株価
CAC Holdingsとは

CAC Holdingsは、東京都中央区日本橋箱崎町に本社を置く独立系のITサービスグループで、持株会社体制のもとで複数のシステムインテグレーターやITサービス会社を傘下に持つ。1966年に日本で最初期の独立系ソフトウェア専門会社として設立された歴史を持ち、長年にわたり企業の基幹業務を支えるシステム構築と運用を主力事業としてきた。
事業の特徴は、ITコンサルティングからシステムの設計・開発、導入後の保守・運用管理までを一貫して提供する点にある。特に信託銀行を中心とした金融機関向けシステムや、製薬会社向けの研究開発支援システム、業務基盤システムに強みを持ち、高い信頼性や安定稼働が求められる分野で長期的な取引関係を構築している。これにより、単発の開発案件に依存しない、ストック性の高い収益構造を形成している。
具体的な事業内容としては、ITコンサルティングサービス、システムインテグレーション、システム開発サービス、システム保守サービス、システム運用管理サービスを中心に、BPOサービス、データセンターサービス、ヘルプデスクやデスクトップサポートといった情報処理サービスまで幅広く展開している。加えて、ソフトウェアおよびハードウェアの販売も行い、顧客のIT環境を包括的に支援する体制を整えている。
国内拠点は、本社のほか江東事業所、大阪支社、肥後橋オフィス、長崎BPOセンター、長崎NBCオフィスなどを構え、地域ごとに役割分担を行いながらサービス提供を行っている。また、海外ではインドなどにIT開発の現地法人を持ち、オフショア開発体制を活用することで、コスト競争力の向上と開発リソースの確保を図っている。
グループ会社には、システム構築・運用を担う株式会社シーエーシーをはじめ、特定業界向けシステムに強みを持つCACオルビス、アークシステム、CACマルハニチロシステムズなどがあり、金融、製薬、製造、流通といった分野に特化したITサービスを提供している。各社が専門領域を持つことで、グループ全体として幅広い業界ニーズに対応できる体制を築いている。
総じてCAC Holdingsは、独立系の立場を維持しながら、信託銀行や製薬業界といった高付加価値分野に深く入り込むことで、安定性と専門性を両立してきたITサービス企業である。派手な成長を追うよりも、長期取引と運用ビジネスを軸に堅実な事業基盤を積み上げてきた点が同社の大きな特徴となっている。
CAC Holdings 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12 | 47,971 | 3,187 | 3,158 | 2,093 | 123.6 | 60 |
| 連23.12 | 50,539 | 3,327 | 3,118 | 2,473 | 145.2 | 80 |
| 連24.12 | 52,063 | 3,394 | 3,361 | 3,096 | 181.4 | 90 |
| 連25.12予 | 50,000 | 2,700 | 2,400 | 3,000 | 175.4 | 100 |
| 連26.12予 | 53,000 | 2,900 | 2,550 | 3,100 | 181.2 | 100〜110 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022.12 | 2,625 | -591 | -1,711 |
| 2023.12 | 594 | 1,247 | -2,070 |
| 2024.12 | 5,713 | -1,328 | -2,855 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.12 | 6.5% | 7.7% | 5.0% | – | – |
| 2024.12 | 6.5% | 8.2% | 5.6% | 9.4〜12.1倍 | 1.04倍 |
| 2025.12予 | 5.4% | 8.0% | 5.4% | 14.3倍 | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
CAC Holdingsを直近から予想までの利益水準と収益性指標から見ると、安定性はあるものの成長力はやや弱くバリュエーション面とのバランスが重要になる銘柄といえる。まず利益水準を見ると営業利益は2023年12月期が33億円、2024年12月期が33億円と横ばい圏で推移している。2025年12月期予想では27億円へ減少し、2026年12月期予想で29億円と回復する想定だが全体としては明確な成長トレンドには入っていない。
経常利益も31億円から33億円へ小幅増の後、24億円まで落ち込み26億円へ戻る見通しであり利益の伸びは限定的である。純利益は24億円から30億円へ増加しており、この点は比較的底堅いが事業成長というよりも利益構造や一時要因の影響が大きいと見られる。
収益性の面では営業利益率は2023年と2024年が6.5%、2025年予想では5.4%と低下している。SI業界としては極端に低い水準ではないが、高付加価値型とは言いにくく価格競争やコスト上昇の影響を受けやすい構造が続いている。ROEは7.7%、8.2%、8.0%と一桁後半にとどまり、資本効率は平均的である。ROAも5.0%から5.6%、5.4%と大きな改善は見られず、資産を使った収益創出力は限定的である。
一方、評価面を見ると2024年実績PERは9.4倍から12.1倍、PBRは1.0倍と数値だけ見れば割高感はない。2025年予想PERは14.3倍まで上昇するが、利益成長が乏しい中でのPER上昇であり積極的に評価が切り上がる局面とは言いにくい。PBRが1倍前後にとどまっている点も、市場が高い成長や高収益性を織り込んでいないことを示している。
以上を踏まえた投資判断としては、CAC Holdingsは信託銀行や製薬向けを中心とした安定顧客基盤を持ち、業績の大崩れは起こりにくいが利益成長力と資本効率の面では突出した強さは見られない銘柄である。バリュエーションは割安圏にあるものの、業績が横ばいから微減傾向で推移する場合株価の上昇余地も限定的になりやすい。
したがって、本銘柄は高成長を狙う投資よりも、安定性を重視しつつ割安水準での中立的な保有を検討するタイプの銘柄といえる。積極的な買い材料は乏しい一方で、明確な悪化要因も少なく業績回復や収益性改善が確認できるまでは慎重に見極めたい局面という評価になる。
配当目的とかどうなの?
