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山田コンサルティンググループとは

山田コンサルティンググループは事業再生・事業承継を中心領域とする独立系の大手経営コンサルティングファームであり、日本の中堅・中小企業が直面する構造的な経営課題を主な対象として成長してきた企業である。本社は東京都千代田区丸の内に置き、全国11拠点の国内ネットワークに加えシンガポールやインドネシアなどアジア圏を中心に海外にも拠点を展開している。
同社の大きな特徴は800名を超えるコンサルタントを擁しながら特定の戦略分野や業界に特化せず、経営全体を俯瞰した総合コンサルティングを提供している点にある。戦略立案や財務アドバイスにとどまらず、現場に深く入り込み実行・定着まで伴走するスタイルを重視しており、理論先行型ではなく実務重視型のコンサルティングを強みとしている。経営者自身も課題を整理しきれていないケースや、複数の問題が絡み合っている企業に対してもワンストップかつシームレスに対応できる体制を構築している。
連結事業は大きくコンサルティング事業と投資事業の二本柱で構成されている。コンサルティング事業では事業再生、業績改善、事業承継、M&A、成長戦略策定、財務・会計・税務支援、組織・人事制度設計、IT・DX支援など、経営に関わるほぼすべてのテーマをカバーしている。特に、後継者不在や業績低迷といった課題を抱えるオーナー企業への支援実績が豊富であり、事業再生・事業承継分野では国内でも有数の存在感を持つ。
M&A分野については近年特に注力しており、案件の発掘から企業価値評価、スキーム設計、交渉支援、クロージング、さらにはPMI支援まで一貫して手がけている。中小企業の事業承継問題が社会課題として顕在化する中で、M&Aは単なる成長戦略ではなく存続手段としての意味合いが強まっており同社にとって中長期的な成長ドライバーとなっている。
また、同社が掲げる「10領域のプロフェッショナル」による連携体制も大きな特徴である。戦略、財務、税務、法務、組織人事、IT、M&A、事業再生、事業承継、海外展開といった各分野の専門家がチームを組み、単一分野では解決できない複雑な経営課題に対して包括的な解決策を提示する。これにより、部分最適ではなく全体最適を重視したコンサルティングが可能となっている。
海外コンサルティングについては、アジアを中心とした拠点を活用し日本企業の海外進出支援や海外子会社の経営管理、現地法人の再編、クロスボーダーM&Aなどを手がけている。国内市場が成熟する中で、海外案件は今後の成長余地を担う分野であり同社も段階的にプレゼンスを高めている。
投資事業では事業再生や成長支援を目的とした投資を行い、コンサルティングと投資を組み合わせたハンズオン型の支援を展開している。単なる助言にとどまらず、企業価値向上の成果を中長期的に共有するモデルでありコンサルティング単体よりも高い付加価値を生み出す可能性を持つ。一方で、投資事業特有の収益変動リスクも内包しているが、事業ポートフォリオの一部として位置づけられている。
全体として山田コンサルティンググループは日本の中堅・中小企業が抱える事業承継、再生、M&Aといった構造的課題を背景に安定した需要を見込める事業基盤を持つ企業である。景気循環の影響は一定程度受けるものの、企業数の多さや後継者問題の深刻化といった長期トレンドを追い風に持続的な需要が期待されるコンサルティング会社として位置づけられる。
山田コンサルティンググループ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 EPS (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3期 | 15,315 | 2,252 | 2,322 | 1,394 | 73.4 | 37 |
| 22.3期 | 14,645 | 2,501 | 2,570 | 1,716 | 90.3 | 46 |
| 23.3期 | 16,450 | 2,871 | 2,920 | 2,114 | 111.1 | 56 |
| 24.3期 | 22,177 | 3,662 | 3,724 | 2,861 | 150.2 | 76 |
| 25.3期 | 22,761 | 4,132 | 4,099 | 2,882 | 151.1 | 77 |
| 26.3期(予) | 26,000 | 3,800 | 3,700 | 2,750 | 143.8 | 77 |
| 27.3期(予) | 27,000 | 4,000 | 3,900 | 2,850 | 149.0 | 77 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.3期 | 199 | -265 | -523 |
| 24.3期 | 3,808 | 315 | -3,760 |
| 25.3期 | -165 | -793 | 87 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 (%) |
ROA (%) |
ROE (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3期 | 17.4 | 10.4 | 14.2 | — | — |
| 2024.3期 | 16.5 | 13.7 | 17.2 | — | — |
| 2025.3期 | 18.1 | 12.2 | 15.9 | 9.8~14.9 | 1.80 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模を見る。24.3期の営業利益は36億円、経常利益37億円、純利益28億円であり、25.3期は営業利益41億円、経常利益40億円、純利益28億円と増益基調を維持している。26.3期予想では売上拡大を背景にしつつも、営業利益38億円、経常利益37億円、純利益27億円とやや減益見込みであり、利益成長が一服する想定となっている。もっとも、利益水準自体は高く、事業の安定性は維持されていると評価できる。
次に収益性を見る。営業利益率は23〜25年で17.4%、16.5%、18.1%と一貫して高水準であり、コンサルティング事業としては非常に強い収益力を持つ。ROEは14.2%、17.2%、15.9%、ROAは10.4%、13.7%、12.2%と、資本効率・資産効率ともに安定して2桁を確保しており、稼ぐ力の質は高い水準にある。
バリュエーション面では、25.3期実績PERが9.8倍〜14.9倍、PBRは1.8倍であり、営業利益率やROEの高さを考慮すると、市場評価は比較的抑えめである。高成長を前提にした割高株ではなく、収益力に対して妥当〜やや割安寄りの評価水準にあるといえる。
以上を総合すると、4792は高い営業利益率と安定したROE・ROAを背景に、コンサルティング業として非常に堅実な収益構造を持つ企業である。一方で、26.3期は減益予想となっており、急成長局面というよりは成熟期に近づきつつある点は留意が必要である。ただし、PER10倍前後〜15倍、PBR2倍未満という評価水準は、利益の安定性を踏まえると過度に割高とは言えず、下値リスクは相対的に小さい。
投資判断としては、派手な成長期待よりも、高収益・安定利益・妥当な株価評価を重視する中長期向けの堅実銘柄と位置づけられる。急騰を狙うタイプではないが、業績の安定性とバリュエーションのバランスを重視する投資家にとっては、比較的安心感のある投資対象と判断できる。
配当目的とかどうなの?
