定の合理性があるが、現在のPERレンジでは割安感は乏しく、利益率や資本効率の底打ち・改善が確認できない限り、強気に買い進む局面とは言いにくい。成長継続を前提に押し目で検討する、もしくは業績の回復確認を待つスタンスが妥当と考えられる。

配当目的とかどうなの?

クリーク・アンド・リバー社について、配当目的に向いているかを提示された数値だけを使って整理する。まず配当利回りを見ると26.2期予想で2.9%、27.2期予想で3.2%と、水準としては高配当株と呼べるほどではないが、東証プライム全体の平均と比べるとやや上のレンジに入る。インカム狙いとして最低限の水準は満たしているが、配当そのものを主目的にする投資家にとってはやや物足りなさも残る数字である。

利益との関係を見ると純利益は25.2期に約22億円まで落ち込んだものの、26.2期予想で32億円、27.2期予想で35億円と回復・拡大が見込まれている。配当額も41円から45円、50円へと増配計画が示されており、業績回復に合わせて配当を引き上げる姿勢は確認できる。この点から減配リスクは現時点では高くなく、一定の安定性はあると評価できる。

一方で、営業利益率は8.9%から7.1%へ低下し、ROEも20.6%から14.1%、ROAも12.7%から8.3%へと下がっている。収益性と資本効率が同時に低下している局面であり、配当の成長余地は利益成長に強く依存する構造になっている。高いキャッシュ創出力を背景に配当を厚く出すタイプではなく、成長投資と配当のバランスを取る企業といえる。

バリュエーション面ではPERが13.0倍から19.7倍のレンジ、PBRが1.8倍程度となっており、配当利回りが3%前後であることを踏まえると配当妙味だけで株価を支える構造ではない。株価が大きく調整しない限り、利回りが急に魅力的になるタイプでもない。

以上を総合すると、クリーク・アンド・リバー社は配当目的「だけ」で買う銘柄ではなく、あくまで本業の成長とセットで配当を受け取る位置づけの銘柄と判断できる。安定した増配は期待できるものの、インカムゲインを最優先する投資には向きにくく成長継続を前提に配当を上乗せとして受け取る中期保有向けの銘柄という評価が妥当である。

今後の値動き予想!!(5年間)

クリーク・アンド・リバー社について、現在値1,527円を基準に、今後5年間の株価推移を想定した値動き予想を、良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオに分けて整理する。ここでの内容は、これまで提示されている業績推移、利益水準、営業利益率、ROE・ROA、PERレンジ、配当利回りといった数値だけを前提にしたシナリオであり、確定的な予測ではない。

まず良い場合を考える。エージェンシー事業とプロデュース事業の両輪が安定的に拡大し、映像・ゲーム・Web・広告分野に加えて、専門職領域や新分野での受注が着実に増加するケースである。26.2期、27.2期の業績予想どおりに売上と利益が伸び25.2期まで低下してきた営業利益率が底打ちし、7%台から8%台へ回復するような展開になれば、市場の評価は改善しやすい。ROEやROAも低下傾向が止まり効率性の悪化懸念が後退すれば、現在13.0倍から19.7倍とされるPERレンジのうち、上寄りの水準が意識される可能性がある。その場合、利益成長と評価改善が同時に進み、株価は現在値1,527円から段階的に水準を切り上げ、5年後には3,500円から4,000円前後まで上昇するシナリオが成り立つ。このケースでは配当も45円、50円と増配が続く前提となり、インカムとキャピタルの両面でのリターンが期待される。

次に中間のシナリオでは、現在の事業環境が大きく変わらず、売上高は拡大するものの営業利益率やROE、ROAの低下傾向が完全には止まらない状況を想定する。利益額は26.2期、27.2期予想の水準に近づくが、市場は成長の質に慎重な見方を続けPERはレンジ中央からやや下寄りで推移する。この場合、株価は高配当株ほどの下値安定性はないものの、配当利回りが3%前後あることで大幅な下落は抑えられやすい。結果として、株価は1,300円から2,000円程度のレンジで推移し、5年後の着地点としては1,700円から2,200円前後が想定される。値上がり益は限定的だが、業績が大きく崩れない限り配当を受け取りながら保有する安定的な中期投資の形になる。

最後に悪い場合を考える。制作・開発関連の市場環境が想定以上に悪化し、企業の広告費やコンテンツ投資が抑制されることで受注の伸びが鈍化するケースである。この場合、営業利益率はさらに低下し、ROEやROAも一段と下がる可能性がある。利益成長が止まり、市場からは成長期待が後退したと判断されPERはレンジ下限の13倍を割り込む評価が付くリスクもある。配当は維持されたとしても、成長性の低下が強く意識されると株価の下支え効果は限定的になり、現在値1,527円から1,000円台前半まで下落する展開も否定できない。このシナリオでは配当によるインカムは一定程度確保できるものの、株価下落によってトータルリターンは伸び悩む。

総合すると、クリーク・アンド・リバー社の5年後の株価は、事業の成長の質と資本効率の改善度合いによって大きく分かれる。良い場合は3,500円から4,000円前後、中間では1,700円から2,200円程度、悪い場合は1,000円台前半という幅のあるレンジが現実的な想定となる。急成長株というよりは事業拡大と配当を組み合わせた中期投資向けの性格が強く、成長性の回復が確認できるかどうかが今後の株価評価を左右する重要なポイントになる。

この記事の最終更新日:2025年12月28日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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