配当目的で見ると、CAC Holdingsは十分に成立する銘柄という評価になる。予想配当利回りは連25.12期、連26.12期ともに4.79%と市場平均を明確に上回る水準にある。SI関連銘柄の中では高配当の部類に入り、インカムゲインを重視する投資家にとっては魅力的な数字である。
業績面を見ると営業利益は30億円前後で推移し、営業利益率は5%台から6%台と高水準ではないものの純利益は24億円から30億円台と比較的安定している。ROEは8%前後、ROAは5%台と資本効率は平均的だが、極端に悪化しているわけではなく配当原資は確保できている状況といえる。
キャッシュフローを見ても、営業CFは年による振れはあるもののプラスを維持しており、投資CFや財務CFを賄いながらも配当を継続できる体力はある。配当性向は高めだが、現時点では無理をして配当を出している印象は強くない。一方で、成長性は限定的であり、営業利益率やROEが大きく改善する兆しは見られない。そのため、配当が今後も急増するタイプの銘柄ではなく、高水準の配当を維持することが主眼になると考えられる。
整理すると、CAC Holdingsは値上がり益を狙う成長株ではなく、安定した事業基盤を背景に4%台後半の配当利回りを受け取ることを目的とした投資と相性が良い。配当目的を主軸に株価の大きな上昇は期待せず、インカムを積み上げる保有スタンスに向いた銘柄という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
CAC Holdingsを現在株価2,087円前後を基準に見ると成長性よりも安定性と配当を重視した評価が中心になる銘柄であり株価の値動きも業績の大幅な拡大よりは、収益の安定度と配当水準を軸に形成されやすい特徴を持つ。営業利益率は5%台から6%台、ROEは8%前後と高収益企業ではないが、信託銀行や製薬企業向けといった長期取引が前提となる分野を主軸としているため業績の急変リスクは比較的低い。この前提を踏まえ、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。
良い場合のシナリオでは、金融機関や製薬業界におけるシステム更新需要が想定以上に底堅く推移し、運用・保守を中心としたストック型収益が着実に積み上がる展開を想定する。海外拠点を活用した開発体制の効率化が進み、コスト面の改善も寄与することで営業利益率は6%台前半を維持する。純利益は30億円前後で安定し、高水準の配当が継続されることで配当目的の資金流入が続く。この場合、市場では「高配当・安定IT銘柄」としての評価が定着し、PERは12倍台から13倍台まで切り上がる可能性がある。業績の伸びは緩やかでも評価の安定と配当の積み上がりにより、5年後の株価は2,600円から2,900円程度を目指す展開が想定される。値上がり益よりも配当と合わせた総合リターンが意識されるシナリオである。
中間のシナリオでは、業績は現状の延長線上で推移し売上は横ばいから微増、営業利益も30億円前後で安定する。営業利益率は5%台後半から6%前後、ROEは8%前後で大きな改善も悪化もなく推移する。配当は高水準を維持し利回りは4%台後半で安定するため、株価の下支え要因として機能する。この場合、PERは10倍台後半から11倍台程度で落ち着き、株価は配当を受け取りながら緩やかに推移する。5年後の株価は2,200円から2,400円程度が中心となる現実的なシナリオであり、大きな値幅は出にくいが安定した保有が前提となる。
悪い場合のシナリオでは、IT投資抑制の影響が長引き主要顧客のシステム投資が先送りされることで新規案件が伸び悩む展開を想定する。人件費や開発コストの上昇を十分に吸収できず、営業利益率は5%を下回る水準まで低下する可能性がある。ROEも7%台まで低下し、市場評価は慎重になる。この場合、PERは9倍台まで下がり、株価は評価調整局面に入る。ただし、配当利回りは相対的にさらに高くなるため、長期保有目的の資金が下値を支える。5年後の株価は1,800円から2,000円程度で推移する弱気シナリオとなるが、急落というよりはじり安に近い形が想定される。
総合すると、現在株価2,087円前後を起点としたCAC Holdingsの5年間の値動きは、良い場合で2,600円から2,900円程度、中間で2,200円から2,400円、悪い場合でも1,800円から2,000円程度というレンジが想定される。急成長や株価倍増を狙う銘柄ではないが、高い配当利回りと安定した顧客基盤を背景に値下がりリスクを抑えつつインカムゲインを積み上げる投資と非常に相性の良い銘柄という評価になる。
この記事の最終更新日:2025年12月28日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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