山田コンサルティンググループについて配当目的に向いているかを提示されている数値のみを前提に整理する。まず予想配当利回りを見ると、26.3期、27.3期ともに4.3%程度と日本株全体の中でもかなり高水準に位置する。一般的に高配当とされる3%を大きく上回っており、インカムゲインを重視する投資家にとっては明確に魅力のある水準である。
配当の裏付けとなる収益力を見ると営業利益率は17%前後と高く、ROEは15%前後、ROAも10%超を安定して確保している。コンサルティング事業という特性上、設備投資や在庫負担が小さく利益がキャッシュとして残りやすい構造である点は配当の継続性という観点で大きな強みとなる。
業績推移を見ても売上・利益は景気の影響を受けつつも極端に崩れる局面は少なく、一定水準の利益を安定的に確保してきた。26.3期はやや減益予想ではあるがそれでも純利益は約27億円規模を見込んでおり、配当を維持できないほどの水準ではない。
一方で注意点としては、山田コンサルティンググループは高成長株というより成熟フェーズに近い企業であり、配当政策も「大幅増配」より「安定維持型」になりやすい点が挙げられる。実際、26.3期・27.3期ともに配当利回りは同水準であり、急激な増配を期待する銘柄ではない。
総合すると、山田コンサルティンググループは配当目的として非常に適性の高い銘柄である。4%超の利回りを安定的に享受できる可能性が高く、キャピタルゲインよりもインカムゲインを重視する投資家に向いた中長期保有向けの高配当株と評価できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
山田コンサルティンググループについて現在値1,772円を起点に、これまで提示されている業績数値、収益性指標、バリュエーション、配当水準のみを前提として5年間の株価の値動きをより情報量を増やして整理する。
まず前提として、山田コンサルティンググループはITやSaaSのような高成長・高ボラティリティ銘柄ではなく、事業再生、事業承継、M&Aといった日本の中堅・中小企業が構造的に抱える課題を背景に比較的安定した需要を持つ経営コンサル企業である。営業利益率は直近で17〜18%台と高く、ROEは15%前後、ROAも10%超を安定的に確保しておりコンサルティング業としては「稼ぐ力」が非常に強い部類に入る。一方で、PERはおおむね10倍台、PBRも1.8倍程度と市場評価は控えめで、成長期待よりも収益の安定性と配当を重視した評価が中心となっている。
良い場合のシナリオでは、日本国内の事業承継ニーズや再生案件が引き続き底堅く推移し、M&Aアドバイザリー案件も安定的に積み上がる展開を想定する。加えて、アジアを中心とした海外コンサル案件が徐々に寄与し売上・利益ともに緩やかな成長を続ける。営業利益率は18%前後を維持し、ROEも15%台で安定することで市場からは「高収益かつ高配当の安定銘柄」として再評価されやすくなる。この場合、PERは15倍前後、PBRは2倍程度まで切り上がる可能性があり、利益成長と評価改善が同時に進めば5年後の株価は2,500円〜3,000円程度まで上昇する余地がある。配当利回り4%前後を受け取りながらの値上がりとなるため、トータルリターンではかなり満足度の高い展開になる。
中間のシナリオでは、事業環境は概ね安定しているものの、26.3期以降は利益成長が一服し売上・利益は横ばいから緩やかな増加にとどまる展開を想定する。営業利益率やROE、ROAは現在の水準を維持するが、成長性が際立つ局面はなく市場評価も大きくは変わらない。この場合、PERは12倍前後、PBRは1.6〜1.8倍程度に収れんし、株価は配当を織り込みながら緩やかに推移する。5年後の株価レンジは1,900円〜2,300円程度となり、大きな値上がりはないものの、配当を含めれば安定したリターンが見込める「守り寄り」の展開となる。
悪い場合のシナリオでは、景気後退や企業の投資抑制によって、M&A案件や再生案件が減少しコンサル需要が一時的に落ち込む展開を想定する。営業利益率は15%前後まで低下し、ROE・ROAもやや悪化する。この場合、市場はディフェンシブ評価を強める一方で、成長期待を後退させPERは10倍を下回りPBRも1.3〜1.5倍程度まで切り下がる可能性がある。株価は調整局面に入り、5年後には1,300円〜1,600円程度まで下落するリスクがある。ただし、同社は高配当政策を維持しており、利益が大きく崩れない限り配当利回りが下支えとなって急落しにくい点は特徴である。
総合すると、山田コンサルティンググループは5年間という時間軸で見た場合、急成長による株価倍増を狙う銘柄ではないが、下値の堅さと高配当を武器に安定したトータルリターンを狙える銘柄である。良い場合には2,500円〜3,000円、中間では1,900円〜2,300円、悪い場合でも1,300円〜1,600円程度というレンジが想定される。値動きの派手さよりも、配当を受け取りながら中長期でじっくり保有する投資スタイルに適した銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2025年12月28日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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